やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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······セーフ、ですよね?
てな訳でどうぞ


百十六話

システィーナ、ルミア、リィエルと合流したウィリアムとオーヴァイは、そのまま彼女達と一緒に通信魔導器を利用してグレンとセリカが居るであろう場所へと向かっていき、崖下の岩陰にあった洞穴を見つける。一行はその洞穴内を道なりに進み―――

 

 

「せ、せ、先生ッ!?アルフォネア教授と一体何をッ!?そんなのずる―――じゃなく、最低ですぅううううううううううーーッ!?」

 

 

―――グレンとセリカが一つのタオルケットの中で裸で抱き合うという光景を発見した。すぐ近くには衣類が吊るされているというおまけ付きで。

 

 

「そっ、そんな感じなんだ……」

 

「ま、まさか本当に……ッ!?」

 

「マジなのか?先公……」

 

「グレンとセリカ、裸で何をしているの?」

 

 

そんな彼らの反応にグレンは……

 

 

「どうみても()()だな」

 

 

そう言いながら掌で顔を覆い、盛大な溜め息を吐いた。

 

 

「最低ぃいいいいいいいいいいーーッ!?最低最低最低最低最低最低最低最低最低―――」

 

「これが大人なんだ……大人の……」

 

 

その言葉を皮切りにシスティーナはグレンにへと詰め寄り、ギャンギャン吠えたてる。ルミアは顔を真っ赤にしたまま、グレン達を顔を覆った指の隙間から覗いている。

 

 

「ねぇ。どうしてグレン達は裸なの?」

 

「……教授を温めていたんだろうな。あの時点で教授の身体は大分冷えていたし、先公の魔力もヤバかったみたいだしな」

 

「……ああ~。確かに、あの時のアルフォネア教授の身体は本当に冷えていましたね」

 

 

リィエルの疑問に、先程のグレンの言葉と雪崩に呑まれる前の出来事から答えを導き出したウィリアムはリィエルにそう答え、オーヴァイもその答えに同意する。

どうやってこのカオスを治めようかとウィリアムが頭を悩ませた矢先、それは起こった。

 

 

「バカバカバカバカバカぁーーッ!?なんでこの状況でウィリアム以上の事をやらかしたんですかぁああああああああーーッ!?」

 

「ッ!?ちょ―――」

 

「誤解だって言ってんだろ!?俺はウィリアムのようにアソコを触ってねぇよ!?」

 

「お、おい―――」

 

「じゃあ一体何をしていたんですかッ!?アルフォネア教授と抱き合って、〈ピーーー〉をしてたんじゃないいですか!?」

 

「してねぇよ!?第一、俺は酔っ払ったアイツのようにディープキスしたり、耳を舐めて甘噛みしたり、尻を触ったり、背中を撫でたり、胸を揉んで●●を弄くったり、○○○○を擦って×××××してねぇよッ!!」

 

「うわぁ……うわぁ……改めて聞くと、やっぱり、リィエルは私達よりずっと大人の階段を……」

 

「……ひょっとしてウィリアム先輩はケダモノなんですか?というか、リィエル先輩は大丈夫だったんですか?」

 

「?よくわかんないけど、アレは悪い気分じゃなかった。むしろ不思議と心地良かった」

 

 

グレンとシスティーナの口喧嘩にルミアはさらに顔を真っ赤にし、オーヴァイも顔を真っ赤にしながらリィエルに問い質し、対するリィエルは何時も通りの顔で答える。

そして、引き合いに出され、流れ弾をこれでもかというくらい大量に食らったウィリアムは……

 

 

「……お前ら、いい加減に黙りやがれぇえええええええええええええええええええ―――ッ!?!?!?!?」

 

 

ぐるぐるに目を回して顔を真っ赤にし、拳銃の空砲を放ちまくって強引に騒動を鎮静化しようとしていた。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

その後騒動を強引に鎮め、色んな誤解を(辛うじて)解いたのだが……

 

 

「……何時までもここに留まれませんよ?早く白銀竜を倒さないといけないし…………それに、私達の貞操も危ないし?」

 

 

システィーナは含むものがありまくる言葉を投げ掛ける。

 

 

「……畜生め」

 

「……蒸し返さないでくれ」

 

 

微妙な空気が漂う中、一同はこれからの方針を話し合うのだが、雪崩のせいで大きく流されたせいで、ここから山頂へ向かうには大きく迂回する必要がある事、これ以上疲労すれば白銀竜に勝てないという薄々感じている事実に頭を悩ませていると、洞穴の奥を見つめていたセリカが不意に立ち上がって奥へ向かって歩き始める。そんなセリカをグレン達は追いかけるように進んでいくと……

 

 

「ここは……ッ!?」

 

 

複雑な紋様が刻まれた円柱が幾本も聳え立った、石積みで作られた円形の空間に辿り着いた。

 

 

「嘘!?こんなところに古代遺跡が―――ッ!?」

 

 

システィーナはその空間に、一瞬だけ驚きと歓喜に満ちた叫びを上げるも、すぐに顔を真っ青にして言葉を失ってしまう。何故なら―――

 

 

「……酷ぇな」

 

 

この円形空間には、無惨に干からびたミイラが、大量に転がっていたからだ。

その光景にグレンとウィリアムは顔をしかめ、ルミアは口を押さえて息を呑み、リィエルは無言で周囲を警戒し、オーヴァイは目を逸らして言葉を失っていた。

そして、ミイラの服装から察するに……

 

 

「《銀竜教団(S・D・K)》?コイツら、全員、《銀竜教団(S・D・K)》のメンバーか……?」

 

 

その惨状を前に戸惑っている間にセリカは空間の中央へと進み、巨大な祭壇の天辺へと登る。すぐに追いかけたグレンとの間に奇妙な空気が漂うも。

 

 

「さて。お前達……準備しろ。竜退治だ」

 

 

セリカが突然そんな事を言い出す。そして、遥か高く闇に吸い込まれて見えない頭上の先に白銀竜が居るといい、飛行魔導器である一本の古びた箒を召喚する。

 

 

「過去、因縁、怨恨、罪……そんなものはもう知らん。今を生きるお前達のために、私はあの竜をブチ殺す……それが、私の『正義の魔法使い』としての初仕事だ。……だから、お前達も、私に力を貸してくれ」

 

 

セリカのその言葉に、グレン達は迷いなく、頷いて答えた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

上昇する。上昇する。上昇する。

箒に横座りするセリカと、その左右に同じく横座りしてセリカにしがみつくシスティーナとルミア。その箒の尻辺りにはグレンとウィリアムが片手でぶら下がり、リィエルはグレンに小脇で抱えられ、オーヴァイはウィリアムの腰辺りにしがみついている。……リィエルは若干不満そうではあったが。

そんな無茶な飛び方で一同は暗闇の中を圧倒的なパワーで上昇していく。

やがて、唐突に、暗闇は白銀の世界にへと変貌した。抜け出た先は―――アヴェスタ山峰の頂上であった。

その直後、地上とは比べ物にならない猛吹雪の爆風が襲いかかり―――

 

 

「あー、やっぱ、無理だわ。降ろすぞ」

 

 

セリカはそう言い、そのまま近場の地面へ急降下で向かった。結果、グレン達は雪面に叩き付けられるように着地し、その勢いで周囲に投げ出された。

 

 

「もっと、スマートに下ろせよ、セリカ!」

 

「こんなデタラメな嵐で誰も死なせなかっただけ、褒め称えて欲しいね」

 

 

グレンは文句を言うも、セリカは悪びれず、すまし顔で答える。

 

 

「オーヴァイ早くどいてくれ。起き上がれない」

 

「すいません。すぐにどきます」

 

 

ウィリアムはオーヴァイにのしかかられる形で雪の中に埋もれており、オーヴァイは謝りながらどいていく。

そんな一同に、竜の咆哮と共に、白銀竜が姿を現す。白銀竜はセリカに恨み辛みの言葉を投げ飛ばすも―――

 

 

「……あ?うっさいな、トカゲ風情が」

 

 

セリカはさらりと受け流し、鬱陶しそうに言った。その後もふてぶてしい尊大な態度でバッサリと切り捨て、迷惑だから倒すと言い、親指で喉元をカッ切る仕草をする。

 

 

『ぉ―――ぉおおおおおおおおお―――ッ!!(セリカ)ぁああああああああああああああああ―――ッ!』

 

 

そんな事を言われ、絶句していた白銀竜は、この世全てを焼き尽くさんばかりの憎悪と憤怒を撒き散らすのであった。

 

 

「あ、アルフォネア教授……」

 

「あ、あはは……」

 

 

セリカの酷すぎる物言いに、システィーナとルミアは何とも言えない表情となる。

 

 

「流石に、これは酷すぎる気がするのですが……」

 

「まぁ……教授だから……なぁ……」

 

「?」

 

 

オーヴァイはさすがに白銀竜の方に同情し、ウィリアムは諦めたように溜め息を吐き、リィエルはよくわかってないようで首を傾げている。

何とも言えない空気となる中、スノリアの命運をかけた壮絶な戦いの火蓋が、切って落とされた。

 

 

 




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