やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

97 / 215
ホント、妄想だだ漏れだよ
てな訳でどうぞ


五十話(改)

セリカのものと思しき新しい足跡を頼りに五人は進んでいく。

時折、襲い掛かってくるミイラ達を撃退しつつ、まるで『塔』のような建造物を踏破していく。

そうして、時間の感覚があやふやになる程下を目指して歩いていると、通路の奥から低い地鳴りのような轟音が響いた。

 

 

「今のは……ッ!?」

 

「……多分、セリカの魔術だ……」

 

 

グレンの言葉で一斉に駆け出し、通路の奥にあるアーチ型の出入口をくぐり抜ける。

くぐり抜けた先は、闘技場のような大広間で、正反対に位置する巨大な門の前で、セリカは大量の死者達と戦っていた。

 

 

「《 《 《失せろ》 》 》ッ!!」

 

 

その一言の詠唱で、収束稲妻砲撃(【プラズマ・カノン】)が、灼熱業火の津波(【インフェルノ・フレア】)が、絶対零度の結界(【フリージング・ベル】)が同時に起動し、襲いかかる死者達を力づくで破壊していく。

その光景に呆然としていると、部屋全体に霊的な奈落―――霊的存在を問答無用で虚無の奈落へと引きずり堕とすというコンセプトから禁呪指定された召喚儀【ゲヘナ・ゲート】―――が形成され、残りの死者達が奈落へと落ちていく。

静寂が訪れ、死者達を蹂躙しつくしたセリカに一同は駆けよっていく。

 

 

「セリカ!」

 

「…………グレン……?」

 

 

グレンの呼び掛けでこちらに気づいたセリカは、緩慢な動作で振り返る。

グレンがセリカの軽率な行動を咎めて帰るよう促すも―――

 

 

「グレン!私はやっと、失われた過去の手がかりを見つけたんだ!」

 

 

セリカの突然の言葉に、硬直してしまう。

セリカはそんな周りを気にすることなく語り始める。

 

セリカ曰く、あの光の扉―――《星の回廊》を行き来していたことを漠然と思い出した事。

そして、此処はアルザーノ帝国魔術学院の地下迷宮、その地下八十九階との事。

あの地下十階から地下四十九階―――構造が定期的に変化し続ける《愚者の試練》の階層を超えていると。

―――そして、この『門』の向こうに自分の全てがあるということを。

セリカはそのまま、吸い寄せられるように、巨大の門へと歩み寄ろうとするも―――

 

 

「駄目だ」

 

 

グレンがそんなセリカの腕を掴んで引き留める。

今までの死者達の言葉から、セリカの過去は相当ロクでもないことを伝え、自分にはそんなのは関係無いから一緒に帰るよう、セリカを説得しようとするも―――

 

 

「嫌だ……ッ!それじゃあ、私は…………」

 

 

セリカはグレンの言葉を拒絶して手を振りほどき、詠唱しながら門へ向かって駆け出す。

セリカの左手から放たれた光の衝撃波―――【イクスティンクション・レイ】が門へと直撃する。

光の衝撃波を受けた扉は―――無傷。

何事も無かったかのようにそびえ立っていた。

悔しがるセリカにグレンは近づき、再び説得しようとしていると―――

 

 

『門に触れるな、下郎共』

 

 

地獄の底から響くような声と共に、闘技場の中央から緋色のノーブで全身を包んだ謎の存在が現れた。

その存在―――魔人が放つ異質性にウィリアムは直感で悟る。

 

 

―――ヤバすぎる、と

 

 

あの魔人は自分達とは格が違いすぎる。例えるなら、何も知らない子供がドラゴンに襲われるくらいの差を、あの魔人から感じられる。

それをグレンとシスティーナ、ルミアにリィエルも感じ取っており、魔人の放つ雰囲気に呑まれかけている。

セリカだけは、普段の冷静さが失われいるせいか、それに気づけていない。

 

 

『……貴女は……(セリカ)か。我が主に相応しき者よ』

 

 

魔人はセリカを見て、そう呟く。

 

 

「は……?」

 

『だが、今の汝にその門を潜る資格無し……お引き取り願おう……』

 

 

魔人は一方的に言い、彼らへと向き直る。

その手には、いつの間にか刀が握られており、左手に紅の魔刀、右手に漆黒の魔刀を携えている。

 

 

『愚者の民よ。生きて帰れると思わぬ事だ……亡者と化し、この《嘆きの塔》を永久に彷徨うがいい―――』

 

 

明確な敵意と殺意が魔人からぶつけられる。

セリカはそれにも気づかず、魔人へと突進し、B級軍用魔術の超高熱の紅炎を魔人へと放つも―――

 

 

『……児戯』

 

 

左の刀をその紅炎へと軽く振るって―――かき消した。

 

 

「――ハッ、対抗呪文(カウンター・スペル)の腕は相当だなッ!?」

 

 

セリカは今のを対抗呪文(カウンター・スペル)と解釈したが、今のはそんなものでは無い。

対抗呪文(カウンター・スペル)は一定の威力規格を超える攻性呪文(アサルト・スペル)は打ち消すことは出来ない。

セリカが放ったのは、B級の軍用魔術―――打ち消せない威力の魔術だ。

 

 

「違うぞセリカ!今のは対抗呪文(カウンター・スペル)じゃないッ!!」

 

 

グレンが警告するも、セリカは聞く耳持たず。【ノード・エクスペリエンス】で真銀(ミスリル)の剣の記憶された剣技を憑依させ、魔人に斬りかかる。

甲高い音と共に両者がすれ違うと、セリカは狼狽えた顔となった。

 

 

「な、なんで解呪(ディスペル)されて……」

 

『……我が左の魔刀に、そのような小賢しい児戯は通じぬ……そして、(セリカ)よ……ッ!我は汝に対する失望と憤怒を抑えきれぬ……ッ!!』

 

 

魔人はそれだけ言い、瞬時にセリカの後ろへと回り、右手の魔刀を稲妻の如く振るう。

セリカはかろうじて避けて、背中の小さな傷だけで済んだが、急に力が抜け落ちたかのように倒れてしまう。

 

 

『……我が右手の魔刀に、触れた貴様はもう終わりだ……』

 

 

魔人はそのままセリカに近づき、右手の魔刀を首筋に当て、トドメをさそうと―――

 

 

「っざっけんなぁああああああああああ―――ッ!!」

 

 

したその時、グレンの早撃ち(クイック・ドロウ)からのファニングが炸裂し、六条の火閃が魔人へと迫る。

 

 

『ム―――ッ!?』

 

 

その不意討ちにより、一発が魔人の心臓を貫抜くも、残りの五発の銃弾は魔人の剣線によって弾かれる。

 

 

『なんだ、その妙な武器は?爆裂の魔術で鉛玉を飛ばす魔導器か?』

 

 

後退しながら、魔人はグレンの銃を注意深く見る。

心臓を貫抜いても平然としている魔人に、グレンは焦燥に急かされ、弾倉を交換しようとするも、魔人は一気にグレンにへと肉薄する。

 

 

「させるか!」

 

 

ウィリアムは【騎士の剣(ナイツ・ソード)】をすぐさま何体も具現召喚し、魔人に向けて発射するも―――

 

 

『―――児戯!!』

 

 

魔人の剣線により、黄金の剣は瞬時に砕かれたり、左の魔刀に触れた瞬間に霧散する。

その間にシスティーナがルミアのアシストを受けた【ブラスト・ブロウ】を放つも、左の魔刀でアッサリと防がれる。

その後、リィエルの奇策で魔人は斬り飛ばされるも―――

 

 

『―――見事なり』

 

 

魔人はやはり健在。負傷が初めから無いかのようにまったく見えない。

 

 

『……行くぞ、愚者の子らよ…《■■■―――》……』

 

 

魔人が呪文らしきものを唱えると、頭上から太陽のような燃え輝く球体が形成されていく。

 

 

(あれはマズイ―――ッ!!)

 

 

ウィリアムは間に合うか判らぬまま、圧縮凍結を施して持ってきていた《盾》を取りだそうとするも、グレンが愚者のアルカナを取りだそうとする光景を見て思わず動きを止めてしまう。

その一瞬が命取りとなった。

 

 

『《――■■■■》……逝ね』

 

 

魔人の魔術が完成し、頭上の太陽球が一際強く輝く。

ウィリアムはもう間に合わないと悟りながらも《盾》を取りだそうと―――

 

 

「……え?」

 

 

したが、いつの間にか世界がモロクロ調に染まり、魔人も、その頭上の太陽も停止している。

その不可解な現象に戸惑っていると―――

 

 

『……早く来なさい。貴方達』

 

 

不意に響いてきた声に、全員が背後を振り返る。

そこにいたのは、真っ白な髪、暗く淀んだ赤い瞳。極薄の衣と背中から異形の翼が生えている少女だった。

そして、その少女の顔は―――

 

 

 

―――ルミアと瓜二つだった。

 

 

 




魔術ではない人工精霊は、あの魔刀の影響を受けるかは正直微妙な所でした
主人公の裏技で出す人工精霊は魔術扱いなので魔刀の影響を普通に受けます
ちなみに主人公が普通に使えてるのは、空気中に漂う元素や物質をかき集める様にして錬成しているからです
そんな無茶振りだから長時間の固定は出来ないのですよ
感想お待ちしてます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。