やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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オリキャラにスポットを当てた番外編
てな訳でどうぞ


チャールズ商会

チャールズ=テイラー。

 

彼は魔術的効果を持つ薬草や毒草等の売買で貴族に成り上がった、テイラー家の三男坊である。

少々訳あってチャールズは家から半場勘当されており、どうしようかと途方に暮れていたところ、マキシムに声をかけられ、チャールズは『マキシム魔導塾』に籍を置く事にした。

チャールズは魔術を教わる事となったのだが、彼は“趣味”として透明化の魔術や認識阻害の魔術、魔導工学等……“武”に関する魔術以外の事を手持ちの教本のみで独自で学習しており、その結果『マキシム魔導塾』内では“異端”に位置を置く人物となった。

チャールズがマキシムの教えとは別に、独学で魔術を学習していた理由は……

 

 

「……ノイズのせいで画質が荒いなぁ。これやと駄目や。もっと鮮明にするには……」

 

 

チャールズの手には同級生の女子達の着替え中の写真が一枚、握られていた。

そう。チャールズが魔術を学んでいる理由は……楽園(エデン)と男のロマンの為である!

チャールズが家から半場勘当されたのも、この貴族として相当恥ずべき行為を何度も繰り返していたからという、自業自得としか言い様がない理由からだ。

『マキシム魔導塾』でもチャールズの根本は一切変わらずにロマンの為に精進し続けていた。

その結果、自作した魔導写真機と動画撮影魔導器の画質は遠距離でも間近で見ているかのように高画質となり、隠蔽に関する魔術の腕前も同級生と比べて高度となった。

当然、模範クラスの一人としてアルザーノ帝国魔術学院に来た時もその行動理念は微塵も変わっておらず、己の欲望の為に行動していた。

イヴが二組の実力を確認するための生徒同士の練習試合の時、魔術で隠れてその場に居たのも、彼女達のベストショットを撮影する為であった。

 

 

(水色のパンモロ写真、イタダキッ!!)

 

 

練習中の彼女達の爽やかな写真だけでなく、身を翻した時の一瞬のパンチラ、光を曲げて撮影したパンモロ写真も撮っていたが……

勿論、彼女達の入浴姿も写真と映像に納めようと魔術で透明化を自身に施して大浴場に向かって行ったが……

 

ちゅっどぉおおおおおおおおおおおおおんっ!

 

 

「ま、魔術罠(マジック・トラップ)やとぉおおおおおおおおおおおお―――ッ!?」

 

 

泊まり込み初日の夜はイヴが設置していた魔術罠(マジック・トラップ)にかかり、見事なまでに宙に吹き飛ばされ、失敗に終わった。

 

二日目―――

 

ちゅっどぉおおおおおおおおおおおおおんっ!

 

 

「うわぁあああああああああああっ!!」

 

 

再び挑んだチャールズはまたしても魔術罠(マジック・トラップ)にかかり、吹き飛ばされるも·····

 

 

「ゴフッ……まだや……!」

 

 

事前に【トライ・レジスト】を付呪(エンチャント)しており、足がガクガク震えながらも再び大浴場に向かうも……

 

ちゅっどぉおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!

 

 

「うぎゃああああああああああああああああ―――ッ!!!」

 

 

再び巧妙に隠されていた魔術罠(マジック・トラップ)に引っ掛かり、またしても盛大に吹き飛ばされた。

 

 

「くっ……このまんまじゃ楽園(エデン)に辿り着けへん……」

 

 

大浴場には以前から覗き対策に遠見の魔術を阻害する結界が構築されている。楽園(エデン)を納める為には直接侵入するしか方法がないのだ。そして何より……

 

 

楽園(エデン)はこの目に納めんと僕にとっては意味がないんや……ッ!!」

 

 

カッコよく言ってはいるが、目的が最低なのでその決意の公言も全然カッコよくなかった。

そしてチャールズは学院の授業にこっそりと出席し、寝る間も惜しんで勉学に励んだ。……合間に女子の着替えを隠し撮りしながら……

そうやってチャールズは毎日、楽園(エデン)へと挑み、悉く人知れず撃退されていたが、その歩みは確実に進歩していた。

十一回目の挑戦は『生存戦』を控えている二組の男子生徒達と鉢合わせしたが、チャールズはカッシュ達の反応から同士だと気付き、隠し撮りした写真を何枚か無償で彼らに提供し、無駄な争いを回避した。

 

 

「もうタダでくれないのかよ?」

 

「当たり前やん。これにはごっつぅ金掛かっとるし、流石にタダはもう無理や。因みにこれは有料やで」

 

 

道中の会話でチャールズがそう言って一枚の写真を見せる。それはジト目の下着姿をしたシスティーナが、同じく下着姿をしたルミアの胸を鷲掴みで揉むというスキンシップ写真だ。

 

 

「「「「…………(ゴクリ)」」」」

 

「これはクレス銀貨一枚や。映像の方はリル金貨一枚で取引するで」

 

「「「「映像だと!?しかも高い!!」」」」

 

「リアルで見ているかのような高画質に音声付き。さらに個人で楽しめるようにポケットサイズまで小型化したんや。妥当な金額やと思うんやけど?」

 

「何故お前はそこまでして……!?」

 

「決まっとるやん········そこに楽園(エデン)があるからや!!!僕は楽園(エデン)の為ならどんな努力も惜しまんで!!!!」

 

「ッ!!!!お前……いや、チャールズと呼ばせてもらうぜ……」

 

 

カッシュは感銘を受けたようにチャールズに歩み寄り……

 

 

「お前は模範クラスの人間だが……お前とだけは仲良くやれそうだ」

 

「おおきに」

 

 

カッシュとチャールズは互いに固い握手を交わした。

そんな二人にカイが近寄り……

 

 

「…………(すっ)」

 

 

クレス銀貨一枚をチャールズに差し出した。クレス銀貨を受け取ったチャールズは件のスキンシップ写真をカイに渡した。

 

 

「……これは家宝にするぜ」

 

 

そんなやり取りをしながら一同は楽園(エデン)へと向かうも結果は全体で見れば敗北。チャールズにとってはイヴの風呂上がり直後の姿を写真に納めたので引き分け、そして“件のお宝”も撮影し、トータルで勝ち越しとなった。

 

そして合宿最終日……

 

ちゅどんっ!ちゅどんっ!ちゅっどぉおおおおおおおおおおおおおおおんっ!

 

 

「甘いでッ!!」

 

 

起動した魔術罠(マジック・トラップ)を紙一重でチャールズは避けながら楽園(エデン)へと目指して行く。

チャールズはこの二週間でレベルアップしており、設置された魔術罠(マジック・トラップ)を必死にやり過ごしていく。

そして、遂にチャールズは楽園(エデン)へと辿り着いた。

目に映る光景は彼女達の生まれたままの姿、綺麗な素肌、湯船に浮かぶ数々の二つの連なる山。

チャールズは鼻血と涙を必死に抑え、目の前の桃源郷を次々と写真と映像に納めていく。

そして風呂上がりの着替え写真も納め……

 

 

(僕は……やり遂げたで……!!)

 

 

この日チャールズは完全勝利を収め、最後は魔術罠(マジック・トラップ)に引っ掛かって盛大に吹き飛ばされながらもその顔は実に清々しく笑っていた。

一方イヴはこの最後の爆発を、最後の悪あがきの末の敗北と受け取っていた。

イヴがこう思うのも無理はない。チャールズは常に自己透明化等、自身を隠蔽して挑んでいたため、魔術的な視覚では捉えきれなくなっていたのだ。その分、魔術罠(マジック・トラップ)を大量に設置していたが……

そして『裏学院』の事件に巻き込まれ、多くの模範クラスの生徒達が故郷へと帰るなか―――

 

 

「生徒会長さん。編入試験についてもうちょっと詳しく教えてくれまへんか?」

 

 

チャールズだけは編入試験を受ける気満々で残っていた。理由は勿論、己の欲望の為である。

そんな邪な想いで編入試験を受けたチャールズは一発で試験に合格した。

そして―――

 

 

「チャールズ……このウェンディの着替え写真は?」

 

「その着替え写真はクレス銀貨三枚。今なら彼女のパンチラ写真もセットでついてくるで」

 

「こちらの大浴場の写真は?」

 

「そちらはリル金貨二枚や。十分間の映像の方は金貨十五枚やで」

 

「た、高いけど……それだけの価値が確かにある……!」

 

「……イヴ先生の写真は?」

 

「こちらの黒いレースの下着姿の写真はどうや?値段は金貨三十枚と高いけどな」

 

「高過ぎだろ!!せめて二十枚……」

 

「間をとって二十五枚でどうや?」

 

「足元みやがって……」

 

「毎度あり」

 

 

学院校舎の裏庭の隅で、写真や映像の秘密の売買が行われていた。

『チャールズ商会』。

そう名付けられた秘密の販売店は、男子学生と一部の女子学生の間で絶大な人気を得た。

そして……

 

 

「悪いなリィエル……こんな頼みを聞いてくれてよ……」

 

 

神妙な顔したグレンは医務室のベッドに座っているリィエルに申し訳なさそうにそう告げる。グレンの隣には写真機を手に佇むチャールズがいる。セシリアは諸事情で別のベッドの上で寝込んでいる。

 

 

「ん。問題ない。わたしはグレンの力になると決めたから」

 

「ありがとなリィエル……それじゃあ頼むぜチャールズ……」

 

「了解や」

 

 

チャールズはそう言い……

 

 

「それじゃあリィエルちゃん、まずは自由な体勢でベッドの上で寝転がってぇな」

 

「ん」

 

 

リィエルは素直に頷き、ベッドの上に寝転がる。

 

 

「うーん……もうちょっと色気が欲しいなぁ……ちょっと右手の人差し指を口に添えてみて。後、片方のソックスを半分脱いで」

 

「ん」

 

リィエルはチャールズの指示通りに体勢を整え、片方のソックスを半分脱ぐ。チャールズは直ぐ様、リィエルのその姿を撮影する。

 

 

「……ハイ、オーケーや。次は制服の上のボタンを全部外してぇな。そしてソックスは全部脱いでや」

 

「ん」

 

 

リィエルは素直に頷き、制服の上のボタンを全部外し、ソックスも全部脱ぐ。その間もチャールズは写真を撮り続ける。

 

 

「……そのまま仰向けで、顔はヘッドボードを見上げるようにあげて、脚は閉じて膝折で」

 

「……こう?」

 

 

リィエルはチャールズの指示通りに体勢を整えていく。ベッドの上で仰向けに倒れたまま顔をヘッドボードの方へと向け、膝同士をくっつけたまま折り曲げて、その生足を晒す。

 

 

「いい……!すごくいいで!!」

 

 

チャールズはリィエルの顔が正面、真上、横等、光の屈折を変えた様々な角度で撮影する。

相変わらずの眠たげな無表情だが、それが寝起きのようにも見え、色気がさらに強調される。

 

 

「そんじゃ次は―――」

 

 

チャールズがリィエルに次の指示を出そうとしたその時、ドタドタドタドと廊下からけたたましい音が響き、医務室の扉が激しい音と共に開けられ―――

 

 

「《何してんのよ・この・お馬鹿》ぁああああああああああああああああああああ―――ッ!!!!!!!」

 

 

システィーナの【ゲイル・ブロウ】の二反響唱(ダブル・キャスト)が炸裂し、グレンとチャールズを派手に吹き飛ばした。

 

 

「一体何をしているんですか!?リィエルにこんな格好をさせて!!」

 

 

システィーナは顔を真っ赤にして怒鳴りながら、リィエルにベッドのシーツを被せてそのあられもない姿を隠していく。

 

 

「決まっとるやん……グレン先生公認の撮影会や!!!」

 

「ふざけないで!!先生もどうしてこんな事を公認したんですか!?」

 

「そんなの決まってるだろ……仲介料を得られるからだよ!!」

 

「最低!最低です!!」

 

 

そんな何時ものやり取りに突入しようとした矢先―――

 

 

「―――先公、そしてチャールズ」

 

 

底冷えするような声が医務室に響き、チャールズの後頭部に何かが押し付けられる。

 

 

「チャールズ……その写真を今すぐに消せ」

 

 

チャールズの後頭部に拳銃を突きつけたウィリアムはそう要求するも。

 

 

「ふっ……勿論、お断りやッ!!!!」

 

 

チャールズはそう言って脱兎の如く、その場から逃げ出した。ウィリアムも直ぐ様非殺傷弾を放つも、チャールズは全弾受けながらも、そのスピードを緩めずに離脱していく。

 

 

「逃がすかぁあああああああああああああああああああああああああああああ―――ッ!!!!!!!!」

 

 

ウィリアムも鬼の形相でチャールズを追跡していく。

 

 

「なんでそんなに怒るんや?欲しいなら売ってあげるで?」

 

「いらん!!それと、リィエルの教育に悪い事をしたからだ!!!」

 

「これは……親バカと呼ぶべ―――」

 

 

逃走中の中庭で、突如、チャールズの走っていた地面が爆発し、チャールズが派手に吹き飛ばされる。

 

 

「ぐほぁっ!?なんや急に―――」

 

「……チャールズ」

 

 

地面に落下し、チャールズが見上げたその先には、恐い程の笑顔を浮かべたイヴが佇んでいた。

 

 

「どうやらまだ懲りていないようね」

 

 

こめかみに青筋を浮かべたイヴは右手に炎をたぎらせ、チャールズに近づいて行く。

その後、チャールズは地獄を見た。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

後日……

 

 

「これが新作……一枚につき、リル金貨十五枚や」

 

「「「「買った!!!!!!」」」」

 

 

件の撮影会の写真は一部の派閥で飛ぶように売れ、その売上の三割は金欠講師に渡り……

 

 

「こんなに貰えるとは……グフフフフフフ……ッ」

 

 

その金欠講師はゲスな笑顔で、そのお金を受け取っていた。

 

 

 




チャールズ様!!!その撮影会の写真を三十枚ほど―――

作者は黒の仮面と紺の外套を纏った人物に、特殊な魔導器で蜂の巣にされ、人工精霊によって空の彼方へと吹き飛ばされました。

“感想お待ちしてます”←無数の黄金の剣が突き刺さり、作られた文字
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