やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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タイトル通りのお話
てな訳でどうぞ


IFルート:春風再会

これは“もしも”の物語である―――

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

「むぅ……全然当たらない……投げ飛ばしたら一発なのに……」

 

「絶対にするなよ?」

 

「いえーい!また当たりましたよー!!」

 

 

スノリアの銀竜祭初日、遊戯屋台で射的に興じているウィリアムとリィエルとオーヴァイ。そのすぐ隣ではグレンとセリカが射的勝負をしている。

そんな三人に、否、ウィリアムに後ろから一人の少女が飛びついてきた。

 

 

「ッ!?誰だ―――」

 

 

コルク銃を片手で構え、狙いを定めていたウィリアムは突然の後ろからの抱擁に驚きながら顔を後ろへ向ける。

ウィリアムに飛びついてきた少女は、眼鏡をかけ、亜麻色の髪をセミショートにした―――

 

 

「―――って、エルザ!?」

 

 

件の少女を視界に収めたウィリアムは驚きの声を上げて少女の名前を叫ぶ。

そう。この少女は以前、聖リリィ魔術女学院へ赴いた時に出会い、再会を約束した少女、エルザ=ヴィーリフであった。

 

 

「はい!お久しぶりですウィルさん!!」

 

 

名前を呼ばれたエルザも、満面の笑みで肯定する。

 

 

「リィエルも、久し振りだね!」

 

「ん。久し振り、エルザ」

 

 

エルザは続いてリィエルにも挨拶し、リィエルも薄く微笑んで再会を喜んだ。

 

 

「ひょっとしてお知り合いですか?」

 

「まぁな。にしてもエルザ。お前もひょっとして秋休みの旅行か?」

 

「はい!フランシーヌさん達に強く誘われて今回の旅行に参加したんです!」

 

 

そんなこんなで。

予想外の再会で驚きつつも、エルザはオーヴァイとセリカ、グレンに改めて挨拶し、そのまま互いの近況も報告しながら歩いていく。

 

 

「春風一刀流ですかー。是非、手合わせしたいですね!祭りが終わった後でどうでしょうか?」

 

「私もオーヴァイさんの剣術には興味があるから、受けてもいいよ?」

 

「ありがとうございます!」

 

 

そんな中、同じ東方の流派の剣術とあってか、エルザとオーヴァイはあっさりと打ち解けて話しあっている。……エルザはウィリアムの左腕に自身の腕を絡ませながら。

 

 

「わたしも、エルザと手合わせしたい」

 

 

ウィリアムの右腕に自身の腕を絡ませたリィエルも、彼女にしては珍しく積極的に会話に参加している。やはり、久々の友達との再会はやはり嬉しかっただろうし、互いに頑張った成果を見せたいという思いもあるのだろう。

そんな両手に華となっているウィリアムは若干遠い目をしながら二人に引っ張られるように歩いている。

 

 

「モテモテだな~、ウィリアムくん?」

 

「クククッ、全くだなぁ」

 

 

その後ろでは実にイヤらしい笑みでグレンとセリカが見守っている。

そんな和気藹々と談笑する中、話題はあそこへと突入する。

 

 

「そういえば、フェジテでは大変な事が起きていましたけど大丈夫でしたか?」

 

「……あー……」

 

 

エルザの質問に物凄く歯切れの悪い言葉を洩らすウィリアム。ウィリアムのその様子にエルザが首を傾げる。

 

 

「?どうしたんですウィルさん?」

 

「あー、その……なんて言うか……」

 

 

相変わらず物凄く言いにくそうに言葉を濁すウィリアム。そんな状況で、オーヴァイが余計な一言を言う。

 

 

「ああー。その時はウィリアム先輩の家が吹き飛ばされたんでしたね」

 

「え!?大丈夫だったんですか!?」

 

「あー、その……確かに家は吹き飛ばされてしまって…………それでシスティーナの家に居候する事になってな……」

 

 

心配するエルザにウィリアムは未だ歯切れ悪く大丈夫だと伝えようとするも、リィエルが言ってはならない事を言ってしまう。

 

 

「ん。それでウィルと毎日一緒に寝てる」

 

「…………………………え?」

 

 

リィエルの爆弾発言により、エルザは圧倒的な沈黙の後呆けた声を出す。しかし、すぐににこやかな笑みでウィリアムに問い質す。

 

 

「ウィルさん。どういう事ですか?」

 

 

エルザは口調は柔らかだが、冷や汗が出る程の圧倒的な威圧感を放っている。そんなエルザに、ウィリアムが答える前にリィエルが再び爆弾を投下する。

 

 

「昨日も、ウィルと一緒に寝た。この辺りは寒いから抱きしめあって」

 

「……ねぇ、リィエル。他にはどんな事があったのかな?」

 

 

眼鏡をかけているにも関わらず、圧倒的な存在感を放つエルザに、矛先が向いたリィエルは聞かれるがままに喋っていく。

ウィリアムは止めたくても、両手が塞がっている上に、エルザの放つ雰囲気から言葉も出せずにいる。そうして、リィエルの口から容赦なくこれまでの出来事が暴露され········

 

 

「フフフ……リィエルはやっぱり凄いなぁ…………本当に妬けちゃうなぁ……」

 

 

全てを聞き終えたエルザはにこやかに笑い続ける。…………背後に雷雲を纏い、竜巻を起こす巨大な龍の幻覚を出現させながら。

 

 

「……エルザ、凄く強くなってる」

 

「……本当に凄いですねぇ」

 

 

エルザが出現させた龍に、リィエルとオーヴァイはずれた感想を告げ……

 

 

「モテる男はツラいなぁ~ウィリアムくん?」

 

「中々面白い光景だなぁ?」

 

 

グレンとセリカは形成された修羅場を、相変わらず実にイヤらしい笑顔で眺め続け……

 

 

「め、目の錯覚かしら?エルザさんの背後に巨大な蛇、いえ、龍が見えるんだけど……?」

 

「錯覚じゃないよシスティ。私にも見えてるから」

 

 

システィーナとルミアは初めて見る龍の幻覚に困惑し……

 

 

「……またエルザが荒れてるなー」

 

「龍の幻覚が現れていたのはこういう事でしたのね……」

 

「連れて来て大正解でしたねー。…………修羅場になってますが」

 

 

エルザと同じく旅行でスノリアに訪れ、システィーナとルミアと話していたフランシーヌ、コレット、ジニーは遠い目で龍を眺め……

 

 

「…………何でこうなった」

 

 

絶賛修羅場真っ只中のウィリアムは現実逃避していた……

 

 

 




続くかなぁ········?
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