やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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ウィリアムの過去が大体わかる過去回です
てな訳でどうぞ


七話(改)

思い起こされるのは過去の記憶。

 

草木をかき分け肘から先が無くなった右腕を抑えながら必死に走り続けるのはウィリアムだ。

 

ウィリアムは息を荒げ、意識が朦朧としながらも必死に追っ手から逃げ続ける。

 

本来の脱走計画では自分一人ではなく、少なくとも三人を連れて件の組織―――天の智慧研究会から逃げ出すつもりであった。

 

元々ウィリアムは実験材料(モルモット)として天の智慧研究会に囲われていた。

しかしウィリアムの魔術特性(パーソナリティ)があまりに有益だった為、魔術研究をして貢献してもらったほうが価値が高いと、研究者へと引き上げた。

ウィリアムに割り当てられた研究で、同じように組織に囲われた三人と知り合った。

ウィリアムは当然この状況を幼いながらも良しとしておらず、組織の目を盗んで脱走計画を立てていた。立てていたつもりであった。

残念ながら逃げ出そうとしていた事自体はとっくにバレており、その反抗心を踏み潰すためにあえてギリギリまで気づかない振りをしていたのである。

 

結果としてウィリアムは一人で逃げており、その過程で右腕を失った。傷口は攻性呪文(アサルト・スペル)で強引に止血しており、その痛みは尋常ではない。

 

疲労と出血、傷の痛みによって身体がついに限界を迎え、地面に倒れこんだ。

自らの死を予感しつつ、一つの後悔と謝罪の元、ウィリアムは意識を手放した。

 

次に意識を取り戻したウィリアムが最初に見た光景は見知らぬ天井だった。

次いで横を見ると無精髭の白髪の老人がいる。何故自分が生きているのかとその老人に聞いたら、『儂が助けた』とアッサリと答えた。

ウィリアムは老人に強いのかと問い、もしそうなら助けたい人達がいるから力を貸してくれと頭を下げて頼みこんだ。

老人はその願いに応える事はできなかった。衰い、衰え続けている今の自分には敵の“迎撃”はできても“仕掛ける”事はできないと。

その答えを聞いたウィリアムは、なら自分を鍛え上げてくれと再び頭を下げて頼みこんだ。

老人は渋ったが、ウィリアムの目が本気であった事、未熟ながらも話を聞いた上での頼みでもあった事等からその願いを聞き入れた。

 

 

ウィリアムは老人―――師匠に魔術や戦い方を教わりながらも必死に強くなる方法を考えていた。

一般的な方法では強くなるには時間が掛かってしまうし、時間にも制限があるからだ。

そこでウィリアムがたどり着いた結論は、適性が一番高い錬金術を中心とした戦闘スタイルの確立だ。

そして錬金術と相性が良さそうで、一定の強さを発揮する武器―――銃に目をつけた。

そして銃での戦い方で試行錯誤する中で、『銃に電気を迸らせたら威力が上がるのでは?』という単純(バカ)な思考の元でやってみたところ予想以上の結果となった。この結果には師匠もさすがに呆れていたが。

その後も、自身の魔術特性(パーソナリティ)を利用した固有魔術(オリジナル)の開発、その使用方法の錯誤等、時間を許す限り自身の実力を上げていった。

 

 

師匠の最後を看取ったウィリアムは、墓を建てた後、自身の願いを叶えるために歩み始める。

 

 

そこからの二年間で帝国のあちこちを周り続けた。

その中で外道組織を叩き潰し、どうしようもない外道魔術師をその手で殺し、心を磨り減らしながらも、不安に駆られながらも己が願いのために進み続けるウィリアム。

必死に足掻き、辿り着いた先は―――

 

 

 

―――雪の上でうつ伏せで倒れこんだ少女の亡骸という、己の願いが永遠に叶わぬ結果であった。

 

 

その失意のままにさ迷い、フェジテへと流れ着いたウィリアムは迷いながらもアルザーノ帝国魔術学院へと入学する。

 

 

これが《詐欺師》ウィリアム=アイゼンの記憶である。

 

 

 




もう誰がヒロインか隠す気のない駄文·····
原作を読んでいる人にはとっくに気づいてるでしょうね······
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