やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

30 / 215
番外投稿!
てな訳でどうぞ


セリカの癒し

「……ねえ、セリカ」

 

「どうしたんだ?そんな怖い顔して」

 

 

十歳前後の黒髪の少年の問いかけに、セリカはニヤニヤと笑みを浮かべて対応する。

 

 

「なんで、なんで……僕の身体が若返っているの!?それに口調も昔のに戻ってるし!!」

 

 

その少年―――グレンがその小さな身体でセリカに詰め寄って行くも、その姿では恐怖は微塵も感じられず、寧ろ微笑ましい程だ。

 

 

「昨日、私が作ったスープを飲んだだろう?」

 

「飲んだけど?」

 

「あのスープに変身薬を混ぜておいたのさ。【セルフ・ポリモルフ】を応用した魔術をお前が寝ている間にかけて、お前を昔の子供の姿にした!!」

 

 

全く悪びれずに白状したセリカにグレンがますます近寄って行く。

 

 

「なんでこんな事をしたの!?」

 

「そんなの決まっているだろう?……私の癒しの為さ!!!」

 

 

セリカはそう言ってグレンを抱きしめ、ワシャワシャと撫でまくる。

 

 

「いや~、あのハゲ野郎を叩き潰す為に相当頑張ったからな。少しくらいご褒美があってもいいだろう?獣耳の薬にするか悩んだが、やはり子供の姿が一番だな!!」

 

「意味がわかんないよ!?仕方ないから今日は休んで……」

 

「その姿で仕事してこい。その姿で教鞭を取る姿を私に見せてくれ!」

 

「そんな!?……ん?」

 

 

グレンはそこであることに気付く。

 

 

「ねぇセリカ。ひょっとして他にも薬があるの?」

 

「ああ、あるぞ。獣耳にする薬が数本な」

 

「それじゃあ……」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

「―――という訳で今日一日はこの姿で授業する事になったから、皆気にしないでよ」

 

 

教壇の前で事情を説明した少年グレンにクラス一同は呆れた視線をしていた。その視線の向かう先はグレンではなくその隣にいるセリカにへと向かっている。

 

 

「どうだ?中々可愛いだろう?」

 

 

親バカモードに突入したセリカはその視線に全く気付かず、母親のようにグレンを自慢している。

 

 

「アルフォネア教授……」

 

「アハハ……御愁傷様です、先生」

 

 

そんなセリカにシスティーナは呆れ、ルミアは愛想笑いを浮かべてグレンに同情していた。

そんな中、リィエルは小瓶の中身を飲んでいた。

 

 

「……なあリィエル。お前は何してるんだ?」

 

「今朝セリカから貰った薬?を飲んでた」

 

 

小瓶の中身を飲み干したリィエルはそう言い、もう一つの小瓶をウィリアムに差し出す。

 

 

「ウィルもこれ、飲も?」

 

「……飲むわけないだろ。すごく嫌な予感がするし」

 

 

ウィリアムは冷や汗を一筋流しながら、そう言って断るも―――

 

 

「《動くな》」

 

 

非常にイヤらしい顔をしたセリカが金縛りの魔術でウィリアムの動きを封じた。

 

 

「おい、まさか……」

 

「さあ、やれ!リィエル!!」

 

「ん」

 

 

頭の中で激しく警鐘が鳴り響くウィリアムの前で、リィエルはセリカの号令に頷いて、小瓶の中身を口に含み―――

 

 

「またこのパターンぐっ!?」

 

 

ウィリアムの唇へと、濃厚に重ね合わせた。

 

 

「「「「きゃあああああああああああああああああああ―――ッ!!!!!!!!?」」」」

 

「「「「ウィリアムぅううううううううううううううう―――ッ!!!!!!!!!!」」」」

 

 

その光景に教室内は一気にカオスとなる。男子生徒達は立ち上がって、二人を引き剥がそうとするも―――

 

 

「《お前たちも・動くな》」

 

 

セリカが再び金縛りの魔術を唱え、嫉妬に狂う男子生徒達の動きを封じた。

その間もウィリアムはその薬を飲まないよう必死に抵抗するも、その分接吻が続き、薬を飲んで接吻から解放されるか、このまま抵抗を続けて接吻し続けるか、その狭間で激しく揺れ動く事となる。

そして……

 

ごくんっ

 

遂にウィリアムはその薬を飲み込んでしまった。抵抗時間はおよそ一分。ロマンチックの欠片が微塵もない、ある意味地獄の時間で女子生徒達の顔は真っ赤に、男子生徒達はその瞳を憎悪で染め上げていた。

そして、セリカが例の悪魔の呪文を唱えた。

 

 

「《陰陽の理は我に在り・万物の創造主に弓引きて・其の躰を造り替えん》―――ッ!」

 

 

セリカのその呪文が唱え終えると同時に、ウィリアムとリィエルから紫電が弾け、モクモクと立ち上がる煙が二人を包み込む。

煙が晴れたその先に居たのは―――

 

 

「一体何を―――って」

 

 

金縛りから解放されたウィリアムが最初に見た光景は―――

 

 

「…………(フリフリ)」

 

 

狐の耳と尻尾を生やしたリィエルであった。リィエルのその姿に、ウィリアムは恐る恐る自身の頭に手を当てると、柔らかい何かが頭の上に二つ生えていた。腰の辺りにも奇妙な感覚がある。

ウィリアムにもリィエル同様、狐の耳と尻尾が生えていたのだ。

 

 

「なんじゃこりゃあああああああああああああああああああああああ―――ッ!?!?!?!?」

 

「ん。お揃い」

 

 

頭を抱えて叫ぶウィリアムに、嬉しそうに尻尾を振るリィエル。

こうして、セリカの癒し目的から始まった波乱の一日が幕を開けた。

 

 

 




元ネタはゼンさん(ロクアカ世界での名前)からだ!
次の更新は······未定である!
ネタ箱を活動報告に設置したので書いて欲しいネタがあればそちらへどうぞ
感想お待ちしてます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。