ソードアート俺ライン   作:きのみ

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04.ホワイトフェアリードラゴン

 その日はやけに暖かい陽気で、昼寝日和だった。

 俺は五十九層のセーフティーエリアで寝転がって昼寝をしていた。偶にはこんな感じで眠るのも気持ちいい。

 微睡んでいた俺の頭を何かが擦られるような感覚がした。俺は何だろうと思い、手を伸ばすと、手に何かの毛のような感触がした。

(ああ、動物かなにかか……)

 そんな風に微睡んだまま思った俺はその動物を撫でた。きゅるるる、という愛らしい声が聞こえた。可愛らしい動物だと、俺は思いながら、そのまま眠りに就いた。

 ポーン、というメッセージ音に気づかずに。

 

 俺の髪を爽やかな風が撫でていった。

「んぅ……」

 俺の頬を何かが舐める感覚がした。くすぐったい。

「あはは、くすぐったいな、止めろって」

 俺ははっきりと目が覚めた。俺の頬を舐めていたのは小型の妖精の羽を持った竜……フェアリードラゴンだった。

「!?」

 フェアリードラゴンは五十九層にいるモンスターで、その愛くるしい見た目からは想像できない強さを持っている。

「お前、どうして、セーフティーに……って、なんだこれ?」

 俺は目の前にアナウンスのホログラムウインドウが展開されているのに気がついた。そこには『エリアボス:ホワイトフェアリードラゴンをテイムしました。名前を付けて下さい』とあった。

「エリアボス……?」

 この小ささではエリアボスと思えない。

 フェアリードラゴンは心外だと言わんばかりに、きゅるるると鳴くと、その姿を変えた。

「うわっ!?」

 その姿はエリアボスらしく巨大で、何人か人が乗れそうな大きさだった。

「どう? これが、ボクの本当の姿だよ」

「ああ、凄いな……って、お前、喋れるのか!?」

 普通、モンスターが喋れる筈は無い。テイムしたモンスターが喋るという話も聞いたことがなかった。

「うん。ボクらのようなボスモンスターには自律型AIが搭載されている。言葉を覚えようと思えば覚えられる。まあ、ボクみたいなモンスターは珍しいんじゃないかな?」

 俺は頭を抱えた。

「お前、俺が許可した奴以外の前で喋るのも大きくなるのも禁止だからな」

「うん。それはいいけど……それより、ボクの名前を付けて欲しい」

 ホワイトフェアリードラゴンは目を潤ませて言う。分かったから、そんな顔するな!

「んー、じゃあ、ジーノで」

「ジーノ……どういう意味?」

「……あー、気高いって意味だよ」

 その言葉を聞いて、ジーノは目を輝かせた。

「本当!? 嬉しいよ! テイル!」

 ジーノは小さくなると、俺に抱きついた。大きいままだと俺が死ぬからな。セーフティーエリアだから、死なないのか?

「ってか、なんで、俺の名前……」

「カーディナルが教えてくれた」

 俺はその名前が出てきたことに驚いた。

「カーディナルはソードアート・オンラインのメインAIだよな、お前、カーディナルと会話できるのか?」

「ううん、一方的なものだったから、会話は出来ない」

「……そうか」

 何かできるのでは、と思ったが、無理だったようだ。仕方が無い。エリアボスがテイムモンスターになっただけで僥倖じゃないか。

 俺は前向きに考え、ホームがある四十層のジャパニアに転移で戻った。

 四十層のジャパニアはその名の通り、日本の昔を思い出させる街並みが広がる所だ。そのジャパニアの主街区にあるホームに俺はいた。

 仲間達が勢揃いだったので、ジーノを紹介し、彼が喋れること、巨大な姿になれること、元エリアボスだったことを洗いざらい全て話した。

 仲間達の驚きようは言うまでも無い。

「お前、運が良いとは思ってたが、ここまで……」

 クラインが放心した状態から戻ると、そんなことを言われた。確かに、俺はどこまでも運が良い。現実でも仮想でも。女運だけが悪い気がするが。

「よおし、今日は新しい仲間が増えたから、宴だ!」

 クラインは清酒と焼酎を取り出し、机の上に置いた。俺は夕食とおつまみを作るべく台所に向かった。トーラスも手伝いに来てくれた。

 風林火山の食事は当番制の筈なのだが、大体、俺とトーラスが作っている。何故か?それは俺とトーラスは料理が好きだからだった。

 自慢じゃないが、俺の料理スキルはもうすぐカンストを迎える。トーラスも俺の領域までは行かないが、なかなかの腕だ。

 俺たちは魚の煮付けと野菜のお浸しや漬物、それから肉の角煮を机の上に並べた。白いご飯をお供におかずはどんどん平らげられていった。

 宴は夜遅くまで続いた。

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