やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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どんなBGMが合うのかな?
てな訳でどうぞ


百一話

本の怪物達が押し寄せてくる。

 

 

「いぃいいいいいやぁあああああああああ―――ッ!!」

 

 

リィエルが大剣を振るい、迫り来る怪物達を薙ぎ払い―――

 

 

「《集え暴風・戦槌となりて・撃ち据えよ》―――ッ!」

 

 

システィーナが【ブラスト・ブロウ】でアリシア三世の前で壁を作る怪物達をまとめて吹き飛ばし―――

 

 

「《悪辣なる鬼女よ・其の呪われし腕で・彼の者を抱擁せよ》―――ッ!」

 

 

ルミアが白魔【ホールド・モーション】―――金縛りの念動場の呪文で、強引に近づいてくる怪物達の動きを一時的に封じ―――

 

 

「《蒼銀の氷精よ・冬の円舞曲(ワルツ)を奏で・静寂を捧げよ》―――ッ!」

 

 

イヴが【アイシクル・コフィン】でアリシア三世の周りを浮遊する全ての本と、アリシア三世の足下を凍らせる。

グレンとウィリアムはすかさず拳銃の引き金を引き、インク弾を撃ち出すも―――

 

ばしゃっ!ばしゃっ!

 

そのインク弾は、書架から高速で飛んできた本によって防がれた。

 

 

「くそッ!またかッ!!」

 

 

ウィリアムは苛立ちを露に拳銃から空薬莢を排出し、新たなインク弾を装填していく。

このように、戦い始めてから幾ら連携して隙を作り出そうとしても、この空間にある大量の本が悉く、インク弾を防いでいくのだ。

メイベルが張った結界である程度分断されてはいるが、天辺が全く見えない本棚には、ぎっしりと本が詰められている。

それでも一同は活路を見いだそうと、必死に戦い続ける。

グレンが拳で、ウィリアムは人工精霊(タルパ)の騎士で、リィエルは大剣で、システィーナは風の呪文で怪物達を吹き飛ばし、ルミアは金縛りの魔術で動きを封じ、イヴは魔術技巧を尽くして隙を作ろうとする。

その間にもメイベルは、自身の身体を引き千切って結界を構築し、ウィリアムも《詐欺師の盾》の魔力障壁を正面のみに展開して、怪物達の洪水を押し留める。

そして―――

 

 

「らぁああああああああああ―――ッ!」

 

 

攻防の果てに、一縷(いちる)の好機を見いだし、ウィリアムは拳銃のインク弾全てを、アリシア三世に向かって撃ち出す。

インク弾は当然、彼女の周りの本で全て防がれるが、その隙にグレンが天高く跳躍し、アリシア三世の頭上を取る。

唯一存在した死角に、グレンは拳銃の引き金を引き絞るも―――

 

ばしゃっ!

 

 

「―――か、ぁ…………」

 

「残念」

 

 

その一撃は、無情にも外されてしまった。本がグレンの脇腹に向かって突撃し、めり込ませ、その衝撃で狙いが外されてしまったのだ。

さらに追い討ちをかけるように、無数の本がグレンに殺到し、本の怪物達の群れへとグレンを吹き飛ばす。

吹き飛ばされたグレンはシスティーナ達のフォローで何とか難を逃れたが、その表情は暗い。

 

 

「……急いデ……下サイ……そろソロ、私モ、限界デス…………」

 

 

身を張って結界を構築していたメイベルも、言語機能に支障を来すほど、限界が迫ってきている。

そんななか、アリシア三世がインクで汚した人も“裁断の刑”に処するようにする新しいルールを作ると言い、机につき、羽根ペンで書き始める。

このままではインクさえも使えなくなるという絶望的な状況に……

 

 

「……イヴ、ウィリアム。後の事は頼むぞ」

 

 

グレンはそう言って、イヴに自身の拳銃のグリップを突きつけた。

 

 

「……何のつもり?」

 

「俺は―――炎熱系魔術を全力で撃って、奴らの数を減らす」

 

「先公ッ!?」

 

「駄目ですよ!ここで炎を使ったら―――」

 

「このままじゃ、もう全滅だ!他の手段を考える時間がない以上、もうそれしか手がねぇッ!!」

 

 

グレンは、はっきりとそう断言し、イヴに拳銃を押し付けようとする。

それに対し、イヴは―――

 

 

「……ええ、私に任せなさい―――」

 

 

不敵に微笑みながら手を伸ばし―――グレンとすれ違った。

 

 

「え?」

 

「―――ただし、こっちの方をね」

 

 

その瞬間、イヴの掌の上に火が灯り、業火となって渦を巻いていく。

 

 

「イヴ!?お前、何を―――ッ!?」

 

 

――有罪(ギルティ)

 

 

イヴの耳元でその言葉が囁かれた瞬間、イヴの手足が本の(ページ)へと変わり始める。

 

 

「適材適所よ。ここは炎の魔術の大家イグナイトの出番。貴方よりよっぽど適任よ。それに……」

 

 

イヴは切なげに微笑んで、グレンにへと振り返る。

 

 

「グレン。貴方はまだ、あの子達に必要なのよ。だから、何の価値もない、最低な私が……」

 

「止めろぉおおおおおおおお―――ッ!?」

 

 

グレンの必死の静止の叫びを無視し、イヴは魔力全開で、呪文を唱えた。

 

 

「《真紅の炎帝よ・劫火(ごうか)の軍旗掲げ・(あけ)に蹂躙せよ》―――ッ!」

 

 

B級軍用黒魔術【インフェルノ・フレア】。

超高熱の灼熱劫火の津波がイヴを中心に燃え広がり。

床を、書架を、天井を、ありとあらゆる場所を、容赦なくその炎で燃やしていく。

 

 

「わ、私の本がぁあああああああああああああああああああああああああああ―――ッ!?おのれぇえええええええええええええええ―――ッ!?」

 

 

アリシア三世の悲鳴と同時に、(ページ)化していくイヴに、無数のハサミが飛んできて迫り、イヴだった頁を容赦なく切り刻んでいく。

 

 

「やめてぇえええええええええええ―――ッ!?」

 

「……そん……な…………ッ!?」

 

「嘘……?」

 

 

“裁断の刑”によって自身の終わりを痛感していくイヴは、この二週間の出来事を思い出し、不思議と満たされていく。

そんな思いを抱いたまま、イヴの意識は暗闇に消えていった。

そんななか―――

 

 

「イヴ。本当はお前のこと―――」

 

「ひっ!?」

 

 

アリシア三世は、グレンが自身の額に押し当てた銃口から逃れようとするも―――

 

 

「―――逃がさねぇよ」

 

 

無数の【騎士の剣(ナイツ・ソード)】がアリシア三世の周囲に突き刺さり、その場から動けなくする。

 

 

「や、やめて―――」

 

 

逃げ場を失ったアリシア三世は命乞いをするも。

 

 

「―――()()()()()()()()()

 

 

グレンは聞かず、引き金を引く。

燃え盛る炎の世界で、一発の銃声が、空しく響き渡った―――

 

 

 




そういえばチャールズよ。お前の写真はすべてベストな角度で撮られているのだが?

「魔術を使って、光の角度を調整したんや!」

······ナイスだぁああああああああああああああああああ―――ッ!!!?
感想、お待ちしてます········(○望の○が~)
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