最強のパンサーに 私はなる   作:黒禍

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今回から人間の声は「」
モンスターの鳴き声兼会話は『』で表記することにします。
わかりやすいかなーって…
あと、今回ちょっと短めです。


第二歩 心も体も熱すぎる

暑い…溶けそうってくらい暑い……。

RPGにおける第一の試練みたいなのって大抵は故郷の中だったり近くの平原だったり、多少安全な所が多いと思うんだけど…

火山って…火山って……!そんなとこ中盤とか終盤に行くとこじゃん…!

あー…でもチュートリアルで死ぬゲームもあったなぁ…ガキ…プレスターンアイコン…うっ…頭が……!

…どうしよう、本当に頭痛くなってきたぞ

イテテテテ、まるで何かに挟まれているような痛み方…………ん? 挟まれる?

そういえば心なしか視線も高くなったような…

 

不思議に感じたベビーパンサーが上を見ると…………

 

 

 

 

金属質でやたらでかいエビのような何かがいた

 

 

 

 

 

『キシャアアーーーーーーッ!!』

 

『ミギャアアアアアアアアア!?』

 

 

エビーメタルがあらわれた!

 

 

でけぇぇぇぇぇ!!あれっエビーメタルってこんなにデカかったっけ!?

いや、体が小さいから余計デカく見えるのか?うっひゃー

―――てか、いつまで私の頭を挟んでやがるんだこのやろう!HA★NA★SE!

 

 

頭を鋏でガッチリと挟まれたままじたばたともがくベビーパンサー。

爪で引っ掻こうにも届かず、前足を上げたり下げたりしている様は、実に無様で可愛らしくもある―――が、エビーメタルは違和感を感じずにはいられなかった。

なぜ、この小さなモンスターの頭を潰せないのだろう、と。

いつものように獲物を捕らえ、いつものように頭を潰し、いつものように御馳走にありつく…それが、このエビーメタルの常だった。

だがこの獲物はどんなに力を込めても痛がるだけで、死ぬ気配がない。

何より喰われる側であるはずのモンスターに宿る対抗の意思。

 

 

―――これは、獲物(エサ)じゃない

 

 

ベビーパンサーを獲物ではなく敵と判断したエビーメタルは、鋏を地面に叩きつけた。

その威力は叩きつけた所を中心に亀裂が走り、地中の溶岩を噴出させるほどのものだったが―――

 

 

『フギャッ』

 

 

―――ベビーパンサーはちょっと鳴いただけだった。

 

 

いっっっっっっっってぇぇぇぇぇぉぉぁぁぁああああ!!!

なんじゃコイツ!いきなり叩きつけよってからに!!おお痛ぇ…

絶対殴る…いや、引っ掻く せめて一回引っ掻いてから逃げてやる…っ!

 

 

『ミ゛ャヴヴヴヴヴ……!』

 

 

タンコブをつくりながらも起き上がり威嚇をするベビーパンサーに、エビーメタルは恐れを抱いた。

当然の結果だった。誰も、この自分よりもはるかに小さく、ひ弱な見た目をした生き物に己が劣るとは思うまい。

ましてや今の今まで獲物と認識していたのだから、尚更である。

 

 

―――覚悟しろよ、このエビ野郎!!

 

『ギャオォォォーーーーッ!』

 

 

 

 

鋼鉄の海老と赤さんパンサーの戦いの火蓋が切られた

 

 

 




次回・エビ之内、死す

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