てな訳でどうぞ
四十五話(改)
ああ……此処に居ていいんだな。
あの優しく、穏やかで暖かい、あの日向の世界に。
見捨てた罪悪感から悩み、背を向けようとして―――
それを、救えなかった彼女の記憶を受け継いだ少女が引き留めてくれた。
そんな暖かな居場所である教室でウィリアムは―――
「zzzzzz…………」
……普通に寝ていた。授業開始前ではあるが。
「すぅ……」
しかも、リィエルもウィリアムの肩を枕変わりにして一緒に寝ているという、何とも言えない光景ができていた。
そんな二人の仲睦まじい光景に女子は微笑ましい目を、男子は血涙を流さんと言わんばかりの嫉妬の目を向けている。
特に、端から見ればバッカプルのような二人に、男子達の
そんな思春期特有の空気が漂う中、ウィリアムは開始の十分程前で目を覚ます。
「……ふぁ~……」
ウィリアムは軽く欠伸をし、次いでまだ寝ているリィエルを肩を揺すって起こしにかかる。
「ん……」
リィエルも目を覚まし、相変わらずの眠たげな表情のままウィリアムを見やる。
「……もっと寝たかった」
「あんだけ寝たのに、開口一番で文句かよ。それと授業中は寝るんじゃねぇぞ」
「……ん。頑張ってみる」
本当に相変わらずのリィエルに、ウィリアムは背伸びしながら呆れた顔となる。
成績だって結構ヤバいのに、普段の行動にも問題があるから進級できるのか相当心配している。
どうやってリィエルの残念な頭に知識を詰め込むか、頭を悩ませていると―――
「はぁ~~……」
前の席にいるシスティーナから元気の無いため息が洩れていた。
しかも机に突っ伏しており、落ち込んでいるようだ。
「システィーナ、元気ない……どうしたの?」
その様子に、リィエルがシスティーナに理由を聞こうとする。その理由はシスティーナの隣に座っているルミアが教えてくれた。
どうやら、システィーナはB++ランクの遺跡調査に参加しようと立候補したが、今回も落選したため落ち込んでいたそうだ。
難癖に近い事も言われたそうだが……
「まぁ、当然の結果だろうな。お前は下手すりゃ、興奮して一人で勝手に進みそうだし」
「うぅ……」
ウィリアムの指摘に、システィーナは言い返せずに唸る。
遺跡調査は常に危険が付きまとう。経験も浅く、力量も低いシスティーナが落選するのは必然ともいえた。
そんなシスティーナをルミアが励ましていると―――
「お早う、諸君!」
グレンが颯爽と現れ、教壇へと立つ。
そして学院から遺跡調査を頼まれ、『タウムの天文神殿』への調査隊員をこのクラスの有志で募るのだが―――
「……やれやれ。相変わらずですね、先生」
ギイブルが皮肉めいた発言する。
そして、昨日からの噂―――グレンが魔術研究の成果をまとめた定期報告論文を書いて、否、研究自体をしておらず、講師を免職になりかけており、今回の遺跡調査でそれを逃れようとしている事を告げる。
それに対しグレンは―――
「な、なんのことだか、サッパリだなー!?」
滅茶苦茶動揺していた。
ギイブルによって容赦なく実情をバラされたグレンは恥も外聞もなく、ジャンピング土下座をかまして生徒に同行を頼みこんできた。
そんなグレンにルミアは自ら同行を申し出て、リィエルもルミアに続くように参加表明し―――
「ウィルも一緒にいこ?」
「……まぁ、そうだな。折角だし行ってみるか」
リィエルの誘いにあっさりと了承し、ウィリアムも遺跡調査に参加する事にした。
リィエルに対して甘くなっていると自覚しつつも―――
(上手くいけば普段の授業よりサボれるしな)
……ウィリアムもグレン同様、そこまで変わっていなかった。
その後も、ギイブル、カッシュ、セシル、リンにテレサと参加者が決まっていき―――
「ウェンディ。お前にも同行してもらいたい」
グレンがウェンディを名指しで指名し、グレンの最初に提示した人数に達する。
その後、見栄とプライドで参加表明の機会を逃してしまったシスティーナは、ルミアのフォローとそれに気づいたグレンの煽りにより、無事に遺跡調査に参加する事ができた。
―――――――――――――――
―――遺跡調査の出発前日、地下の作業部屋にて。
「ふぅ……これで修繕は終わったな」
ウィリアムは目の前に並べられた、一・七メトラ近くある四枚の六角形の棺桶の蓋らしきもの―――大盾型の魔導器《詐欺師の盾》を見やる。
表面はルーン文字が幾つか刻まれた碧い金属が差し込む様に取り付けられており、裏面には持ち手部分と外付けされた箱、その箱の左右に
「まずは確認だな……《目覚めよ盾・我が意に従い・我が身を守れ》」
ウィリアムが三節で詠唱すると、外付けの箱と左右の小銃が光り、四枚の盾が空中へと浮き上がる。
外付けの箱には魔導演算器と魔力増幅回路が内臓されており、半自動制御で動かす事ができる。
「続いて本命っと……《
ウィリアムがそう詠唱すると、碧い金属―――《ディバイド・スチール》に刻まれたルーン文字が一瞬光る。
ウィリアムは拳銃で《ディバイド・スチール》を叩くと、カンッ、と心地いい音を鳴らす。
「こっちは問題無し……《
別の呪文を詠唱すると、先程と同じようにルーン文字が一瞬光る。
先程と同じように叩くも、今度は音も無く受け止められる。
「問題なく特性は機能しているな……《
今度は《ディバイド・スチール》全体が光り、盾を中心として、周囲に碧色の魔力障壁が半球状に形成される。
その魔力障壁に錬成した銃弾を撃ち込むと、先程と同じように音も無く受け止められ、それと同時に錬成した銃弾が崩れて消えていく。
「最後に、《
そう唱えると光りが収まり、同時に魔力障壁も解除される。
全て問題無し、長い修繕もようやく終わった。
これで守りに関してはぐっと楽になる。
この魔術金属《ディバイド・スチール》は防御だけに関しては、ほぼ絶対的な効力を有しているからだ。
だが……
「……まさか特性を封印した状態だと錆びやすく、特性も失われるとはなぁ……」
修繕が面倒だったから、今後からはほったらかさずにちゃんと手入れしておこう。
そう誓うウィリアムであった。
考案して思った
この盾······チートだ
もちろん、強力故の欠点も存在するが······
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