てな訳でどうぞ
獣耳騒動が一先ず収まり、セリカ同伴で授業が開始されるのだが……
「セリカー、僕を持ち上げてよ。黒板の天辺に手が届かなくて書けないから」
子供姿のグレンは背が低いため、黒板に上から魔術式を書き連れるに誰かに持ち上げてもらわなければならなかった。
「……たくっ、しょうがないなぁ」
そんなグレンにセリカは呆れながらもグレンを持ち上げ、授業の手助けをする。
その後もグレンはいつもの調子で教鞭を取るのだが……
「どうしてかしら……先生の普段の態度が今日に限って可愛く見えるわ……」
「フフッ……そうだね」
普段のだらしない態度が可愛いらしく見える事に納得がいかない表情をするシスティーナに、そんなシスティーナに同意しながらいつもの笑顔を浮かべるルミア。
「……すぅ……」
「授業中に寝るな……後、人の尻尾を枕にするじゃない……」
ウィリアムの尻尾を枕にして寝ているリィエルに、力なく注意するウィリアム。その狐の耳も力なく垂れ下がっている。
「くっ……尻尾で秘境が隠れてるけど……可愛いからええか……(ぼそっ)」
チャールズはリィエルのその姿を写真ではなく映像に納めていた。狐耳も寝ている間もピコピコと動いているから可愛いさは天に昇る勢い、まさにマスコットの極みであった。
こんな事をしながらも授業はちゃんと受けているのだから、ある意味猛者である。
そんなこんなで授業は進み……
かん、かん、かん、かん……
「……今日はここまでにするよ。明日はこの続きからするからちゃんと復習しといてね。……ハァ~、疲れた……休みたい……」
午前中の授業を終え、いつも通りであろうセリフを吐くグレン。
気だるげであろうセリフも、子供(?)姿と少年時代の口調のせいで可愛げがあるように聞こえてしまうが、一同はグレンから視線を外し硬直していた。
「……どうしたの皆?なんで気まずげに……」
「あの……先生……」
首を傾げるグレンに、ルミアが言いづらそうながらも、その理由をはっきりと告げた。
「先生の頭に……犬の耳と尻尾が……生えています……」
「……………………え?」
ルミアから告げられた言葉に、グレンは理解が追いつかず呆然としていたが、次第に理解していき、慌てて頭と腰に手を当てると。
モフッ
あら不思議。人間には本来ない筈の犬の耳が二つ、ありました。ご丁寧に尻尾まで。
「……セリカぁあああああああああああああああああああああああああああ―――ッッッ!?」
「まったく、静かにしろよグレン」
叫び声を上げるグレンにセリカは注意するが、グレンは構わずにセリカに詰め寄っていく。その姿はまるで、子犬が飼い主にじゃれに行っているように見える。
「僕に飲ませたのは子供にする薬じゃなかったの!?」
「いや、確かに昨日のスープに混ぜたのは子供にする薬だぞ?」
「じゃあ、何で……」
「今朝お前が飲んでいた紅茶に、例の獣耳にする薬を混ぜていたけどな」
「セリカぁあああああああああああああああああ―――ッ!!!!」
二回も薬を盛られていた事実に、グレンはポスポスとセリカの腹を叩くも、力も落ちているため有効なダメージが与えられないでいる。
「何で僕まで獣耳にしたんだよ!?」
「正直に言うとな……最初からこうするつもりだったのさ!!」
セリカはそのままグレンを抱き締めて頭を撫でまくる。
「苦労したぞ。変な失敗を起こさないように調合した薬を別々に飲ませて、お前に気づかれないように変化させるのは」
そう語るセリカの表情は実に幸せそうである。
「子供の獣耳姿……やはり私の目に狂いはなかった!すごく可愛いぞグレン!!」
「や、やめてよセリカ!!」
セリカの腕の中でグレンは暴れるも、やはり力は落ちているので逃げ出すことが出来ず、犬の尻尾がバタバタと暴れるだけに終わっている。
バンッ!
「さあ、グレン!!覚悟はいい……かし……ら……?」
授業が終わると略同時に大急ぎで二組の教室に向かい、怒りを露に猫耳姿のイヴが教室に入って来るも、グレンの今の姿を見て、語尾がどんどん萎んでいく。
そして······
「あっはははははははははははははははははッ!!?何よグレン!?その姿は!?あはははははははははははッ!!!!!」
腹を抱えてこれでもかというくらい、盛大に笑い声を上げた。
冷徹な鉄仮面も、この時ばかりは見事に外れ、年相応の笑顔を浮かべている。
「随分と可愛いらしくなったわねグレン!!あはははははッ!!!!」
「笑うなよイヴ!」
「もういっその事、ずっとその姿のままでいれば!?そうすれば嫁に来てくれる奇特な人が現れるかもしれないわよ!?」
イヴのその言葉でグレンは凄まじく不機嫌なり、言ってはならないセリフを吐いた。
「そういうイヴだってその姿でいれば、性格ブスでも売れ残らずに済むかもしれないよ?」
その瞬間、イヴの顔から笑顔が消え、目尻がたちまちつり上がり、そのまま互いの睨み合いにへと変わる。
「何よ?子供になっても相変わらずの最低男のようね!」
「そっちだって同じだろ?この行き遅れ女め!」
グレンとイヴはそのまま口喧嘩を始めた。
グレンはセリカに抱き締められたままなので、まるで飼っている子犬と道端の猫が、互いにガンを飛ばしているかのような光景だ。
その光景をセリカはニヤニヤと、システィーナは沸き上がる焦燥感をその背中に感じながら、ルミアは胸中不安を隠すように曖昧に笑いながら、チャールズはイヴ達を写真に納めながら、他の皆は苦笑いで見守っていた。
「……リィエル、そろそろモフるのは勘弁してくれ……」
「……ウィルもわたしの尻尾をもふもふ?していいけど?」
「…………」
そんな中、ウィリアムの狐耳を触って堪能しているリィエルの言葉に、ウィリアムは顔を逸らし己の中で沸き上がる衝動と戦っていた。
グレンも子供状態で獣耳化!!
犬耳、猫耳········(ニヤリ)
感想お待ちしてます