やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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欲望と妄想が暴走した駄作
可能な限り、矛盾がないように考えたつもりでも、やっぱりでてくるツッコミ
まあ、当然である
てな訳でどうぞ


二十六話(改)

(ナンツー出鱈目なんだよ!)

 

 

リィエルの怒涛の斬撃をかわしながら、ウィリアムは心の中で叫び声を上げる。

リィエルの邪道の極地といえる剛剣技は、正に一撃必殺と呼ぶにふさわしいものだ。

先程から、牽制の人工精霊(タルパ)や、非殺傷弾の銃撃、あちらは一人に対し、こちらは二人という優位性。にも関わらず、ウィリアムとグレンはリィエルを攻め切れないでいた。

 

 

「やぁああああああああああああ―――ッ!!!」

 

 

襲いかかってくる数体の人工精霊(タルパ)騎士の剣(ナイツ・ソード)】を、リィエルはその剛閃で纏めて斬り砕く。

ウィリアムはすぐさま、拳銃をリィエルに向けて引き金を引き発砲するも―――

 

 

「――ッ!」

 

 

リィエルは既にその場から離脱しており、銃弾は空しく中を切るだけに終わる。

リィエルはそのまま、グレンへと斬りかかっていく。

 

 

「――っあっぶ!?」

 

 

グレンは自身に迫ってきていた大剣の一閃を紙一重でかわすも、その剣圧に煽られ、吹き飛ばされる。

リィエルはグレンを追撃しようと―――

 

 

「!」

 

 

―――したが、すぐさま横へ跳び、後ろから放たれていた銃弾を見もせずに避ける。

 

 

(意識しているだけで、こんなに違うのかよ!)

 

 

不意討ちで沈めていた無音の銃撃が、今のリィエルに全く通用していない。

以前グレンから、リィエルは勘で戦っているとは聞いていたが、その勘だけで避けるから、本当にうんざりするレベルの勘の良さだ。

普段からリィエルの暴走を阻止していた行動が、ここにきて嫌な形で返ってきていた。

 

 

(やっぱり、この手しかないか……)

 

 

そんな今のリィエルから、確実に隙を作る手が一つある。

この状況限定であり、使うには心苦しい手だがその為に敢えて使える手札(カード)を隠している。

そして、このまま戦っていても状況は変わらず、奥にあるもの次第では状況が悪化する可能性がある以上、躊躇っている場合ではない。

 

 

(リィエルが乗り越えられるかはわからない。もし駄目だったら――)

 

 

自分がリィエルを守る。あんな思いは二度とゴメンだ。

意を決したウィリアムは、了承を得るためにグレンに視線を送る。その視線の意味を理解したグレンは苦渋な顔で悩みながらも、頷いて了承した。

 

 

「……全く、どんだけブラコン何だよお前は」

 

 

グレンから了承を得たウィリアムは、リィエルが食いつくであろう言葉を紡いでいく。

 

 

「黙って。兄さんはわたしの全てだから」

 

「なら、なーんで名前付きで兄と呼ばないんだ?」

 

 

案の定、食いついてきたリィエルにウィリアムはさらに言葉を紡いでいく。

 

 

「……何が言いたいの?」

 

「いや、なに。時折、名前付きで呼んでいたのに『兄さん』しか呼んでねぇから疑問に思ってよ。ひょっとして大好きなお兄さんの名前を忘れでもしたか?」

 

「そんな事ない!何でそんな事を知っているの!?」

 

 

ウィリアムのその言葉にリィエルが声をキツくして問いつめる。知らない筈の事を知っていれば、誰もがそうなるだろう。

 

 

「教えてほしけりゃ、そこにいる兄の名前を言ってみな。そうすりゃ教えてやるし、今後一切関わらない。先公連れて帰ってやるよ」

 

「……わかった。わたしの兄さんの『名前』は……」

 

 

一見、そんな破格とも言えるウィリアムの言葉に、リィエルは真に受けて告げようとするも―――

 

 

「『名前』は……」

 

 

リィエルの口から、一向にその兄の『名前』が出てこない。

 

 

「どうした?本当に忘れたのか?」

 

「違う!わたしの兄さんの『名前』は……ッ!……な、なんで……?」

 

 

表情を苦痛に歪め、脂汗を浮かべ始めるリィエルに、ウィリアムは容赦なく今の状態を指摘し始める。

 

 

「感覚では兄の名前を覚えてるのに、いざ思い出そうとするとその名前が出てこない。しかもそこは不自然な空白になっていて、無理やり思い出そうとしたら頭が痛くなる、だろ?」

 

「ッ!な、なんで……」

 

「しかもその空白は兄の『名前』だけじゃない。兄を殺した奴の『名前』も、その瞬間の記憶も、だろ?」

 

「ッ!?ど、どうして、そこまで……!?」

 

 

ピシャピシャと的確に当てられていく事に、リィエルはますます動揺していく。

 

 

「どうしてかって?そりゃ――」

 

「り、リィエル!耳を貸すんじゃない!」

 

 

ウィリアムの言葉を遮るように、その『兄』が金切り声で叫んだ。

 

 

「に、兄さん……」

 

 

リィエルは背後の『兄』に視線を送る。―――ウィリアムから視線を外して。

その瞬間、ウィリアムは拳銃をリィエルへと向け、引き金を引く。

リィエルはその不意討ちを咄嗟に横に跳んで何とか回避する。だが、無理な回避行動だったため、その体勢は大きく崩れてしまっている。

そして、大剣を盾にしてリィエルはウィリアムへと突撃を開始する。

ウィリアムは銃撃で迎撃するも、リィエルの突撃は止まらず、そのままウィリアムへと肉薄し―――

 

 

「やぁああああああああああああ―――ッ!」

 

 

大剣を振りかぶり、重斬撃でウィリアムを両断しようとする。

降り下ろされる死の一撃に、ウィリアムは拳銃を手放し―――

 

ガキィイイイイッ!

 

―――甲高い金属音と共に、右の(てのひら)で振り下ろされた大剣を受け止めた。

予想外の現実に、リィエルは一瞬硬直してしまう。しかし、すぐさまその場から離れようと、足に力を入れ―――

 

 

「――うあッ!?」

 

 

―――た瞬間、急に感じた浮遊感により、バランスを崩してその場に倒れこんでしまう。

見ればリィエルの足元の床が不自然に凹んでおり、リィエルはそれに足を取られてしまったのだ。

勿論、この凹みはウィリアムがお得意の錬成で意図的に作り上げたものだ。

ウィリアムは倒れこんだリィエルにそのまま跨がり―――

 

 

「《天秤は右舷に傾く》!」

 

 

黒魔【グラビティ・コントロール】で、リィエルにかかる重力を加重して封じ込めた。

 

 

「く……」

 

「いくらバカ力があっても、この状態から脱出出来ねぇよ」

 

 

逃れようとするリィエルに、ウィリアムは不可能だと言い放つ。

 

 

「この義手は相当頑丈でな……ウーツ鋼程度じゃあ傷一つつかねぇんだよ……この話を持ち出せば、確実にアイツがしゃしゃり出るのは分かっていたからな。これでようやく話が出来るな」

 

 

その様子を見ていた『兄』が金切り声を上げ始める。

 

 

「僕の妹から離れ―――」

 

「―――るせぇッ!テメェは黙ってろ、()()()()!!」

 

 

その金切り声を遮るように放たれたウィリアムの言葉に、ライネルと呼ばれた『兄』は驚愕に慄く。

 

 

「な、何を言って……」

 

「髪色変えた程度で気づかねぇとでも思っていたのか!?それとも、素で気づいてねぇだけか!?どっちでもいいが、テメェが二人に何をしたのかもうとっくにわかってんだよ!!!」

 

「ッ!?まさか、本当にお前は……ッ!?」

 

 

ウィリアムの憤怒の籠った視線とともに放たれた怒声に、『兄』はますます顔を歪め、後退っていく。

そんなウィリアムと『兄』のやり取りを前にして、リィエルは恐ろしい予感に駆られながらも恐る恐る聞く。

 

 

「い、一体……何の……話を……して……?」

 

「……『シオン』」

 

「え?」

 

「これは先公から聞いた話だが、二年前、己の身と引き換えにして、組織に囲われていた妹と親友のライネルを逃がそうと、当時宮廷魔導士だったグレンの先公に接触し、結果、組織に粛清された稀代の天才錬金術師シオンが……お前の記憶の中の兄の名前だ」

 

 

ウィリアムから告げられたその言葉にリィエルは呆然としていたが、次第に目を見開き、身体を震わせていく。

 

 

「何、今の……?わたしの事をイルシアって……?それに……どうして、わたしの記憶にわたしが……?」

 

「……どんな記憶かは検討がつく。それでも先公から聞くべきだろうよ」

 

 

ウィリアムは【グラビティ・コントロール】を解除し、リィエルから離れる。そこから、グレンの口から真実が語られ始めた。

 

 

リィエルの正体―――シオンの妹、イレッセの大雪林で息を引き取ったイルシアを元に生み出された魔造人間であること。

『Project:Revive Life』、通称『Re=L(リィエル)計画』の世界初の成功例であること。リィエルに本当の兄は存在しない事、その全てが語られた。

 

 

「うそ……そんなの、うそ……」

 

「嘘じゃねぇ。それに、思い出した記憶は少なくとも、シオンがライネルに殺さ――」

 

「う……うるさいうるさいうるさい!」

 

 

またしても当てられそうになったリィエルは必死に否定しようと、ウィリアムの言葉を遮るように叫び声を上げ、すがるような視線を『兄』―――ライネルへと送る。

その視線を受けたライネルは―――

 

 

「……やっぱりあの時、シオンを安直に始末したのは()の最大の失敗だったな」

 

 

本来の口調でぬけぬけと、そんな事を言い放っていた。

 

 

「……え?」

 

「術式はシオンの固有魔術(オリジナル)同然になったいたから、そのままでは使えないし……『イルシア』のコピー品であるお前の名前を『リィエル』と安直に設定していたから、無駄に改竄箇所が増えるし……『キーワード封印』で改竄した記憶も、ちょっとでも切っ掛けがあれば簡単に封印が解けるから、色々と小細工をしたのに……本当に上手くいかないもんだな」

 

「あ、ああ……」

 

 

ライネルは冷めた目で、頭を抱え狼狽えるリィエルを尻目に、ウィリアムを睨み付ける。

 

 

「よく似ているとは思っていたが、まさかシオンが言っていた通り、本当に生きていたとはな。しかも《詐欺師》と呼ばれ、ソッチ側にいるとは予想外にも程がある。念のためにお前に関する記憶も改竄しておかなかったら、計画が早々に頓挫していた所だ。それについては正解だったな」

 

「……ああ、そうかよ」

 

 

ウィリアムは落としていた拳銃を拾い上げる。その目には凄まじい怒りが宿り、言葉にも隠しきれない怒りが滲んでいる。

 

 

「うそ……だよね……?」

 

 

現実を認められず、弱々しく呟くリィエルにライネルは―――

 

 

「リィエル、君はもういらないや」

 

 

にこやかな顔で、嘲笑うように、無情な言葉でリィエルに向かって言い捨てた。

 

 

「テメェエエエエエエエエエエエ―――ッ!」

 

 

グレンの怒りの咆哮と共に、ウィリアムはライネルに向かって銃撃を放つ。

狂いもなくライネルに向かう非殺傷弾。

そのゴムの弾丸は不意に割って入った影によって弾かれる。

 

ウィリアムとグレンは目の前の光景に硬直する。

 

 

「だって、()()()()()()()()()()

 

 

そこには、ライネルを守るように立つ、ボンテージ姿の三体のリィエルという、悪夢の光景が広がっていた。

 

 

 




剣術とかの武術は相応の下地と基礎がないと発揮しない、と自分は考えてます
当時の主人公にはそれが全く無い
そんな主人公が、僅か数年で渡り合う為に目をつけたのが、最初から一定の強さを発揮する銃なんです
そして、武器の性能を上げる事で技量の低さをカバーしたんですよ
この設定でも無理あるかな······?
感想お待ちしてます
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