ソードアート俺ライン   作:きのみ

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アルヴヘイム・オンライン
プロローグ


 松明の明かりが薄暗い洞窟を照らしていた。その薄暗い洞窟の中、フードを被った少女が歩いていた。

 少女は何かを見付けたようだ。走り出すと、どこからともなく現れたモンスターに囲まれた。ゴブリン、スライム、オークなど、洞窟によく出るモンスター達だった。

 少女は歌い始めた。彼女は音楽妖精プーカだ。歌で支援し、魔法で攻撃するのが彼女たちの専売特許だ。

 彼女は歌い終えると自身のステータスが上昇していることを感じつつ、呪文を唱えた。唱えるは光の魔法ディバイン・レイ。辺りを光の柱が包み込んだ。

 ゴブリン達は呆気なく消えた。

 少女は壁画へと歩み寄った。

 壁画には世界樹へ全ての種族が集まる絵が描かれていた。その隣にはプーカらしき種族が世界樹の近くに宝箱を発見するのが描かれていた。

 

「間違いないわ、これよ……」

 

 少女の声が洞窟内に響いた。

 

 

 

        愛されたいなら、愛し、愛らしくあれ。

        If you would be loved, love and be lovable.

 

 

                     ベンジャミン・フランクリン

                     Benjamin Franklin

 

 

 

 誰かに呼ばれた様な気がして、俺はパソコンから目線を外し、顔を上げた。

 無論、そこには誰もいない。

 俺は息を吐いて、部屋にある姿見に向かった。

 そこにはいつもの俺の姿があった。黒髪に青い瞳、少し彫りの深い西洋寄りの顔立ち、細身だがしっかりと鍛えられた身体。それが俺だ。

 仮想と現実の違いは情報量だと、いつかキリトが言っていたが、その通りだと思う。情報量は現実の方が多い。そして、音楽はやはり現実の方が味がある。

 俺は自室に置いてあるピアノに歩み寄った。

 奏でるはエルガー「愛の挨拶」だ。今の時間は九時で朝なので、朝らしい曲を奏でる。

 優美な旋律が部屋中に響いた。愛の挨拶は一八八八年にキャロライン・アリス・ロバーツとの婚約記念に贈った曲だ。エルガーとアリスは宗教や身分の違いから周囲にその結婚を反対されていた。しかし、それでも彼らは反対を押し切り結婚した。愛の力とは強いものだ。

 俺は弾き終わると、パソコンの前に座った。

 パソコンにはアルヴヘイム・オンラインの公式サイトと攻略サイトが映っていた。

 キリトがアスナを助ける為にこのゲームに入ることを俺は知っている。だから、何か手助けをしたかった。

 だからこそ、今まで強請らなかったことを親に強請ったりもした。俺のできる全てのことはしたと思う。

 アスナを助けられると知っているが、何もしないのは臆病者のやることだと俺は思っていた。だから、手助けをしに行く。干渉し過ぎるのはいけないと思うが、手助けくらいなら大丈夫だろう。今までだってできたし、これからも大丈夫だ。

 俺は全ての準備を終え、ベッドに横になった。特別製のアミュスフィアを被り、言葉を紡いだ。

 

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