てなわけでどうぞ
「昨日はすまなかった」
翌日、グレンがシスティーナに頭を下げて謝ってきた。
「その……なんだ、大人げなかったというか……」
しどろもどろになりながらも、要は悪い、言い過ぎた、だろう。
とにかくシスティーナに謝ったグレンは改めて教壇の前に立つ。
「授業を初める前に一つだけお前らに言いたい事がある」
グレンはそう告げて、一呼吸おき―――
「お前らってホントバカだよな。昨日までの十一日間、お前らの態度見てわかったよ。お前らって魔術のことなんも理解してねぇよな」
グレンの発言に約一名を除き、全員が硬直する。
「【ショック・ボルト】程度の一節詠唱できない三流魔術師にいわれたくないね」
呆れながら言い返したのはギイブルだ。ちなみにギイブルはウィリアムの事を一方的にライバル視している。
その一番の理由はウィリアムの持つ
ウィリアムの
加えて錬金術の実技授業をあっさりとやってのけているのもライバル視に拍車を掛けている。
……最も実技の二割程をウィリアムはサボっているのだが今はその話はいいだろう。
「ま、それを言われると耳が痛い。だがな【ショック・ボルト】『程度』と言ったか?やっぱりバカだわ」
グレンの煽りに一部を除くクラスのメンバーは苛立っていく。
「まあ、いいわ。じゃ、今日はその【ショック・ボルト】の呪文について話そうか。《雷精よ・紫電の衝撃以て・打ち倒せ》」
グレンの左手から紫電が迸る。グレンが三節詠唱で起動した【ショック・ボルト】を見て、生徒のほとんどは軽蔑の視線をグレンへと送る。
「さて、これが【ショック・ボルト】の基本詠唱だ。センスのあるやつは《雷精の紫電よ》の一節詠唱が可能だ。じゃあここで問題だ」
《雷精よ・紫電の・衝撃以て・打ち倒せ》
グレンは周りの視線を気にもせずに解説を続け、黒板に三節を四節で区切った詠唱を書く。
「さて、これを唱えると何が起こるか当ててみな?」
グレンの問いかけに対して誰も答えない。わからないからではなく、なぜそんな事を聞くのかという困惑からである。
「これはひどい。全滅か?」
「その呪文はまともに起動しませんよ。何かしらの形で失敗しますね」
「んな事は分かってるんだよ。俺が言いたいのはその失敗がどんな形で起こるのかをきいてんだよ」
ギイブルが負けじと応戦するも、グレンの切り返しにギイブルは打ちひしがれたかのように、何も言えなくなってしまう。
「そんなのランダムに決まってますわ!!」
「……ブフッ」
ウェンディの立ち上がってからのランダム発言の直後、一つの笑い声が教室内で洩れる。
「何が可笑しいんですの!?」
ウェンディはその笑い声の主―――ウィリアムを怒鳴りつける。
「イヤ、悪い。ランダムなんて絶対ありえないからつい」
「ほー?じゃあお前は分かってるのか?」
その言葉にグレンは不敵に笑いながらウィリアムに問いかける。ウィリアムはため息をつきつつも、その答えを告げる。
「……右に曲がる、だろ?」
「正解」
ウィリアムの回答にグレンはあっさりと肯定し、そのまま四節で【ショック・ボルト】を唱えると、ウィリアムが答えた通りに右に曲がる。
「五節に区切ると?」
「射程落ち」
五節で唱えて、宣言通り射程が低下した【ショック・ボルト】を見せる。
「一部を消すと?」
「出力の極端な低下」
呪文の一部を消した【ショック・ボルト】を当てられた男子生徒は何も感じていない。またしても宣言通りとなった。
「まぁ、究めたっつーなら、これぐらいできないとなー?一人はできてるようだが」
クラス全員のグレンとウィリアムを見る目が完全に変わる。この二人は明らかに自分達には見えていない何かが見えているからだ。
「魔術ってのは、世界の真理を解き明かすんじゃない。人の心を突き詰めたものなんだよ。そうだな……《まあ・とりあえず・しびれろ》」
グレンのそのいい加減な詠唱で、【ショック・ボルト】は起動し紫電が迸る。
「ま、ド基礎ができていればこれぐらいは出来るようになる。なのにそれをすっ飛ばして書き取りだの翻訳だの……」
そんなことを宣いながら教本を投げ捨てるグレン。それを咎めるものはもう既にいなかった。
「つー訳で、そのド基礎を教えてやる。興味がないやつは寝てな」
ロクでなし講師グレンの授業が初まる―――
「ウィリアム、今日の授業、俺と一緒に教えろ」
「……は?」
「ちなみに断って寝たら欠席扱いにすんぞ」
「仕返しか!?この前の仕返しなのか!?」
結局、ウィリアムは渋々と捕捉程度でグレンと一緒に教える事となった。
ホント書くのが難しい·····
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