やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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いいのかな?これで
てな訳でどうぞ


九十五話

―――強化合宿初日。

皆が競技場でイヴを相手に朝のスパルタ猛特訓をするなか……

 

 

「ねぇ、なんで、わたしだけ……皆とは別のことをしているの?」

 

「お前が今すべきなのは勉強なんだよ。オーケー?」

 

 

視聴覚室の部屋の隅の机で参考書の山に囲まれ、ノートを広げ、眉を八の字にして不満そうにしているリィエルに、ウィリアムはきっぱりと言い放った。

 

 

「ほらほら、集中しなきゃだめよ」

 

 

リィエルの隣にいる生徒会長のリゼも、グレンの要請からウィリアムと一緒にリィエルの勉強を見ている。

リィエルはこの前、エルザと一緒に学んだ事の八割を吹っ飛ばしてしまっている。つまりほぼ一からやり直しだ。

 

 

「たくっ……いい加減、【ショック・ボルト】位はマトモに使えるようになって欲しいもんだ」

 

 

競技場の地稽古の様子を遠隔で撮影しているグレンも呆れ気味に呟く。

それから一時間後、早朝のスパルタ猛特訓を終えた一同が視聴覚室に入って来て、再生された先程の地稽古の映像を見て、皆、顔を真っ赤にして頭を抱えていた。そんなに彼らにグレンは一つ一つ丁寧に指摘し、対処法を教えていく。

 

 

「う~、わたしも交ざりたい……」

 

「我慢しろ」

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

昼休み―――

 

 

「《雷精よ・紫電の衝撃以て・打ち倒せ》」

 

 

リィエルは五メトラ先の大きめの的に【ショック・ボルト】を飛ばすも、的の中心には当たらず、少々ずれた位置に着弾する。

リィエルの昼休みは学んだ事の実践―――感覚で運用法を覚えさせるという非効率な方法で叩き込んでいた。

 

 

「むぅ……」

 

「ふて腐れてないでもう一回だ。お前の場合、感覚で覚えさせたほうが確実なんだからよ」

 

「……わかってる。《雷精よ・―――》」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

放課後―――

二組の殆どがイヴと魔術戦の地稽古をするなか―――

 

 

「そんじゃ使う魔術は【ショック・ボルト】だけ……いいな?」

 

「ん」

 

 

ウィリアムの言葉に、リィエルは素直に頷き、【ショック・ボルト】限定の魔術戦を始めていく。

ウィリアムは時間差起動(ディレイ・ブート)予唱呪文(ストック・スペル)の練習、リィエルは動きまくりながら呪文を唱える為の練習と互いに特訓していく―――

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

そんな日々が続いた十日目の晩。

反省会にて初日と現在の違いを映像と見比べて成長したと感じた男子生徒の多くが、今の自分たちを試す為にある場所へと向かって行っていたのだが。

 

 

「ん?君らは……」

 

 

その道中で模範クラスの一人であるチャールズと鉢合わせた。

 

 

「なんで模範クラスのお前がここにいるんだよ?」

 

 

敵対心をむき出しに、カッシュが問いつめると。

 

 

「決まっとるやん……この先の楽園(エデン)を写真や映像に納めるためや」

 

「……なんだと?」

 

 

チャールズはいぶかしむカッシュ達に自身が隠し撮りした女性の写真を渡す。カッシュ達はその着替え中の女性の写真を無表情で受け取り……

 

 

「模範クラスの事は気に食わないが、この時だけは同じ目的のために動く同志だ」

 

「おおきに。ベストなもんが撮れたら、売ってあげるわ」

 

 

カッシュとチャールズは互いに手を固く握りあい、一同は楽園(エデン)へと目指していった。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

大浴場でイヴを中心に女子生徒達がはしゃぐなか。

 

ちゅっどぉおおおおおおおおおおおおんっ!!!!

 

 

「ぎゃああああああああああああああ―――ッ!?」

 

「ルーゼルぅううううう―――ッ!?」

 

「だから止まるよう言うたんや!!この辺りからは覗き対策に魔術罠(マジック・トラップ)が設置されとるんや!!!」

 

「なんだと!?」

 

「毎日挑んでたから間違いないんや!!だけど……この程度で楽園(エデン)を諦める気は無いで!!」

 

「……!そうだ。この程度で、負けてたまるかぁあああああああああ―――ッ!!」

 

 

大浴場の外で爆発音と悲鳴が聞こえた……ような気がした。

その音に対し、女子生徒達は戸惑うも、仕掛人たるイヴは湯に深く身を沈めてすまし顔だった。

そんなイヴにシスティーナ、ルミア、リィエルが隣に入浴し、イヴも突っぱねる理由もないので許容する。

システィーナとルミアが遠回しにグレンとの関係を聞くなか……

 

 

「ねぇ、イヴはグレンのことが好ごもぐぅっ?」

 

 

どストレートに聞こうとしたリィエルの両肩をシスティーナとルミアが掴んで、顔の下半分を湯船に沈めて、強引に口を塞いだ。

 

 

(リィエルも年頃なのかしら……?まあ、最近は《詐欺師》のウィリアムに大分懐いているようだけど……)

 

 

イヴはそんな事を考えながら、システィーナとルミアに対し、グレンとの関係を否定していると。

 

ちゅっどぉおおおおおおおおおおおおおんっ!

 

 

「「「「ぎゃああああああああああああああ―――ッ!!!」」」」

 

「くそッ!ここもかなのか―――ぎゃああああああああああッ!!」

 

「くっ……だけどこのままうわぁあああああああああああああ―――ッ!!!!」

 

 

大浴場の外で爆発音と悲鳴が聞こえた……ような気がした。

イヴはすまし顔で湯船から上がり、自分は最低女とシスティーナ達に言い残して浴場を後にした。

風呂から上がって着替えたイヴが、廊下を歩くなか。

 

 

「……今回は……ドロー……や……がく」

 

 

(すす)だらけとなって倒れていたチャールズは、イヴの風呂上がりの姿を気力を振り絞って撮影し、気絶した。

 

 

 




さて。私も楽園をこの目で―――(この後、魔術罠に引っ掛かり、彼方へと飛んで行きました)
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