そんなこんなの十一話
てな訳でどうぞ
一週間の練習期間があっという間に過ぎさり、魔術競技祭は当日を迎えた。
魔術競技祭は例年、魔術学院の敷地北東部にある魔術競技場で主に行われている。
その闘技場内部では―――
『おおっと!ここで二組が大逆転!またしても予想外の展開だ!グレン先生率いる二組の快進撃は一体どこまで続くのでしょうか―――ッ!?』
拡声音響の魔術によって、実況席にいる実況解説の生徒―――アースの声が響いてた。
今行われているのは『飛行競争』だ。
この競技にはカイとロッドが出場しており、今年は例年よりも長い距離を飛行している。
グレンは二人に対して速度ではなくペース配分を重視するよう指示を出し、二人もその指示を守って競技へと挑んだ。
結果、他の生徒が首位争いの終盤でペースが落ちていく中、二人は速度を落とさずに駆け抜ける事ができた。
『飛行競争』以外でも一位にはならずとも、二位か三位といった好成績を納め続けている。
二組は全員参加の為ペース配分を考えずに全力で挑めるのに対し、力を温存しなればならない使い回し組は全力で挑めないため、どうしても加減して挑まなければならないのも二組が好成績を収めている要因の一つだろう。
そんな快進撃に一番驚いていたのはこの快進撃の立役者であるグレンだった。
本人からしたらこうすればいいんじゃね?程度のアドバイスで予想を越える結果に呆然としている。
そんな自身の株がドンドン上がっていく光景にグサグサと心に刺さりながらも生徒たちの活躍を見守るグレン。
そんな中、ウィリアムが出場する種目『注文製作』の番となり―――
「頼むぞウィリアム!」
「頑張りなさいよ!」
「応援してるよ」
「……ふん」
グレンやクラスメイト達の応援を右手をヒラヒラとして返し、ウィリアムは会場へと進んで行く。
『さあ次の種目『注文製作』!今年はどんなお題となるのでしょうか!?』
実況解説のアースの声が会場に響き渡る。
『注文製作』は出題者が提示した見本のものを、用意された金属を錬金【
制限時間内で見本のレプリカを作り上げ、その完成度と製作に掛かった時間を競うというものだ。
『今回のお題は······これだ!』
箱から取り出されたのは―――ドラゴンの模型であった。
そして出場者たちにドッジボールサイズの鉄の塊が手渡される。
『制限時間は五分!それでは『注文製作』スタートです!』
その合図とともにウィリアムを除く選手一同はその場へと座り、【
そんな中、ウィリアムは立ち続け―――
「―――ッ!」
―――爆ぜる紫電とともに鉄の塊を変形させていた。
迸る紫電。それに呼応するように鉄の塊は次第に形を変えていく。
そして紫電が収まり―――見本の倍近い大きさのあるドラゴンの模型が出来上がった。
出来上がったウィリアムの作品に解説者は勿論、周りの選手たちも目を奪われたかのように呆然とする。
『な、なんということでしょう!?ウィリアム選手があっという間に作り上げてしまったぞぉおおッ!?早い、早すぎる!』
我に返ったアースの言葉に他の選手も慌てて我に返り製作の続きに取りかかる。
しかし、残り少ない時間でウィリアムの作品を越える作品など作れる筈もなく―――
『―――そこまで!時間切れです!』
アースの終了の声が響く。誰が一位なのかはもはや分かりきっている。
『『注文製作』の一位は、圧倒的な錬金術の技量を見せつけたウィリアム選手だぁあああああああああ―――ッ!!!』
会場が一斉に歓声に包まれる。
その歓声と悔しがる選手たちの姿を背に、ウィリアムは会場を後にした。
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「よくやったな、ウィリアム!」
「スゴいよ、ウィリアム!」
「お、おめでとうウィリアム君……」
「本当にお見事でしたわ!」
ぶっちぎりで優勝を果たしたウィリアムを出迎えたのは、自身を褒め称えるクラスメイトたちであった。
「全く!そんなに凄いなら、普段からもっとやる気をだしなさいよ!」
「ふふ……本当に凄かったよ、ウィリアム君」
「……悔しいけど本当に見事だったよ。絶対に君の技量に追い付く、いや追い越してみせるからな」
そんな様々な称賛を浴び、目を白黒させていたウィリアムは―――
「……別に。大したことはしてねぇよ」
顔を背け、首筋を掻きながらそんなことを言う。頬も若干赤く染まっている。
「照れてるのか?照れているのか?ウィリアム君?」
そんなウィリアムをグレンはここぞとばかりにからかっていく。
腹立たしい程のにへら顔でからかわれたウィリアムは、顔を益々顔を赤く染め―――
「ごはぁッ!?」
グレンの腹に右拳を叩きこんだ。まるで鈍器そのもので殴りつけられた衝撃に、グレンは腹を抱えてその場で踞る。
「ああもうッ!面倒だからさっさと散れッ!!」
ウィリアムはそう言いながら、みんなから離れていく。それが照れ隠しであることを見抜いていたみんなは微笑ましい顔でウィリアムを見つめていた。
そんなウィリアムも恥ずかしさを覚えつつも悪くない気分であった。
その後もウェンディが出場する『暗号早解き』、ルミアが出場した『精神防御』も一位を獲り、午前の部は総合二位で終わった。
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―――魔術競技場の観客席を通う通路の一角にて。
黒を基調とした揃いの礼服に身を包む、十代半ばの青髪の少女と二十歳ほどの藍色がかかった黒髪の青年がいた。
「―――グレン、だな」
「……ん」
その二人の男女はたった今、『精神防御』が終わり、中央競技フィールド上で、二人の少女に挟まれて何か言い合いをしている青年―――グレンに視線を注いでいた。
その青年―――アルベルトは鷹のように鋭い目をグレンから外し、その光景を少し離れた距離で眺めている紺髪の少年―――ウィリアムへと向ける。
青髪の少女は無言のまま、中央のフィールドに向かって歩き始めるも―――
「……?」
途中で自らその足を止め、首を傾げた。
「?どうしたリィエル?」
少女―――リィエルの後ろ髪を掴んで止めようとしていたアルベルトは、自ら止まったリィエルに疑問をぶつけるも―――
「……何でもない」
リィエルは少しも感情を滲ませず、淡々と答えた。あの
そして、グレンと決着をつける為に再び歩き出すが、アルベルトに髪を引っ張られて止められる事となった。
オリジナルの競技はいかがでしたか?
錬金術は何でもありである!(作者の暴論)
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