やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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オリ主、あまり活躍させられなかったなぁ·····
てな訳でどうぞ


百十七話

「《 《 《吹き飛べ》 》 》―――ッ!!」

 

 

セリカは黒魔【プラズマ・カノン】、【インフェルノ・フレア】、【フリージング・ベル】を三重唱(トリプル・スペル)で同時起動し、白銀竜に向けて放つも―――

 

 

『カ―――――ッ!!』

 

 

白銀竜はあらゆるエネルギー操作系の攻性系黒魔術を問答無用で打ち消す竜の咆哮(ドラゴンズ・シャウト)凍てつく吐息(バニシング・フォース)】で打ち消してしまう。

セリカはすぐに【イクスティンクション・レイ】を放つも先程と同じく【凍てつく吐息(バニシング・フォース)】の波動によって打ち消される。

 

 

『《■■■■■》―――ッ!!』

 

 

白銀竜は竜言語魔法(ドラグイッシュ)を唱え、億千本の真空刃と化した吹雪の渦、落雷の乱舞、億百の鋭き氷の刃がセリカ達に襲いかかる。

 

 

「《楯壁展開(ロード)》!」

 

 

だが、ウィリアムが左手に持つ《詐欺師の盾》を起動。展開した碧き魔力障壁で竜言語魔法(ドラグイッシュ)の威力を悉く防いでいく。その碧き魔力障壁に白銀竜は突進し、爪と顎を突き立てるも、当然ながら微動だにしない。

 

 

「ウィリアム。私の合図で障壁を解除しろ」

 

 

そう言ってくるセリカの左手には、高出力エネルギーで形成された、黄金色に輝く光の剣があった。

それを見た白銀竜が、障壁から爪と顎を離した瞬間―――

 

 

「―――今だッ!」

 

「《楯壁解除(レリース)》!」

 

 

セリカの合図で障壁を解除。セリカはそのまま、光の剣―――黒魔改【イクスティンクション・ブレード】を【ロード・エクスペリエンス】で英雄(エリエーテ)の剣技を乗せて一閃する。

 

 

『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!?』

 

 

その一閃は離脱仕掛けていた白銀竜の胴を薙ぎ、竜鱗を切り裂いた。

 

 

『己……ッ!己ぇえええええええええええーーッ!!』

 

 

白銀竜は怒りを露にしながら上空へと離脱。巨大な氷の刃を雨霰と降り落とすも―――

 

 

「《 《極光の隔壁よ》 》!」

 

 

その氷の刃を全方位防御魔術―――黒魔【インパクト・ブロック】の二重唱(ダブル・スペル)で悠然と受け止める。

セリカはついでと云わんばかりに指を鳴らし、白銀竜の頭部に隕石―――召喚【メテオ・スウォーム】を激突させる。

古き竜(エインシャント・ドラゴン)である白銀竜相手にセリカは完全に拮抗どころか、むしろ圧倒している。

セリカはアール=カーンによって魔力容量(キャパシティ)が大きく制限されているにも関わらずここまで戦えるのは、システィーナとルミアが仮サーヴァント契約で、セリカの従者となっているからである。

その霊的な繋がりで、ルミアは《王者の法(アルス・マグナ)》でアシスト、システィーナは自身が練った魔力を片っ端からセリカに供給する事で全盛期に及ばないながらも、全神経を白銀竜に注ぐ事で圧倒しているのだ。

その為、竜の呼び声に応じて、山の(ふもと)から押し寄せてくる氷の亡霊への対処は今のセリカには不可能だが―――

 

 

「ふっ―――ッ!」

 

「いいいいいやぁあああああああーーッ!!」

 

「ハァアアアアアアアアアアア―――ッ!」

 

 

グレンの拳が、リィエルの大剣が、オーヴァイの刀が、ウィリアムの【騎士の誇り(ナイツ・プライド)・炎兵】が氷の亡霊達を撃破していき、セリカに指一本触れさせない。

彼らはそれぞれの戦場で己の持つ力を振るい続けた。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

――――――。

 

―――セリカはふと気付くと、かつてナムルスと会った己の精神世界にいた。

今回見えているのは見たこともない黒いローブを纏う自分と、白銀竜役の衣装に似た白き衣を纏った幼い少女、そして、ナムルスの幻覚だ。断片的に見える光景には三人は常に一緒で、旅をしていた。

幻の自分は常に素っ気ない態度を取っているのに、幻の少女は親愛に満ちた目でついていく。

途中、ローブで全身を纏い、顔もフードでよく見えず、そのフードから僅かに銀色の眼が見える人物が、その幻の少女と指切りをしており、それを見ている幻の自分は突き放す目なのにどこか不機嫌そうに見える光景も見えたが、肝心の記憶は一切思い出せない。

自分が何者なのか、何故少女を白銀竜将ル=シルバに変えたのか、思い出せないが―――

 

 

「お前に負けるわけにはいかないんだよ」

 

 

セリカは決意と共に毅然(きぜん)と言い、グレンを守り、グレンにとっての『正義の魔法使い』でいると心の形を口にした、その瞬間。

セリカはかつて白銀竜を仕留めた、自身の得意技であろう魔術を思い出した―――

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

―――その指示は唐突だった。

 

 

「今だ、グレン―――ッ!」

 

「―――ッ!?いいのか!?まだ、氷の亡霊の数が―――」

 

「私を信じろッ!!」

 

 

グレンは驚愕しながらも、セリカの力強い言葉を信じ、白銀竜の方へと駆け抜け、グレンを含む前方上空のみに効果範囲を限定した固有魔術(オリジナル)【愚者の世界】を起動。白銀竜の起動しかけた竜言語魔法(ドラグイッシュ)を封殺する。

当然、守りががら空きとなった事で、氷の亡霊達は怒濤の如くセリカに殺到するも―――

 

 

「《■■■■■■》……」

 

 

セリカが聞きなれない呟き―――古代魔術(エインシャイト)の呪文を唱えた、その瞬間。

セリカの足下に紅の線が迸り、瞬時に星形の法陣が展開される。

セリカの掲げた左腕から、【インフェルノ・フレア】など比較にならない圧倒的な熱量を持った炎が燃え上がり、周囲の雪と氷の亡霊達を溶かし、蒸発させていく。

その炎は一本の槍となり、そして―――

 

 

「穿て―――【クトガの牙】ッ!!」

 

 

セリカは、その炎槍を、白銀竜に向かって投擲した。

その音速をゆうに超えた槍は真っ直ぐに進み、白銀竜の心臓を情け容赦なく貫通した。

 

 

『ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア―――ッ!!!!!!』

 

 

白銀竜は断末魔を上げ、死の猛吹雪が冗談のように止んでしまう。

そのまま白銀竜は力を失い、その身体をマナの粒子と化して霧散しながら、墜落していく。

 

 

「凄い……」

 

「今の呪文は……?」

 

 

グレン達が驚愕に震える中、不意にドサッ、と倒れる音が聞こえる。彼らは驚いてそちらに顔を向けると、オーヴァイが雪の上に倒れていた。

 

 

「!?オーヴァイ!?」

 

「す、すいません……気が抜けてしまって……」

 

 

吐血した様子もないのでオーヴァイの言葉通り、緊張の糸が切れ、疲労で倒れてしまっただけなのであろう。

 

 

「……立てるか?」

 

 

ウィリアムの言葉にオーヴァイは……

 

 

「正直力が抜けてうまく身体を動かせないので、おぶってください。ウィリアム先輩」

 

 

自身を背負うようお願いしてきた。しかもいい笑顔で。

 

 

「……この状態でおぶるのはキツいんだが……」

 

「後輩を労ってください」

 

 

厚かましいオーヴァイのお願い(?)に、ウィリアムは嘆息しながらもタオルケットを取り出そうとした矢先、リィエルが無言でオーヴァイを背負った。

 

 

「え?え?リィエル先輩?」

 

「わたしが背負う」

 

「わ、私はウィリアム先輩に―――」

 

「わたしが、背負う」

 

「いえ、ですから―――」

 

「わたしが、貴女を、背負う」

 

「……ハイ」

 

 

リィエルの有無を言わさぬ言葉に、オーヴァイはしょんぼりとした顔となって折れた。

その後、白銀竜が落下した付近で、全裸で衰弱した少女もセリカが保護し、こうして一同はアヴェスタ山峰を下山していった。

 

 

 




原作十二巻はここで終了とさせていただきます
本編の次巻は一体どうなるのでしょうね········《星》が一切出てないのは《星》がメインのエピソードの前触れかな?
感想お待ちしてます
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