やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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大丈夫····大丈夫の筈
てな訳でどうぞ


四十一話(改)

「《美の商人(ブローカー)》……だと?」

 

 

ブレイクの名乗りにウィリアムは訝しげな表情となる。

 

 

「どうやら我輩の事はご存知のようですなぁ」

 

 

ブレイクの言う通り、ウィリアムは目の前の男―――《美の商人(ブローカー)》についてある程度知っている。

 

美の商人(ブローカー)》。外道魔術師等に魔術関連の品を売り渡し、犯罪行為を助長している者の二つ名だ。

しかし、奴自身は直接、その犯罪行為に加担しておらず、時として売り渡した相手を殺しすらする。

そして、売り渡す時に必ずこう口にするそうだ。『貴方の美しさを観察させてもらう』と。

故に《美の商人(ブローカー)》と呼ばれている。

 

 

「アンタがこの茶番劇の黒幕か?」

 

「外れですな。我輩はお手伝いでありますぞ」

 

「……じゃあ、誰の手伝いだ?」

 

「ジャティス=ロウファン」

 

 

ブレイクの回答にウィリアムは面をくらった顔をする。しかしすぐさま、目を鋭くさせる。

 

 

「あのぶっ飛んだ野郎が、どういう目的でこんな事をやらかした?」

 

 

その問いにブレイクは歌うように語っていく。

 

 

「《愚者》への『挑戦』ですぞ。彼の者(ジャティス殿)は己が『正義』を確固たるものへと、揺るぎなきものへと昇華するために、そして『禁忌教典(アカシックレコード)』を手にする資格を得る為に、自身を倒した《愚者》にリベンジを果たす為、このシナリオを描いたのです。ああ、ちなみに『天使の塵(エンジェル・ダスト)』で目撃された貴方そっくりの人物は我輩が作った人形ですぞ」

 

「……色々と突っ込みたいが、『禁忌教典(アカシックレコード)』ってなんなんだよ?」

 

「残念ながら、口で語れるものではありませんなぁ。強いていうなら…………最も美しき存在、ですかな?」

 

「じゃあ、アンタはそれを掠めとろうという魂胆か?」

 

 

ウィリアムのその言葉に、ブレイクは心外と言わんばかりに語る。

 

 

「まさか!アレは手に届かぬからこそ美しい存在!我輩はアレを手にするつもりは毛頭ありませんぞ!」

 

「……」

 

「だが、同時にある疑問も浮かび上がるのです。誰かがアレを手にした時、その美しさは一体どうなるのかと」

 

「……」

 

「あの酷く醜く穢れたかの組織の手に落ちれば、その美しさが穢れるのは一目瞭然。かといって我輩が仮に手にしてもその美しさを観察する事はできない。その悩みの最中、彼と出会ったのです」

 

「……」

 

「彼は真実を知りながらも腐らず、己の心血を注ぐ確かな信念と自らを誤魔化さない意思を持っていた。周りは彼を狂人と呼ぶが、信念に殉じる者はみな元より狂人の類いだ!それをマトモと呼ぶなら彼も我輩も十分マトモな人間だ!!そしてそういった己を信じ、己の命を賭け、己であり続ける信念を持っている者はとても美しい!だから我輩は彼の者に手を貸す!我輩の人生において最大の『美』の探究の為に!!!その為なら多少の実力行使の手助けも致し方無しですぞ!!!!!」

 

「……じゃあ、手にしてソレが穢れたらどうするつもりだ?」

 

「もちろん―――殺しますぞ」

 

 

ブレイクは当たり前と言わんばかりにあっさりと言い切った。

 

 

「無論、彼もそれは承知の上。だから我輩と彼との間には信頼も信用も一切無い。ただ、目的の為に利用し合う、隙あらば殺す、そういった関係なのです」

 

「……滅茶苦茶だな」

 

 

ウィリアムは長話にうんざりしながら、ブレイクに拳銃を向ける。

 

 

「まぁ兎に角、アンタをぶっ飛ばして先公らの元へ急ぐだけだ」

 

「出来ますかなぁ?中途半端な貴方に」

 

「……何が言いたい?」

 

「では問いましょう。貴方は何故、中毒者達の最初の襲撃で生温い手で迎撃したのかを」

 

「そんなん、システィーナに配慮した―――」

 

「いいや違う。貴方は―――拒絶されるのを恐れただけだ」

 

 

持っている本を開いたブレイクの指摘に、ウィリアムは息を呑んでしまう。そんなウィリアムを余所にブレイクは容赦なく指摘していく。

 

 

「貴方は大切な人達を『見捨てた』罪悪感から力をつけた。そして同時に恐れていた。助けたい大切な人達から拒絶される事を」

 

「……」

 

「実際、二人と引き離されてから貴方は容赦なく中毒者を始末していた。それが何よりの証だ」

 

「……」

 

「《戦車》の時もそうだ。彼女にかけられた暗示を解き、心が壊れるのを恐れていたのと同時に、彼女に恨まれ、嫌われ、拒絶される事を心の奥底で恐れていた。だからあのような事態に陥るまで―――何もせずに放置した」

 

「……れ」

 

「自分可愛さから『見捨てて』おきながら、失いたくないと願いながら、自分可愛さから拒絶を恐れる。これを中途半端と言わずなんというのでしょうか?」

 

「黙れェエエエエエエエエエエエ―――ッ!!!」

 

 

ウィリアムは咆哮と共に銃弾をブレイクへと放つ。

しかし、ブレイクの前に瞬時に召喚されたゴーレムによって防がれてしまう。

 

 

「デタラメ言ってんじゃねぇよッ!」

 

「デタラメかどうかは……貴方が一番ご存知だと思いますが?」

 

 

その言葉にウィリアムは歯軋りするしかなかった。ブレイクの指摘は―――見事なまでに的中していたからだ。

 

 

「……兎に角、テメェはぶっ潰す!!」

 

「フハハハッ!!では、貴方の『美しさ』を観察すると致しましょうぞ!!!」

 

 

 

激情と探究がぶつかり合い、激戦の幕が切って落とされる―――

 

 

 




精神攻撃は基本(愉悦)
やっぱりタグを追加するべきか····?
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