やる気なしの錬金術師   作:厄介な猫さん

98 / 215
····多分、相当ヒドイんだろうな
てな訳でどうぞ


五十一話(改)

ルミアそっくりの少女の手引きによってその場から離脱した一同。

モロクロ調の世界が元に戻る頃に、少女に何者かと問うと―――

 

 

『そうね……今はナムルスと名乗っておくわ』

 

 

あらかさまな偽名で返された。

その後も質問しても彼女はのらりくらりとかわしていくし、喋ろうとしない。

分かったのは精々、遺跡限定の幽霊という事と、ルミアを相当嫌っているという事位だ。

そんな敵意をぶつけられても、ルミアは助けてくれた礼をナムルスに伝える。

ナムルスはこのまま教えた通りに進むよう、頭を冷やしてくると言って、その場から消えていった。

 

 

「……う…ん……?」

 

 

その直後にセリカが目を覚まし、グレンがセリカに容態を聞く。

どうやら、あの魔人の右の魔刀は斬った相手の霊魂を喰らって、自らの力として吸収するようであり、その為、セリカは霊魂に多大なダメージを負っており、下手したら魔術が二度と振るえない程だそうだ。

そして、セリカは足手まといとなった自分を置いていくように言い出す。

 

 

「……そんな事、できるかよ」

 

 

グレンはセリカの弱音をキッパリと拒絶する。

その後もセリカは置いていくように言い続けるも、グレンは全く曲げずに、家族だからという理由で突っぱねる。

 

 

「本当に……私達は……家族、なのか……?」

 

 

セリカはそのまま、胸の想いを吐露する。

遺跡探索に拘っていたのは、最初は『内なる声』によるものだが、今は自分の秘密を解き明かし、グレンと同じ時を生きる『人間』になりたかったのだと。

そんなセリカにグレンははっきりと大切な『家族』だと伝える。

永遠者(イモータリスト)』だろうと、悪魔だろうと、魔王だろうと、大切なたった一人の『家族』だと。

グレンの心からの言葉を受けたセリカは再び眠りにつく。

それを生暖かい目で見つめられていた事に、グレンは気恥ずかしそうに顔を背ける。

そして、再び現れたナムルスと共に、地下迷宮を進んで行く。

 

暫く進んでいると、遂に背後からあの魔人の気配が伝わってきた。

まだ出口まで辿り着くには遠く、確実に追いつかれる。

グレンが自ら足止めを買って出るも、ナムルスがそれを引き止める。

ナムルスとしては、グレンとセリカには生き伸びてほしいそうだ。

なら―――

 

 

「だったら、俺がここに残る」

 

「ウィリアムッ!?」

 

「しゃあねぇだろ。議論する時間すら勿体ねぇんだ。なら、俺が時間を稼ぐしかねぇだろ」

 

 

ウィリアムは覚悟を決めてグレン達にそう告げ、《詐欺師の盾》を一つ解凍し、左手に携える。

 

 

「これが何処までアイツに通じるか判らねぇが、防御と足止めに徹すりゃ多少は時間を稼げるはずだ」

 

 

この《盾》なら、少なくともあの太陽球は防げる筈。

そう伝えようとした矢先―――

 

 

『……貴方、その盾の金属、どこで手にいれたの?』

 

 

ナムルスがいきなり問い質してきた。

 

 

「は?」

 

『早く答えなさい。その盾に取り付けられた碧い金属を、一体どこで手にいれたの?』

 

 

懐疑的な目を向けてくるナムルスに、ウィリアムは時間が惜しいから手早く答える。

 

 

「自分で作ったもんだ。分かったら早く先公らを連れて行け」

 

『自分で作った?…………』

 

 

ウィリアムの答えに、ナムルスは考える仕草をする。そして―――

 

 

『だったら、貴方もここで死ぬわけにはいかないわ』

 

「はぁ!?ふざけてんのか!?」

 

『ふざけてないわよ!それを本当に貴方が作ったのなら、貴方にも生き伸びてもらわなきゃ困るのよッ!!』

 

「ならどうするつもりだ!?このまま追い付かれて全滅させるつもりか!?」

 

『ならせめて、アイツを倒せる手段をこの場で出しなさい!!』

 

「あの不死身ヤローを倒せる手段なんざ持ってねぇよ!!」

 

 

ナムルスの意味不明な言葉に苛立ちを増しながら、ウィリアムは激しく言葉をぶつける。

そこにグレンも混ざり、まさに一触即発の激しい言い争いになろうとした時、ずっと考え込むように黙っていたスティーナが割って入る。

 

 

「だったら……みんなであの魔人と戦って、倒しましょう……私の推測が正しければ……」

 

 

システィーナは『メルガリウスの魔法使い』の本を取りだし、あの魔人が物語に登場する魔将星の一人―――魔煌刃将アール=カーンの可能性を指摘していく。

二振りの魔刀とあの不死性―――物語のアール=カーンは十三の命を持っているとの事。

確かにあの魔人がアール=カーンなら打倒する手段と攻略法は存在する。

物語では七回死んでおり、闘技場では二回殺したので、命のストックは残り四つ。

勝機の芽は十分にあるが、これは賭けである。

本当にあの魔人がアール=カーンなら、今の段階で高確率で三回は殺せる。だが、四回目が怪しいのだ。

そんな思い悩むグレンに―――

 

 

「先公、上手くいけば奴を倒せるかもしれねぇ…………相当、危険な賭けだが」

 

 

ウィリアムがその言葉と共に、その危険な賭けを話した。

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

迷宮内の空中庭園らしき場所。

そこで彼らは魔人を迎え討つ事にした。

広間にはグレンとリィエルにウィリアム、広間から少し離れた二、三メトラ程高い位置にシスティーナとルミアが待機している。

ウィリアムは四つの《詐欺師の盾》を浮遊状態にし、隠蔽の魔術を施して、二つを広間の隅に、一つは後方のシスティーナ達の近くに、残りの一つは眠っているセリカの傍に待機させている。

ウィリアムのあの策は最終手段―――ギリギリの策だ。そうなる前に本人も含め、あの魔人と決着をつけなければならない。

やがて、魔人が遂に階段から姿を現した。

 

 

『我に立ち向かうか……我に敵わぬと知り、牙剥くその蛮勇は愚か。だが、天晴れ』

 

 

魔人はそう言い、ゆっくりと階段を登ってくる。

そんな魔人に、グレンは精一杯、余裕の演技で小馬鹿にするように言い放つ。

 

 

「そうかねえ?あと四回殺せば、テメェは死ぬんだろ?」

 

『……』

 

「古代の英雄サマに俺一人じゃ無理だろうが、五人で戦えば、テメェに勝てる。命が残り四つなら……なんとかしてやるぜ?」

 

 

グレンの渾身の釜賭けに魔人は―――

 

 

『……良いだろう。汝等がいかに我が秘中を知ったかは与り知らぬが……その群の力を以て、我を四度殺してみせよ。愚者の民草共よ』

 

 

見事に引っ掛かり、決定的な言葉を吐いた。

 

 

「さぁ、行くぞッ!!」

 

「ん。任せて!」

 

「ああ!」

 

「援護するわよ!」

 

「うん!」

 

 

グレンの号令により、壮絶なる戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 




感想、欲しいなぁ·······(高望み)
感想お待ちしてます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。