ソードアート俺ライン   作:きのみ

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02.デスゲームの始まり

 教会を後にした俺はレベルを上げるべく、街の外に向かった。

 βテストでそれなりに経験は積んでいたので、心配はあまり無い。俺は軽やかな足取りで草原を駆け、フレンジーボアを駆逐する。

 俺のレベルはあっという間に十になった。成長促進のスキルも関係しているだろう。

 空が赤みがかってきた。夕暮れ時だ。空には浮島があり、地上には草原が広がっていて、夕日がそれらを赤く照らしていた。

 まるで、本当に異世界に来たような心地でその眺めを俺はじっと見詰めていた。

 その永遠のような一時を引き裂くように音が鳴り響いた。

 

 リンゴーン、リンゴーン、リンゴーン

 

 鐘の音のようなそれが鳴り響き、俺は空を見上げた。覚悟を決めていたので、驚くことは無かった。

 俺の身体を鮮やかな青の光の柱が包んだ。俺は目を閉じた。

 次の瞬間、俺ははじまりの街、主街区にいた。

 主街区には次々とプレイヤー達が転移させられてくるのが見えた。これから起こることを俺は知っている為、彼らを思うと胸が痛んだ。

 

「あっ……上を見ろ!」

 

 誰かが叫ぶ。

 俺はその声に従い、上を見上げた。そこには俺の記憶と似た光景が広がっていた。

 上空には『Warning』、『System Announcement』の文字が交互にパターン表示された。それが、空を真紅に染め上げている。そして、その中央が、まるで滴のようにどろりと垂れ下がり、赤い滴は身長二十メートル程ある真紅のフード付きローブを纏った巨大な人に変わった。

 ローブには見覚えがあった。あれは、GMが纏っていたローブだ。ローブの中は空洞なので、不気味だが。

 そして、低く落ち着いた、良く通る男の声が、降り注いだ。

 

『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』

 

 その後は記憶と同じだった。ログアウトは茅場によって出来なくされたこと、もし外部の誰かがナーヴギアを外せば、プレイヤーの命は無いこと。助かる為にはこのゲームをクリアしなければならないこと。

 そして、茅場は俺たちを現実の姿に戻した。

 俺の姿は黒髪に青い瞳を持った西洋寄りの端正な顔になった。俺はイギリス人の母と日本人の父の間に産まれたハーフだ。この端正な顔は嫌ってはいないが、昔から女性に絡まれる要因になったので良い思い出はない。お陰で俺は軽く女性恐怖症だ。だが小学校の頃はイギリスで英国紳士になるべく母に全寮制の学校へ放り込まれていた為、反射的に女性には紳士的に接するようになっている。触れられると恐怖症が軽く出るが。

 茅場の話が終わると、プレイヤー達は一気に悲鳴や怒号を上げた。ありとあらゆる言葉、叫び、咆哮、その光景はまるで地獄のようだった。

 俺は目を伏せて現実で起こっていることを受け止めた。

 今頃、キリトとクラインが話をしているだろうと思いながら、俺は天を仰いだ。

 しばらくして、プレイヤー達が落ち着きを見せてきた頃、俺は風林火山のメンバーを探すべく、広場を歩き始めた。ふと、後ろを振り返ると、クラインがやってくるのが見えた。

 

「クライン」

「テイル!」

 

 クラインは俺の方に走ってきて、抱きついた。異常事態だから不安定なのだろう。俺はクラインの頭をぽんぽんと軽く叩いた。

 

「テイル、あいつらは……」

「まだ、見てない」

 

 抱き合いながら、俺たちは軽く言葉を交わした。涙が何故か出てきそうだった。

 

「おーおー、お熱いねえ、お二人さん!」

 

 聞き慣れた明るい声が響いた。

 

「カルー!」

 

 クラインは人目憚らず、カルーの巨躯に抱きついた。抱きつき魔か。その後も、仲間を見付けては、クラインは抱きついた。

 こいつ、本当に俺等のことが好きなんだな、としみじみ感じ、俺は嬉しくなった。

 風林火山、ここに結集!

 

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