俺は羽を羽ばたかせ、何処までも続く青い空を飛んでいた。
誰もが夢見た空を飛ぶという行為、それを今、俺はしているということに感動していた。
あまりにも気持ちよく、感動的で、涙が出そうだった。
「どう? 空を飛ぶって気持ちいいでしょ!」
「ああ!」
俺とコトハは世界樹に向かうべく、空を飛んでいた。飛行制限があるので、休み休みで飛んでいたが。
そんな時、ジーノが提案をしてきた。
「ねえ、テイル。ボクに乗って空を飛べばいいんじゃない?」
「え? 大きくなれるのか?」
「うん」
そうして、ジーノは光を放ち、巨大化した。
コトハは目を白黒させて驚いていた。
「う、嘘でしょ? ペットにこんな機能、無かった筈……」
「俺のジーノは特別製なんだ。行こう」
俺は、さっとジーノの背に飛び乗り、コトハに手を差し伸べた。
「……おかしい、絶対、おかしい」
ぶつぶつと呟きながらコトハはジーノの背に乗った。ジーノが空を飛ぶ頃にはコトハは歓声を上げていた。
ジーノは世界樹を囲む環状山脈をあっという間に飛び越え、アルン近郊の平原に降り立った。
「最高だったわ!」
と言ってコトハはジーノを撫でていた。俺も、労いを込めてジーノを撫でた。ジーノは目を細めていた。
ジーノが小さくなると、俺たちは央都アルンに向かった。途中、出てくるモンスターを蹴散らし(ほとんどコトハが蹴散らしていた)、アルンに到着した俺たちは宿を取って、夕食を共にしていた。
「で、テイル、ここに来て何をするの?」
「知り合いに会うんだ。でも、まだ来てないと思う……」
「そうなの……じゃあ、それまで私に付き合うってのはどうかしら? 貴方、ステータスが異常に高いし、それも課金の力かもしれないけど……強いじゃない。だから、手伝って欲しいの」
俺はコトハにステータスが異常に高いことがバレていたのに少し動揺した。
「……何を手伝えばいいんだ?」
「あなたも音楽妖精のプーカなら、伝説の楽器に興味はないかしら」
「伝説の楽器?」
「そう、それが世界樹の近くにあるダンジョンにあるみたいなのよ。どのダンジョンかはまだ分からないけど、絶対、ある筈なの!」
「ああ……」
「だから、手伝って」
がしりとコトハに両手を掴まれた。
(……あれ?)
あの恐怖症の症状が出なかった。仮想であれ、何であれ出ていた症状が嘘のように。
「いいでしょ?」
俺は動揺を抱えたまま頷いた。コトハは笑顔で俺の手を離した。
何故だか名残惜しいような気がして、俺は自分の感情に動揺した。そんなことは露知らず、コトハは夕食を美味しそうに食べたのだった。