やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


百五十四話

結婚マスを全員が通過し、双六は中盤戦に差し掛かった。

 

 

「では、いきますわよ!」

 

 

ウェンディが自信満々にルーレットを回し、出た数字に従って駒を進めていく。

 

 

「今回はランダムイベントマスですわね」

 

 

ランダムイベントマス。

このマスは文字通り、イベントがランダムで発生するマスだ。

 

 

『有名な劇場で大成功を収め、貴女は一躍有名になった!それにより、給付金が三百リルアップしました』

 

「やりましたわ!」

 

『しかし、次の劇場でドジをかましてしまい、貴女は『ドジッ子ダンサー』の称号を獲得した。この称号により、ドジをかましても減給しなくなります』

 

「きぃいいいいいいい―――ッ!?」

 

 

双六にまでドジッ子扱いされ、ウェンディは喜びから一転、ハンカチを噛んで苛立ちを発散していた。

 

 

「落ち着いて、ウェンディ」

 

「プラスに働く称号だから良かったじゃないか」

 

「そういう問題ではありません!!」

 

「じゃあ、次は私ね」

 

 

そんなやり取りを他所に、二番手のシスティーナがルーレットを回す。

 

 

「『ストーカー』……一番進んでいるプレイヤーの手前のマスまで進めアイテムね……凄く複雑だけど」

 

 

アイテムマスで出てきたアイテムに、システィーナは何とも微妙な気持ちになっていると……

 

 

『ファンゼルが貴重な遺跡から古代の壺を盗掘し、その責任を連帯で負わされてしまった。よって賠償金として五百リル支払いました』

 

「ちょっとぉおおおおおおおおおお―――ッ!?」

 

 

お見合いで成立した双六内のキャラクターのイベントに、システィーナはすっ頓狂な叫びを上げる。

 

 

「それじゃあ俺だなー」

 

 

リィエルによって借金が帳消しとなったウィリアムがルーレットを回し、クイズマスに止まる。

 

 

『クイズです。時晶石(クォーク)根源素(オリジン)の数値を以下の四択から選んでください。制限時間は十秒です』

 

「これだろ」

 

 

ウィリアムは迷わずに石板を操作し、正解の選択を指定してボタンを押す。

 

 

『正解です。賞金として千五百リルが贈呈されます』

 

「こういった問題には本当に強いわね、ウィリアム……」

 

『おとーさん、すごいの!』

 

「次は俺だ!」

 

 

カッシュが続けてルーレットを回し、同じくクイズマスに止まると……

 

 

『この時間と空間の想定極値の思考実験の答えをこの四択から選んでください。制限時間は三十秒です』

 

「ちょっと待てぇえええええええええええええ―――ッ!?」

 

 

出された問題にカッシュは絶叫する。何故なら、この問題は今日の座学試験に出ていた二十問目の問題だったからだ。

 

 

「何でこの双六に、今日出た問題が出てくるんだよ!?」

 

「たぶん、適当に選んだんでしょうねー……」

 

「……これ、アルフォネア教授が作った絶対解けない問題じゃねぇか」

 

 

石板に表示された問題を見て、既に知っていたことを自然に伝えたウィリアムの言葉に、今日試験を受けた者達は愕然とする。

 

 

「この問題、アルフォネア教授が作ったの!?」

 

「あの有名な方が作った問題ですか。それなら解けなくて当然ですね」

 

「ウィリアム君はどうしてそれを知っているの?昨日は問題用紙を見てないよね?」

 

「昔、俺の師匠がからかい目的でその問題をやらせたんだよ。ネタバレした時は本気で殴りかかったもんだ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

『残り十秒です』

 

「やばいッ!こうなったら、確率四分の一だ!」

 

 

カッシュはヤケ気味に解答を選び、ボタンを押すも―――

 

 

『不正解です』

 

「ちくしょぉおおおおおおおおお―――ッ!」

 

「次は私ですねー」

 

 

崩れ落ちるカッシュを無視して、オーヴァイがルーレットを回すと……

 

 

『病を患い、病院に搬送された。その治療費に八十リル支払い、治療の為に三回休みます。その間は給付金は支給されません』

 

「…………」

 

 

ドクロマスで止まった結果に、オーヴァイは見事に固まった。

 

 

「……ウィリアム先輩、頭を撫でて慰めてください。それが嫌なら、ハグさせてください」

 

 

……ちゃっかりとスキンシップを所望していた。

 

 

「はぁ……」

 

 

ウィリアムは溜め息と共にまだマシな方を取り、頭を撫でてオーヴァイを慰めた。

 

 

「…………」

 

「……次は私だね」

 

 

その光景にリィエルは若干不機嫌そうに頬を膨らませ、ぼんやりと龍の幻影を出現させながらエルザはルーレットを回す。

ルーレットに出た数字に従って止まったマスは……ラッキーマスだ。

 

 

「……給付金が三十リルアップですか……ふふふ」

 

 

不幸を願っていたエルザは昏く嗤っていると、イベントが発生する。

 

 

『ウィスターが貴女にネックレスをプレゼントしました。このネックレスは不幸を五回防ぎます』

 

「わーい……プレゼントですねー……」

 

「よ、良かったなエルザ……」

 

 

そんなエルザに、軽く冷や汗を流しているウィリアムが頭を軽く撫でる。途端、昏い雰囲気は一気に霧散し、龍の幻覚も霧散するように消えていく。

 

 

「……もっと撫でてください」

 

 

向日葵のように笑うエルザの要望に、ウィリアムは撫で続けることで応える。

 

 

「……天然の女たらし?」

 

「いえ、あの場合は尻に敷かれていると言った方が正しいのでは?」

 

「苦労しそうね……」

 

「ウィリ野獣ぅ~……」

 

 

周りからボソボソと何かが呟かれているが、気にしたら負けな気がするので、ウィリアムは兎に角無視することを決める。

 

 

「じゃあ、次は私ね」

 

 

エレンがルーレットを回し、アイテムマスで『通行止め』のアイテムを引き当てる。そして、イベントが発生する。

 

 

『レオ=クランベールが新しい魔術理論を発表し、教授達に評価されました。それにより、レオの収入が百リルアップしました』

 

『エルも続くのー!』

 

 

エレンの上々な展開に続くよう、エルも元気良くルーレットを回し……

 

 

『貴女の書いた幻想小説が累計五千万部を超え、サイン会も開催されました。その臨時収入で一億リルを得ました』

 

『やったのー!おとーさん、誉めてー!』

 

「ああ、凄いぞ、エル」

 

『わーい!』

 

 

ウィリアムに高い高いされ、エルは更に喜んでおおはしゃぎする。

 

 

「本当に親子ね……」

 

「うん……」

 

「微笑ましいね……」

 

「ええ。和みますねー」

 

 

父と娘の光景に、一同は生暖かい視線を送る。

 

 

「「「「「……フフフフフ」」」」」

 

「……はっ!?何考えているのよ私!?どうしてあいつなんかと―――ッ!?」

 

 

内、何名かは何かを想像して頬を綻ばせ、約一名は頭を抱えて悶々としながら、叫んでいたが。

その後、ジニー達もルーレットを回し、無難な結果で終わっていく。……ルミアはレインのプレゼントイベントに頬を緩めていたが。

そして、トリのリィエルが同じようにルーレットを回し、ラッキーマスで止まったことで給付金が上昇し、いつものようにイベントが発生する。

 

 

『おめでとうございます。貴女は妊娠しました』

 

「ん?」

 

「「!?」」

 

 

石板に掲示された文章にリィエルは首を傾げ、エルザとオーヴァイは目を見開く。

 

 

『それにより給付金が減少し、ルーレットの数字も上限が五になりますが、出産するまではドクロマスに止まってもイベントは発生しません』

 

「よくわかんないけど、何となく嬉しい」

 

「良かったな、リィエル」

 

「ん……」

 

 

ウィリアムはそう言ってリィエルの頭を撫でていく。リィエルも嬉しそうに目を細め、その感触を味わっていく。

 

 

「ねぇ、ウィル」

 

「?何だ?」

 

「子供って、どうやって作るの?」

 

「「「「「「「「「「「「ぶふぅ!?」」」」」」」」」」」」

 

『?』

 

 

リィエルの唐突な質問に、殆どが息を吹き出し、エルはよくわかってなさそうに小首を傾げる。

 

 

「リリリ、リィエル!?それは、お前にはまだ早いというか、何と言うか……」

 

「?」

 

 

ウィリアムの動揺しまくっている状態に、リィエルは不思議そうに小首を傾げる。そんな中、石板から余計な情報が掲示される。

 

 

『子供を作る為には、男性と女性が繋がる必要があります。まず、男性の象徴を、女性―――』

 

 

ドパンッ!!

 

その余計な情報が掲示された石板に向かって、ウィリアムが速攻で錬成した拳銃で銃弾を放ち、ド真ん中で撃ち抜いて強引に情報を遮断した。

 

 

「うわぁ……強硬手段ですか……」

 

「でも、どうしてそこまでする必要があるのですか?」

 

「リィエル先輩はそういった方面の知識が皆無な上、教えたら即実行する程無知なんですよー……」

 

「つまり、それを教えたら……」

 

「ええ。絶対にヤってしまうわ」

 

 

システィーナ達がボソボソと何かを呟いているが、ウィリアムはそれに聞き耳を立てる余裕はなかった。何故なら……

 

 

『びぃああああああああああんっ!!!おどーざんがずごろくを壊じだぁーーッ!!!』

 

「ああっ!?ごめんなっ!本当にごめんなぁあああああああああ―――ッ!!」

 

 

大泣きしだしたエルをあやすのに必死だったからだ。

こうして、人生双六は破壊という結果で幕を閉じる事となった。

ちなみに、エルをあやすのに一時間以上かかり、エルのお願いにより、家族でお風呂に入る羽目となった。

 

 

 




オリジナルはここで終了。ここからは基本は原作待ちですね
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