やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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書くのが早いなぁっと
てな訳でどうぞ


百八話

あの後、なんとか彼女達を現実へと復帰させ、エルザの詳しい近況を聞いた五人は……

 

 

「え、エルザさん……」

 

「こ、恋する乙女ってやっぱりすごいんだね……」

 

「エルザ、すごく強くなってる」

 

「次会った時が怖いんだが……」

 

「そのエルザさんという方とも会ってぜひ、手合わせしたいですね!!」

 

 

システィーナとルミアは苦笑い、リィエルはずれた事を言い、ウィリアムはやがて訪れる修羅場に戦々恐々とし、オーヴァイはいつも通りの反応だった。

 

 

「そうですわね……恋する乙女はすごいのだと身に染みて実感いたしましたわ……」

 

「修羅場って、本人達だけじゃなく周りにも被害を及ぼすんだってようやくわかったよ……」

 

「もし貴方達の学院から短期留学のオファーのお話が来たら、可能な限りエルザさんを行かせられるよう働きかけさせてもらいます。わた―――お嬢様の平和を守るために」

 

「じ、ジニー……?今、私のと言いかけましたわよね!?」

 

 

ここにいない少女の話題に振り回されながらも、話は例の件―――グレンへと向かう。

 

 

「ところで……レーン先生はおられるのですか?」

 

「お前達がいるんだし……レーン先生も来ているんじゃないかと……」

 

 

フランシーヌとコレットは顔を赤らめながらレーン―――グレンがいないかを聞いてくる。

 

 

「先公はあそこだ……」

 

 

ウィリアムが指をさした先には、グレンとセリカは露店の装飾工芸品を物色していた。

 

 

「あれ?レーン先生はまだ女性に戻られてないんですの?」

 

「しかも、金髪の女性がレーン先生に妙に馴れ馴れしくしてるし……」

 

「……正直、話したくないんだけど」

 

「だけど、話さなきゃ流石に面倒だぞ」

 

「そうよね、ハァ……」

 

 

システィーナは溜め息を吐きながら、どこから話そうかと頭を悩ませる事となった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「「嘘ぉおおおおおおおおーーッ!?レーン先生は本当に男性だったのぉおおおおおおおおーーッ!?」」

 

「いや、普通に気付くでしょ。風呂場の時といい、ウィリアムさんの男性バレの時といい、どんだけ鈍いんですか」

 

 

フランシーヌとコレットは予想通り驚愕しており、ジニーは冷めたツッコミを入れていた。

 

 

「つ、つまり先生は本当に殿方だから、わたくしとも、むむむ結ばれる可能性が―――」

 

「そ、それって、まままマジでワンチャンありありあり―――」

 

「……こうなるから話したくなかったんだけど」

 

「あはは……」

 

 

フランシーヌとコレットの予想通りの反応に、複雑な気分となるシスティーナとルミアだった。

ちなみに、リィエルがウィリアムを引っ張って再び遊び始め、オーヴァイもそんな二人に付いていったのでこの場には既にいない。

 

 

「そういうことでしたら、なおさら許せませんの!わたくしの愛しい先生を独り占めするなんて言語道断ですわ!!」

 

「ああッ!!先生はアタシのもんだッ!!」

 

「……別に、貴女達のものでもありませんし、修羅場を率先して作るんじゃないですよ。発情期の雌犬共が」

 

「よ、容赦ないわねジニー……とにかく、どうしようかなって思っているの」

 

「このままじゃ、何も進展せずに旅行が終わりそうなんだよね。それに……」

 

 

ルミアが視線を向けた先には……

 

 

「だ、大凶だとぉおおおおおお―――ッ!?」

 

「いやぁ~、残念だったなグレン!」

 

「俺は中吉かよ……」

 

「わたしは吉だけど、これ、何の意味があるの?」

 

「やたーーッ!!!大吉ですよーーッ!!いいことがありそうです!!!」

 

 

屋台のおみくじで自らの運勢を占っており、グレンは崩れ落ち、大吉を引いたセリカはニヤニヤ顔でからかい、ウィリアムは先の話の関係から素直に喜べず、リィエルは首を傾げ、オーヴァイははしゃいでいた。

 

 

「……完全に劣勢なんだよね……」

 

 

ルミアはそう言うと同時に、システィーナ共々深い溜め息を吐く。

セリカの圧倒的攻勢を前に、オーヴァイのように強制介入も出来ないシスティーナとルミアの落ち込む姿はまさに正しく敗者であった。

そんな二人に……

 

 

「なるほど、でしたら……」

 

「アタシ達に少し考えがあるぜ?」

 

 

フランシーヌとコレットはそう言い、ある作戦を話していった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

グレンがセリカの言いつけで、全員分の昼食を買いに行かされ、その場から姿を消していた時。

 

 

「『ホワイトタウン最強決定大雪合戦大会』?」

 

「はい。その大会で私達と勝負をしませんか?この大会でもっとも好成績を残した人が……明日一日、先生と一緒に祭りを見て回れる権利を得られる……という勝負を!!」

 

「ほう?」

 

「わ、私は別に教授が先生と遊んでいようがどうでもいいんですけど!とにかく勝負です!」

 

「教授……私達にもチャンスを下さい」

 

「ん、よくわかんないけどセリカ、勝負」

 

「せっかくなので私も参加しますよーー!!」

 

 

四者四様の反応にセリカは四人の顔と我関せずと傍観を決め込んでいるウィリアムを見回し、ニヤニヤ顔で了承する。

 

 

「これなら大丈夫だな……私が私でなくなっても……」

 

「え……?教授、今なんて―――」

 

「だが、やるからには全力だぞ。お前たちも助っ人や久々のお友達でも何でも使って私を倒してみろ!」

 

 

一瞬、セリカが寂しげに何かを呟くも、すぐに勝ち誇った笑みを浮かべて全力勝負だと伝える。

追及の機会を完全に逃し、一同は会場である東のリーネ雑木林へと向かっていった。

 

 

「……酷くね?これ、新手のいじめなの?」

 

 

……ただ一人、グレンをおいてけぼりにして……

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『皆様、ようこそお越しくださいました。これより、ホワイトタウン最強決定大雪合戦大会を開催いたします!』

 

 

大会運営者が拡声器を使い、ルール説明をしていく。

 

 

『皆様がお付けになられたゼッケンには、身体に雪玉を当てられると、着用者の身体を次第に重くしていく魔術的仕組みがございます。無論、ゼッケンを無断に外せばその時点で失格です。ゆえにルールは単純、最後まで立っておられた方、もしくは途中で参加されるゼッケン零番を倒した方が優勝です』

 

 

大会進行者の最後の言葉で周りがざわめきたつ。大会進行者はそのざわめきを無視してルールを説明していき……

 

 

『攻撃手段は雪玉のみ。それ以外で攻撃した時点で失格となります。あと、大会中に魔術を起動すればその時点でも失格となります』

 

『は?』

 

「……え、マジで?」

 

 

大会進行者から出された言葉に参加者の殆どが何を言っているんだ?という声が流れ、セリカはまさかの魔術起動禁止ルールに思わず面食らってしまう。

 

 

「実はですね。去年この大会に、魔術師の方も参加されていまして……零番の方を倒す為に攻性呪文(アサルト・スペル)以外の魔術を使って挑んだんですよ……結局、零番の方は倒せませんでしたが。今回のルールは一応、ちゃんとした雪合戦にするための措置なんです。お母さんの方針で」

 

 

オーヴァイの説明を受けたシスティーナとルミアは、ありがとうございますオルビスさん!っと、心の中でお礼を捧げていた。

 

 

「……大会中の魔術起動は禁止……それなら……(ブツブツ)」

 

 

セリカは顔を俯け、何かをブツブツと呟いているが、小声という事もあり、周りには聞こえていない。

そんな中、リィエルに引っ張られて参加する羽目となったウィリアムがオーヴァイに話しかけていく。

 

 

「オーヴァイ……まさかとは思うがそのルール……」

 

「……はい。ご想像の通りです。そして零番も想像通りの方ですよ」

 

「やっぱりか……」

 

「?」

 

「さぁ、勝つわよルミア!!」

 

「うん!!」

 

 

オーヴァイの言葉にウィリアムは深い溜め息をつき、リィエルはよくわからずに首を傾げ、システィーナとルミアはこれならセリカに勝てる!と意気込んでいた。

 

 

「《罪深――・~…》……」

 

『―――以上の事を守って頂ければ、共謀、結託、挟撃等何でもござれ!それではホワイトタウン最強決定大雪合戦大会、スタートですッ!!!!!!』

 

 

司会者の音頭で雪合戦大会の幕が開いた。

しかし、システィーナ達はまだ知らない。魔術起動禁止ルールの意図的な穴と、ゼッケン番号零番がどれだけ並外れた存在なのかを……

 

 

 




大会のルール改変!大会は一体どうなる!?
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