やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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「本心なら、行動で示し証明しろ!!」――byツンデレ雄狐のセリフ
てな訳でどうぞ


二十四話(改)

宝石獣をウィリアムが日緋色金(オリハルコン)の雷加速弾で瞬殺した後、三人は部屋の奥にあった扉から部屋を出て、先へと進んでいた。

 

 

「敵はさっきので品切れだったみてぇだな」

 

「あんなのが何体もいてたまるか、メンドイし」

 

 

そんなグレンとウィリアムのやり取りの中、アルベルトを含めた三人は進んでいく。

そして、薄暗く、液体で満たされたガラス円筒が、規則正しく、無数に立ち並んでいる、何かの保管庫のような部屋にたどり着いた。

 

 

「これは……?」

 

 

グレンが訝しげにガラス円筒に近づき、その中を覗きこみ―――

 

 

「―――ッ!?」

 

 

―――中身を確認したその瞬間、グレンは口元を抑えて後退った。

ウィリアムもその中身を知った瞬間に目を見開いて絶句し、アルベルトもいつも以上に表情を険しくする。

ガラス円筒の中にあったのは―――人間の脳髄だったのだ。

そしてガラス円筒に貼られたラベルから、この者達は『異能者』の成れの果てであることが分かった。

アルベルトの口からバークスは相当な異能嫌いで、典型的な異能差別主義者であった事が語られる。

 

 

「この国では何故か異能は『嫌悪』の対象……理由がある故か、そうなるよう誰かが仕向け――」

 

「今はンなこと、どうでもいい!」

 

 

アルベルトの考察にグレンはそう叫んだ直後、何かに気付く。

 

 

「おい、見ろ!あいつ、まだ生きてるぞ!早く――」

 

 

そのガラス円筒に近づいたグレンの言葉はそこで途切れ、言葉を飲み込んだ。

ガラス円筒の中にいたのは少女だが、その少女は魔術的に無理矢理『生かされて』おり、既に『死んで』いたのだ。

 

 

コ、ロ、シ、テ。

 

 

少女の口がそう言ったかのように、弱々しく動く。

ウィリアムは苦渋の顔で拳銃に手をかけようとし―――

 

 

「“牢記されよ、我は大いなる主の意を代弁する者なり――”」

 

 

―――たが、アルベルトがそれを手で制し、粛々と聖句らしき言葉を紡いでいく。

そして―――

 

 

「“――真に、かくあれかし(ファー・ラン)”」

 

 

―――その言葉と共に少女の心臓を雷閃で撃ち抜き、少女に永遠の眠りを与えた。

やるせない感傷が三人の間を支配していた―――その時。

 

 

「貴様らぁ!?なんてことをしてくれた!?」

 

 

そんな場違いな罵声が部屋中に響き渡る。

声がした方向に一同が顔を向けると、そこにはこの研究所の主であるバークスが怒りを露に姿を現していた。

 

 

「貴様らが壊したサンプルがいかに貴重なのか、それすら理解できんのか!?絶対に許さんぞッ!この駄犬共めがッ!」

 

 

そんなバークスの人を人と思わぬ発言に、グレンは罪の意識があるのかと問う。その問に、バークスは寧ろ自分に貢献できたのだから感謝しろと、ぬけぬけと言い放つ。

その答えにウィリアムとグレンは―――

 

 

「……テメェは魔術師じゃねぇ、ただの――」

 

「本物だよ、本物の――」

 

「「――クズだ」」

 

 

その溢れる黒い衝動のまま、バークスに攻撃を仕掛けようとし―――

 

 

「待て、お前達は先に進め」

 

 

アルベルトがそれを制し、グレンとウィリアムに移動を促した。

 

 

「お前達はリィエルを説得するんだろう?王女の件もある以上、今は時間が惜しい。このクズの相手は―――俺が務める」

 

 

先程よりも冷徹な雰囲気を纏ったアルベルトに、頭の冷えた二人は素直に頷き、一気に駆け出した。

 

 

「バカめ!通すと―――」

 

「《気高く・吠えよ炎獅子》!」

 

 

バークスの言葉は、二人の真後ろにある火球―――アルベルトが放った【ブレイズ・バースト】によって止められる。

直後、火球は床に着弾して炸裂するも、嵐のように渦巻く爆炎はバークスだけを呑み込み、二人はそのまま、その場から立ち去った。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

ウィリアムはグレンと共に廊下を走り抜ける。

そんなウィリアムの心中には、あの時からの後悔が巡っていた。

 

 

もし、あの時、無理でも追いかけていたら、

 

もし、あの時、逸る気持ちを抑えずに駆けつけていたら、

 

もし、あの時、もっと上手くやっていたら、

 

 

救えた、助けられたのではないか?その後悔が二年前からずっと己の胸の内にあるのだ。

 

助けられず、目的を見失い、宛もなくさ迷い続けながらも、譲れないものがある。

 

 

―――なにもせずに、大切と思えるものを失う事だけはしたくない。

 

 

たとえ、この先に否定したかった可能性が、この先にあるのだとしても、その可能性から逃げて、大切と思えるものを失えば、その想いまで否定してしまえば、今度こそ自分が分からなくなる。

 

 

ぞんな想いを胸に走り続け、遂に最後の扉が見え―――

 

 

「「だらっしゃぁああああ―――ッ!!!」」

 

 

その扉をグレン共々乱暴に蹴り開け、部屋へと突入する。

 

 

「さあ、この茶番劇にケリをつけようか」

 

 

 

《詐欺師》、遂に邂逅する。

 

 

 




ついに邂逅する者たち
彼らの結末はどうなる?
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