てな訳でどうぞ
メイベルの案内で一同は『Aの奥義書』が潜んでいる図書室へと辿り着いた。
「この部屋の最奥に『Aの奥義書』が……狂気に満ちたもう一人の私がいます」
メイベルがそう告げた図書室は、両脇にある、果てが全く見えない大量の本が詰まった無数の書架で図書館と呼ぶべき程だ。
その書架から本が幾つも勝手に抜け落ち、件の怪物にへと姿を変えていく。通路の奥からも同様に本の怪物が迫ってきている。
「ここが正念場だ……頼りにしてるぜ、お前ら!」
グレンが【ウェポン・エンチャント】を
リィエルもグレンに続き、錬成した大剣を旋風のように振るい、同様に本の怪物達を吹き飛ばしていく。
纏めて襲いかかろうとすれば、システィーナが、ルミアの《
ウィリアムも【騎
カッシュ達も【ゲイル・ブロウ】を放ち、突風の弾幕で押し寄せる本の怪物達を押し返していく。
イヴはそんな彼らをフォローするように、黒魔【アイシクル・コフィン】―――冷凍光線で対象を氷漬けにするB級軍用魔術で、攻撃を抜けて迫ってきた本の怪物達だけを撃ち、氷漬けにする。
「《水神に仕えし蒼白の竜よ・その猛威と怒りと共に・荒れ狂う水流と化せ》―――ッ!!」
ウィリアムが背後から迫って来ていた本の怪物達に【アクシス・カノン】を放ち、極太の水流で一気に押し流していく。
「《蒼銀の氷精よ・冬の
イヴがその水流に向かって【アイシクル・コフィン】を放ち、その水流を凍らせる事で、水流の中にいた本の怪物達を大量に氷漬けにし、巨大氷柱へと閉じ込める。
そうやって本の怪物達を触れずに捌きながら、一同はメイベルの案内に従い、奥へと目指して駆け抜けていくのだが……
「しっかし、倒せないのは厄介だな!」
「先生の【イクスティンクション・レイ】や、ウィリアムの【マテリアル・ブラスター】でも駄目なんでしょうか?」
システィーナから洩れた疑問に。
「無理だ。どっちも火遊び禁止のルールに抵触する可能性が高い。特に俺のは確実だ」
ウィリアムははっきりとそう告げる。拳銃はルール的にセーフだったそうだが、三属性複合呪文の【イクスティンクション・レイ】と、【メギドの火】の劣化縮小版である【マテリアル・ブラスター】は抵触する可能性が高く、使用するにはリスクが高すぎる。
本の怪物達は強くはないが、炎と特殊インク弾以外では倒すことが出来ない、この特異法則結界空間限定の不死身さに増え続ける底なしの物量。
それでも必死に本の怪物達を捌いていくが……
「イヴ先生ぇええええええ―――っ!グレン先生を―――」
遂に、グレンを助ける為に本の怪物達に囲まれたカッシュが餌食となり、脱落した。
それを皮切りに、疲労とマナ欠乏症で、一人……また一人と、前へと進ませる為に犠牲となり、脱落していく。
誰もが先に進む者たちを信じて、前へと送り出す。
そして、グレン、ウィリアム、システィーナ、ルミア、リィエル、イヴ、メイベルだけとなり、沸き上がる怒りを抑え、奥へと進んでいくと―――
「ふ―――ッ!」
突然、メイベルが自身の右肘から先を千切り取り、その右手は無数の
「メイベル!?」
「私は“本”ですから、この程度は大丈夫です。それよりも……」
メイベルが前を見据えた事で、一同もそちらに目を向けると、ホールのように開けた空間にある机の前に、一人の女性が羽根ペンで書き物を行っている。
「……ようこそお越しくださいました。我がアルザーノ帝国魔術学院の皆様」
その女性は羽根ペンをインク壺に置き、眼鏡を外して、席を立ってこちらへと向き、にこやかに挨拶をする。
この女性こそが―――
「お前が『Aの奥義書』とやらの本体か?」
「ええ。私こそが、アリシア三世の意志を継いだ……彼女そのものと言っていい存在ですわ」
「冗談じゃないです」
その後、メイベルがそのアリシア三世と口論するが、話は平行線であり、説得は不可能であると悟らせる。
そして、アリシア三世に呼応するように、本の怪物達が現れ、大量の本が宙に浮かび、彼女の周りで回転し始める。
グレンとウィリアムは温存していた特殊インク弾装填済みの拳銃を引き抜き、システィーナとルミアは左手を、リィエルは大剣を、イヴは右手を構える。
今、本に姿を変えられた者達を救う、戦いの火蓋が切って落とされた―――
······生きてるって素晴らしい!!
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