やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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これでいいかのかなぁ?
てな訳でどうぞ


百六話

ウィリアムは現在、セリカによって用意された部屋で項垂れながら秋休みの課題に取り組んでいる。ウィリアムが項垂れている、その訳は……

 

 

「どうしたのウィル?そんなに項垂れて」

 

 

対面でウィリアムと同じように課題をやっている、寝間着姿のリィエルが首を傾げて不思議そうに聞いてくる。

そう、セリカが勝手に部屋割りを決め、ウィリアムはリィエルと二人きりの部屋で寝泊まりする羽目になったのである。

 

 

「はぁ……教授は本当に……」

 

「あはは……」

 

 

同じく課題をやるために、ウィリアムとリィエルが泊まる部屋に訪れたシスティーナとルミアはウィリアムの内心を察し、多少は同情していた。……それ以上に複雑な感情が胸の内に宿っていたが。

 

 

「……ちょっと疲れているだけだから気にしないでくれ……」

 

 

ウィリアムは力なくリィエルにそう言いながら課題を終わらせていく。錬金術に関する課題はとっくに終了しており、それ以外の課題も三人よりも早く済ませていっているのだ。

 

 

「……何でそんなに早く解けるのよ……」

 

「師匠のお陰で知識自体は結構あるからな。使えるかは全くの別問題だが」

 

 

ウィリアムは遠い目となってシスティーナの質問に答える。

師匠―――ユリウスの修行は、望んだ事とはいえ本当に地獄であった。幼少期とはいえ竜を単身で倒させようとしたり、当時は苦戦したシャドウ・ウルフの群れへと放り込んだり、尋常じゃない怪力を持つ熊の魔獣に挑ませたり、一度教えたら即刻で実践させたり……と、本当にロクな修行ではなかった。

ウィリアムのその様子に、システィーナは地雷を踏んでしまったとすぐに理解した。

 

 

「あ、明日から『銀竜祭』だから勉強も程々にしないとね!!」

 

「……ああ、そうだな」

 

 

システィーナは明日からの銀竜祭に話題を変えるも、ウィリアムの表情に然程変化がない。そんな中、ルミアがおずおずと切り込んでいく。

 

 

「……ウィリアム君。スノリアに来てから殆どその顔だよね?」

 

「…………」

 

 

ルミアの指摘に、ウィリアムは無言を貫いている。ルミアが言った通り、ウィリアムはこのスノリア地方に来てから殆ど仏頂面で過ごしており、今もその顔のままなのだ。

 

 

「ん。ウィル、あんまりいい顔してない。今回の旅行、そんなに嫌だったの?」

 

「……旅行自体は別に良いんだよ。単に雪景色であの時の事を思い出しちまっているだけだ……」

 

 

ウィリアムは溜め息と共に、スノリアにきてから仏頂面だった理由を小声で明かす。

ウィリアムの言うあの時の事とは、当然約二年前―――イルシアが亡くなった時の事である。

 

 

「頭じゃ理解してんだけど、どうしてもな……」

 

「「「…………」」」

 

 

ウィリアムの明かした理由にシスティーナとルミアは複雑な気分で顔を沈め、リィエルは何時もの眠たげな表情で何かを考え込んでいる。

 

 

「ホント悪いな……暗い気分にさせちまって……」

 

 

ウィリアムが三人に対して頭を下げて謝っていると。

 

 

「それなら、明日は沢山遊ぼ?」

 

 

考え込んでいたリィエルが思い付いたようにそう言ってきた。

 

 

「……は?」

 

 

リィエルの言葉に、ウィリアムは呆けた顔となってリィエルの顔を見詰める。

 

 

「辛い事は楽しい事で癒せばいい……と思う」

 

「……そうだな」

 

 

リィエルのその言葉に、ウィリアムはスノリアに来てから初めての心からの優しい顔になって同意した。

 

 

「……どうしようルミア。今の私達、すごいお邪魔虫の気がするのだけれど」

 

「あはは……確かにそうだね……」

 

 

システィーナとルミアは口ではそう言いながらも、先ほどの空気が霧散した事に安堵の笑みを浮かべていた。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

勉強会もお開きとなり、ウィリアムとリィエルは就寝に就くのだが。

 

 

「……やっぱりこうなるんだな……」

 

「?」

 

 

ウィリアムの呟きに、すぐ傍にいるリィエルは何時もの如く不思議そうにする。最上階のスイートルーム程ではないにせよ、格式の高い二人部屋だ。当然ながらベッドも二つあるのだが、現在使われているベッドは一つだけ。もうお察しの通り、二人は今夜も同じベッドで一緒に寝ているのである。

 

 

「今日は何で抱きついてんの?」

 

 

しかも今夜は互いにただ向き合って寝ているのではなく、リィエルがウィリアムに抱きついて寝ているのである。

 

 

「この辺りの夜は寒いから抱きついたら温かく寝れるって、セリカが言ってた」

 

「また教授なのかよ……」

 

 

もう何度目か分からないセリカの入れ知恵にウィリアムは溜め息を洩らす。

ウィリアムはもうリィエルのこういった行動の静止は殆ど諦めている。嫌いだから止めろ。等という心にも無いことなんて絶対に言いたくないし、恥ずかしいと言えば上書き行動を起こすのだから基本的には諦めるしか道がないのだ。

 

 

「だから、抱き締め合って寝よ?」

 

「……はいはい」

 

 

そんな訳で、その日は互いに抱き締め合って寝る事となった。

 

 

 

―――その頃、最上階のスイートルームでは……

 

 

「そんなに照れるなよ。昔はこうして一緒に寝ていただろ?」

 

「昔の事を持ち出すんじゃねぇよ!?」

 

 

セリカはグレンの背中に抱きつき、一つのベッドで寝ていた……

 

 

「……ううう~~~~~~ッッッ!!!!!」

 

「……会話の内容からして、先生と教授は同じベッドで寝ているみたいだね……あの二人のように……」

 

 

その向こうの扉には二人の少女が聞き耳を立てて、中の様子を探っていた……

 

 

 

ちなみに……

 

 

「………………ッ!!(ガバッ!)」

 

 

とある地にて山籠りの修行をしていた少女は、龍の幻覚を出現させながら飛び起きていたそうだ……

 

 

「……どうして何でしょう。スノリアへの旅行の参加を辞退した事を悔やまれる気分に襲われるなんて……」

 

 

何時もの如く、不穏な電波を掴んだ状態で……

 

 

 




恋する乙女の勘はどこに居ても発揮する!
ホンット、修羅場を書きたいなぁ·······(鬼!悪魔!作者!!)
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