やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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出来たぞ!!さぁ、ブラックコーヒーの準備はいいか!?
てな訳でどうぞ


百十一話

銀竜祭一日目が終了し、オーヴァイ達と別れたグレン一行はホテルへの帰路についている。

 

 

「……俺をほっぽって、お前達だけで楽しそうなコトしやがって……」

 

「あはは、ごめんなさい先生……」

 

 

独り寂しく置いてきぼりをくらったグレンは完全にふて腐れて殿を歩いており、そんなグレンをルミアが謝りながら慰めている。

 

 

「明日も楽しみだなぁ!男同士の会話を盗み聞きできるいい機会だからな!」

 

「元気ですね、教授は……」

 

 

先頭を歩くセリカは堂々とグレンとウィリアムの尾行を宣言しており、そんなセリカにシスティーナは疲れた顔で嘆息していた。

 

 

「zzz……」

 

「まったく、気持ち良さげに寝やがって……」

 

 

リィエルは遊び疲れたのかウィリアムの背負われすやすやと幸せそうに寝息を立てている。そんなリィエルにウィリアムは肩をすくめ、首もとに視線を向ける。

防寒具で隠れてはいるがウィリアムとリィエルの首には雪合戦大会の優勝賞品である白銀竜を模したペンダントがかけられている。ウィリアムがリィエルに渡した理由は思い出作りと単に箱に閉まっておくのがもったいなかっただけである。このペンダント、意匠がかなり凝っている上に主素材は真銀(ミスリル)、ペンダントからの凍傷や火傷を引き起こさない為の魔術も永続付呪(パーマネンス)されているのでまさに豪華賞品である。

リィエルにこれを首にかけて(一応)プレゼントしたさい、リィエルは微笑んでお礼を言い、周りは相当はしゃいでいたが、次の瞬間、リィエル、セリカ、グレン、オーヴァイを除く一同の背中に凄まじい悪寒が駆け巡った。その理由は明白、故郷で山ごもりの修行をしている少女が再び察知したのである。

その可能性に思い至ったウィリアムは背中の冷や汗を感じながら露店で売られていた腕輪を購入、彼女に渡すよう言い、フランシーヌ達に預かってもらう事にしたのだ。同じくその可能性に至っているフランシーヌ達はコクコクと頷いてこれを了承した。グレン達との再会は隠し通せるものではない、というか確実にバレる。そうなればまず間違いなく荒れる。具体的には龍の数が増えて天変地異の幻覚が見えるという確信がある程に。

そんな感じで一同は歩き続け、宿泊中のホテルが見え始めたところで―――

 

 

「―――アルフォネア教授!今から市長邸に来てください!!教授のお力が必要なんです!!」

 

 

全速力で来たであろうオーヴァイが土下座する勢いで頭を下げてセリカに助力を願い出ていた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

銀竜祭二日目。祭り最終日に行われる銀竜降臨演舞が行われる中央広場の大舞台。

その大舞台は今大きなテントで外からは見えないように隠されており、その中では―――

 

 

「ふ――」

 

 

セリカが演舞指導を受けながら、舞踊を舞うセリカの姿があった。

昨日オーヴァイからのお願いでセリカはグレン達と一緒に市長邸へと赴き、そこでジョン市長達から最終日に行われる銀竜降臨演舞の白銀竜役のダンサーの代役を依頼されたのだ。

本来、白銀竜役のダンサーを務める筈の一流プロバレリーナのマリーを中心に多くのスタッフが突如契約を反故してスノリアから立ち去ってしまったのだ。

秘書のミリア曰く、この妨害も《銀竜教団(S・D・K)》の仕業だとの事。恫喝か買収かは分からないが、とにかくメインダンサー達がいなくなった事で奉納舞踊に大きな問題が発生したのだ。

その事を聞いたオーヴァイが頭を悩ませていた市長達にセリカをマリーの代役にしたらいいのではと提案してきたのだ。セリカなら知名度も高いし、舞踊も魔術を使えば完璧にこなせる筈と。

その提案に市長達は賛成し、失礼な形ではあったがセリカを市長邸に呼び、事情を説明して頭を下げ、マリーの代役を依頼したのである。

セリカはその依頼に面白そうだからと、一つの条件を出してこれを了承した。その条件は―――

 

 

「ぎゃああああああああああーーッ!?」

 

 

……今、足をもつれらせて倒れたグレンを正義の魔法使い役として起用するという条件であった。

 

 

「倒れている暇はないぞ。しっかりと練習してもらわねばいけないからな。だから立ち上がって早く身体を動かせ」

 

 

そう言いながら倒れているグレンを強引に立たせ、踊りの練習を強引に敢行しているのは魔王役を務めるオルビスである。

オルビスは奉納舞踊の動きを全部覚えているのでこうしてグレンの指導に当たっているのである。

 

 

「たった一日で昨日まで見たこともない辺境の伝統舞踊なんざ、出来るわきゃーねぇ――」

 

「心配するな。私の手にかかれば素人でも立派に踊れるようになる」

 

 

オルビスはそう言うや否や、自身の身体をグレンの身体にぴったりと後ろからくっつき、互いの手足等を【マジック・ロープ】で括って固定する。

 

 

「私が今から正義の魔法使いの踊りをする。その動きを身体で感じ感覚で覚えろ」

 

「……あのー、警備官としてのお仕事は大丈夫なんでしょうか?本来のお仕事をすっぽかして……」

 

「問題ない。部下達は優秀だからな。私がいなくてもちゃんと回せていってるさ」

 

「……さいですか……」

 

「では、いくぞ!」

 

「ちょっと待って!?まだ心の準備がぁあああああああああ―――ッ!?」

 

 

グレンの制止も虚しく、オルビスは素早いステップで文字通り、手取り足取りでグレンに伝統舞踊を叩き込んでいく。

 

 

「ちょ、早い早い!!早すぎだって!?」

 

「泣き言を洩らすな!!今は舞踊の動きを身体で感じろ!!時間は待ってはくれないぞ!!」

 

「ひぃいいいいいいいいいいい―――ッ!?」

 

 

オルビスの鬼のような扱きにグレンは涙目となりながらも伝統舞踊を強引に叩き込まれていく。

それ以外にもシスティーナ達も、応援に駆けつけてくれた聖リリィ女学院の生徒達も協力して準備を進めていっている。

そんな中、ウィリアムは……

 

 

「ここのセッティングはこうですね」

 

「はい。そこはそうして……」

 

 

大舞台のセッティングに努めていた。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「それでは明日の成功を祈りまして……乾杯!!」

 

「「「「乾杯!」」」」

 

 

ジョン市長の取り計らいで関係者一同の軽い宴会が開かれ、楽しく談笑しあっている。

 

 

「つ、疲れた……」

 

「お疲れ先公。演舞の方は大丈夫か?」

 

 

皆が沸き立つ中、グレンはぐったりとしており、そんなグレンにウィリアムが話しかけ、今日の成果を聞く。首には優勝賞品のペンダントがかけられている。

 

 

「ああ。まさか本当に一日で振り付けを全部覚えられるとはな……明日もチェックすると言われてるし……」

 

 

疲れきった顔でグレンは遠い目となって成果を語る。グレンはオルビスのスパルタの猛特訓のおかげで全パートの振り付けをマスターし、最後に行われたリハーサルでも周りが感嘆するレベルに仕立て上げられたのだ。それでも急造の付け焼き刃なので忘れていないかのチェックが待っているのだが。

 

 

「お母さんはスパルタですからねー。鍛えるなら基本は徹底的というくらいの」

 

「お前もそんな感じだったのか?」

 

「いえ。さすがに身体の事もあり、無理をさせない範囲で鍛えてくれまし―――」

 

 

二人の会話に割り込んだオーヴァイがそう語っていると―――

 

 

「しぇんしぇぃ~~、おにいしゃまぁ~~、いっしょにのみましょお~~」

 

「あらしがおしゃくすりゅぜぇ~~」

 

 

完全に酔っぱらっているフランシーヌとコレットが、グレンとウィリアム(特にグレン)に絡んできていた。

 

 

「うおっ!?酒くせぇ!?」

 

「お前ら、さては飲んだな!?」

 

「いいじゃにゃいでしゅか~~」

 

「かちゃいこちょいわじゅにしゃあ~~」

 

 

完全な絡み酒と化しグレンに引っ付いている二人に、ウィリアムは我関せずの方針を決めその場から距離を取る。

案の定、フランシーヌとコレット、システィーナとルミアによるグレン争奪戦となった現場を尻目に黙々と料理を口にしていくと。

 

 

「ウィル。苺タルト、一緒に食べよ?」

 

 

例のペンダントを首に下げたリィエルが、大皿に山と盛られた苺タルトを持ってきて差し出してきていた。

 

 

「……そうだな。せっかくだしいただくとするか」

 

「ん」

 

 

端からみれば甘い雰囲気に包まれている二人はそのまま一緒に苺タルトを食べていった。

 

 

 

ちなみにこの後、間違って赤ワインを飲んだウィリアムは酔い潰れてダウン、グレンに背負われて帰ったホテルの部屋で、酔いが覚めきってない状態で目を覚まし、まだ眠りについていなかったリィエルにこの前の続きと言って覆い被さり……

 

 

「……ん、ん……じゅる……」

 

「んっ……んぅぅ……じゅる……んぁ……」

 

 

仕返しの濃厚(ディープ)キスを敢行していた……

そのガチキスの後、Bを実行、成立させたウィリアムは再び眠りに付き、ウィリアムは当然の事ながら、盛大に床をのたうち回ることとなった。

 

 

 




最後はこれだけ。後はご想像にお任せいたします(脱ぎは無し)
感想お待ちしてます


―――夜、十体の龍が嵐を携え、激しく暴れ回る幻覚が目撃されたという·········
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