インフィニット・ストラトス~終焉の銀河の果てに~   作:とっぷパン

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私の初作品であるインフィニット・ストラトス~終焉の銀河の果てに~を見に来ていただきありがとうございます。トップパンと申します。この小説は先にも書いたとおり初めての作品ですのでいたらないことが多いかもしれませんが、読んでくださった皆様を楽しませられるようにがんばりますのでよろしくお願いします。


序章~新たなる戦い編
第1話~全ての始まり、悪意再び~


 西暦・2016年 日本・とある天才科学者

 

 

 

 「…………できた」

 

 夕焼けに照らされた日本家屋の十畳間。茜色に輝く夕日に照らされた室内は、何かの設計図や工学道具などが畳の上にゴミの様に散らばっていた。まだまだ夏の暑さがひかない夕暮れなのに、独り言を呟いた少女は工学関係の人間が着るツナギに身を包む。茹だる様な暑さにも負けず、汗にまみれながら何かを成し遂げた人間が浮かべる達成感のある笑みでその幼さが残る顔を彩っていた。

 

 「……できた。できた、できた! できたぁぁぁぁああっ!!」

 

 少女が使うにはまだ体格が合っていない机にて、喜びの雄たけびを上げる少女。その卓上には、薄らと光を放ちながら点滅する一つの球体が置かれていた。まるで、喜びの歓声を上げる少女を祝福するかのように点滅を繰り返す球体。全てが夕日の茜色に染まる中、その球体だけは青白く輝いていた。

 

 『…………?』

 

 「……う~ん、と。そういえば、君の名前はまだ決めて無かったね~」

 

 『…………!?』

 

 喜びを爆発させる少女に、青白く光る球体は話しかける様に点滅をした後。少女からぽろっと零れた意外な言葉に、驚愕したかの様に激しく点滅を繰り返した。

 

 「くふふふっ! ……なんてね、勿論考えてありますとも! この私がスペシャルな名前を用意しております!!」

 

 『……!? ……!!』

 

 少女がドッキリ成功と書かれたホワイトボードを机の下から取り出して見せると、一瞬点滅を止めた球体は嬉しさを表すように大きく光り輝いた。 

 

 

 「さぁて、いよいよ発表したいと思いますっ!!」

 

 『……!』

 

 「まだ謎が多いこの宇宙の隅々まで行ける力を持ち。この世界を変える可能性を秘めた、私の可愛い子供である貴方の名前は――――」

 

 勿体つけるように話す少女。その一挙手一投足に固唾を呑んで見守る謎の球体。

 

 そして、世界を変えるとまで話す少女の口から、ついにその名が明かされた。

 

 「――インフィニット・ストラトス、だよっ!!」

 

 満面の笑みと共に少女の口から紡がれた名。その名も、インフィニット・ストラトス(無限の成層圏)。 

 

 『…………っ!!』

 

 その名を聞いた球体は、暫しの間ポーっとしたかのように点滅を止めると。その喜びを噛み締めるかの如く静かに、そして徐々に激しく点滅と青白い光を大きくさせていった。

 

 「うん、うんっ! 我ながら良い名前を思いついたもんだよ。これは世紀の大発明物だね!! うん、ブイブイッ!!」

 

 その様子を幼い我が子を見る母親の目で見た後、天上に向かってブイサインを高く掲げる少女。この瞬間、後の歴史に大きな名を残す革新的な発明、インフィニット・ストラトスがこの世に誕生した。

 

 「よ~し、明日からち~ちゃんと一緒に機体開発に向けてまっしぐらだぜぃ! うん、勿論君をコアとして機体を作ってあげるからね~!」

 

 『……!!……!!』

 

 「そうだよ! 最初期にして最高のIS。その名も、白騎士だ~っ!!」

 

 『……シ、……ロキ……シ』

 

 拙いながらも女性を思わせる音声で球体が言葉を話したその時。突如として、夕焼けに染まる十畳間いっぱいに半透明なディスプレイ型と思われる映像媒体が浮かび上がる。ある種の幻想的な光景に、製作者である少女は目を宝石の様に輝かせてその魔法の様な景色を見つめる。

 

 「わぁ~~っ!! あっはははっ!!」

 

 そして、様々な数値やパラメータが書かれている映像が次々と球体へと吸い込まれ、青白い輝きを放っていた球体が徐々にその形状を変化させていく。幾何学的に形状を変化させていく球体だったモノは、最終的に宝石のカット技法であるラウンド・ブリリアンカット状の物体へと形を変えた。

 

 『…………プログラミング修正、情報統合完了。状態変化、完了。コアナンバー001、コードネーム・白騎士……』

 

 「おおっ!!」

 

 先程よりも流暢に日本語を喋るコアナンバー001・白騎士に、少女が驚きと感嘆の声を上げる。

 

 『……私を作りし小さき母様。今この時より、貴女と共に空に広がりし成層圏(ストラトス)の彼方……。無限(インフィニティ)宇宙(そら)へと続く遥かなる旅路へ、必ずや貴女を御連れする事を誓います』

 

 「…………」

 

 『…………? 母様?』

 

 つらつらと少女に向かって忠誠を誓う様に話すコアとは別に、先程までの好奇心に満ちた顔を苦笑で固める少女。自身が何かしてしまったのだろうかと疑問の声を少女にかけるも、相変わらず苦笑が顔から取れない少女。そんな少女の様子に段々と焦りを見せ始めるコア。青白い光の瞬きが不規則な物となり、女性を思わせる音声に小さい戸惑いの声が混ざり始めたその時。少女がポツリと話し出した。  

 

 「……固い」

 

 『……え?』

 

 「言葉と雰囲気。その他もろもろが固すぎるよ~、白ちゃん!」

 

 『……え? し、しろちゃん……? あ、あの、母様?』

 

 自身の雰囲気や言動が固いと言われたコア・白ちゃんは、如何したものかと焦りを加速させる。いくら高性能な身体を駆使しても、生まれたばかりではそういった経験もあるはずも無く。結果として、データ処理が追いつかずにオーバ-ヒート、つまりは知恵熱を出して卓上にダウンにした。

 

 『…………キュ~』

 

 「あらま~。ダウンしちゃったみたいだね……」

 

 そんな白ちゃんに冷やしたアイスパッドをそっと乗せて、母性に満ち溢れた笑みで彼女(?)を見つめる少女。西日が地平線に沈み空に星が瞬き始めるその時まで、少女はずっとコアに寄り添って見守っているのであった。

 

 「お姉ちゃん、ご飯だよ~!」

 

 「イェイ! すぐに行くよー!!」

 

 しかし、ご飯の誘惑には勝てなかった様だ。

 

 『…………母様』

 

   

 

 

 

 

 

 新西暦193年・12月31日

 

 

 銀河全体を巻き込んだあの戦いから約3年の月日が経ち、その当時の英雄たちは皆ばらばらになりさまざまな場所で活躍していた。

 

 

 

 地球・日本 東京・トオミネ研究所地下

 

 

 

 「今年もあと数時間で終わりだな」

 

 そう呟いたのはツナギ姿で研究機材を運んでいた男性「トウマ・カノウ」であった。彼はあの戦いが終結した後、「ミナキ・トオミネ」の自宅兼研究所であるトオミネ研究所でDGG(ダイナミック・ゼネラル・ガーディアン)3号機・大雷鳳の専属テストパイロットを務めていた。

 

 「あら、ほんとうもうこんな時間だったのね。研究に夢中で気がつかなかったわ。」

 

 トウマの呟きに楽しそうに返したのは、研究服を着きた女性「ミナキ・トオミネ」だった。彼女はあの戦いの後、大雷鳳を銀河の人々の平和に役立てるため、日夜研究に励んでいた。

 

 「ミナキ、もうすぐ年が変わるんだからそろそろきりあげよう。アルマナ姫やルリアさん達も来るんだし、出迎えの準備もしなきゃいけないんだからさ」

 

 「そうだった!うっかりしてたわ。……たしかアルマナさん達って22時以降にいらっしゃるんでしたよねトウマ」

 

【挿絵表示】

 

 少しばつが悪そうにしながらもどこか楽しそうにミナキはトウマに聞き返した。

 

 「ああ、たしかにスケジュール表にはそう書いてあるぞ」

 

 同じくスケジュールの確認をするトウマの声もやはりどこか楽しげだった。

 

 「もうあれから3年かぁ、なんだかあっという間でしたね」

 

 「そうだなぁ、この3年間はずっと研究の毎日だったもんな。なんだか1年1年があっという間に過ぎていった感じだ」

 

 感慨深い声で語るミナキに、トウマは笑いながら返す。二人はあの銀河の運命をかけた決戦の前の夜から今までこととを懐かしそうに振り返っていた。

 バルマー帝国の姫巫女であった「アルマナ・ティクヴァー」や、トウマにとって宿敵であり心強い友であった「バラン・ドバン」、帝国総帥のクローンであった男と姫巫女の護衛の狭間で揺れながらも最後は銀河のために一緒に戦った姫巫女護衛役「ルリア・カイツ」

 この三人はたびたび地球を訪れトウマ達と今でも交友があった。ちなみにアルマナ姫はまだトウマのことが好きな模様でお見合いの話は毎回けっているそうだ。

 

 「……おっと、もうすぐ時間だな。ミナキ、上に行こう」

 

 「はい、行きましょうトウマ」

 

 二人は互いにうなずき合って地上へ行くためにエレベーターに乗り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 銀河の中心・バスターマシン3号跡 

 

 

 

 

 

 …………ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……ドクン

 

 あらゆる生命の敵であるSTMC〈宇宙怪獣群〉を人類最大の人工建造物「バスターマシン3号」で消し去った跡地で、今闇に紛れて何かが脈動し始めた。

 

 ……ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……ドクン

 

 そしてそれは、安らかな平和を手に入れたトウマ達に新たなる戦いをもたらそうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 地球・日本 東京・トオミネ研究所

 

 

 

 

 

 

 ピンポ~ン

 

 玄関から呼び鈴の音が聞こえ、トウマとミナキはそろって出迎えに行った。

 

 「こんばんは。トウマ様、ミナキ様、アルマナです」

 

 「ああ、いらしゃい。そして、久しぶりだなアルマナ姫」

 

 「ほんとうに、久しぶりですねアルマナ姫。ようこそいらっしゃいました」

 

 「はい、お二方もお元気そうでなによりです!」

 

 扉を開けると変装している芸能人のような姿のアルマナ姫が立っていた。

 

 「これ、トウマ殿ミナキ殿、そして姫様まで。2~3週間前にもお会いしたでしょうに、いきなり御ボケにならないでください」

 

 「まったくじゃぞお三方、わしより先にボケられましたか? わぁはっはっはっはっ!」

 

 そういってアルマナ姫の後ろから出てきたのは姫様御付きの侍女ルリアと、バラン家党首バラン・ドバンだった。もちろん二人とも変装している。最もバランにはあまり意味はなさそうだが…。

 

 「そう言わないでくれよ、二人とも。公式の場でならともかく、プライベートで会うなんて滅多に無いんだからさ」

 

 トウマが苦笑しながら返す。実際のところバルマー側とトウマ達が公式の場で謁見することは度々あったものの、地球に滞在するときはバルマー側のスケジュールは過密でありなおかつ滞在日数もそんなに長くないために、今まで落ち着いた場所で会うことができなかった。

 

 「そうです、トウマ様の言うとうりです。それにバランより先にボケるなんていやですわ」

 

 アルマナ姫はトウマの返しにあわせかわいく頬を膨らませる。

 

 「姫様、どうか御機嫌を御直しなってください。こんなに自由にお話できるのは滅多に無いことなのですから」

 

 「うむ、わしも悪かった姫様。普段公人として振舞って居るとどうにも肩がこって仕方が無くてなぁ、トウマやミナキ殿に久しぶりに個人として会える思ってやはりうれしく思っているのです」

 

 膨らんだ頬を見て冗談だとわかっていながらも律儀にアルマナ姫をいさめるルリアに、苦笑しながらも謝るバラン。

 

 どうやら二人とも姫には頭が上がらない様だ。

 

 「皆さん玄関で立ち話もなんですし、家にあがってください。あんまり騒ぐと注目されてしまいますよ」

 

 ミナキがいった言葉に4人が反応した。

 

 「あいや、そうでしたな。一応お忍びでした。……まぁ、皆にはバレとるがのぅ」

 

 「ソレはそうでしょう、バラン殿。姫様がプライベートでお出になるのですから、万が一にも危険があってはなりません」

 

 どうやら一応はお忍びとなっているらしい。

 

 「とりあえず、みんな中に入ろう。寒い場所で話すよりもあったかいとこの方がいいだろ」

 

 「トウマ様に賛成です!それに、私お腹が空きましたわ」

 

 そんな話をしながら五人は家に入っていった。

 

 

 

 

 

 銀河の中心・バスターマシン3号跡

 

 

 

 

 

 「グゥゥゥ……ガッガァァァ……トッ……トウマ・カノウ……」 

 

 

 闇の中でうごめく影から怨嗟の声が聞こえる。少しずつ脈打ちながら、大きく、大きく、その影は膨らんでいく。

 

 「……あくなき闘志を持つものよ……。我はまだ滅びは……しない」

 

 そして、負の意思を取り込みながら太陽系第三惑星地球へと移動し始めた。

 

 

 

 

 

 

 地球・アメリカ テスラ・ライヒ研究所・食堂

 

 

 

 

 

 

 「!?……この気配は……ケイサル・エフェス? ……でもあの時確かに倒したはず」

 

 自身の体に走った悪寒に3年前の戦いの最後の敵「霊帝・ケイサル・エフェス」の気配を感じた少女の名は、「イルイ・ガン=エデン」

 

 かつては人類を地球に封印しようとし、銀河の運命をかけた決戦でαナンバーズに味方した「人造神・ガン=エデン」の巫女であった少女である。

 

 「……どうしたのだ、イルイ」

 

 イルイに話しかけた侍を思わせる銀髪の男は、トウマの師匠的な存在でありイルイの養父でもある「ゼンガー・ゾンボルト」

 

 二人はゼンガーの心の伴侶である「ソフィア・ネート」博士と三人でテスラ研で暮らしていた。

 

 「……いかなきゃ、トウマのところに……」

 

 そう呟くと、イルイは光に包まれその場から消えた。

 

 「イルイ!?……トウマのところに行ったのか。力を使ってまでに急がねばならぬこととは……」

 

 消えたイルイに対しそう感想を漏らすと、近くの通路からパタパタと人の足音が近づいてきた。

 

 「どうしたのですゼンガー!? ものすごいエネルギー反応がありましたが……」

 

 足音の正体は研究服に身を包んだネート博士だった。急いできたようで、普段はきちんと着こなしている白衣が多少乱れている。

 

 「イルイは、どうやらトウマ達のところに向かったようだ。サイコドライバーの力、空間跳躍まで使ってな……」

 

 「えぇ!? ……じゃあ、さっき観測したエネルギー反応はイルイのものなのですか?」

 

 ネート博士の質問にその通りだと返すゼンガー。

 

 寄り添う二人は、何か良くない事が起きようとしていると感じ始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 日本・東京 トオミネ研究所

 

 

 

 

 

 

 

 「トウマッ!!??」

 

 突然光の中からイルイが出てきて、リビングで寛いでいたトウマの上に落下した。五人で談笑しながら年の瀬を過ごしていたトウマは、現れたイルイに驚く間も無く押し倒された。

 

 「うわっ!?」

 

 「「イルイ殿!!??」」

 

 「「トウマッ(様っ)!!??」」

 

 皆突然のことに戸惑いながらも、切羽詰ったように声を上げ現れたイルイを注目した。若干二人ほど違う光景に声を上げたようだが……。

 

 「いってて。なんなんだよ一体……? ってイルイじゃないか!」

 

 頭をさすりながらトウマは起き上がろうとして、自身に覆いかぶさっている少女に気づき驚嘆した。

 

 周りを見渡すとバランとルリアが心配そうにこちらを見ている。そして、自分に向かう冷たい視線が二つあるのに気づいた。ゾクッという悪寒と共に、背筋に冷たい汗が流れる。ギギッと壊れたおもちゃのように顔を向けると、とても良い笑顔で微笑むミナキとアルマナ姫がいた。

 

 「ひぃっ!?」

 

 自分の口からあまり出ない類の悲鳴が漏れ、一気に青ざめるトウマ。口からはカチカチと歯がなる音が聞こえ、屈強なはずの肉体はガタガタと生まれたての外の寒さに凍えた様にに震えだす。どこかで心の中の自分が、そういえばあの部隊じゃーこんなのいくつも見かけたな、などとどうでもいいことを言っている。

 

 「ああっ、あのですね! ミナキさん、アルマナさん!?」

 

 ミナキとアルマナ姫の笑顔は変わらない。しかし、彼女達から放たれるプレッシャーはニュータイプではないトウマでもわかるほど強くなる。

 

 「こっこれは、偶然こんな姿勢になったわけでして、おっ俺も不本意なわけでして。とっとにかく!……すみませんでしたー!!」

 

 自身の上にのっているイルイの下から這い出て、トウマは正座で深く頭を下げた。その姿は時代劇の負けた悪役の様である。

 

 トウマ自身は銀河を救った英雄の一人なのだが、いつの世も女は怖いものだと、その光景を見ているバランは一人同情した。

 

 「うっ……んっ……あれ? なんで私……?」

 

 トウマ達の騒ぎでイルイが目を覚ました。まだ幼さが残る顔で辺りを見回す。

 

 「おい、おぬしら。イルイ殿が気がつきなされたぞ。ミナキ殿も姫様もそこまでにして、彼女の話を聞きましょうぞ」

 

 バランはイルイが気がついたことをトウマ達に知らせて修羅場を強制的に終わらせる。

 

 イルイはまだふらつきながらもゆっくりと起き上がる。

 

 「……はっ!そうですトウマに知らせなければいけないことがあるのでした!」

 

 イルイが焦った様にしゃべりだす。

 

 そうだ自分はトウマにケイサル・エフェスのことを伝えに来たのではないか、だったら一分一秒も時間が惜しい。

 

 「何か大変なことでも起きたのですか、イルイさん。空間跳躍を使ってまでくるなんて余程のことが?」

 

 「そうなんです、ミナキさん。実は――――」

 

 イルイは自身がケイサル・エフェスの念を感じたことをトウマ達に話した。それもどうやら地球に向かって、正確にはトウマを狙って近づいていることを……。

 

 「なんだって!? 本当なのかイルイ。本当にあのケイサル・エフェスが……俺を狙ってここに来るっていうのか?」

 

 トウマは自身の手で決着をつけたと思っていた、あの禍々しき邪悪の王が生きていた事に愕然とする。

 

 「はい、おそらくあと2時間ほどで地球にたどり着くでしょう、あなたを葬り去るために。」

 

 それを聞いた5人は急いで立ち上がる。あの化け物みたいなやつがまた襲ってくとなれば被害は尋常なことですまない。かるく地球が吹き飛ぶくらいに思わなければ、食い止められないと皆分かっているからである。

 

 だが、焦るトウマ達にイルイがそうはならないことを伝える。

 

 「皆さん、たしかにエフェスの本来の力ならこの銀河は消し飛んでしまうでしょう。しかし、あの戦いで負った傷は確かにエフェスの魂にまで達していました。ですから、いくら負の力を取り込んでいるエフェスといえど、力の回復はほとんどできていません」

 

 トウマ達に安堵の空気が広がる。だがそれを打ち消すように、イルイは自身が感じた力を話す。

 

 「しかし、それでもなおエフェスの力は地球程度の惑星なら破壊してしまうでしょう。それに、何か奇妙な力も感じます」

 

 イルイの言葉に、安堵の空気が広がっていた場が一気に緊張すする。

 

 「……トウマは今すぐ大雷鳳に乗ってください。私もエフェスを止めるために力を貸します。ほかの皆さんは、宇宙装備で私の周りに集まってください。地球に被害を出さないために、トウマと一緒に空間跳躍をします!」  

 

 トウマは動き出す。大雷鳳に乗り己の大切な人々を、ミナキを守るために……

 

 ミナキは願う。あの時の絶望がまた訪れないように、トウマと引き離されないように…… 

 

 そして、着実に悪霊の王は力を高めて迫っていた。

 

 




いかがだったでしょうか?誤字脱字、感想などお待ちしております。

2016年12月19日ミナキの挿絵を追加いたしました。良かったらご覧下さいませ。
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