やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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子供ネタは凄いなと感じた頃ごろ
お気に入りも800超え·····駄文の自己満足の作品ですがこれからもよろしくお願いします
てな訳でどうぞ


百三十五話

妖精騒動が収まった昼休み。

食堂でグレン、システィーナ、ルミア、ウィリアム、リィエル、オーヴァイが食事を取っているのだが……

 

 

『『…………』』

 

 

ウィリアムとリィエルは心ここにあらずといった感じで淡々と食事をしていた。

 

 

「随分と元気がないのぉ。ある意味当然じゃが」

 

「あははっ、確かにそうですね」

 

 

買ってきたライ麦パンや揚げ鶏等を片手に談笑しながら監視を続けるバーナードとクリストフ。相変わらず平和である。

 

 

『ウィリアム先輩、リィエル先輩?何かあったのですか?』

 

 

ウィリアムの隣に座って食事しているオーヴァイが少し心配げに話しかける。それに答えたのはシスティーナだった。

 

 

『……シュウザー教授の発明の話は聞いているわよね?』

 

『?はい。確か触れただけで妖精が召喚される領域が学院全体に……あっ、そういう事ですかー』

 

『うん。ウィリアム君とリィエルにその妖精が現れてね。その子とお別れしてからこうなっちゃったの』

 

『……すごーく羨ましいですね。私もその妖精をウィリアム先輩とで召喚したかったですね……そういえばシスティーナ先輩とルミア先輩は、グレン先生とでその妖精を召喚しなかったのですか?』

 

 

オーヴァイがシスティーナとルミアにそう聞いた瞬間―――

 

 

『すすす、するわけないでしょう!?私が先生との妖精をつくるわけ―――』

 

『あはは……そういえば試さなかったなぁ……』

 

 

システィーナは慌てふためき、ルミアは曖昧に笑って返していた。

 

 

「ちっ、グレ坊もモテててズルいわい……いつか絶対に殴る。全力で」

 

「その時は僕も手伝いますね」

 

 

嫉妬で舌打ちするバーナードに、笑いながら参加を決めるクリストフ。本当に平和である。

 

 

『その召喚は最初に触れた時しか成立しないとオーウェルの野郎が言っていてな。俺がオーウェルに触れた瞬間にその妖精が召喚されたから、仮に白猫達が俺に触っても何も起きねぇよ。ウィリアムとリィエルも同様だ』

 

『どっちにしろ今回は無理でしたかー……ガクッ』

 

『そ、そうだったんだ。あはは……』

 

『……ちなみにその妖精は?』

 

 

グレンの説明にオーヴァイは項垂れ、ルミアは少し残念そうにし、システィーナは当然の疑問をグレンにぶつける。

 

 

『……相当な悪ガキだった。ぶっちゃけ、関わりたくなかった』

 

『……そうですか』

 

 

物凄く遠い目となって答えたグレンの態度を前に、システィーナはそれ以上の詮索を止めた。

 

 

『また、会えるかな……?』

 

『……会えたらいいなぁ……』

 

『ん……』

 

『また会えると思いますよ?その装置をお蔵入りにするのを、ノワール男爵とテイラー先輩が黙って見ているとは思えませんからね』

 

 

未だ心ここにあらずのウィリアムとリィエルの呟きに、オーヴァイは憶測を口にして励ます。

 

 

『……どうしてかしら。後日、凄い事になる予感がするのだけれど……』

 

 

オーヴァイが口にした大当たりであろう憶測に、システィーナは脂汗を垂らしながら乾いた笑みを浮かべる。

実際、その予感は間違っていない。ツェスト男爵とチャールズは(よこしま)な願望の下、現在進行形でオーウェルとその装置についての交渉に没頭しているのだから。

 

 

『……そうだな。それに、あんまりくよくよしているとあの子に対して情けないからな』

 

『……ん』

 

 

だが、オーヴァイの励ましの効果はあったようで、ウィリアムとリィエルは気分を切り替えたように食事を再開していく。

 

 

「ありがとうございます、バーナードさん」

 

「なんじゃクリ坊?いきなりお礼なんぞ言いおって」

 

 

クリストフの唐突なお礼にバーナードは訝しそうにするも、クリストフは変わらずに言葉を続けていく。

 

 

「今回の調査、僕の息抜きの為にしてくれたんですよね?先日のアルベルトさんの話······この国の根幹で潰れないように」

 

「……そんなんじゃないわい。単にキャッキャッウフフしているかもしれんウィル坊が気にくわんかっただけじゃわい。現に……」

 

 

バーナードがそう言って魔導器ごしに収めた視界の先には……

 

 

『せっかくですからあーんして食べさせてあげますよ、ウィリアム先輩♪』

 

『……いや、普通に食べられるから』

 

『ひょっとして照れているんですか~?』

 

『そう言いながら俺に身体を押し付けながら食べさせようとするな!?』

 

『……わたしもウィルにあーん?、する』

 

『張り合うなよ!?』

 

「両手に華じゃからのう」

 

「あはは……」

 

 

ドスの効いた声で桃色空間を睨み付けるバーナードに、クリストフは困ったように苦笑いしつつ、改めてバーナードに感謝した。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

学院の授業もつつがなく全て終わった放課後。

ウィリアム達はそのままフィーベル邸に帰宅―――という訳ではなかった。

 

 

『悪いが先に帰っててくれ。俺は少しばかしバイトしていくからよ』

 

『バイト?もしかして下水道の保守作業の?』

 

『ああ』

 

『どうして急に?』

 

『近々点検……というより更新だな。義手の長さも左腕とずれてきたし、一度新調する必要があるからな。それに新しく作ってる魔導器の材料費も確保しときたいし』

 

『後者はともかく、前者はあの時にやっていれば·····』

 

『いや、素材も必要だし色々と面倒だから両手があった方が都合がいいし……何より、神経と霊絡(パス)を繋げる時が凄く痛いんだよ』

 

 

システィーナの指摘にウィリアムはうんざり気味に理由を口にする。

 

 

『……どれくらい痛いの?』

 

『例えるなら……神経に直接【ライトニング・ピアス】を叩き込んだくらいの激痛だな。そんな痛み、進んで受けたくないだろ?』

 

『……確かにそうね』

 

 

ウィリアムの説明にシスティーナはひきつり気味に納得する。

 

 

「ふむ。ウィル坊はここで別行動―――」

 

『それなら私もお供しますねー』

 

「『……は?』」

 

 

突然現れたオーヴァイの申し出に、バーナードと盗聴器から聞こえるウィリアムの声が見事に被る。

 

 

『鍛練にちょうどいいですし、お金も入りますからね。まさに一石二鳥です!!』

 

『いやいや。わりと危ないんだぞ?流石に―――』

 

『強い敵と戦えるなら、むしろ望むところです』

 

『ええー……』

 

 

清々しいまでの笑顔で言い切ったオーヴァイに、ウィリアムは何とも言えない表情となっていると……

 

 

『……なら、わたしも一緒に行く』

 

 

リィエルが参加表明の意を示した。

 

 

『リィエル先輩も特訓ですかー?ご予定はないんですかー?』

 

『大丈夫。予定は特にない』

 

 

そうしてリィエルとオーヴァイは互いに見つめあう······子犬と狼の幻覚を漂わせながら。

 

 

「幻覚が見えるとは中々じゃの……爆発しろウィル坊」

 

「うーん……やっぱりリィエルはウィリアムのことが……」

 

 

初めて見る幻覚にバーナードは物騒な台詞を呟き、クリストフは真面目に二人の関係を考察していた。

 

 

『……二人とも。悪いが同行してくれないか?オーヴァイも付いてくるとなると回復役は必須だからな』

 

『……そうね。よくわかるわ』

 

『あはは……』

 

『ひどくないですか!?事実ですけど!』

 

 

こうして、ウィリアム達の放課後は下水道の魔獣退治となった。

 

 

「……本当に羨ましすぎるわい……どさくさに紛れて一発ぶちかますかのぉ……?」

 

「駄目ですよバーナードさん」

 

 

それを監視しているバーナードとクリストフはいつものやり取りをしていた。

 

 

 




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