プロローグ
俺は洞窟の中を歩いていた。
所々にある松明により、洞窟内は薄暗いが、よく見える。なので、前方から来る敵にもすぐに気がついた。
人より幾分大きな二足歩行のトカゲ……ブラックリザードマン。
すぐに俺は大盾を構えた。ブラックリザードマンはその海賊が持っていそうな剣……カトラスを振り回し、俺に攻撃を放ってくる。
俺は奴の剣を盾で弾いて片手剣で奴の胴を切り裂く。ダメージが入った。しかし、すぐさまブラックリザードマンは攻撃をしかけてきた。俺は大盾でその攻撃を受けて弾いて攻撃するの繰り返しをした。攻撃は奴の小盾に時折阻まれ、ダメージが入らないこともある。
俺にも隙が出来ることがあり、ブラックリザードマンの攻撃を許してしまうこともあった。
俺の頬に仮想現実では流れない筈の汗が流れたような気がした。
ブラックリザードマンは型を構えた。すると刀身が淡く光った。ブラックリザードマンはソードスキル【スラント】を繰り出した。
俺はそれを大盾で受け止めた。ソードスキルなので、今までより攻撃が重い。
ソードスキルを放ったブラックリザードマンは硬直した。きっと硬直時間はほんの数秒にも満たない短い時間だが、この隙を俺は見逃さない。
ソードスキル【ソニック・リープ】を放った。これは希に束縛効果が付与されるスキルなのだが、俺の強運体質により、それは毎回に引き上げられる。
なので、ブラックリザードマンは束縛されて動けなくなった。
俺は続けてソードスキル【バーチカル】を放つ。
ブラックリザードマンはポリゴン粒子となって、消えていった。それと同時にレベルアップのアナウンスが流れた。
レベル三十三。攻略組としては中々いいレベルだ。
焦らない。それが俺の信条だ。だから、俺のペースでじっくり攻略していくことを目標に、俺は洞窟の奥へと足を進めるのであった。
幸せかどうかは、自分次第である。
Happiness depends upon ourselves.
アリストテレス
Aristotle
意識が浮上する。
どこかからなにかが俺の中に流れ込んでくるのを感じた。
そして、光が目の前に現れ、俺を飲み込んだ。
「!」
俺は目を開いた。
随分と長く眠っていたように感じる。俺は布団から身体を上げた。
やけに身体が柔らかい感じがして、俺は手のひらを見た。そこには紅葉のように小さな
手があった。
「!?」
そして、俺の中に別の記憶があることを感じた。それは微かなうすぼんやりとした記憶だった。
俺は俺の名前が天野司(あまの つかさ)だということ。
俺の両親の名前、性格をぼんやりと知る。
そして、俺は神に会った記憶を思い出した。
記憶によれば、俺は神から何かの特典を貰い、生まれ変わらせて貰ったようだ。
誰かの身体を乗っ取った訳ではないことに俺は一安心した。
安心したら、眠くなった。
俺の意識は霞がかっていく。そして、俺は眠りの海に身を投じた。