やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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相変わらず安定しない文字数とクオリティ······
てな訳でどうぞ


二十一話(改)

立ち上る火の手。

穿たれたように倒壊された木々。

そしてその破壊された一面に散らばった大量の腐肉の欠片。

次から次へと湧き上がってくる大量の女の死者達。

その死者の群れは青年と少年を主の指示に従い襲いかかるも―――

 

 

「―――おらおらおらぁ!!」

 

 

その少年―――ウィリアムが左腕で腰だめに構えている《魔導砲ファランクス》から形成される雷加速による圧倒的な威力による弾幕によって、前方の死者の群れは次々と穿たれ、唯の肉塊へと次々と変えられていく。

弾幕が形成されていない、二人の後ろの方にいる死者達が襲いかかろうとするが、まるで自分から刃物に飛び込んだかのように見えない何かに斬り裂かれており、二人に近づききれていない。

 

 

「《―――・天に舞って踊れ》」

 

 

その間に青年―――アルベルトの詠唱が完成し、あたり一面に雷撃が降り注ぎ死者達を殲滅していく。

その詠唱直後のアルベルトの隙をエレノアは狙おうとするも―――

 

 

「―――ッ!」

 

 

ウィリアムの右手に持つ電撃を迸らせた拳銃が自身に向けられたのを見て、直ぐ様回避行動を取る。

一発のつんざく銃声。エレノアはそれを回避するも、音のない二発目によって左腕を吹き飛ばされる。

 

 

(本当に厄介ですわ……)

 

 

ウィリアムは先程から音のある銃撃、音のない銃撃、その両方の空撃ちをランダムでエレノアへと向けているのだ。

そんな事をされたらいつも以上に神経を研ぎ澄まさなければならず、精神的な疲労が積み重なっていく。

そんなエレノアに―――

 

 

「《吠えよ炎獅子》」

 

 

アルベルトがエレノアに向かって黒魔【ブレイズ・バースト】を放ってくる。

 

 

「《出でよ赤き獣の王》ッ!」

 

 

エレノアも直ぐ様同様の魔術を放ち、互いにぶつけさせ大爆発を引き起こす。

 

 

「ち……」

 

 

アルベルトは軽く舌打ちするも、ウィリアムが人工精霊(タルパ)騎士の楯(ナイツ・シールド)】を囲むように具現召喚し、防御障壁を展開させたため、アルベルトは直ぐ様詠唱を紡いでいく。

 

 

「《―――・いざ・召され》―――ッ!」

 

「《・―――舞って踊れ》」

 

 

そんな爆風にお構い無く詠唱していた、エレノアの呪文が完成すると同時にアルベルトは先程、死者の群れを殲滅した呪文―――B級軍用魔術、黒魔【プラズマ・フィールド】を完成させ、先程と同じように新たに召喚された死者の群れを殲滅させていく。

 

 

(まさか、此処まで合わせられるとは……)

 

 

エレノアにとっての最大の誤算はこの二人―――アルベルトとウィリアムが思いの外、連携が取れていた事だ。

ウィリアムはたった一人だけで戦い続けていた強者。つまり他者との連携には相当疎い筈だとエレノアは読んでいた。だからわざわざこちらへと誘いこんだのだ。互いに足を引っ張り合わせる状況も狙って。

ウィリアムはエレノアが睨んだ通り、確かにその辺りの経験は疎い。しかしウィリアムの師匠の施した修行―――脅威クラスの魔獣の巣窟に放り込むというぶっ飛んだ修行法によって相当な対応力と判断力をつけさせられていたのだ。

そしてアルベルトがそんなウィリアムに合わせた事により、拙いながらも淀みない連携が取れていたのである。

 

 

「……もてなしはもう終わりか?随分と舐められたものだな」

 

 

淡々と鋭い目でアルベルトは言う。

 

 

「いえ……私の想像を遥かに超えていただけですわ……もう壊れちゃいそう……」

 

「もうとっくに壊れてんだろ、ゾンビ女」

 

 

そんな身悶えるエレノアに冷めきった目でウィリアムが言う。

エレノアに先程から深手を負わせている筈なのだが、いくらやっても血を出さず、変わりに黒い霧が漏れでて傷を治しているのだ。現に吹き飛ばした筈の左腕もいつの間にか元通りになっている。

このように時間だけがイタズラに過ぎている状況にウィリアムは内心苛立っていた。

そんな折に―――

 

 

「―――ッ!」

 

 

アルベルトが何かに一瞬目を奪われたかのように硬直する。そんなアルベルトにウィリアムも思わず目を向けてしまう。

 

 

「―――《爆》ッ!」

 

 

そんな一瞬をつかれ、エレノアの周囲から爆炎が上がり、辺りの視界が封じられる。

黒魔【クイック・イグニッション】。緊急回避的な用途で運用される、最速最短の呪文で起動可能なC級軍用魔術だ。

 

 

「―――チィッ!」

 

 

ウィリアムが苦し紛れにエレノアがいるであろう場所に銃撃を放つ。

放たれた銃弾は爆炎を穿つもそれだけであり、爆炎が収まった頃にはすでにエレノアもおらず、まんまと逃げられてしまっていた。

 

 

「まんまとしてやられたな……」

 

「……何に目を奪われていた?」

 

「リィエルが裏切り、グレンをその手で手にかけた」

 

 

アルベルトの言葉にウィリアムは驚愕に目を見開く。

 

 

「……何故そうなった?」

 

「リィエルに妙な青い髪の男が接触していた。そいつに何かを吹き込まれたのだろう」

 

 

その言葉にウィリアムは一気に苦い顔をした。

青い髪の男、リィエルの真実と今の状態、そして依存していたグレンを手にかけるという暴挙。

これらを合わせれば、容易に何が吹き込まれたのか想像がつく。

 

 

「……ここからどう動くつもりだ?」

 

 

ウィリアムはその想像を口に出さず、これからの事をアルベルトに聞く。

 

 

「奴は、王女はなるべく生かしておきたいと言っていた」

 

 

その言葉で今後の方針を察し、共にその場から駆け出した。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「もう少し安全運転をしろ、《詐欺師》」

 

「うっせぇッ!急がないと先公がくたばっちまうだろうが!!」

 

 

そんなやり取りをしながら、一頭の青白い幽体の馬―――人工精霊(タルパ)の馬に乗って駆け抜けているのは、ウィリアムとアルベルトだ。

アルベルトの背中には、致命傷を負い、血色の悪くなったグレンが背負われている。

あの後、アルベルトの先導の元、現場へとたどり着き、海に放り投げられたグレンを引き上げた。

グレンは既に『死神の鎌に捕まっており』、通常の治癒魔術が効かなくなっている危篤状態だった。

そんなグレンを救うために、彼らはある場所へと急いで向かっている。

その場所―――ウィリアム達が泊まる宿にたどり着くと、ある部屋の扉を開ける。

 

 

「―――ひッ!?」

 

 

襲撃があったかのように、メチャクチャとなった部屋にいたシスティーナが突然の訪問に悲鳴を上げる。

 

 

「何がどうなって……キャァアアアアア―――ッ!?先生!?」

 

 

そんなシスティーナをよそにアルベルトはグレンをベッドへと放り込み、システィーナに協力を要請するのだが―――

 

 

「何よ!?もう何なのよッ!?」

 

 

システィーナはパニックを起こし、話をろくに聞こうとしなかった。

 

 

「もう嫌よ!嫌、嫌、い―――」

 

 

そんなシスティーナに、ウィリアムが左手で頬を叩いた。

 

 

「―――ッ!?」

 

「……ちったぁ頭が冷えたか?」

 

 

そんなシスティーナにウィリアムが淡々と告げる。

 

 

「まだ先公を救う手はある。だからこそここへ来た。そしてその為にはお前の魔力容量(キャパシティ)が必要だ……だからその手を貸せ、システィーナ!先公を救う為にな!!!」

 

「……ぐ、具体的に、何をする、つもりなの……?」

 

 

ウィリアムの叱責によってなんとか持ち直したシスティーナはその方法を聞いてくる。

そこからアルベルトが白魔儀【リヴァイヴァー】―――施術者の生命力を被術者へ増幅移植する儀式魔術―――の説明をする。

その最中で息が止まったグレンに、時間を稼ぐための人工呼吸をシスティーナへと任せ―――

 

 

「お前は大まかに術式を書け。細かい所は俺が調整する」

 

「あいよ」

 

 

アルベルトとウィリアムは二人がかりで【リヴァイヴァー】の術式を書いていく。

 

 

長い夜は始まったばかりだ。

 

 

 




ウィリアムの魔力容量は平均以上、優秀以下とそこまで多くの魔力を保有していません
そこらへんの問題に関しては一応考えています
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