やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


獣耳再び・4

和気藹々とした昼食が終わると……

 

 

「……モフモフ」

 

「……ニギニギ」

 

 

リィエルとオーヴァイはウィリアムの狸耳を触っていた。

 

 

「……本当に飽きないのか?」

 

「ハイ。先輩の獣耳、触り心地がいいので飽きないですよー」

 

「ん。それに、ウィルもわたしの耳、触っていいけど?」

 

「……もし恥ずかしいといったら?」

 

「それなら上書きするから大丈夫」

 

 

予想通りのリィエルの返答にウィリアムは溜め息を吐き、そのままリィエルの頭に付いている栗鼠の耳を触り始めた。

 

 

「ん……」

 

 

唐突な触られにも関わらず、リィエルは気持ち良さげに目を若干細め、それに合わせて尻尾もパタパタと、触られていない方の耳がピコピコと動き始める。

 

 

「見ているだけで癒されるね……」

 

「本当ね……」

 

「クソ……ウィリア充め……」

 

「眼福だけど……やっぱり憎い……」

 

 

その光景を半分は微笑ましげに、もう半分はグールのような表情で眺めていた。

 

 

「リィエル先輩。先程言った上書きってなんですか?」

 

「セリカから教わった。恥ずかしい事は更に恥ずかしい事で上書きすればいいって」

 

「……具体的には?」

 

「……キス?」

 

 

その瞬間、周りがザワッ!と一瞬騒がしくなる。

 

 

「そうなんですかー。でしたら、他の方々の恥ずかしさもそうやって上書きするんですかー?」

 

「……どうなんだろ?多分、ウィルにしかしないと思う。どうしてかはわかんないけど」

 

 

オーヴァイのその質問に、リィエルは難しい顔で首を傾げながら答えた。

 

 

「本当に大胆ね……」

 

「凄い情熱的……」

 

「毎日一緒に寝ている噂もあるから当然かな……?」

 

「羨ましい……羨まし過ぎる……ッ!」

 

「アルフォネア教授め……」

 

「本当にズルい……」

 

 

聞き耳を立てていた周りが小声で呟く中、ウィリアムはリィエルとオーヴァイを交互に見つめ、話題を逸らす事も含めて思った事を口にする。

 

 

「リィエルとオーヴァイって基本似た者同士だよな」

 

「?そう?」

 

「そうですか?」

 

 

ウィリアムのその言葉に、リィエルとオーヴァイは揃って首を傾げる。

 

 

「……じゃあ、戦う時何が大事だと思っているんだ?」

 

「?戦いは気合が全てと言える程大事じゃないんですか?剣が折れたら鞘で、鞘が折れたら攻性呪文(アサルト・スペル)で、魔力が切れたら素手で。殺し合いの戦いで相手は待ってくれませんからね。とにかく気合が大事なんですよ!」

 

 

ウィリアムの質問に、オーヴァイは脳筋発言で答えた。

 

 

「ん。何事も気合が大事」

 

 

リィエルも同じくオーヴァイの言葉に同意する。

 

 

「……じゃあ、敵が多い場合は?」

 

「気合で全員斬ります」

 

「ん。気合で全員斬る」

 

「敵の守りが硬い場合は?」

 

「斬れるまで斬り続けます」

 

「気合でその守りごと斬る」

 

「敵が自分より速かったら?」

 

「気合で敵に追い付きます」

 

「気合で敵より速く動く」

 

「罠を張っていたら?」

 

「気合で全部避けます」

 

「気合で罠ごと斬る」

 

「敵が自分より圧倒的に強い場合は?」

 

「気合で斬って倒します」

 

「気合で敵より強くなって斬る」

 

「……以前の雪合戦の超巨大雪玉が大量に降り注いだ場合は?」

 

「あの時は見事にやられましたが、次は気合で凌いでみせます」

 

「ん。次は気合でなんとかする」

 

「……やっぱり似た者同士だわ」

 

 

リィエルとオーヴァイのあまりにも脳筋すぎる発言のオンパレードにウィリアムは呆れたように深い溜め息を吐く。

ウィリアムが二人の事を似た者同士と言ったのは、基本的な戦い方が同じというだけではなく、こういった所も似ているからである。

二人がなんだかんだで物理的排除に動かないのは、こうした部分も含めて仲が良いからなんだろう。

そうして彼等は和やか(?)にお昼休みを過ごしていった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

本日の授業も無事(?)に終わり、ウィリアム達は行きと同じく人工精霊(タルパ)の鳥でフィーベル邸へと帰宅すると。

 

 

「皆、おかえりなさい……あら?」

 

 

帝都から帰宅していたフィリアナが出迎えていた。

 

 

「その格好、ひょっとして……」

 

「……はい。ご想像の通りです」

 

 

フィリアナの予想をウィリアムが肯定した……その直後。

 

ばしゃっ、ばしゃっ、ばしゃっ、ばしゃっ、ばしゃっ!

 

突如奇妙な音が連続でエントランスホールに響き、一同は音がした方向に顔を向けると、階段のすぐ傍で大きな射影機で娘達の写真を撮っているレナードがいた。

 

 

「お父様!?」

 

「まさか、娘達の更に愛しい姿を再び拝めるとは夢にも思わなかった。そして……」

 

 

システィーナの驚愕の声を無視して一通り愛しの娘達を撮り終えたレナードはそのまま、(かたき)を見るような顔でウィリアムに向き直る。

 

 

「まだ居たのか!!我が愛しい娘達をたぶらかす悪魔め!!今日こそは全霊を以て成敗してくれるぅううううううううううう―――ッ!!!」

 

 

レナードは叫びながらウィリアムに向かって左手をかざすも―――

 

コキャ。カクン。

 

いつの間にかレナードの背後に立っていたフィリアナが、相変わらずの見事な手際で絞め落としていた。

 

 

「本当に仕方のない人ね。ウィリアム君も気にしないでね」

 

「あー、はい……」

 

 

もう見慣れた光景に、ウィリアムは気の抜けた返事で返した。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

「うーん……」

 

 

食事も終わり、風呂にも入り、パジャマに着替えたウィリアムは現在制作中の魔導器の構想に頭を捻らせていた。

 

 

「耐久力の問題から杭で打撃を与えるのはキツイか……?なら、推薬の炸裂で武器そのものの勢いを上げる方向なら……いや、それだと威力が……」

 

 

散々頭を捻らせていると、ガチャリッ、と扉が開く。

リィエルが風呂から上がったのだろうと思い、ウィリアムは扉の方へと目を向け―――固まった。

 

 

「は……?」

 

 

ウィリアムは目を瞬かせ唖然となる。そこに居るのは確かにリィエルだが、その格好は生地が薄い、下着や地肌が透けて見える、どう見ても()()()()()に着るタイプの寝間着(ネグリジェ)であったからだ。

 

 

「……その服はどうした?」

 

「システィーナのお母さんが用意してくれたのを着た」

 

「フィリアナさぁああああああああああああああああん―――ッ!?」

 

 

その瞬間、ウィリアムは膝をついて四つん這いとなった。

実は夕食の時、ウィリアムは言葉を濁しながらリィエルの栗鼠の尻尾の弊害を伝えフィリアナに暗にパジャマを用意して欲しいと頼んだのだが、どうやら全く理解してくれていなかったようだ。

……実際は理解した上で用意しており、楽しそうにリィエルに色々と吹き込んでいたのだが。

そんな事等、一切知らないウィリアムは顔を上げると、心無しか、リィエルの背後ににこやかな顔で微笑んでいるフィリアナの姿が揺らめいて見える。

今からパジャマに着替えてもらう……のは不可能だ。着替えて欲しい理由を話せば、めでたく上書き行動(ディープキス)が炸裂するのは目に見えている。

そんな理由から諦めて就寝についたのだが……

 

 

「ウィル、心臓凄く鳴ってる……病気?」

 

「……気にしなくていい」

 

 

匂いを嗅いでいたリィエルの疑問に、ウィリアムは煙に巻いて誤魔化そうとしたが……

 

 

「……ひょっとして恥ずかしいの?」

 

「ッ!?違う!断じて違うッ!!」

 

 

リィエルの上目遣いに加え、内心を当てられた事にウィリアムは顔を赤めて否定するも―――

 

 

「―――ん」

 

 

フィリアナから「顔を赤めて慌てるのは恥ずかしがっている証拠よ」と教えられていたリィエルは躊躇いなく上書き行動(ディープキス)を実行した。

ちなみに毎回食らっている理由は、リィエルがウィリアムの頭をがっちりと押さえているからである。

その頃……

 

 

「システィもルミアも、リィエルのように積極的にならないとね?」

 

「おおおおお母様!?リィエルに、いいい一体何を―――」

 

「あはは……」

 

 

フィリアナのにこやかに告げた言葉に、システィーナは慌てふためき、ルミアは曖昧に笑っていた。

そして、レナードは―――

 

 

「…………(ピクピク)」

 

 

白目を向いて沈黙していた……

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

次の日。

元の姿に戻ったウィリアム達が教室に入ると―――

 

 

「「「「…………」」」」

 

 

二組の女子学生全員に獣耳と尻尾が生えていた。その種類は猿、狐、犬、猫、栗鼠、兎、狸、熊等、様々である。

そして、教室の隅にはボロボロの姿となった数名の男子生徒達がいた。中でもチャールズが一番ヒドイ有り様であった。

 

 

「……なんでこんな事になっているの?」

 

 

システィーナが代表として問いかけると……

 

 

「そのチャールズ(変態)のせいですわ……」

 

 

犬の耳と尻尾が生えているウェンディが身体を震わせながら答えた。

実は今回の黒幕はチャールズであり、セリカにグレンの高画質の写真と映像(前回の子供獣耳姿)を依頼料として渡して依頼したんである。

更に、今回のグレンの写真と映像も渡して獣耳天国を作ったのである。その時自白してしまい、交渉の為に集まっていた男子生徒諸とも攻性呪文(アサルト・スペル)の集中砲火を浴びる結果となったのである。

こうして、獣耳騒動が続くのだが……それは、また別の話である。

 

 

 




····本当にこの作品のリィエルは積極的だなぁ·····どうしてこうなった?(作者のせい)
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