やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

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相変わらずの駄文である
てな訳でどうぞ


四十七話(改)

現在、馬車内は圧倒的な気まずい空気に包まれていた。

その原因は、余裕の表情で本を読んでいるセリカにある。

セリカには様々な伝説と魔術師としての凄まじい力量、それらがもたらす背景に周りが完全に萎縮しているからだ。

システィーナがこの空気を何とかしようとセリカに話しかけるも―――

 

 

「さっきの魔獣退治の時、どうして剣を使ったんですか?」

 

「?いや、私が攻性呪文(アサルト・スペル)をブッパしたら、お前達まで吹っ飛んじゃうじゃん?地形も霊脈(レイライン)も変わっちゃうし」

 

 

ぶっ飛んだ返しで逆効果に終わる。

そんな空気の中でも、ウィリアムはジト目で()()()()()のセリカの左肩を見つめている。

 

 

「……誰も何もしねぇから普通に姿を見せとけよ……ファム」

 

 

ウィリアムの言葉にセリカ以外がいぶかしんでいると、セリカの左肩から一羽の鴉が最初から留まっているかのように突然現れる。

突然現れた鴉に周りが目を白黒させていると―――

 

 

「その鴉、ひょっとして……ファントム・レイヴン!?」

 

 

システィーナがその鴉―――ファムの正体を見抜いた事で一気にファムに驚愕の視線が注がれる。

 

 

「マジかよ……!」

 

 

カッシュが目を煌めかせてファムに近づいていくと……

 

 

「あ、あれ?」

 

 

不意にファムを見失ったかのように周りをキョロキョロと見回し始める。

ファムは自身の能力を使って、カッシュにだけ自分の存在を遮断したのだ。そのままファムは、カッシュの頭に近づいて―――

 

 

「イッテェッ!?」

 

 

嘴で思いっきり、カッシュの頭をつついた。

 

 

「……ファムに契約する気はないぞ。今のはその意思表示だ」

 

 

痛みで頭を抑えるカッシュにウィリアムがそう説明する。

前回の一時契約も旧知の仲と、高級魚で作られた高価な餌を一週間与える約束で実現できたものだ。

一時でさえそれなのだから、使い魔契約等、夢のまた夢なのだ。

セリカもファムのその意思を尊重して、本当に必要だと感じた時以外は、契約を結ぼうと迫りはしない。亡くなった友の盟友というのもあるが。

 

 

「そういや教授は俺の師匠と知り合いだったよな?」

 

「ああ。アイツの持ってくる酒はどれも絶品だったぞ」

 

 

あぁ、やっぱり手紙のやり取りで知ってたんだな、と思いつつ話を進める。

 

 

「師匠は相当な放浪癖を持ってたみたいだからなぁ。色々知ってたんだよな、東方の文化とか」

 

「……前々から思ってたけど、ウィリアムの師匠って一体誰なのよ?」

 

「……あ~、そいつは……」

 

 

システィーナの質問に、ウィリアムは言葉を濁して誤魔化そうとするも―――

 

 

「コイツはユリウス=エンデの弟子だよ」

 

 

セリカがアッサリとバラした事で周りが騒然となる。

 

ユリウス=エンデ。

 

第七階梯(セプテンデ)に至った人物で、《消滅の守護者》と恐れられていた錬金術師だ。

ウィリアムは再び重くなった空気に頭を抱える。言えば確実にこうなると分かっていたから言葉を濁したのに、わざとバラしたセリカのせいで台無しとなった。

 

 

「……ん……?……セリカ……?……いたの?」

 

 

そんな空気を、目を覚ましたリィエルが解きほぐしてくれた。

セリカが読んでいた本―――『メルガリウスの魔法使い』からグレンの昔話へと広がっていき、セリカがグレンの昔話に華を咲かせて、周りの緊張が解れていった。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

―――到着した『タウムの天文神殿』内にて。

 

 

「《我は射手・原初の力よ・我が指先に集え》!」

 

「《魔弾よ》!」

 

 

調査組は、黒魔【マジック・バレット】で襲いかかってくる狂霊を掃討していた。

どうやら長年放置されたせいで、狂霊達がわんさか湧いていたようだ。

 

 

「メンドクセ……《魔弾よ》」

 

 

ウィリアムはうんざりしながら、【マジック・バレット】で狂霊を撃ち抜いていく。

本音を言えば人工精霊(タルパ)でさっさと掃除したいが、実戦経験を積ませるいい機会という事と、人工精霊(タルパ)を使った後の周りへの言い訳が凄まじく面倒なため、敢えて【マジック・バレット】で狂霊を倒していた。

途中、セリカのぶっ飛んだ技量に呆然としつつも、遺跡内を進んでいく。

遺跡の説明の中、リィエルが壁を壊せばいいと物騒な事を呟くも、霊素皮膜処理(エテリオ・コーティング)によって完全固定されているから不可能だとセリカは説明する。

そんなやり取りをしながら、一行は第一祭儀場の入り口へと辿り着く。

 

 

「一応、俺が安全確認してくるから、お前らはここで待ってろ」

 

 

グレンが安全確認の為、そう言って一人で部屋の中へと入って行く。

そして安全の確認がとれ、第一祭儀場の調査が開始される。

ウィリアムはリィエルと一緒に入り口を見張る事にした。比較的楽という理由で。

祭儀場に入った際、グレンの様子がちょっとおかしかったが、ウィリアムは特に気にしなかった、が……

 

 

「…………」

 

「?ウィル、どうしたの?」

 

 

祭儀場の入り口で周りを見渡すウィリアムに、リィエルが不思議に思い問いかけてくる。

 

 

「イヤ……何か妙な視線を感じるというか……」

 

「?」

 

 

ウィリアムの要領の得ない言葉にリィエルは首を傾げる。

さっきから誰かに見られているかのような視線をウィリアムは感じているのだが、周りを見渡しても誰もいないのだ。

 

 

「ワリ、どうやら気のせいみたいだ」

 

 

ウィリアムは自分の勘違いと判断し、一応の見張りに務める事にした。

そんなウィリアムを―――

 

 

『…………』

 

 

異形の翼を持つ一人の少女が探るように見つめていた……

 

 

 




·····うんヒドイな、うん
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