やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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時系列はムチャクチャ
外伝だから別にいいよね!?
てな訳でどうぞ


鎮圧手段検討会

「……ねぇ、ウィリアム」

 

「……なんだ?」

 

「いつも思っているのだけれど、やり過ぎじゃないのかしら?」

 

「そうだね。もうちょっと穏便に出来ないのかな?」

 

 

システィーナとルミアがそう言いながら、視線を向けるその先には……

 

 

「うきゅう………」

 

 

地面にうつ伏せで倒れているリィエルがいた。近くには錬成した大剣が転がっている。

もうお察しの通り、リィエルが暴走したのでウィリアムが非殺傷弾の銃撃で鎮圧したのである。今回は「ルミアのハート(心)を射止めてみせる」と意気込んでいた男子生徒に斬りかかろうとしたのだ。

ウィリアムは二人の言葉を無視し、リィエルの首から下を金属で埋めるという何時もの拘束手段でリィエルの動きを封じ、繋げた鎖を引きずって、その場から拘束したリィエルを連行し、システィーナとルミアもその後を追いかける。

場所を変え、斬りかかった理由を問い質すと―――

 

 

「だってアイツ、『ルミアのハート(心臓)を射止めてみせる』って、言ってた!アイツを放置していたらルミアの命が危ない!!だから早くこれを解いて!!」

 

「……やっぱりね。うん。予想出来てたけどこれは酷い」

 

「違うよリィエル。あれはね……」

 

 

リィエルのその勘違いはルミアが至極丁寧に説明した為、一応は正すことは出来た。

 

 

「さっきの話の続きだけど、あんな物理的な手段で止めるのはさすがにやり過ぎだと思うわ」

 

「……この馬鹿が口で言ってすぐに止まると思うか?」

 

「……うっ………それは……」

 

 

ウィリアムの最もな意見にシスティーナの言葉が詰まる。脳筋は行動が早すぎるので口での静止より先に被害が出てしまう。

 

 

「じゃ、じゃあせめて【ショック・ボルト】で……」

 

「初級呪文でこいつが止まると思うのか?そもそも当てられるかすら怪しいぞ」

 

「……普通に避けそうだし、止まりそうにないね……」

 

 

ルミアもあっさり撃沈する。リィエルは忘れがちだが現役の宮廷魔導士なのだ。【ショック・ボルト】程度で止まる事はないだろう。

 

 

「だけど、毎回痛い思いをするリィエルが可哀想よ」

 

「……わりとけろっとしているのにか?」

 

「……」

 

 

返答に困り、システィーナはウィリアムから目を逸らす。

 

 

「お願い。これ、早く解いて。ちょっと苦しい」

 

 

そんな中、当の本人は圧迫感から早く解いて欲しいとお願いしていた。

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

―――学院の教職員室にて。

 

 

「―――という訳で、これからリィエルを取り押さえる手段について議論していきましょう!!」

 

 

システィーナ主導による検討会が開かれた。参加者はグレン、ウィリアム、ルミアである。リィエルもその場にいるが、本人は眠たげにぼーっとしているだけである。

 

 

「……別に今のままでいいんじゃね?こいつは人の言いたい事を理解しねぇし、なりより俺が楽出来てるし」

 

 

強制参加のグレンは傍から聞けばロクでもない事を言う。

軍属時代からリィエルを知っているグレンからすれば、当然と言えば当然の言葉ではあるが……

 

 

「そうなったら、私がウィリアムを止めますよ?」

 

「よーしっ!じゃあ早速議論しようじゃないか!!」

 

 

システィーナの発言に、グレンは神速で掌を返し議論への参加表明をする。もしそうなればリィエルがもたらす被害は拡大、給料がさらにカットされ、夢のシロッテ生活が待っているからだ。

 

 

「苺タルトで言うことを聞かせるのはどうかな?」

 

 

ルミアが先陣をきるように餌付け作戦を提案する。リィエルの苺タルト好きを逆手に取った作戦は―――

 

 

「それだと常に苺タルトを用意する必要があるぞ?それも大量に」

 

「さすがに現実的じゃねぇな……」

 

「……ごめんなさいルミア。さすがに擁護できないわ……」

 

 

速攻で否決となった。

 

 

「リィエルを取り押さえるのに人工精霊(タルパ)を使えばいいんじゃねぇか?」

 

 

グレンにしてはまともな案が出てくるも―――

 

 

「アホ。周りになんて言い訳するんだよ?」

 

 

本人からバッサリと却下された。

人工精霊(タルパ)は本来は禁呪法に近い錬金術の奥義だ。いくら固有魔術(オリジナル)による裏技とはいえホイホイと出せば、周りから怪しまれる。

 

 

「第一、こいつの機動力と勘の良さを忘れんじゃねぇよ」

 

「そういやぁ、そうだった……」

 

 

リィエルの勘の良さは本当に厄介なのだ。戦闘中は後ろからの無音火薬(サイレント・パウダー)の銃撃を見ずに避ける程に。

だからこちらに意識していない状態で速攻で沈めているのだ。

 

 

「本当にいい案が出ないわね……」

 

「……まぁ、銃弾以外の手は一つ、あるにはあるんだが……」

 

「あるならそっちを使いなさいよ!?」

 

 

ポツリと洩れたウィリアムの言葉に、溜め息を吐いていたシスティーナはすぐさま食らいつくも。

 

 

「こっちは銃弾以上に駄目なんだよ」

 

「······どういう事よ?」

 

 

システィーナの疑問に、ウィリアムは錬金術で地面の一部の性質を変えて説明を始める。

 

 

「これは粘着性が高いやつだ。これをリィエルの周囲の足下に錬成すれば、その粘着性に足を取られて動きを封じる事が出来るだろうが……」

 

 

ウィリアムはそこでリィエルを見やり、この手法の決定的な問題点を告げる。

 

 

「こいつの機動力からわりと広めに錬成する必要があるし、これにダイブしたリィエルを想像してみろ」

 

 

そこでグレン、システィーナ、ルミアは想像してみる。

 

 

『……ん。何かベタベタする……』

 

 

粘着性の地面に足を取られてダイブし、粘着まみれとなって引っ付いて、動きを封じられたリィエルを―――

 

 

「……アウトだな」

 

「アウトね」

 

「さすがにアウトだね……」

 

「だろ?」

 

 

絵面的にアウトであり、銃弾以上に悲惨だったので、この案は速攻で無かった事にした。

その後も議論を重ねるも……

 

 

「実力行使以外の案が浮かばねぇなぁ……」

 

「その上、全部駄目でしたし……」

 

 

グレンとシスティーナは揃って深い溜め息を吐く。

結局、現状維持で社会常識を少しずつ教えていく、という結論に至る事となった。

 

後日―――

 

 

「お困りなら、私の精神魔術でゴホォッ!?」

 

「この私が開発した『ウルトラ学習キャップ』でグハァッ!?」

 

 

どこからか話を聞きつけてきた変態紳士と変態マスターが殴り飛ばされ、宙に舞う光景が目撃された。

 

 

 




·····エロいな!!
さてこっそりと実行―――

ニュースです
昨夜未明、全身を鈍器のようなもので殴られた身元不明の人物が発見されました
被害者は意識不明の重体で予断を許さない状態とのことです
続きましては―――

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