やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


第二章・魔術競技祭と思わぬ出会い
十話(改)


放課後のアルザーノ帝国魔術学院、二年二組の教室にて。

ウィリアムは現在、机に突っ伏していた。

 

 

「…………」

 

 

端から見れば何時ものように寝ているように見えるが、実際は全く眠っておらず、狸寝入りしているだけである。

何故狸寝入りをしているのか。その理由は今教室で行われている事が関係している。

 

 

「『暗号早解き』に出たい人ー」

 

 

現在、教室では年に三度行われる魔術競技祭の選手決めが行われているからだ。

同学年の各クラスの代表が競い合い、最も優秀なクラスを決める学園行事なのだが、参加する人が全くいない状況となっている。

グレンが『お前らの好きにしろ』と丸々放り投げており、去年参加したシスティーナは、去年はつまらなかったから今回はお祭りらしく楽しもうと、全員参加で参加希望者を募っているのだが誰もが気まずそうに視線を逸らし、名乗りあげていない。

ウィリアムが狸寝入りしているのは、万が一勝手に決められたさい―――

 

 

『その日は風邪を引きそうだから無理』

 

 

―――とサボる気満々の理由でさりげなく辞退するためである。実際、去年の競技祭には観戦にすら来なかったのだからある意味当然である。

最近は授業中の居眠りが少なくなったのだが、相変わらずのやる気なしであった。

 

 

「はぁ……」

 

 

一向に参加種目が決まらない現状にシスティーナからため息が洩れる。

競技祭の開催は来週とあまり時間が残っていないため、何としても今日中に決めなければならない。

書記を務めるルミアもクラスのみんなに参加を促すが―――

 

 

「……無駄だよ」

 

 

ギイブルがうんざりしながら、それに水を差してくる。

ギイブル曰く、みんな最初から負ける戦いをしたくない、今年は女王陛下が見に来るから無様な姿を見せたくない、だから例年通り成績上位者で固めろ、だそうだ。

魔術競技祭は、昔はクラス全体で参加していたそうだが、現在は成績上位者の使い回しという、祭りとは程遠いものとなっている。

その理由は大方、総合優勝したさいの特別賞与欲しさ、名誉と名声に目が眩んだ講師の欲望の結果だとウィリアムは考えている。

そんな事を考えているウィリアムをよそにシスティーナとギイブルの口論は続く。いよいよシスティーナが怒鳴り声を上げようとしたさい―――

 

 

「話は聞かせて貰ったッ!このグレン=レーダス大先生様に任せてもらおうかぁあああああ―――ッ!!!」

 

 

開け放たれた扉から、グレンが謎の決めポーズをして現れた。

丸投げした時の態度とはうって代わり、やる気満々で競技祭の種目決めの指揮を取り始める。

グレンの出した采配はクラス全員参加という一見勝ちに行くようには見えない編成だった。

その流れの中で―――

 

 

「『注文製作』は……ウィリアム一択だな」

 

 

ウィリアムの参加種目まで決められていた。

ギイブルがその事に若干、顔をしかめたがグレンは構わずに進めていった。

 

 

「これで参加種目は全部決まったな。質問はあるか?」

 

 

その言葉を区切りに最大の見せ場と言える『決闘戦』の選抜から外されたウェンディを始めとし、選ばれた理由をグレンに質問するクラスメイト達。

グレンその全部に明確かつ的確な答えを言い、納得させていく。

これで決定、そんな雰囲気になりつつある中、それに水を差す人物が現れる。その人物は当然ギイブルである。

 

 

「……いい加減にしてくれませんかね?先生」

 

 

ギイブルは苛立ちを隠さず、そのまま成績上位者での編成を吐き捨てるように進言する。

それを聞いたグレンは編成を考え直そうとしたが―――

 

 

「ちょっと!折角先生が考えてくれた編成にケチを付ける気!?」

 

(ちょ―――)

 

「皆が活躍できるよう、先生がここまで考えてくれたのに、いつまで情けない理由で尻込みするの!?」

 

(頼むから余計なこと……)

 

「先生はこのクラスを優勝に導いてやるって言ってくれたわ!それは皆でやるからこそ意味があるのよ!―――ですよね!?」

 

「お、おう……」

 

「た、確かに……」

 

「あぁ……システィーナの言うとおりだ……」

 

「やれやれ、好きにすればいいさ」

 

 

システィーナの反抗と純粋な想いと朗らかな笑顔によって、全員参加の編成に決定した。

そんな中、ウィリアムは……

 

 

(タイミングを完全に逃した……)

 

 

狸寝入りしていた事を思いっきり心の内で後悔していた。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

後日、クラス全員が競技祭に向けて練習する中、ウィリアムは木の下で頭を抱えて踞っていた。

今ウィリアムの頭の中では、当日どうやってサボろうかと最低な事を考えているのである。

最初は当日風邪を引くで、サボろうとしたのだが―――

 

 

『みんな参加するんだからウィリアムも絶対参加しなさいよね!』

 

 

とシスティーナの気迫と剣幕、クラス一丸の空気に呑まれてしまい、言えなかったのである。

それでもどうやってサボろうかと考えているあたり、ウィリアムも十分にロクでなしである。

そんな事を考えている時に、一組と二組の間にケンカが勃発した。二組の人数が多いせいで自分達の練習場所が確保出来ない、という事が原因である。

グレンの仲裁により険悪な雰囲気は治まろうとしていたが、一組の担任講師―――ハー某が来たことにより再び険悪な雰囲気に包まれる。

ハー某曰く、勝つ気がないクラスが場所を取る事自体が自分達の邪魔だからさっさと中庭から出ていけ、と一方的に言ってきたのである。

その言い分に、昔の記憶をほじくり返された事もあり頭にきたグレンは、自分のクラスの総合優勝に給料三ヶ月分を賭け、ハー某に決闘を仕掛けた。

グレンに散々煽られたハー某も同じように給料三ヶ月分を賭けこれを了承し、一組共々中庭を後にしていく。

その一部始終を見ていたウィリアムはグレンへと近づき―――

 

 

「先公、競技祭の『注文製作』、ブッチギリで優勝してやる」

 

 

実ににこやかな笑顔で、明確に参加意思を表明した。

 

 

「……マジで?」

 

 

グレンは目を瞬かせ、普通に驚いていた。グレンとしてもどうやってウィリアムを競技祭に参加させようか頭を悩ませていたのだが、まさか自分から参加意思を表明するとは思っていなかったのである。

 

 

「ハー……トレスの先公の言い分に流石にムカついたからな。ブッチギリで優勝して、その鼻をへし折ると同時に毛髪にダメージを与えてやる」

 

 

参加理由を聞き、その理由にグレンは若干苦笑いして引きつつも、確実に取れる種目がでた事に勝ちの目を見出だす。

 

 

 

目指すは総合優勝だ。

 

 

 




貴様(ハーゲイ)の罪(頭髪の減り)は止まらない!(周りの手によって)加速する!
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