やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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今回はオリジナルの魔術が明確に語られる今回
てなわけでどうぞ


九話(改)

「ビンゴ、みたいだな先公」

 

「ああ」

 

 

白亜の転送搭を守るように徘徊する数十体のゴーレムを見てここが当たりであると確信するグレンとウィリアム。

このゴーレムは普段はバラバラの石の欠片として学院の風景に溶け込んでいるのだが、有事の際は学院を守る守護者(ガーディアン)として動く。

だが、現在はその設定を書き換えられたのか、転送搭を守る為に動いている。

 

 

「俺が通り道を作るから先公はそこを通って向かってくれ」

 

 

右手に手頃な片手剣を錬成しながら、ウィリアムはグレンにそんな提案を投げ掛ける。

 

 

「どうやって作るだよ?あいつら見た限り、結構固そうなんですけど」

 

「まずは大雑把に掃除した後、細かい掃除かな」

 

 

そんな軽口で説明し、ウィリアムは剣の切っ先を前方へと向け、左手を剣の柄に添える。

 

 

「《万物を司りし者よ・―――》」

 

 

剣を挟むように二つの円法陣が形成される。今から放たれるのは師匠から伝授された固有魔術(オリジナル)に近い錬金術だ。

 

 

「《万象との縁を断ち・乖離の狭間へ行く道に・―――》」

 

 

円法陣に挟まれた剣は紅い光を放ち始め、円法陣が狭ばると共に徐々に球体へと形を変えていく。

 

 

「《生じし奔流を以て・呑み込まれし者達に・永久の終焉を与えよ―――》ッ!」

 

 

ゴーレム達がこちらに気付き近づいてくるが、既に遅く、剣は紅き光を放つ球体へと完全に形を変え、それに呼応するかのように円法陣も激しく回転している。

 

 

「《点火(イグニッション)》ッ!錬金改、【マテリアル・ブラスター】ァアアアアアア―――ッ!」

 

 

その言葉を区切りに紅き光の球体は凄まじい極太の熱線となり、その射線上にいたゴーレム達を次々と塵も残さず焼き尽くしていく。

搭の直前でその紅い光は収まり、出来上がった光景は焼け焦げた地面と中途半端に射線から外れていたゴーレム達の無残な姿だった。

 

 

【マテリアル・ブラスター】。

物質をエネルギーへと分解変換し、そのエネルギーをぶつけるという固有魔術(オリジナル)に近い錬金改魔術だ。

ウィリアムはこれを明確な媒体がなければ使えないし魔力も大量に消費するのだが―――単純な威力そのものはA級の軍用魔術を凌駕している。

 

 

「…………ウソン」

 

 

目の前の出来上がった光景に、さすがのグレンも顔に冷や汗を垂らしてひきつった表情を見せている。

 

 

「ぼーっとすんな。さっさと行けっつーの、先公」

 

 

両手に錬成した拳銃を持ちながら、ウィリアムは移動を促すためにグレンの尻を蹴り上げる。

 

 

「わかってるての」

 

 

グレンはウィリアムにそう返し、焼け焦げた地面を辿って転送搭を目指す。

しかし、当然ながら、それを射線上から外れていたゴーレム達が群がって止めにかかる。だが······

 

 

「無駄だぜ?」

 

 

ウィリアムはそう呟き、両方の拳銃に電気を迸らせ、ゴーレムに狙いを定めてその引き金を引く。

 

バゴォンッ!バゴォンッ!

 

破壊音と共に二体のゴーレムの上半身が砕け飛ぶ。

ウィリアムは次々と引き金を引いて発砲し、グレンに群がろうとするゴーレムを容赦なく撃ち砕いていく。

拳銃の装弾数を明らかに越える量の弾丸をこれでもかといわんばかりに放ち続けていく。

弾切れを起こさない銃撃。それを可能としているのがウィリアムのもつ固有魔術(オリジナル)である。

 

 

固有魔術(オリジナル)【詐欺師の工房】。

ウィリアムのもつ翡翠の石板(エメラルド・タブレット)型の魔導器の術式を読み取る事で起動するウィリアムの固有魔術(オリジナル)

その効果は自身を起点とした一定範囲内での錬金術における『五工程(クイント・アクション)』を全て省略したイメージによる瞬間錬成を可能とするものだ。

イメージといっても根源素(オリジン)の数値、元素の配列置、製作の工程、構造等を正しく理解していないと意味がない。

そして、この魔術を通して錬成した物は数分しか維持できないという欠点もある。

副次効果として疑似霊素粒子粉末(パラ・エテリオンパウダー)さえあれば人工精霊(タルパ)魔薬(ドラッグ)無しで具現召喚できるのだが、効果範囲内でしかできないため、強大なものは不可能である。

 

 

そんな強力な援護射撃を受けたグレンはすんなりと転送搭の扉へとたどり着き中へと侵入する。

残されたゴーレムはグレンを追いかけるのをやめ、ウィリアムに近づいていく。

ウィリアムはそのままこちらに迫ってくるゴーレムの掃除を続行していった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

事件は無事に解決した

連中を手引きしたのは急に辞めていなくなった二年二組の前担任のヒューイだった。

ルミアを本部へ転送した後、白魔儀【サクリファイス】で学院を爆破するつもりだったようでかなり危ない状況だった。

それもグレンの手によって阻止され、ヒューイは逮捕された。引き渡される際、何故か髪の毛が頭の頂点にある一つだけという笑いを誘う状態になっていたのが担当者には疑問だったがのだが……

そしてその事件が一ヶ月たった現在―――

 

 

「しっかし、ルミアがあのエルミアナ王女とはね……」

 

「ほんっと、面倒な事になったなぁ」

 

 

人気のないベランダ部分でそう呟くのは正式に魔術講師となったグレンとウィリアムだ。

あの後騒動の中心地にいたグレンとウィリアム、システィーナの三人は帝国政府に呼び出され、ルミアの素性を聞かされてその秘密を守るよう要請されたのだ。

 

 

「確かに面倒なことになったな。押し付けられちまったし」

 

「基本ダンマリでいいだろ」

 

「随分といい加減だな、お前らは」

 

 

そんな二人に呆れるように近づいてきたのは、この学院の教授であるセリカである。左肩には一羽の鴉がのっている。

ちなみにウィリアムの素性はグレンとセリカ、学院長のリックしか知らない。

面倒になるからとウィリアムは三人に口止めと口裏を合わせるよう頼んだのである。

グレンは恩着せがましくいい募ろうとしたが―――

 

 

『呑まなきゃ非殺傷弾をぶちこむぞ?』

 

 

と眉間に錬成した銃を押し付けて脅したのである。グレンは直ぐ様土下座して了承した。

 

 

「しかしグレン、意外だな。てっきり教師をやめるとばかり思っていたんだが」

 

「まあ……その、なんだ……ちょっと思うところがあってな。もう魔術のせいにするのはやめたんだよ。それに……」

 

 

グレンはベランダの下を見やり、近づいてくる二人の女子生徒―――システィーナとルミアを見やる。

 

 

「見てみたくなったんだよ。あいつらが将来、何をやってくれるのかをな。続けるには十分な理由だろ?」

 

「だな。一緒にいたらどうしたいのか分かるのかもしれねぇし」

 

 

グレンとウィリアムはそう言ってベランダから飛び降り、二人の元へ降り立つ。

 

 

「そうか。頑張れよ」

 

 

セリカは微笑みながらそう言って、飛び降りた二人を見つめ……

 

 

「お前の弟子は少しだけ立ち直れたようだよ……ユリウス」

 

 

今は亡き友へと言葉を送った。

同時に鴉が空へと飛び立つが、周りはそれに気づいた様子が一切なく、その鴉は自由に飛び回る。

 

 

騒がしくも暖かい日常は今日も続く。

 

 

 




これで原作一巻は終了です
オリジナルの魔術は無理のない範囲の筈だと信じたい
無理矢理感がでたら独自解釈で強引に納得して頂ければ幸いです
感想お待ちしてます
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