やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


絶対に笑ってはいけない魔術学院・2

いつ笑いの攻撃が来るのかわからない状況の中、本日の授業が開始される。

一限目は集会で潰れたため、授業自体は二限目から行われる。

そうして授業が行われるのだが―――

 

 

「ここはこうりゃ―――こうなります」

 

「「「「ぷくっ」」」」

 

 

グレンは丁寧な口調で噛んでいるのだ。それもわざとではなく素で。そのため余計に笑いが込み上げてしまう。

 

 

「くっ……てぇッ!」

 

 

当然、ウィリアムも笑いの餌食となる中―――

 

 

「……やっぱりかわいい」

 

 

リィエルはロリカの頭を撫でていつも通りであった。が……

 

 

「あ、そーだ!ママからパパに伝言があったんだ」

 

 

ロリカが思い出したように告げて、その内容を大きく声に出して伝える。

 

 

「勝手にママのお金を使ったパパには制裁のビンタだって♪」

 

「!?」

 

 

ロリカが満面の笑みで告げたその瞬間―――

 

 

『ガッデムッ!!』

 

 

教室前方の扉が荒々しく開く。そこからバタフライフィールドが現れ、ズカズカと顔が真っ青となっているグレンへと近づいていき、そのまま胸ぐらを掴み上げる。

 

 

『マスターノソウルフレンド、グレン=レーダス。オ前ハセロリ=アスファルトノオ金ヲ勝手ニ使イ、大キナ買イ物ヲシタ罪ガアル……弁明ハ?』

 

「な、ナンノコトダカさっぱりダナー?」

 

『嘘ヲツクナ。オ前ハドクズナ考エノ下、コ―――』

 

「すいません。私は勝手な都合でセリカのお金を使いました許してください」

 

 

バタフライフィールドが『複製人形(コピードール)』の事を喋ろうとしたので、グレンは素の口調で既にバレている勝手な使い込みを謝罪。その使い道を何とか遮る。

 

 

「先生……」

 

「本当に最低ですわね……」

 

「はぁ……」

 

「おもいっきり()たれてください」

 

 

だが、母親代わりの女性のお金を勝手に使った事実に周りから白い視線がグサグサとグレンに突き刺さっていく。

 

 

『デハ、セロリニ謝罪シロ。ソウスレバ一発デ許シテヤル』

 

「……謝らなかったら?」

 

『往復ビンタダ』

 

「セリカさん!貴女のお金を勝手に使って申し訳ありませんでした!」

 

 

グレンが謝罪の言葉を叫んだ瞬間。

 

バチーンッ!!

 

バタフライフィールドの制裁のビンタが炸裂した。

バタフライフィールドのビンタを食らったグレンは顔から眼鏡が飛び、その場で倒れて生徒達を見やる。

―――変顔で。

 

 

「「「「ぷっ」」」」

 

 

その変顔に堪らず笑い声が洩れ、もう何度目かわからない衝撃が尻に襲いかかる。

 

 

『ガッデムッ!!』

 

 

バタフライフィールドは決め台詞を残して教室を後にしていった。

 

 

「パパ、もう悪い事しちゃメッ!だよ?」

 

「……ハイ」

 

 

ロリカに叱られる正装グレンの姿はどこかシュールであった。

ちなみに―――

 

 

「…………(ピクピク)」

 

 

ロリカの登場を聞きつけ、感情が極限まで昂っていたツェスト男爵は尻に連続で走った魔闘術(ブラック・アーツ)並みの衝撃により、白眼を向いて痙攣していた……

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

―――三限目の授業は黒魔術の実践授業だ。

その際には的となる人型ゴーレムが使われるのだが……

 

 

「……なぁ、先公」

 

「どうしましたか?」

 

「なぜ人型ゴーレムの一体の顔部分に俺の顔写真が張ってあるんだ?しかも、そのゴーレムの的が一ヵ所余計な箇所に付いているんだが?」

 

 

こめかみに青筋を浮かべているウィリアムが指摘している通り、五体用意された的となる人型ゴーレムの内の一体には自身の顔写真が張られており、的も脚と脚の付け根の間にも取り付けられているのだ。

 

 

「唯の偶然です」

 

「ふざけんなッ!!明らかにてぇッ!!」

 

 

何処からどう見ても悪意しかないゴーレムにウィリアムは逆上し、尻叩きの餌食となる。

 

 

「では、授業の説明を始めます。呪文はこの距離ですから黒魔術であれば、呪文は基本的に何でも構いませんし、当てる事が出来ます。なので、今回は一分という限られた時間で的に何回当てられるかテストします」

 

 

それを無視したグレンは今回の授業を事細かに説明していき……

 

 

「それでは、始めてくだしゃ―――ください」

 

「「「「プッ」」」」

 

 

最後の方でまた噛み、無かったように締めくくったグレンに一同から再び笑い声が洩れ、またしても餌食となる。

ひとまず、システィーナ、ウェンディ、カッシュ、セシル、ベッキーの五人が定位置に立ち、左手を構える。

 

 

「では、始めッ!」

 

「「「《雷精の紫電よ》ッ!」」」

 

「《凍てつく氷弾よ》ッ!」

 

「《虚空に叫べ・残響為(ざんきょうす)るは・風霊の咆哮》ッ!」

 

 

グレンの合図でシスティーナ、セシル、ベッキーは【ショック・ボルト】を、ウェンディは黒魔【フリーズ・ショット】を、カッシュは黒魔【スタン・ボール】の呪文を唱え、ゴーレムの的に向けて撃ち放つ。

【ショック・ボルト】と【フリーズ・ショット】は無難な位置の的に当たったが、カッシュが放った【スタン・ボール】は真っ直ぐに例の人型ゴーレムの例の的に直撃した。

 

 

「…………」

 

「《雷精の紫電よ》ッ!」

 

 

カッシュは続けざまに【ショック・ボルト】を放ち、再び同じ箇所に呪文を当てる。

その後も呪文を唱え、的に当てていき……

 

 

「―――はいッ!そこまでです!」

 

 

グレンの終了の合図でシスティーナ達は呪文を撃つのを止める。

 

 

「白猫さんは十五回、ウェンディさんは十二回、セシル君は十三回、ベッキーさんは十回、カッシュ君は八回ですね」

 

 

グレンは的に当てた結果を告げながら手元のボートに書き込んでいく。結果だけ見ればカッシュは最下位だが……その顔はとても爽やかであった。

 

 

「……おい、カッシュ」

 

 

反対にウィリアムは苛立ちを押し殺したように震えており、爆発寸前であった。

 

 

「どうしたんだウィリアム?」

 

「何故、執拗にあの的に全部当てていたんだ?」

 

 

そう、カッシュは八回とも例の的に当て続けていたのだ。

理由を問われたカッシュは爽やかな笑顔のままウィリアムに向き合い―――

 

 

「勿論、八つ当たりだけど?」

 

 

さも当然と言わんばかりに、そう言い切った。

 

 

「……ふっざけんなぁあがぁッ!?」

 

 

その返答に当然、ウィリアムは激昂。結果、またしても尻叩きの餌食となる。

その後も男子生徒が我先にとそのゴーレムの例の的を授業関係なく狙い続け、感情が高ぶり続けたウィリアムは魔闘術(ブラック・アーツ)並みの衝撃が走って撃沈。そして―――

 

 

「こういう時は膝枕で慰めるんだってママが言っていたよ♪」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ!」

 

「……わかった」

 

 

ロリカの入れ知恵により、リィエルはウィリアムに膝枕をして慰める事となった。

 

 

「「「「(ニヤニヤ)」」」」

 

「「「「ちくしょぉおおおおおお―――あだぁッ!!」」」」

 

 

その光景を女子生徒達はにやついて見守り、男子生徒は絶叫して尻叩きの餌食となった。

 

 

その頃―――

 

 

「ここはこうなってだな……」

 

「「「「…………(スッ)」」」」

 

「「「「……ププッ」」」」

 

 

最初の眼鏡しかしていなかったバレテーラ(?)は呪いによってズボンがずり落ちていた……

 

 

 




まだ続く地獄
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