やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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「行くぞバークス、合成魔獣の貯蔵は十分か?」――――by某正義のセリフ改変
てな訳でどうぞ


二十三話(改)

アルベルトを先導に、グレンとウィリアムは樹海の中を走り抜けていく。

 

 

「おい、アルベルト。微妙に白金魔導研究所からずれている気がするんだが……?」

 

 

グレンが走りながらアルベルトにそう問いかけると―――

 

 

「「…………」」

 

 

アルベルトとウィリアムは揃って冷めた視線をグレンに送っていた。

 

 

「な、何だよ?」

 

「阿呆か貴様は?公的機関に連れ込むバカがどこにいる?一発で露見するだろうが」

 

「ぐ……じゃ、じゃあ、どうやって居場所が分かるんだよ!?」

 

「簡単な事だ。こっそり付呪(エンチャント)しておいた魔力信号を頼りに向かっている」

 

「……ひょっとしてあの時か?」

 

 

グレンはあの時―――アルベルトがナンパ男に変装していたあの港の出来事を思い返して問いかける。

その時にウィリアムの事も話していたのだが、今はいいだろう。

 

 

「確かにあの時、王女に魔力信号を付呪(エンチャント)しておいたがそっちはとっくに解呪(ディスペル)されている。俺が追いかけているのはもうひとつの方だ」

 

「もうひとつ?」

 

 

訝しむグレンにアルベルトは淡々と説明していく。

先のエレノアとの戦闘の際、どさくさに紛れて、ルミアに付呪(エンチャント)したものより更に強力な魔力隠蔽効果を施した魔力信号を付呪(エンチャント)しておいたと。

 

 

「それでどこから発信されているんだ?」

 

「地下の方からだ。大方バークスが極秘裏に作り上げた地下研究所だろう」

 

「地下だと!?どうやってその入り口を探すつもりなんだよ!?」

 

「……バカ正直に探さなくていいだろ、先公」

 

 

グレンの頭の鈍さに、さすがに呆れとうんざりさ含ませた言葉をウィリアムは発した。

 

 

「は?」

 

「全く、少しは《詐欺師》のように頭を使え」

 

 

まだ気づかないグレンにアルベルトは呆れながらも、バークスの研究分野の性質上から存在する地下水路からの侵入を説明する。

そして、三人は一つの湖畔にたどり着く。

 

 

「この湖の南西方面に地下水路の入り口がある筈だ。理解したか?」

 

「へいへい、じゃ、野郎三人の海水浴かね」

 

「ここは湖だけどな」

 

 

そして、三人は【エア・スクリーン】を球体状にはり、湖の中へと潜っていった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

潜ってから暫くして不自然な水の流れを見つけ、それを辿って水路の奥にたどり着き、水の底から浮上する。

水から出たその場所は昼間の白金魔導研究所と酷似しており、バークスの秘密の地下研究所だと改めて確信する。

これからの方針を相談しようとするも―――

 

 

「……」

 

 

アルベルトが無言のまま近くの水路を見つめる。

 

 

「ど、どうした?」

 

「マジかよ……」

 

「……来る」

 

 

その直後、水路から盛大な水柱が上がる。

グレンは慌てて身構え、アルベルトとウィリアムは素早くその場から飛び下がる。

水柱から現れたのは、三対のハサミをもつ巨大蟹だった。

 

 

「なんじゃこのクリーチャーはぁあああああ――――ッ!?」

 

「―――《雷精》ッ!」

 

 

グレンの驚愕を他所にウィリアムはホルスターから拳銃を取りだし、呪文を紡いで電撃を迸らせる。

ウィリアムはそのまま巨大蟹に銃口を向け、引き金を引く。

雷加速された銃弾は、巨大蟹の片側の脚をまとめて吹き飛ばした。

 

 

「《吠えよ炎獅子》!」

 

 

アルベルトの詠唱と同時にグレンは慌てながらも、淀みなくその場から飛び離れる。

直後、【ブレイズ・バースト】が脚を吹き飛ばされてバランスを崩していた巨大蟹を呑み込み、爆炎が収まると、巨大蟹の丸焼きが出来上がっていた。

 

 

「遅い。平和ボケし過ぎだ」

 

「ほっとけ、っていうかウィリアム、お前のソレ、ホントにどうなってんの?」

 

 

憎まれ口を憎まれ口で返しながらグレンはウィリアムに問いかける。

実はグレンも過去に一回、ウィリアムと同じ手法を試したのだが、その威力はウィリアムのより明らかに劣っており、大した威力ではなかった。そのため、どうやってあの威力を出しているのか、疑問だったのである。

 

ウィリアムの拳銃のバレルには電気を浴びると、その電気を増幅して暫くの間放出する性質の特殊な魔晶石がレール状に内蔵されている。試行錯誤を重ねて今の形に落ち着いたのだ。

ウィリアムのその話を聞き、《魔銃ペネトレイター》の大幅な改造が必須な為諦めていると、水路から次々と多種多様な生物が湧いて出てきた。

 

 

「団体様のお出ましだ……」

 

「どうやらここは合成魔獣(キメラ)の廃棄区画だったようだな」

 

「獣との戯れか……馴れてるけど」

 

 

三人はキメラの群れを見やり、猛然と駆け出す。

そこから蹂躙劇が始まった。

 

 

「《雷槍よ》!」

 

 

アルベルトが獅子の合成魔獣(キメラ)に向かって【ライトニング・ピアス】を二重詠唱(ダブル・キャスト)で放つ。

獅子の合成魔獣(キメラ)は難なく、二条の雷閃を跳躍してかわすも―――

 

 

「《猛き雷帝よ・極光の閃槍以て・刺し穿て》!」

 

 

グレンの【ライトニング・ピアス】で脳天を貫かれ、絶命する。

そんなグレンに頭が二つある狼のキメラが襲いかかるも―――

 

ドパッドパンッ!

 

ウィリアムの雷加速弾の連発によって頭部を二つとも爆散され、あっさりと始末される。

その直後、三人を挟み撃ちするように人間の姿をした植物の合成魔獣(キメラ)が数体現れる。

ウィリアムは直ぐ様拳銃のフレームを半ばで折って薬莢を排出し、素早く手作業で新たな薬莢―――魔術弾を装填する。

再装填を済ませ、間髪入れずに植物の合成魔獣(キメラ)に向かって魔術弾を放つ。

 

轟ッ!

 

着弾と同時に、爆炎が上がり植物の合成魔獣(キメラ)を包み込む。

爆炎が収まった頃には、植物の合成魔獣(キメラ)は焼け焦げて生き絶えたいた。

そして、ウィリアムの死角から二対の羽を持つ人並みサイズのコウモリの合成魔獣(キメラ)が襲いかかる。

 

 

(おせ)ぇ!」

 

 

だが、そのコウモリの合成魔獣(キメラ)を黒魔【タイム・アクセライト】―――自身の時間を加速した後、魔導第二法則により同じ時間減速する瞬間付呪(インスタント)の魔術で加速したグレンが素早く殴り飛ばす。

殴り飛ばされ、体勢を崩したコウモリの合成魔獣(キメラ)に、アルベルトが雷閃を脳天へと放ち、瞬時にその命を刈り取る。

三人はそんな風に合成魔獣(キメラ)を駆逐しながら奥へと進んでいき―――

 

 

「……こいつは、ヘヴィかなー?」

 

 

大部屋にいた宝石のようなもので構成された大亀に、グレンは頬を引きつらせていた。

 

 

「宝石獣か……」

 

「性質は?」

 

「殆どの攻性呪文(アサルト・スペル)が効かん。そして硬い」

 

 

そんなやり取りを無視するように、宝石獣は後ろ足で立ち、その豪腕をグレン達に叩き付けようと―――

 

ドオオオオオンッ!

 

―――したが、凄まじい音と共に頭部が爆散し、その衝撃で頭部を失った宝石獣は後ろへと倒れこんだ。

 

 

「なら、日緋色金(オリハルコン)の銃弾で殺ればいいだけだろ?」

 

 

ウィリアムは左手に錬成した、硝煙と電撃の余韻が残っている二メトラ近くある大口径の小銃(ライフル)を放り捨てながらそんな事を宣う。

ウィリアムは数分だけであれば魔法金属を再現できる。しかし、数分では普通は使い道がない。今みたいな銃弾として使う以外には。

そんなウィリアムの脳筋発言に、グレンとアルベルトは魔法金属を錬成できる事に驚くより先に呆れていた。

一方―――

 

 

「なっ……なっ……なっ……!」

 

 

研究室の水晶壁に映し出された、自身の自慢の最高傑作が、ものの数秒であまりにもあっさりと沈められた光景に、バークスは顔を真っ赤にして震えていた。

 

 

 




この世界のレールガンはこういう感じにし、ただ迸らせただけではコイルガン並みの威力という設定にしております
こうしておかないと平凡なグレンも使いまくるからです
それとウィリアムは元々はリィエルよりかはマシな脳筋です
師匠の施した地獄の修行によって相当修正されたのです
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