やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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てな訳でどうぞ


十八話(改)

あの騒動の後、グレンがリィエルを改めてシスティーナとルミアに紹介し、その後も一悶着があったが面倒なのでいいだろう。

 

 

「今日から編入する編入生のリィエルだ。仲良くしてやってくれ」

 

 

グレンが気怠げにリィエルを紹介する。

一見すれば人形のような可憐さを持つリィエルにクラスの殆ど、特に男子生徒があわめき立つ。

そんな中、リィエルの中身を知っているウィリアムは疲れきった気分で机の上に突っ伏していた。

今朝、リィエルがグレンに斬りかかろうとした理由はアルベルトから教わった()()だとの事であり、そんな常識の欠片や境界線が微塵もないリィエルの残念過ぎる事実に、ウィリアムは相当まいっていたのだ。

むしろ嫌がらせのために寄越したのかとさえ思えてくる。だとしたら大成功である。

そんなウィリアムを尻目にリィエルの紹介は続いていく。

 

 

「……リィエル=レイフォード…………………………………」

 

「……続きは?」

 

「……もう終わった」

 

「名前以外も紹介しろよッ!?」

 

「……わかった。わたしの名前はリィエル=レイフォード。帝国軍が一翼―――」

 

「だあぁあああああああああああああああ―――ッ!!!」

 

 

案の定、自己紹介も普通に自身の正体を明かそうとし、グレンの耳打ちをそのまま棒読みで言うという、グダグダなものであった。

ウェンディがリィエルに家族について質問してきたが―――

 

 

「兄の名前……名前は……」

 

「悪い、今のコイツに身寄りは無いんだ」

 

 

そんな感じでグレンが取りなして、非常に危うかった質問を煙に巻いた。

次にグレンとリィエルの関係に対しての質問がカッシュから飛び―――

 

 

「グレンはわたしの全て。わたしはグレンのために生きると決めた」

 

 

グレンが答える前に、リィエルがそんな爆弾発言をした事により教室は一気にカオスとなった。

誰もが興奮し、収集がつかなくなっている中―――

 

 

(……善意や好意、思慕からなら、まだ良かったんだがなぁ……)

 

 

リィエルの発言の意味を正しく読み取ったウィリアムは、その『危うさ』に一抹の不安を感じることとなった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

グレンが早くリィエルがクラスに馴染めるよう今日の授業を実践授業にしたさい、そのリィエルが盛大にやらかした。

【ショック・ボルト】を二百メトラ先の人型ゴーレムの的に当てるものだが、リィエルは壊滅的な黒魔術の腕を披露し、一発も当たらない事に不満を抱きあの錬金術―――()()()()()隠す爪(ハイドゥン・クロウ)】でお馴染みの大剣を錬成し、ゴーレムにぶん投げて破壊したのである。

 

 

「ん。六分の六」

 

 

どこか満足そうにするリィエルに、ウィリアムは無言で近づき―――

 

 

「ぎゃん!?」

 

 

能面の表情で、その脳天に拳を振り降ろした。

 

 

「痛い。何するの?」

 

「あれのどこが攻性呪文(アサルト・スペル)だ?」

 

「どこからどう見ても立派な攻性呪文(アサルト・スペル)。錬金術で作った剣を使っているから」

 

「どこからどう見ても、力任せにぶん投げただけだろうがぁあああああッ!!」

 

「痛い、やめて、放してー」

 

 

頭を押さえながらのリィエルの言い分に、ウィリアムは本日二度目の怒りの咆哮と共にリィエルの顔を右手で締め上げていく。

そんな普段のウィリアムからかけ離れた行為に、周りは目を白黒しつつも―――

 

 

(((((ひょっとして、ただのバカ?)))))

 

 

と、リィエルに対する全員の印象が、危ない子から頭が残念な子へと変わった。

それでもあの行為には皆がドン引きだった為、リィエルは完全にクラスから浮き、孤立してしまう。

そんなリィエルをルミアが食事にへと誘い、そこで気に入ったのか、苺タルトをリスの様に大量に頬張っていく。そんなリィエルの姿にクラスも歩み寄り始めていく。

そんな光景を、ウィリアム遠くの席から見つめていた。

 

 

(このまま学院でみんなと過ごしていけば……)

 

 

いずれリィエルに伝えるべきとある“事実”を乗り越えられる。そんな思いを胸にウィリアムはパスタを口へと運んだ。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

今日の夕方、ウィリアムは何となくフェジテ東地区の郊外に広がる自然公園に立ち寄って見ると……

 

 

「……何でお前がここにいるんだ?」

 

「?」

 

 

リィエルがいた。旅行鞄を持って。

 

 

「……お前は何処で寝泊まりするつもりなんだ?」

 

「ん?向こうで天幕(テント)を立てて生活する。大丈夫、サバイバルには慣れてる」

 

「……………………」

 

 

さも当然と云わんばかりに、鬱蒼と茂る森の方向に指を指して告げたリィエルの返答にウィリアムは表情を消し、そのままリィエルの首根っこを引っ捕まえて引き摺り始める。

 

 

「あう。急に何するの?」

 

 

リィエルの抗議にウィリアムは耳を貸さず、リィエルを引き摺ったまま、その足でフィーベル邸へと赴き―――

 

 

「この野宿しようとしたバカを、お前らで面倒見ろ」

 

 

家に住む二人にそう告げ、右手でぶら下げたリィエルを突き付けた。

それだけで色々と察した二人は苦笑いで、未だによくわかっていないように首を傾げるリィエルを迎え入れた。

 

 

 




ここで今さらながらウィリアムの使う拳銃についてはっきりとした説明
ウィリアムの使う拳銃の構造は中折れ式のダブルアクション方式という、この世界感では(おそらく)まだ存在しない構造の拳銃です
大きさは具体的にはデザートイーグルぐらいの大きさです
〈魔銃ディバイド〉も同様の構造と大きさです
耐久力の問題に関しては····一応考えています
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