やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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リクエストのお話第二弾!
てな訳でどうぞ


魔導人形バタフライフィールド

「ハンカチが盗まれた」

 

 

教員会議に何故か出席していた天災オーウェルの第一声がそれだった。

 

 

「今朝、私のお気に入りのハンカチが机の上から無くなっていたのだ。恐らく何者かが盗んだに違いない」

 

「はぁ……」

 

「だからハンカチを盗んだ犯人を見つけ出す為の魔導人形を持ってきた!さあ来い!!『バタフライフィールド』よッ!」

 

 

オーウェルの掛け声と共に派手に扉が開けられる。

 

 

『ガッデムッ!!』

 

 

そこに佇んでいたのは厳つい雰囲気を醸し出す黒のスーツに身を包み、頭部に当たる部分に真っ黒の眼鏡をかけた二メトラ近くある銀色の魔導人形だ。

 

 

「この『バタフライフィールド』は対象が嘘をついているか、そいつが犯人かを判別できる優れものなのだ!!開発自体は三日で済んだが、デザインに三年かかってしまったがな!名称は何となくだ!!フハハハハ!」

 

「もうツッコまないぞ……」

 

 

オーウェルの相変わらずの言葉に最近の被害者のグレンは力無くそう口にする。

 

 

「そして犯人には『バタフライフィールド』から、あらゆる魔術防御を無視した制裁のビンタが下されるのだ!!」

 

「あらゆる魔術防御の無視とか······やっぱ使い方間違っているだろ……」

 

「さあ『バタフライフィールド』よッ!!私のハンカチを盗んだ犯人を見つけ出すのだ!!」

 

 

オーウェルの指示を受けた魔導人形はまずはハーレイへと向かっていく。

 

 

『オマエ、名ハ何トイウ?』

 

 

人形なのに凄みのある迫力の前に、ハーレイはたじろぎながら名前を言う。

 

 

「は、ハーレイ=アストレイだ……」

 

『成程。ハーゲイ=アフロレイカ……』

 

「ちょっと待て、今何と言った!?」

 

『ハーゲイ=アフロレイ。オマエガマスターノハンカチヲ盗ンダ犯人カ?』

 

「ハーゲイではない!!ハーレイだ!!ポンコツ人形!!」

 

『質問二答エロ。ハーゲイ、オマエガ犯人カ?』

 

「だから私はハーレイだ!!」

 

『……モウ一度聞ク……ハーゲイ、オマエガ犯人カ?』

 

「いい加減にしろポンコツ人形め!!私はハーレイだと!?」

 

 

魔導人形―――バタフライフィールドは突如、ハーレイの胸ぐらを掴み上げる。

 

 

『ドウヤラオマエハ犯人デハナイガ、質問二答エナイ奴二ハオ仕置キガ必要ダ』

 

 

バタフライフィールドはそのまま右腕を広げていく。それを見たハーレイは慌て始める。

 

 

「ま、待て!!」

 

『覚悟ヲ決メロ、ハーゲイ』

 

「だから私はハべしッ!?」

 

 

バタフライフィールドから無慈悲のビンタが下された。

ビンタをくらい床に倒れたハーレイは、白目をむいて全身をびくびくと痙攣させている。

 

 

 

「「「「…………」」」」

 

『ガッデム!!』

 

 

教員達の間で圧倒的な沈黙が支配するなか、バタフライフィールドは最初に入ってきた時と同じセリフを吐き捨てた。

そしてオーウェルやハーレイ等、一部を除く一同はこう思った。

 

 

(((((逆らったらいけないやつだ、この人形ッ!!!!!!!!!!)))))

 

 

周りが戦々恐々とするなか、バタフライフィールドは続いてツェスト男爵へと向かって行く。

 

 

『オマエノ名前ハ?』

 

「ツェスト=ル=ノワールだ……」

 

『ツエロストル=ノ=ワル。オマエガ犯人カ?』

 

「……ツッコミたいが、私は男のハンカチ等盗んではいない」

 

 

バタフライフィールドはツェスト男爵を凝視し……

 

 

『……ドウヤラ本当ノヨウダナ。昨日ハ幼女ニ魔術デセクハラシテイタミタイダカラナ』

 

 

バタフライフィールドはそう言ってツェスト男爵から離れていく。

 

 

「……何故、わかったんだい?」

 

「「「「おいッ!?この変態を今すぐ制裁しろよ!?」」」」

 

 

バタフライフィールドが次に向かったのは……

 

 

『オマエノ名ハ?』

 

 

学院長のリックだ。

 

 

「わしの名はリック=ウォーケンじゃよ」

 

『リール=トッケン。オマエガ犯人カ?』

 

「……違うぞい」

 

『……オマエモ犯人デハナイヨウダナ……昨日は学院長室デコッソリ精霊デアル妻ト会ッテイタヨウダカラナ』

 

「「「「学院長、どういう事です?」」」」

 

「誤解じゃぞ!?」

 

 

バタフライフィールドが次に狙いを定めたのは……

 

 

『グレン=レーダス。オマエガ犯人カ?』

 

「なんで俺の事知ってんの?」

 

 

マトモに名前を呼ばれたグレンだった。

 

 

『オマエハマスターノソウルフレンドトシテ、登録サレテイル。オマエハ犯人カ?』

 

「……違ぇよ」

 

 

バタフライフィールドの言葉に顔をひきつらせながらグレンは質問に答える。

 

 

『……オマエモチガウヨウダ。昨日ハソコノ金髪女ノ食料庫ヲ食イ漁ッテイタヨウダカラナ』

 

「な、なんの事だかさっぱりだ―――」

 

「成程な……今朝の食料庫が昨日見たより若干少なくなっていたのはそういう事だったのか……」

 

 

バタフライフィールドからもたらされた事実に、セリカは静かな怒りを携えてグレンの背後に立っていた。

 

 

「待ってくれセリカ。これには空より高く、海より深い理由があってだな……」

 

「《とりあえず・吹き飛べ》」

 

「ぎゃああああああああ―――ッ!?」

 

 

魔術で盛大に吹き飛ばされるグレンを無視し、バタフライフィールドは次々と詰問していく。

誰もが変な名前で呼ばれ、昨日の出来事を暴露され、心にダメージを負っていくなか……

 

 

『ココニハ犯人ハイナイヨウダナ……ガッデム!!』

 

 

バタフライフィールドはそう言って外へと向かって行き……

 

 

『犯人ヲ探シテクル』

 

 

そう言って、その場を後にした。

 

 

「……あれ、止めなくていいのかい?」

 

 

誰かが力無く呟くも、誰もバタフライフィールドを止めに行こうとはしなかったが……

 

 

「グレン君、後はよろしく。あれを何とかしないと君、クビね」

 

「学院長!?」

 

 

学院長の鶴の一声で、グレンに押し付けられる事となった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

昼休み真っ只中の中庭で―――

 

 

『ガッデム!!!』

 

「「「「ッ!?!?!?!?!?!?!?」」」」

 

 

バタフライフィールドが空の上から現れ、周りの生徒達が目を白黒させて注目する。バタフライフィールドはそんな事にかまう事なく一人の男子生徒―――カッシュに歩み寄っていく。

 

 

『オマエノ名ハナンダ?』

 

 

相変わらずの迫力ある問いかけに、カッシュは呑まれながらも答えていく。

 

 

「お、俺の名前はカッシュだ……」

 

『ガッシュヨ、オマエガマスターノハンカチヲ盗ンダ犯人カ?』

 

「微妙に違うんだけど……マスターって誰だ?」

 

『ソノ質問ハ最モダ。ヨッテ答エヨウ。マスターノ名前ハオーウェル=シュウザーダ』

 

 

オーウェルの名前が出た瞬間、凄まじく嫌な予感がしたカッシュは全力で逃げようとするも―――

 

 

『質問ニ答エタノニ、オマエハ答エズニ立チ去ロウトスルトハイイ根性ダ。オマエハ犯人デハナイヨウダガ、オマエニハオシオキガ必要ノヨウダナ』

 

 

バタフライフィールドはカッシュの胸ぐらを掴んで持ち上げ、逃げられないようにしていた。そして裁きが下される。

 

 

「や、やめてろはッ!?」

 

 

カッシュの顔にバタフライフィールドのビンタが炸裂し、カッシュは地面を転がり落ち、地面にうつ伏せに大の字に倒れて沈黙した。

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

『ガッデム!!』

 

 

周りの生徒達がその光景に沈黙するなか、バタフライフィールドは同じみの言葉を叫び、そのまま次の人物へと向かって行く。

バタフライフィールドが向かう先にいる人物は、苺タルトを頬張っている青髪の少女―――

 

 

―――リィエル=レイフォードであった。

 

 

 




件の天災オーウェルの開発した魔導人形として登場!
次回はどうなる!?
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