やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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書いてて思う·····この章、都合の塊だ!
てな訳でどうぞ


三十八話(改)

「くっ……」

 

 

レオスは現在、歯噛みしていた

グレンの最初の布陣を確認したレオスは全戦力を各個撃破の為に投入した。

しかし、それが裏目となってしまった。

こちらが一般的には強い三人一組(スリーマンセル)の編成に対し、グレンは『仕方なく』使う二人一組(エレメント)の編成をぶつけてきたのだ。

本来は三人一組(スリーマンセル)一戦術単位(ワンユニット)の方が二人一組(エレメント)一戦術単位(ワンユニット)より強いのだが、練度の差で戦況が拮抗していた。

 

 

「リト君、丘の制圧状況はどうなっていますか?」

 

 

レオスは通信魔導器で丘の制圧チームの隊長役の生徒に連絡を取る。返ってきた言葉は―――

 

 

『…………リト君ではありませーん。ウィリアム君でーす』

 

「な……!?」

 

 

全く予想だにしていなかった返事だった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

――――時は遡る。

 

 

「《雷精の紫電よ》!!」

 

 

四組の丘の制圧組が【ショック・ボルト】を幾つも飛ばしていくが―――

 

 

「……ん」

 

 

リィエルは眠たげな表情のまま、ひらりひらりとかわしていき、敵兵へと近づいていく。

そして―――

 

 

「《雷精よ・紫電の衝撃以て・撃ち倒せ》」

 

 

【ショック・ボルト】を超至近距離で撃ち放った。

 

 

「アババッ!?」

 

 

その【ショック・ボルト】をマトモにくらってしまい、一人脱落してしまう。

他のメンバーはソコを狙って攻性呪文(アサルト・スペル)を飛ばしていくも、彼女に張られている【エア・スクリーン】によって阻まれて、ダメージを与えられずにいる。

ならば、もう一人の方―――ウィリアムに狙いを定めようとするも―――

 

 

「ん」

 

 

リィエルがその場で地面に思いっきり踏み込んでその場から離れると―――

 

バンッ!

 

その場に衝撃気流―――魔術罠(マジック・トラップ)【スタン・フロア】が炸裂し、何名か吹き飛ばされていく。

その近距離から放つ攻性呪文(アサルト・スペル)魔術罠(マジック・トラップ)のコンボによって、四組の制圧組は全員脱落した。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「くっ……まさかグレン先生はこのような駒まで用意していたとは……」

 

 

予想だにしていなかった強力な伏兵にレオスは苦々しい顔をする。しかし、敵が強すぎる等と文句は言えない。

丘の惨敗に歯噛みしながらも、必死に指示を飛ばしていく。

そこにもはや最初の余裕はなくなっていた。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「先公、丘の戦闘は俺らの勝利だ」

 

『……ホント、お前も敵に回したくねぇと改めて思ったわ』

 

 

通信魔導器越しでグレンはそんな事を口にする。今頃、グレンの顔はひきつっているだろう。

ウィリアムがリィエル用に考えた戦法は―――

 

・当たらないなら当たる距離から撃て。

・自身は対抗呪文(カウンター・スペル)魔術罠(マジック・トラップ)に徹する。

・罠の起動はリィエルが好きなタイミングで踏み込んで起動しろ。

 

―――と、実際には通用するか相当怪しい戦法である。

こんな戦法、リィエル以外でやる等無謀の極みだ。

リィエルの身体能力と天性の勘を生かし、かつ一応の戦力にするには十分であった。

……最も殆ど零距離だったのはウィリアム自身も思う所があるのだが……

 

 

「予定通り、俺とリィエルはこの場で待機しとくぜ」

 

 

この戦法、防衛ならまだしも、こちらから攻めるには付け焼き刃ということもあり無理がありすぎる。

レオスも丘の制圧は諦めて、他の戦場に戦力を向かわせる筈だ。

 

 

『ああ。頭上を抑えられたら勝ち目が無くなるし、レオスも丘を利用した戦術を練っていた筈だからな』

 

「後、堂々とサボれるしな」

 

『……お前も相変わらずだな』

 

 

グレンはそれだけ言い、別の通信器の方へ指示を飛ばす。

サボれるようになったウィリアムは、リィエルの今後の魔術戦について考えてみる。

やはり、どう考えても遠距離戦はリィエルには一向に向いていない。

もういっその事、魔闘術(ブラック・アーツ)の剣バージョンをやらせたらいいのでは?と、現時点では不可能な事を考えながらウィリアムは戦場を見ていた。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

魔導兵団戦はグレンがあの手この手を使った事で引き分けという結果に終わった。

 

 

「けど、これでよかったのか?先生」

 

「……あぁ、それは……」

 

 

おそらく、元々引き分けにするつもりだったであろうグレンは何かを言いかけようとするも―――

 

 

「まだ勝負は終わっていませんよ!?」

 

 

顔色が悪くなっているレオスがグレンに詰め寄っていく。

グレンが引き分けでお互いシスティーナから身を引くよういうも、レオスは左手の手袋を投げ飛ばし、グレンに決闘を申し込んだ。

 

 

「……いいぜ、何だかんだで逆玉は魅力的だからな」

 

 

グレンは道化を演じたまま、その決闘を受け入れた。

それに対しシスティーナは―――

 

 

「……最低!」

 

 

グレンの頬を叩いてその場から去っていった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

「何故こうなった……?」

 

「すぅ……」

 

 

帰りのコーチ馬車の中、ウィリアムは現状に頭を悩ませる。

ウィリアムの膝の上にはリィエルが眠りこけており、正面には不機嫌なシスティーナと悲しげなルミアがいる。

ウィリアムとしては他の馬車に乗るつもりだったのだが、リィエルに腕を引かれて花畑に乗る事となった。

当然、男子生徒から凄まじい嫉妬の視線がグサグサと突き刺さったが……

 

 

「システィ……」

 

 

ルミアがシスティーナにあの日の事を教え、グレンともう一度話し合うように言う。

それでウィリアムもちょっとだけ話す事にした。

 

 

「もし、先公と話し合うなら覚悟しておいた方がいいぞ」

 

「?どういうことよ?ウィリアム」

 

「確実に先公の傷に触れるからだ」

 

 

ウィリアムのその言葉でシスティーナは息を呑む。

 

 

「わりぃが俺に言えるのはここまで。これ以上は予想でしかないし、無暗に話していいことじゃないしな」

 

「……それでも、ちゃんと先生と話し合ってみる」

 

 

確かな目で決意するシスティーナに―――

 

 

「あっそ」

 

 

ウィリアムは軽い言葉で返した。

 

 

 

 

 

その翌日、レオスとシスティーナの婚約が正式に発表された。

 

 

 




先に出させる暴挙······
リィエルの魔術戦、現実になりそうでこわいなぁ·····
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