やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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相変わらず文才無しの厄介な猫さん(略して厄猫)です
今回はウィリアムの実力の片鱗が見られます
てな訳でどうぞ


四話(改)

グレンが真面目に授業をするようになってから教室は常に満席。空いている机がなくても立ち聞きで受ける学生、教員までくる始末だ。

そんなグレンの高度な授業を後押ししているのがやる気なしの問題児と有名なウィリアムである。

グレンが事あるごとにウィリアムを名指しで質問し、ウィリアムがそれに答える事でより一層分かりやすくなっているのだ。当の本人はめんどくさがっているが……

 

 

『ウィリアムは欠席か』

 

 

黙りを貫くとグレンから欠席扱いされ、そんな感じで脅されて渋々答えているのである。

イベントは常時、実技はたまにサボるウィリアムとしては普段の授業を欠席扱いされるのは痛いのだ。

当然その結果としてウィリアムに質問してくる学生も出てくるわけで……

 

 

「はぁ……」

 

 

本日の授業が終わり人気のない校舎の屋上で夕焼けの空を座ってウィリアムは眺めている。

質問攻めをしてくる学生から逃げ続けるという本人からしたらはた迷惑な日常にため息が洩れる。

グレンの授業は有意義な為外せないのがまた悔しい気分となる。

そんな、自分で自分の首を絞めているのに気づかぬまま……

 

 

「こんなに有意義に教われるのは、師匠の時以来だな」

 

 

今は亡き魔術の師匠に思いを馳せるウィリアム。

自分の願いを聞き入れ、魔術を教え、鍛え上げてくれた。その事には感謝しても仕切れない恩を感じている。

だが、それでも自身の願い、望みには―――届かなかった。

 

 

「……さてと、もう帰るか」

 

 

気分を切り変え、 腕袋に包まれた右腕―――義手の右腕で頭をかきむしりながら立ち上がり帰路に着くウィリアム。

その背中は寂しいものだった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「遅い!」

 

 

システィーナが懐中時計片手に文句を言う。

本日は学院は休みなのだが、二年二組だけはもろ事情により本日も授業がある。

にもかかわらずグレンはまだ来ていない。

どうせ休日と勘違いして寝坊し、まだ来ないだろうと考えウィリアムはおもむろに席から立ち上がる。

 

 

「ちょっとウィリアム。どこに行くつもり?」

 

「トイレ」

 

 

システィーナに対しウィリアムはそう答え、教室を出てトイレへと向かった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「あースッキリした」

 

 

トイレを済ませたウィリアムはそのまま教室へ戻ろうと―――

 

 

「ん?」

 

 

―――したが、妙な違和感を覚えて動きを止める。

 

 

「空気がピリピリとしているな……《彼方は此方へ・怜悧なる眼は・万里を見晴るかす》」

 

 

張り詰めた空気を肌で感じ、ウィリアムは黒魔【アキュレイト・スコープ】―――遠見の黒魔術で教室を覗き込む。

そこに映ったのは怪しい三人―――チンピラ、ダークコート、フードの男共がクラスメイトを脅している所だった。

 

 

「―――ッ」

 

 

それを確認したウィリアムは直ぐに遠見を解除する。長々と見ていると連中に気づかれるからだ。

あの三人は犯罪者と見て間違いない。しかもあの三人―――特にダークコートの男が―――手練れの魔術師だ。

 

 

「ここで隠れて大人しくしているのが、利口だよな……」

 

 

あの三人と戦えば、下手すれば返り討ちに合う可能性の方が高い。

なのでここで隠れてやり過ごすのが現時点での最良の選択だ。馬鹿正直に戦う必要も、出ていく必要もない。

その筈なのに―――

 

 

「……」

 

 

ウィリアムの心が叫んでいる。それでいいのか?クラスの皆を見捨てるのか?と。

 

 

「…………はぁ」

 

 

ウィリアムは何かを諦めたかのように深い溜め息をつき、おもむろに最寄りの壁に手を当てる。

すると壁から紫電が爆ぜり、ウィリアムの手の上で抜き取られた壁の一部が形を変えていく。

紫電が収まり、ウィリアムの手に出来上がったものは――― 一丁の拳銃だった。

その拳銃は現在普及している拳銃よりも大型であり、バレルも長方形とかなり変わっているリボルバー式だ。

ウィリアムはグリップの上部にあるフック部分を降ろすとフレームが半ばから折れる。そしてフレームを元に戻して引き金を引く。すると撃鉄が勝手に降りて叩かれる。

 

 

「久々だったが上手くいったな」

 

 

ウィリアムはあっさりというがこれはそんな簡単な事ではない。

銃は複数のパーツから作られている武器だ。剣のように一色単で作れる武器ではないし、武器錬成の錬成式は複雑怪奇であり簡単なものではない。

それをウィリアムは寸分の狂いもなくあっさりと錬成してやってのけたのだ。しかも拳銃のフレームの材質はウーツ鋼である。ウィリアムの錬金術は明らかに学生の域を越えている。

拳銃の動作確認をしたウィリアムはポケットの中の翡翠の石板(エメラルド・タブレット)を取りだし―――

 

 

「じゃあ……行くか」

 

 

騒動へと足を踏み込んだ。

 

 

 

 

やる気なしが、やる気を出して動き出す。

 

 

 




次回は戦闘シーン
しかし上手く書けるかな······?
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