やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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久々の投稿
最新刊の表紙は気絶(?)しているリィエルをお姫様抱っこするグレン。にもかかわらず内容はアルベルトがメイン···········これは何を意味しているのか、想像が尽きない!!
てな訳でどうぞ


百十七・五話

アヴェスタ山峰を下山し、ホワイトタウンに帰還したウィリアム達は出迎えた人々の称賛を浴びた後、市長の計らいでそのまま市長宅で泥のように眠りについた。

下山した時点から彼らの思考は疲労によって麻痺しており、寝る際にウィリアムに付いていく二人に、当人も含め誰も気に止めていない、否、気づいていなかった……

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

「……zzz……」

 

「……スゥ…………」

 

「……ムニャ……」

 

 

市長宅の寝室の一つ、そこで現在進行形で寝ているのはウィリアム、リィエル、オーヴァイの三人であった。使われているベッドは一つだけ。もう言わなくても分かるだろうがあえて言おう。

ウィリアムは左にリィエル、右にオーヴァイと羨まけしからん状態で爆睡しているのだ。寝ている三人の格好は登山時のままな辺り、相当な疲労であった事は想像に難くないが、美少女に挟まれて寝る等、嫉妬のバーゲンセールである。

現に、彼方の場所に居る少女は赤い龍の幻覚を出現させて修行に打ち込んでいるのだから……

ちなみにオルビスは「フフ、娘に春が来始めたのか」と微笑んでスルーしていた。

そして―――

 

 

「「…………(ニヤニヤ)」」

 

「アワ……アワワワワ……」

 

「うわぁ……」

 

 

先に目覚め、ウィリアム達が寝ている部屋に起こしに来たグレンとセリカは悪どい笑みを浮かべ、システィーナとルミアは相変わらず顔を真っ赤にして硬直していた。

そして、お約束の展開も守られる。

 

 

「……んぁ……先公達か……」

 

 

ウィリアムが寝ぼけたまま目を覚まし、顔だけを上げてグレン達に気づいて左手をついて起き上がる。

 

 

「ちょ、ちょっとウィリアム!?」

 

「?」

 

 

何故か狼狽するシスティーナに疑問に思いつつもベッドから出ようとしたウィリアムは―――そこで漸く現状に気がついた。

一緒に寝ているリィエルとオーヴァイ、そして、自身の左手がついている箇所はリィエルの胸辺りである事に。

 

 

「―――うおわっ!?」

 

 

漸く頭が目覚めたウィリアムは大慌てで左手をのける。だが、時既に遅し。

 

 

「《この・お馬鹿》ぁああああああああああ―――ッ!!!」

 

「どわぁあああああああああああ―――ッ!?」

 

 

ウィリアムは目覚めて早々、システィーナの【ゲイル・ブロウ】をくらう羽目となった。

 

 

「……ん……」

 

「……ウヘヘ……」

 

 

そんな大騒ぎにもかかわらず、ベッドの二人は未だ夢の中であった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

強烈な目覚ましの後、リィエルとオーヴァイも目覚め、ウィリアムがリィエルに謝罪し(当の本人は首を傾げたが)、ラウンジで食事を終えたウィリアム達はひとまず宿泊しているホテルにへと戻り、ウィリアムは宿泊している部屋に籠って義手の修繕に努めていた。

バチバチと紫電を迸らせながらヒビを修繕していく。

 

 

「…………(ジーッ)」

 

「そうやって修繕していくんですねー」

 

 

その光景をリィエルと、一緒に付いてきていたオーヴァイが眺めていた。

 

「……見てて飽きないのか?」

 

 

ウィリアムは少し気まずそうにリィエルとオーヴァイに問いかける。義手の修繕には半日以上かかる為、見ている分にはつまらない光景が続くからシスティーナ達と談笑やら宿題を片付けたら良いのではないかと思うのだが……

 

 

「……(ウトウト)」

 

「……フワァ……」

 

 

何故かリィエルとオーヴァイは修繕光景を眠気に襲われながら見続けるだけでウィリアムの質問に答えなかった。まだ疲れているだろうと判断したウィリアムはそのまま義手の修繕に没頭していった。

まさか、その間に後ろであんな事が起こっていようとは思いもしなかった……

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

「……よし。ちゃんと直ったな」

 

 

ヒビ一つなくなった義手の手を握ったり開いたりして調子を確かめる。違和感もなく淀みなく動く義手に修繕が完了したと判断したウィリアムはリィエルとオーヴァイの方に顔を向けると―――

 

 

「……すぅ…………」

 

「……ムフフ……」

 

 

二人はベッドの上で寝ていた。それは別にいい。だが、顔に()()()()()()()()()()()()()()()()()()寝ているのが問題だった。

 

 

「…………」

 

 

その光景にウィリアムはおもむろに立ち上がり、無表情で寝ている二人に近づく。近づいたウィリアムは自分の衣服を二人の顔から引き剥がし、そのまま二人の顔を鷲掴みにし―――

 

 

ギリギリギリギリギリギリッ!!!

 

 

「…………痛い」

 

「わぎゃぁあああああああああ!?」

 

 

全力でアイアンクローを炸裂させ、二人を強引に起こした。

 

 

「目が覚めたか?人の服に顔を埋めた変態ども」

 

 

ウィリアムは非情ににこやかな笑みを浮かべながらアイアンクローを続行し続ける。リィエルはいつも通りの眠たげな表情だが、オーヴァイは涙目で痛がっていた。

 

 

「それで?何で俺の服に顔を押し付けていたんだ?」

 

「す、すいません!ちょーっと、ウィリアム先輩の匂いが気になってしまって!それでつい!」

 

「オーヴァイがウィルの服を嗅いでいたからわたしも試しに嗅いでみた。不思議と嗅ぎ続けたくなって堪能?していたらいつの間にか寝てた」

 

 

……どうやら発端はオーヴァイのようであった。

それを聞いたウィリアムはにこやかな笑みのまま、額に青筋を浮かべ……

 

 

「この変態どもがぁあああああああああああ―――ッ!!」

 

 

アイアンクローを更に強めて締め上げを続行した。容赦なく顔を締め上げられ、襲いかかる痛みに……

 

 

「痛い。やめてー」

 

「いだだだだだだだだ!!ごめんなさい!本当にごめんなさぁああああああああい―――ッ!!!」

 

 

リィエルはいつも通りの言葉を、オーヴァイは必死に謝罪の言葉を口にするのであった。

この一件以来、リィエルがウィリアムと一緒に寝る際、ウィリアムの匂いを嗅ぐようになってしまった事に、ウィリアムは頭を抱える事となった。

 

 

 




リィエルは匂いを嗅ぐ事を覚えた
······次は何を覚えるのかな?
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