インフィニット・ストラトス~終焉の銀河の果てに~ 作:とっぷパン
太陽系第四惑星火星・火星基地内
火星基地内の街の一角にトウマ達は空間跳躍した。
いきなり光の中から現れたトウマ達に町の人々は驚いているが今は説明している暇はない。
この火星基地にはスーパーロボット闘将「ダイモス」の操縦者である「竜崎一矢」とバーム星人の姫で一矢の妻の「竜崎エリカ」が住んでいる。火星に来た理由はこの二人から小型宇宙船を借りるためである。ケイサル・エフェスを倒すためにはどうしても大雷鳳の最大必殺技である「神雷」が必要であった。しかしこの神雷は、トウマだけではなくミナキのサポートがあって初めて完成する強力な技である。ゆえに、ミナキは自宅である研究所から機材を持ち込んできたが、大雷鳳と一緒の宙域に居たほうがサポートがしやすいために火星に住んでいる二人からサポート用の小型宇宙船を借りようと思ったのである。
「とりあえず、一矢に連絡だなミナキ?」
「はい、もう連絡をしているところですトウマ。あなたはこのまま宇宙船離着陸飛行場へ向かってください!」
「了解!いくぞ大雷鳳!皆しっかりつかまってろよ!!」
推進スラスターを目いっぱいふかし、新たに建設された火星の街並みを翔ける大雷鳳。火星に住む人々は何がなんだか分からないまま呆気にとられながらも、かつての戦争の英雄の機体が突然現れたことに疑問を覚える。
トウマからの質問に答えつつ一矢に連絡を取るミナキ。焦る気持ちを押さえながらも冷静に事を進める。
『……こちら、竜崎一矢だ。お久しぶりですミナキさん、いったいどうしたんですか?』
「竜崎さん、これから言うものを大至急用意してもらえますか!」
自身の結婚式以来に連絡を取り合う一矢だが、ミナキの相当な焦り様から何かが起こっているのを感じた。
『……わかりました。ですが、理由は説明してもらいますよ。それに、ミナキさんだけじゃなくバルマーの姫君やバランさん達が居るのはどういう事なのかも……』
「はい、それは道すがら説明させていただきます。ですが、今は緊急事態ですので大事なところ意外省いてでもよろしいでしょうか?」
『急いでいるんでしょうからそれでも結構ですよ』
「ありがとう竜崎さん。じゃあ簡単に説明させていただきます」
ミナキは一矢に今日の出来事を話した。なぜ突然火星に来たのか。そして、自分達が直面している危機に関して……。
『そういう事でしたか。分かりました、俺の方から和泉博士に連絡しておきます。ミナキさん達はこのまま宇宙船飛行場に進んでください。博士は今、飛行場で新型宇宙船のテストをしている所ですから、宇宙船の一つや二つすぐに貸してくれますよ』
「助かります。では、私達は新型宇宙船を受け取った後すぐに空間跳躍に入りますので『ロンドベル隊』や『大空魔竜隊』。それに、あの戦いに参加した人達に連絡をお願いします」
『了解だ! できるだけ今すぐ動ける人達を集めてみる。もちろん、俺もダイモスで戦うぜ!』
再び訪れた戦乱にかつての英雄達が再び集う。外宇宙に再び旅立った「マクロス船団」や自分達の世界に返った「バーチャロイド・MARZ」の三人など、戦いに参加できる人々はかつての戦いよりも少ないが、それはケイサル・エフェスも同じこと。何度戦いが訪れようとも人類は戦いをあきらめはしない。
火星基地・宇宙船離着陸飛行場
「おお! まっておったぞトウマ君、ミナキさん、バルマーの姫様方。さぁ、準備はできておる。これが今テストをしておった新型宇宙船『ガルバーFXⅢ-2号機』だ。従来のガルバー支援戦闘機にマクロス船団の「VF-1バルキリー」の変形・加速機構や、その他のさまざまな支援機の特徴を積み込んだ最新鋭の機体だぞ!」
飛行場についたトウマ達を待っていたのは和泉博士やそのほかの研究員達と、外見が大きく変わったガルバー支援機だった。大きさはガルバー支援機を2倍程大きくしたもので、エンジン機構や左右の翼が大きくなり装甲の形状から変形機構も備えていることが見てとれた。配色は全体的にメタリックホワイトで各危険ポイントにイエローとレッドの塗装がされてある。また複数人で乗ることができ、最大乗員人数は8人ほどまで乗ることができる使用だ。緊急時には脱出ポッドが二つ用意されていてそれぞれコックピットの4人と、後部乗員の4人で別れている。
「これが新型のガルバー支援機ですか。大きいですね、普通のガルバーの2倍くらいですか」
新型のガルバーを見たルリアが感想をこぼす。
「うむ、これならイルイ殿がここに居る皆を一緒にカバーできるのう。それに、トウマのサポートもしやすいじゃろう。いい機体じゃ!」
機体の説明を聞いたバランは、新型ガルバーを見て一つ肯く。
「皆さん、時間がありませんわ! 一刻も早くトウマ様をサポートするための機材を、このガルバーさんに積み込まなくては!」
アルマナ姫は自身の手に持った機材の一部を見せながら、時間が無い事を改めて告げる。
「そうですね。皆さん、手の空いている方はガルバーへの機材取り付けを手伝ってください。取り付けが終わり次第大雷鳳と共に火星から離脱しアステロイドベルト宙域を抜け、木星宙域にてケイサル・エフェスを迎え撃ちます!なお、機材を取り付けるとスペースがかなりとられますので、後部には私が一人で乗り込みます!!」
ミナキがそう宣言し「「「おう!!」」」と、その場に居る全員から気合のこもった声が上がる。残り時間は1時間弱……人類は再びこの危機を乗り越えることができるのか。
海王星・L5宙域
太陽系にある青い天体の一つ海王星。その近くの空間にケイサル・エフェスはいた。その身は、あの戦いの時よりは幾分かスマートにかつ小さくなって居るもののそれでも直径3km程の小惑星ぐらい大きさを有していた。
「ふふふっ、トウマ・カノウ……。もうすぐ汝の元へたどり着き、その存在をあまねく世界から消し去ってくれる……ふ、ふふっはぁっはっはっはっはっはっはっはっ!」
自身を倒した人間の元へ突き進む邪悪の根源。その力は着実にトウマの元ヘ向かっていた。
「我はまつろわぬ霊の王にして、あまねく世界の楔を解き放つものなり。すべての剣よわれに集え。かのもの達の意思を、そのしもべ達をあまねく世界から消し去らんがために」
まつろわぬ霊の王は負の意思がこもった声で語る。
「わが名は霊帝……ケイサル・エフェス。すべての剣よ我に集へ」
トウマ・カノウをあまねく世界から消し去らんがために…………
木星宙域・トロヤ群小惑星帯
甦った霊帝・ケイサル・エフェスを迎え撃つために今再び結集したαナンバーズ。
ロンドベル隊や大空魔竜隊、無限力の一つゲッター線をその見に宿す「真ゲッター」、機械の身に意思を持った正義の魔人皇帝「マジンカイザー」、古代ムーの遺産であるラ・ムーの星を組み込んだ勇者「ライディーン」、勇気の心で無限に力を高める破壊神「ジェネシックガオガイガー」、超電磁ロボチームやエヴァンゲリオンチーム、ガンダム部隊、銀河の彼方から駆けつけたマクロス艦隊に旗艦エルトリウム、それにトップ部隊所属バスターマシン「ガンバスター」。未知の希少物質であるトロニウムをエネルギー源として動く天下無敵のスーパーロボット「SRXアルタード・バンプレイオス」。
そして、DGG一号機「ダイゼンガー」、二号機「アウセンザイター」、三号機「大雷鳳」など、その機体数はあの決戦の時よりも遥かに少ないが、機体を操縦するパイロットやそれを支える人々の心は当時と変わらない。
対するはまつろわぬ霊の王、霊帝・ケイサル・エフェス。自らの眷属である「クストース」を呼び出し、己の周りを「ネシャーマ」部隊で囲んでいる。そして「ズフィールド」も数体確認できる。
まさにあの銀河の運命をかけた決戦の再現だった。
「無限力が選びし運命の戦士達よ、今再び我と戦え。今度こそ、その肉の殻を捨て我の元に集え」
霊帝が悪意のこもった声で戦士達の告げる。あの時成し得なかった己の野望を秘めて、己を打倒した戦士達を絶望に沈めるために……
「外道、ケイサル・エフェス! お前が何度蘇り襲い掛かろうとも、俺達命在る者は決してお前には屈しない!!」
命在る者達を代表して、トウマ・カノウが霊帝に咆える。決してこの銀河を包む平和を失わせはしないと、裂帛の気合をこめて。
「お前は、あの時我の魂を蹴り砕きしあくなき闘志を持つ者。……今度こそ、お前の存在をこの世界から消し去ってくれる!!……さぁ、足掻け肉の器を持つ者たちよ。今一度我に力をしめせ」
決戦の火蓋は……今再び切られた!!
『闇の空間を切りさき、戦士たちがぶつかる』
先手を切るのは個人、連携力共に更なる磨きが掛かったゲッターチーム。巨大な戦斧を振りかざし、群がるネシャーマ目掛けて突撃を仕掛ける。
「いくぞ、真ゲッター1! ゲッタァァァァトマホゥーク、ブーメラン!!」
高速で回転する戦斧の刃に切り刻まれながらも、その隙間を縫って更に向かってくる小型無尽兵器メギロート・ベン。さらには同型無人兵器であるヨエラ・アフも得物を目掛けて湧き上がってきた。
「俺に代われ、竜馬! チェンジ、真ゲッター2! 0,01秒の世界を見せてやる、ゲッタードリル!!」
三つのモードに変形可能な真ゲッターは、高速戦闘が特徴の機体真ゲッター2にその身を変え、右腕に装着された巨大なドリルを回転させて目に捕らえきれないスピードで縦横無尽に敵を貫く。
「今度は俺の番だ、チェンジ、真ゲッター3! くらえ、大雪山おろし二段返しじゃーい!!」
そして、もう一つの変形態真ゲッター3。小型無人機の背後から洩れ出てきた機動兵器シュムエル・ベンの指揮官機を掴み取り、太い腕を連続で変形させながら他のシュムエルを巻き上げていく。遠心力によって発生した凄まじいGで敵を振り回し、機体をズタズタに引き裂いた所で放り投げる。眼前の敵を纏めて放り投げた所で脚部装甲がスライドし、無数のミサイルが一気に発射され敵を爆破したのだ。
「チェンジ、真ゲッター1! こいつで止めだ、ゲッターシャーイン! 真シャインスパークゥ!!」
ゲッター線を臨海まで高めて放つ真ゲッター1の最終兵器。緑色の軌跡を宇宙に描きながら、残存する敵機へとそのエネルギーを次々とぶつけていく。ゲッター線の高エネルギーに触れた物は、その全てを光の中へと消失させていった。
『閃光が煌めき、命の花が咲き誇る』
正義の魔神皇帝、マジンカイザーを筆頭にしたマジンガー軍団に左舷から接近するのは、巨大宇宙戦艦ヘルモーズを旗艦とした人型機動兵器軍。旗艦であるヘルモーズに狙いを定めたマジンカイザーは、自身のパワーを更に引き出すマジンパワーを発動して迎え撃つ。
「へっ! うじゃうじゃとゴキブリみてぇに湧いて来やがって、皆纏めて片付けてやらぁ! ――魔神皇帝の怒りを思い知れ……!」
両腕を交差させて力を光子力エネルギーを最大まで高める。胸部放熱板の中央から光が溢れ出し、漆黒の超合金NZαが金色の光子力エネルギーを纏い輝きを増す。
「甲児君の邪魔はさせないんだから……! 行くわよ、Z! ブレストファイヤー!!」
強大なエネルギーを放つマジンカイザーを阻止せんと群がる人型兵器エリスム・ローシュの中隊目掛け、鉄の城マジンガーZが超高熱熱線、ブレストファイヤーを浴びせかける。
「光子力エネルギーフルチャージ!」
尚もエネルギーを高めるマジンカイザーは、紅の翼をはためかせ巨大戦艦へと翔ける。
「兜に道を空けてもらおうか……! お前らは偉大な勇者、グレートマジンガーが相手だ! 必殺パワー、サンダーブレェークゥ!!」
行く手を遮ろうとするハーガイ・ヤッドの砲撃軍を、偉大な勇者グレートマジンガーの放つ高収束プラズマエネルギー、サンダーブレークが打ち砕く。
「くらえぇ、カイザーノヴァ!!」
暴風の如き砲弾を掻い潜り、ついにマジンカイザーがヘルモーズへと取り付いた。鉄の腕を持って巨大な船体を掴み上げ、脱出せんとフルブーストをかけるエンジンのエネルギーを押さえ込む。そのまま頭上へと高く放り上げ、その凄まじいエネルギーを解き放つ。
「へへっ! 一昨日きやがれってんだ!」
巨大なエネルギーがヘルモーズの装甲版を次々に破壊し、その全てを塵に変えて魔神の皇帝は次の敵へと羽ばたいていった。
『無限に高まる気力に乗せて戦士の声が無限の宇宙に響く』
破壊は創造へと至るプロセス。そして、その頂を抱くは鋼鉄の破壊神ジェネシック・ガオガイガー。
「俺が貴様らを破壊する! ガジェット・ツール、ボルティング・ドライバァァァァ!!」
群がるヴァルク・ベンの部隊を中央から突破し、溢れる勇気を力に代えて突き進む勇者王。金色の鬣を靡かせ、獅子の咆哮が敵を破壊していく。
「人命救助が最優先だ。 ダブルトンファー!!」
負傷した味方兵士を救助するため、勇者ロボ超竜神が飛び交う敵を次々に退けていく。救護船が超竜神の開けたスペースを走り抜け、後方の大型救護艦へ傷付いた戦士達を運ぶ。
「いくぜ、ガオガイガー! 俺を使え!」
「クラッシャーコネクト! ゴルディオン・クラッシャァァ! 貴様ら全員、光になぁーれぇぇー!!」
黒鉄の破壊神がその身を金色に変え、惑星級敵殲滅破壊兵器ゴルディオン・クラッシャーを装着して膨大な数の敵機を光の粒子に変えて破壊する。後には金色の粒が降り注ぎ、獅子の雄たけびと共に宇宙へと勇気が満ち溢れる。
『傷つきながらも一歩一歩前に進むパイロット達』
眼前に迫るは地球が誇るスーパーロボット達を分析して設計、建造された旧ゼ・バルマリィ帝国の特機ヴァイクランとディバリウム。合体機構を備えたこの二機は恐るべき念動力攻撃兵器を備えている為、まとめて相手をするには少々骨の折れる相手である。
そして、それに立ち向かう戦士達は地球が誇る二大超電磁ロボと闘将ダイモスだ。
「合体攻撃だ! ファイヤーブリザード!」
高熱の熱風が宇宙を駆け抜け、合体せんと分離した二対を纏めて絡めとり拘束していく。
「超電磁ボール!」
ファイヤーブリザードの拘束力から抜け出そうと足掻く二体に、更に拘束力を底上げする超電磁の光球がぶつかり完全に動きを止められた。
「グランライトウエイブレール、発射!!」
縫い止められた敵に向かって勝利の紅い道が奔る。道の中央には巨大なトレーラーが駆け、白い軌跡を描きながら猛然と突き進む。
「とどめは任せたぞ、一矢!」
「風穴を開けてやれ!」
「おう! 烈風ぅ正拳突きぃ!!」
ボルテスⅤとコンバトラーⅤのエールを受けて、巨大なトレーラーが変形し闘将と成りて必殺の正拳突きで二体纏めて打ち抜いていく。堅牢で柔軟な装甲も意味を成さずに次々に破壊し、ダイモスが突き抜けた背後には腹部に大きな穿孔が広がる機体だけが残され、近くの戦艦に着地したダイモスの背後で爆炎と共に塵になったのだった。
『傷つき後を託して離れていく仲間達』
宇宙に数多の閃光が煌めく。
だが、その光は決して美しい物ばかりではなく破壊を伴った恐ろしい輝きである。光が通り過ぎた後には数え切れないほどの爆発と、それによって生じる爆光と衝撃波が広い空間に奔る。
「マリ、神宮寺さん、麗さん! 援護は任せたぞ!」
破壊の光から見方を守護するのは古代ムー帝国の勇者ライディーン。巨大な弓矢に念動エネルギーを注ぎ込み、見方に近づくエスリム・アフを片っ端から射ている。
「分かってる……! 麗、フォーメーションαで敵を引き付けるわ! 神宮寺さん、照準は任せましたからね。ミサイル発射!!」
「了解、私達のコンビネーションを見せてやりましょう! ミサイル発射します!!」
「こいつは俺達からのサービスだ、たらふくご馳走してやるぜ!」
ライディーンを援護すべく二機のブルーガーが敵機にミサイルの雨を降らせる。多角的に降り注ぐミサイルよって、ある程度の編隊を組んでいた敵は段々と中央に纏り出してきた。
「いいぞ、敵が纏り出した……これなら! ゴォォッド・ボォォォォイス。ゴォォォォォォッド・ラ・ムゥゥゥゥゥゥ!!」
固まった所で一気に殲滅する為、勇者の歌声が宇宙を満たしていく。優しくも雄々しく、破壊的ながらも神秘的な歌声はラ・ムーの星を輝かせながら命の歌を歌い上げるのであった。
「ん? ライディーンの背後から特機が来る……! くそっ、あんな物まで復元しやがったのか!」
古代の勇者が歌う後方から迫るのは、かつてのゼ・バルマリィ帝国十二氏族の一つトーラー家が搭乗したジュモーラ。念動力を駆使した戦闘力は脅威で、祭祀長を務める一族でありながらも他の氏族に劣らない戦果を残した機動兵器だ。
「こちら、ガイキング。ミラクルドリルを発射してくれ!」
勇者が動けないのをフォローすべく、ジュモーラに立ち向かうのは恐竜型機動要塞大空魔竜隊のスーパーロボット、ガイキングである。強力な念動フィールドを突破する為に、大空魔竜に巨大ドリルミサイル・ミラクルドリルの発射を要請する。
「了解だ。いくぞ、サンシロー! ミラクルドリル、発射!!」
ガイキングの要請に応え、敵の攻撃に応戦する大空魔竜の腹部発進口からミラクルドリルが発射された。ガイキングに接触するまでの数秒で、二、三機の敵機体を破壊しながら突き進む。
「装着完了! ミラクル! ドリルゥゥ!!」
無防備な背後から念を込めた剣を投擲しようとするジュモーラ。負の念動力が込められたそれは、まともに喰らえば如何な古代の勇者と言えど唯では済まない威力を持っている。
しかし、その剣が投擲される直前で念動フィールドを突き抜けたガイキングのミラクルドリルがジュモーラの手か剣を叩き落した。そのまま機体を反転させて腹部から貫こうとしたガイキングであったが、腐っても十二氏族の一つであった機体である。ドリルが接触する瞬間に再び念動フィールドを発生させて、その僅かな隙に距離を取る。激しい戦いを繰り広げる二機は、エスリム・アフ部隊を殲滅したライディーンも加えて更に苛烈なものとなっていった。
『戦士の機体を懸命に修理補給する整備兵』
マクロス級護衛艦隊の周りで敵を蹴散らすのは、汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオンの三機だ。主砲であるマクロスキャノンの充填の為に動けない旗艦を守る為に密集陣形を組んでいるが、数で勝る敵無人機軍に対してATフィールドや多くの武装を駆使して応戦していた。
「前方から新たな多数の敵機接近、識別は……小型無人兵器の団体様よ。シンジ君、アスカ、レイ。早急にエヴァで敵を殲滅して頂戴!」
「分かったよ、ミサトさん。……アスカ、綾波、やるよ」
「わかったわ」
「ゲーエン!」
「いっけぇぇぇっっ!!」
旗艦に搭乗している葛城ミサトからの指示に、優しさをそのままに精悍な顔つきになった碇シンジがリーダーシップをとる。相変わらず物静かだが以前よりシンジに対して積極的に接するようになった綾波レイと、そんなレイの変わり様に若干焦りを見せつつシンジに世話を焼く惣流・アスカ・ラングレーが、息の合った一斉射撃で小型無人機を撃墜、一掃していく。
「どんなもんよ! シンジ、今日の夕飯は豪勢にしてよね!」
「……私も一緒に碇君のご飯が食べたい。いい?」
「え!? 今月はちょっと懐的に豪勢な食事は――――」
「はいはい、そこの子供達! ご飯の心配は戦いに勝ってからにしなさい。――ちなみにシンちゃん、私は美味い酒があれば満足よ~」
「ミサトさんの酒代のせいでピンチなんですよ!? もういいや、今は戦いに集中しよう……」
今一緊張感が抜けているエヴァ部隊。だが、こんなにも厳しい決戦だからこそ、彼らの持つ雰囲気は周囲に良い影響を与えているのかもしれない。
『負傷したパイロット達を命がけで守る救護兵』
雲霞の如く迫り来る敵に対して迎え撃つは歴戦のガンダムチームだ。三年の月日が経った現在でも、現場でモビルスーツに乗り続ける伝説のパイロット、アムロ・レイ。彼の駆るHiνガンダムはサイコフレームを増設し、より強力でストイックな性能となり、まさに彼の専用機体となって戦場で活躍している。
「シャア、ララア、俺たちの選択が間違っていない事を証明するためにも、俺に力を貸してくれ! いけっ、フィン・ファンネル! ……Hiνガンダムは伊達じゃない!!」
緑色の光に二人の男女が浮かび上がり、背中にマウントされたフィン・ファンネルが宇宙を翔ける。絡み合うように飛ぶファンネルと、それに続くガンダム。数々の奇跡を起こしてきた暖かなサイコフレームの光が、負の念を払うべく次々と敵を撃墜するのであった。
「俺達は負ける訳にはいかない。……そうだろう、二人とも」
Z計画によって生み出された傑作機Zガンダム。先の大戦後に一度解体され、他のガンダムに引けを取らない様に大幅に機体スペックを改良され蘇った最新版である。バイオセンサーの他にもサイコフレームを標準装備とし、機体の全てを底上げする目的で新規の装甲材質を採用してある。
パイロットであるカミーユ・ビダンの高レベルなNT能力と相まって、従来のZガンダムでは比較にならないほどのMSとなっている。
「お前達みたいなのがいるから戦いは無くならないんだ……。いい加減この世界から居なくなれぇー!!」
増幅された思念と魂の力を集めて、長大なビームサーベルを作り上げるZガンダム。振り下ろす先には十を超えるシュムエルが居る。防御姿勢をとる機体から回避を選択する機体、迎撃しようとする機体と様々だが、それらを全て飲み込んで消滅させるビームの刃。散っていった人々の魂の力が込められたZガンダムによって、負の怨念が浄化されていくのを見届けたカミーユは、霊帝の復活によって輪廻から弾かれた魂を救うべく宇宙を翔ける。
「あんた達みたいな亡霊が何時までものさばっていたら、戦いで死んでいった人達が報われないんだよ!」
Z計画のもう一つの姿であるZZガンダム。試作段階であったZガンダムの開発が完了し、多大な戦果を残したMSを更に発展改良して辿り着いたZ計画の到達点。高出力ジェネレータを備えた機体は高火力かつ高機動性の両面を持つ事に成功した。他のMSと比較しても遥かに高威力のダブルビームライフルを筆頭に、コロニーレーザの20%に当たる出力の頭部ハイメガキャノンや、長大な刀身とビームキャノンの機能を併せ持つ兵装。バックパックに内装された多連装ミサイルランチャーなどと、一機のMSが持つ単一戦闘能力としては最高水準の機体である。
更に本機はZガンダムと同じく大戦後に解体され、新たな装甲素材とサイコフレームを標準装備した強化機体となっている。故に旧フルアーマー構想は撤廃されて、新規に構築されたメガ・フルアーマーを装備する事で更なる強化を可能としているのだ。
「ヘヘッ! ウジャウジャ集まってさ、ZZには格好の的なのよね! ハイメガキャノンを発射するぞ。皆、射線軸には入るなよ!」
頭部に配置されたアンテナの中央にビームの光が集まり出す。銀河探査船団で防衛任務に就いていたジュドー・アーシタは、自身のNT能力に磨きが掛かりZZガンダムのカタログスペックを凌駕する事が出来るのだ。
「いっけぇぇぇっ、ハイメガキャノン砲ーッ!!」
サイコフレームの輝きと共に、凝縮されたエネルギーが生命の奔流となって負の念を消し去る。その凄まじい力はトロイヤ群に存在する巨大な小惑星すらも消滅させながら外宇宙へと消えていく……。
「……ターゲット確認、ツインバスターライフルを照射する」
「地獄への道連れは、てめえらだけで行けってんだ! ……どけどけぇぇ! 死神様のお通りだ!!」
天使と死神が宇宙に舞う時、悪霊の念は浄化され魂の輪廻へと還る。天使の放つ閃光が負の念を焼き尽くせば、死神の持つ鎌が霊帝に拘束された魂の楔を断ち切る。
「何とか間に合いましたね。イルイさんからお話を聞いた時は驚きましたが、あの場にみんなが揃って居なかったらと思うとゾッとします」
「残り四百機、一人五十機の割合だ。無人兵器一個大隊の殲滅ならば俺達だけで何とかなるだろう」
「プリベンターは必要とされるならば何時でも戦う。ましてそれが人類の為ならば尚更だ。……行くぞ、ナタク!」
大振りのショーテールが舞い一振りで二機を葬り、膨大な数の銃弾とマイクロミサイルが四~五機の機体を纏めて吹き飛ばす。三又の刃が正義の名のもとに邪悪を両断すれば、そこに残ったのは負の念が抜けた鉄屑だけだ。
「ノイン、今からメガキャノンで掃討する。ヒルデと協力して射線からから逃れた敵を撃ってくれ」
「分かりました、ゼクス。ヒルデ、私達で後詰の射撃を行います。ツインビームキャノンの一斉掃射で漏れ出た敵を撃破しますよ」
「了解です、ノインさん。ツインビームキャン充填開始。フルパワーの発射完了まで後三十五秒!」
白い三機のMSが巧みな操縦技術と戦術によって敵小隊を次々に撃破、トールギズⅢのメガキャノンによる巨大な閃光の後に、改良されたトーラスの連携射撃で完全破壊する。
火消しのプリベンター。その名が意味するのは、争いという名の火種を速やかに消し去る特殊部隊である。平和を勝ち取った世界に災いをもたらすモノは、彼らによって即座に消されるのだ。それは例え蘇った亡霊であろうとも変わらない。
『大切な人達の為に戦う戦士達』
「思いだけでも……、力だけでも……。ラクス! ミーティアを射出してくれ!」
戦場を翔ける自由の翼。手にした力に思いを載せて、生きとし生ける全ての自由を守る為に更なる力を持って敵に立ち向かう。
「貴方に託しますわ、この力を」
愛する者からの思いに応えて託される流星の力。巨大なウエポンユニットであるミーティアは、フリーダムと合体する事によって強力な武器となるのだ。
「いっけぇぇーー!!」
幾重にも重なる閃光の雨とミサイルの嵐が見方を巻き込む事無く、確実に敵機のみを撃墜していく。それでも接近してくる敵には主砲兼ビームソードを兼ね備えているユニットで、長大なビームソードを形成し切り刻んで消滅させる。
覚醒したSEEDの力に迷いは無い。負の宿命を背負って逝った人から教わった、自分自身の生い立ちとコーディネイターの真実。
しかし、その重い事実に目を背ける事無く彼らは歩く。それぞれの心に大切な人と思いがある限り、彼らの歩みを止める事は霊帝でさえ叶わない。
「宇宙怪獣並みの規模で攻めてきてる……。でも、いくら数で攻めて来ようとも私達は負けない! お姉さま、あれを使うわ……」
根性、努力、友情、熱血、不屈、魂……。その全てを内に秘めた二人の少女、タカヤ・ノリコとオオタ・カズミ。前大戦中に没したオオタ中佐によって徹底的に指導された二人は、高機道宇宙戦艦バスターマシンに乗り込み数々の激戦を繰り広げてきた。
「ええ、よくってよ……!」
一人一人では単なる火。
しかし、二人が合わさればそれは炎となってガンバスターとなる。コーチが残した言葉を信じて、その思いを現実の物とする為に!
「うわあああああぁぁぁぁっ!!」
宇宙に翔けるガンバスター。敵集団をを見渡せる位置に翔け上がり、敵巨大戦艦ヘルモーズに狙いを定める。人類の存亡をかけて、己自身の誇りと愛する者達の思いを込めて叫ぶ必殺の技。その名は――――
「スーパー!」
「イナズマ!」
「「キィィィィィィィック!!!」」
暗黒の戦場を貫く必殺のキック。純粋なガンバスターの装備ではないが、先人が生み出し彼女達が発展完成させた究極の技。凄まじい衝撃波で敵を巻き込み木端微塵に破壊し、トロイヤ群小惑星帯に風穴を開ける程の威力で持って敵陣を衝き抜けていく。
「ノリコ、出きるだけガンバスターでケイサル・エフェスの体力を削っておきましょう! ……新必殺技の出番よ!!」
「分かりました、お姉さま。宇宙で磨いた努力の結晶、貴方達に見せてあげる!!」
霊帝の誇る超念動フィールドを破る貫通力を出す為に機体を高速回転させて突撃するガンバスター。宇宙に残った負の意思を撃滅すべく、二人で編み出した新しいイナズマキック。そう、これこそ正に――――
「スーパー!」
「イナズマッッ!」
「「ストォォォォムゥ、キィィィィィック!!」」
努力と根性の成果である!
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
「ぬうぅぅぅぅぅぅっ!!」
力と力のぶつかり合い。炎となったガンバスターが生み出す途轍もない破壊力が霊帝の念動力を徐々に押し始め、平面状に展開してある超念動フィールドに歪みが生じ始めた。フィールドを保つ為に翳した右腕にもヒビが入り、すり鉢状に歪んだフィールドが限界に達した瞬間、突き破られたフィールド諸共霊帝の右腕を巻き込んでガンバスターが奔り抜けた。
「……ふむ、鎧の右腕を持っていかれたな。此れでなくては遣り甲斐も無い、か」
右肘から先を破壊された霊帝だが、その顔に浮かぶは喜悦の笑み。僅かではあるが破壊された場所が膨大な負の念によって再生をはじめ、新たな漆黒の腕部が亡霊達によって形作られていく。再生をする為に負の念が悲鳴を上げながら消えていくが、その無限に等しい力には微々たる傷であった。
だが、微々たるダメージであっても霊帝の力は確実に削がれているのも事実だ。僅かではあるがαナンバーズに勝利の可能性が見え始めた。
『状況を把握し、息つく間も無く指揮を飛ばす戦艦長』
「味方救護艦支援の為、核ミサイル発射の使用を許可する。ミサイル発射後は艦体を反転、対閃光防御! ……左舷、弾幕薄いぞ! なにやってんのっ!!」
「やってますよ!? おい、砲座はメガ粒子砲の準備もしておけ。ミサイルだけで片付くとは限らんからな!」
歴戦の名艦長ことブライト・ノアが舵を取るラー・カイラムは、見方を支援する為に凍結処分となっていた核ミサイルを発射する。管制からの指示により退避した味方を縫う様にミサイルが進み、敵陣形の三分の一まで進んだ所で爆発、破壊的な光と衝撃を撒き散らしながら敵を焼き尽くす。
「ブライト艦長も中々やりおるな。我々も負けちゃおれんぞ!」
「艦長。敵集団、接近してきます!」
「なんとしてもここで食い止めるのだ! 全砲門開け、光子魚雷発射っ!」
対宇宙怪獣戦に作られた旗艦ヱルトリウム。全長七十km超の超巨大宇宙戦艦が誇る火力は、他の艦体とは比較にならないほどの威力を備えているのだ。
「艦長、射線軸に見方機なし」
「本艦の一撃で戦線を押し上げます。ローエングリン一番二番、撃てーー!!」
大天使の名を頂く戦艦アークエンジェル。オーブ連合首長国にて任務に就いていた彼らは、イルイによりもたらされた霊帝の復活を聞いてかつての人員を呼び戻して駆けつけた。
大天使の一撃によって開いた戦線に味方部隊が突入し、勝利に向けて前進していく。人類の勝利に向けて、戦士達は突き進む。
『人類は……戦士達は歌う。命の叫びの歌を』
「へっ! また聞かせてやるぜ、悪霊野郎……!! いくぜお前ら! 銀河ツアーのラストをド派手に飾ってやる!」
銀河にその名を轟かせたFIRE BOMBER。常人を遥かに超える歌エネルギーを持つ彼らは、特殊な力アニマスピリチアを持つ熱気バサラをメインボーカルとしたユニットだ。
「……!」
「俺達の歌で救って見せようぜ、この銀河をな!」
「あたしも心を込めて歌う! 皆の為に!!」
「バサラ、シビルも歌うゾ……! アニマスピリチア!」
その歌声に秘められたエネルギーは、怨念の集合体である霊帝に物理的なダメージを与える事が可能で、バサラ以外のメンバーもそれぞれ高純度のスピリチアを発生させる事が出来る。
「スペシャル銀河ライブバージョンだ! 悪霊野郎、チケット代はいらねえっ……! 最後まで俺の歌を、俺達のハートを聴いていきやがれっ!!」
戦う戦士の魂を鼓舞する力強い歌。銀河を旅する三年の月日で培った彼らの歌声は、戦士達の闘志を上げながら霊帝の軍勢から負の無限力を削ぎ落とす。生命力を極限まで高めた人類の闘志に押され始めた霊帝。その様は奇しくも三年前の大決戦と同じシナリオを辿っていた。
『平和を守るために。愛するものを守るために』
「そろそろ幕引きが近づいて来たみたいだな……! いくぜ、隊長!」
「了解した。私達で霊帝に直接攻撃を仕掛けるわよ! HTBシーケンス開始」
天下無敵のスーパーロボット、SRXアルタード・バンプレイオス。地球の技術とゼ・マルマリィ帝国の技術を掛け合わせて作られた合体ロボットで、元SRXチーム教官でバルマー戦役後に戦死したイングラム・プリスケンによって育成されたスペシャルチームだ。
「了解です、隊長! システムコネクト……マイ、行くわよ」
「分かった、アヤ。T―LINKツインコンタクト……!」
かつて特脳研に所属していたケンゾウ・コバヤシが、養女として育てた二人の姉妹。念動力の資質に溢れ、Rシリーズの操縦テクニックも高レベルな彼女達は、大戦後も様々な任務に就きその念動力に磨きをかけてきた。磨き上げられた念動力は既に個人だけでバルマー十二氏族の祭司に匹敵し、二人の力が合わさればそれを優に超える事も可能となった。
「メタルジェノサイダー・モード、起動!」
「エクスガンナー、射出確認。隊長、こちらで誘導します!」
「お願いするわ。……コネクト完了!」
SRXチームにおいて唯一念動力を持たないライディース・F・ブランシュタインは、機器のサポートと共にトロニウム・エンジンの出力調整という大事な役目を負っている。彼の操縦テクニックは天才的で、彼無しにはバンプレイオスは真の力を発揮する事は出来ないと言われている位である。
チームの実質的リーダーであるヴィレッタ・バディム。彼女は合体攻撃にてR-GUNパワードのメタルジェノサイダーモードへの変形と機体制御を担当している。
彼女自身はイングラム・プリスケンのクローン人間であり、かつてはゼ・バルマリィ帝国にてスパイ活動をしていた経歴を持つ。高い戦闘能力を誇っていたイングラム・プリスケン同様、高い操縦テクニックと戦闘能力を持つ彼女は大戦後もSRXチームにて様々な任務をこなしている。
「トロニウム・エンジン、オーバー・ドライブ! バイパス開放!」
「ターゲット・ロック……誤差修正……!」
「発射準備完了!」
「トリガーを預けるわ、リュウ!」
チーム内のムードメーカー兼バンプレイオスの要であるパイロット、リュウセイ・ダテ。彼の持つ念動力は質、量共に高く、その力を高めていけばクロスゲートを使用する事無くアカシックレコードにアクセスする事で平行世界にまで行けるという。ある意味、人造神ガンエデンや霊帝に一番近い能力を有していると言えるだろう。
彼の念動力がトロニウムを圧縮し、さらに増幅させる。レイオス・プランにて完成したトロニウム・エンジンのオーバードライブによって可能となった必殺の一撃が霊帝へと向けられる。
「おう! こいつで風穴開けてやるぜ、ケイサル・エフェス! 天上天下一撃必殺砲っ!!」
PT一機を丸ごと砲身としたエネルギーの奔流が解き放たたれる。その一撃は直進しながら無人兵器を巻き込み破壊し、霊帝を撃ち抜かんと突き進む。霊帝はすかさず超念動フィールドを形成し、己が身を破壊せんと迫る輝きを阻止するために全力を投じる。
「フフッ! なんと強力な一撃か……。以前よりも遥かに安定して力を増しておる!」
「へっ! てめえに褒められたって嬉しくはねぇぜ、ケイサル・エフェス!」
ついに超念動フィールドを突破して霊帝に閃光が直撃する。確かな手ごたえを感じたリュウセイであったが、さすがは霊帝、一筋縄ではいかない。背後の巨大な翼で身を包み込むと、全力で防御の姿勢を取りバンプレイオスの一撃を耐える様子を見せる。エネルギーの奔流が霊帝の身体を包み込むように走り抜け、巨大な爆発と共に衝撃波が辺りの無人機を次々に破壊していった。
「やったか……っ!?」
爆光が収まり辺りに一瞬の静寂が訪れる。だが、そこには右半分の翼を破壊されたものの、まだまだ衰えぬ悪意を振りまく霊帝が戦意を漲らせていたのである。
『生きとし生ける者の声を紡いで、銀河の明日の為に』
「我はゼンガー、ゼンガー・ゾンボルト! 悪霊をたつ剣なりっ!! ……我が雲耀の太刀にて悪霊を振り払わん……! しかと受け止めてみよ!!」
巨大な剣、参式斬艦刀を振り下ろすは武神装攻ダイゼンガー。振りぬかれた巨剣が通り過ぎた後には、真っ二つに両断されたズフィールドが爆炎を上げて砕け散った。爆発の光を背に残心を解く武神は、次の狙いをカメラ越しの鋭い眼光で霊帝の姿を捉える。
バンプレイオスとRUGNパワードによる合体攻撃によって翼を損壊させた霊帝を見て、この戦いにケリをつけるべくDGG二機による合体攻撃を使う事に決断した。
「友よ、今こそ我らの力を見せる時!」
「承知……!」
二機のDGGが上昇し青い光と赤い光が交差する時、鋼鉄の駿馬を駆る古の侍が戦場に降り立つ。
「「刃馬一体っ!!」」
小惑星の一つに降り立った刃馬。馬上で参式斬艦刀を構える姿は正しく現代に蘇った古の武神。小惑星を蹴り砕き宇宙を駆ける黒き竜巻は、周囲に群がる小型無人機を蹴散らしながら猛然と霊帝めがけ突き進む。
「咆えろダイゼンガー、武神の如く!」
「駆けろトロンベ! その名の如く!!」
「貴様らは……。あの時我を切り伏せし剣か!」
霊帝の頭上から馬の速度を掛け合わせた斬艦刀を振り下ろす。傷付いた片翼を一刀のもとに切り捨てると、その勢いのままに霊帝を小惑星の地表に叩き付ける。ぶつかった衝撃によって岩石で構成された地表が陥没し、宙に巻き上がった岩石ごと霊帝を斬艦刀で切り上げていく。
「でいやぁぁぁ! 奥義、斬艦刀・逸騎刀閃ッ!!」
「ぬううぅぅぅ!?」
ダイゼンガーの瞳が光の軌跡を描き、アウゼンザイターが一気に跳躍して上空に弾き飛ばした霊帝めがけ差し迫る。斬艦刀がその煌めきを返す時、武神の雄叫びが宇宙を圧倒し霊帝の腹部に刀身を打ち込む。
「切り裂く!」
「チェストォォォオッ!!」
喰い込んだ刃は止まる事を知らずに突き進む。霊帝の身体を纏う漆黒の鎧を割砕き、後の続く友の為に道をつけるのだ。
「ケリを就けるのだ、トウマッ!!」
「後は任せたぞ、友よ!!」
『今再び生きとし生けるもの達の、魂の咆哮が
「応っ!! 外道、ケイサル・エフェス! 銀河の彼方まで蹴り砕いてやる!!」
「プラズマ・ドライブ、フルバースト!」
「迷いを捨て、今、心を一つに……!」
ミナキの想いを乗せて、今トウマの闘志が激しく燃え上がる。
大雷鳳の全身にあるプラズマコンバータが輝きを増し、フェイスガードに隠された素顔が解放され、隻眼となった顔に目が現れる。決意を内に秘めた瞳が霊帝を捉え、機体背面から放出されたプラズマの翼がゆっくりと羽ばたく。
「クククッ! また我は負けるのか……。だが! せめてお前だけでも、この世界から消し去ってくれる!!」
悪霊の王も最後の抵抗をする。己を妥当し得るであろう人間を消すために。
上半身だけとなった霊帝の鎧から白き古の祭壇が姿を現す。銀河の全てを負の念で飲み込む力を持つ霊帝の一撃、その力を濃縮して放つ必殺の攻撃が宇宙を切り裂いて迫る雷の闘神に放たれる。
「千分の一秒の世界……! 刹那に全てを懸ける!」
雷の鳳凰が宇宙を翔ける。神速の蹴りをもって悪を蹴り砕かんがために……!
「もっと速く! もっと強く! もっと熱く!」
「ぬぅああぁぁぁぁぁっ!!」
終焉の銀河を冠する魍魎達の中を突き進む雷の闘神。死の淵から手を伸ばし、闘神を己の側に引きずり込もうとするのを振り払い、砕ける装甲と軋む鋼鉄の身体を顧みる事無く霊帝へと神速の蹴りを叩き込む。
「稼動効率、100%突破! でも……!」
限界を超えてその先の力を引き出しながらも、機体はその莫大なエネルギーを上昇させていく。今までの仲間による霊帝へのダメージが僅かな隙を生み出し、拮抗していた力のぶつかり合いが闘神に傾いた。
「俺の闘志に応えろ、大雷鳳!!」
蹴り飛ばした霊帝を追い越した闘神は勢いを更に加速させ、雷の翼を広げた機体を上昇させる。輝く瞳はケイサル・エフェスを捉え、鳳凰の翼を広げ全ての力をこめた蹴りが流星のように放つ。
「砕け散れええええええーーーーっ!!」
トウマが叫ぶ。今度こそケリを付けるために……。
しかし、霊帝も唯では遣られない。
「トウマ・カノウ……この手で消し去ることができないならば、せめて置き土産は置かせていもらうぞ。ふふふはっはははははっ!! ……見事だあくなき闘志を持つ者よ!!]
今度こそ、そのまつろわぬ魂を完全に蹴り砕く。巨大なエネルギーの火柱がケイサル・エフェスの魂を浄化させ、霊帝の力が無に還ると時を同じくして敵無人兵器も活動を停止した。
「銀河に消えろ……ケイサルエフェス!」
そのエネルギーの柱から脱出した大雷鳳は近くの戦艦に着陸する。
「ミナキ……やったぜ。今度こそフィナーレだ……!」
その身を立ち上がらせ、トウマは勝利を告げた。
「トウマ、無事でよかった…………っ!? ダメ、そこから離れてトウマ!?」
その時、戦いの終わりに戦士たちが喜び合う中突如トウマの周りの空間がゆがみ始めた。大雷鳳を異空間へと引きずり込み始めたのだ。
「っ!? ……ミナキ、どうやらこれがやつの置き土産らしい」
「イヤッ!! トウマ早く脱出してください!!」
どんどん異空間に飲み込まれていく大雷鳳。ミナキの悲痛な叫びがあたりに響く。
「……だめだ、脱出できそうにない。もう、エネルギーが残っていないか……」
トウマの呟きを聴いた瞬間ミナキは、自身の中で一つの決意を抱いた。
「もう……、もうあなたと離れるのは嫌です。あの時の様な想いをするのは御免です……」
前の戦いの時、トウマはミナキが乗る巨大戦艦「ヱルトリウム」がケイサル・エフェスと運命を共にしようとした時、大雷鳳のパワーで引き離し自身を犠牲にしようとした時があった。
「……だから、今度は私があなたと共に行きます。ガルバー分離!! 後は頼みました、アルマナさん!!」
ガルバーの緊急脱出ポッドを起動させトウマの元へ行くミナキ。しかし、トウマが飲み込まれるまで間に合いそうにない。
「トウマ、今行くから!! お願い間に合って!!」
その光景を見ていたイルイが、サイコドライバーの力を発動させミナキに力を貸す。
「ミナキさん、トウマをお願いしますね。あなたとなら、どんな世界でも生きて行けるでしょう。そしていつか迎えに行きますから……」
「ありがとう、イルイさん……。いつか迎えに来てくださいね。――いってきます」
「ミナキ、すまない……君を巻き込んでしまって。でも、ミナキが来てくれて嬉しいよ」
「はい、私もあなたと一緒に居られて嬉しい。どこに飛ばされるか分かりませんけど、トウマと二人ならヘッチャラよ……!」
その言葉を残して二人は異空間の中に消えた。
後には戦争に勝った喜びと、二人の英勇を失った悲しみが残された。
「いつか必ず、星の海で……。待っていてください、私たちは仲間を見捨てはしません」
「トウマ、ミナキさん、必ず迎えに行きますからね。バルマー帝国の名に賭けてでも。……ですから」
「「必ず生きて、また会いましょう!!」」
ここに、残された者達の新たな挑戦が幕を開けた。
地球・日本 IS学園・入学式2週間前 アリーナ練習場前・とある教師
「いよいよ、あと2週間か……。まったく、今年はあいつのおかげで忙しくなりそうだ。唯でさえ休みは少ないというのに……」
愚痴をこぼしながらどこか嬉しそうに呟き歩く一人の女性教師。彼女は、後2週間後に迫った己のたった一人の家族である弟の入学式の準備のため、日夜忙しく働いていた。
ここでIS学園について説明しよう。
世界中から若き優秀な女性を集め、IS操縦技術はもちろん知識、体力、一般教養などを教え込み操縦者や技術者を育成する機関である。そして学園の特性として、世界中の国からの中立・不干渉がある。これは一つの国に入れ込むと必ず争いが生まれるからという「アラスカ条約」から生まれたものだ。
そしてISについても説明をしておこうと思う。
ISとは、正式名称「Infinite・Stratos《インフィニット・ストラトス》」宇宙空間での船外活動を目的として開発されたマルチフォーム・スーツである。たった一人の天才が発明したとされ、しかもそれが十八歳にも満たない少女であったことから世界からは認められなかったが、通称「白騎士事件」で世界中から発射された約二千発のミサイル群をたった一機のIS「白騎士」が叩き落し日本を守ったことによってその性能を世界に知らしめ、結果世界からみとめられた。しかし近年はその武力のみが突出してきており、当初の使用目的からは大きくずれている。なお、ISを組み立てる際には「ISコア」が必要であり、それは開発者である天才にしか作れないため、世界中で467機しかISは存在しない。ちなみに開発者は逃亡中である。
「ふう、そろそろ交代の時間だな。……早くうちに帰りたいものだ」
コーヒーが飲みたいと、新たなため息を一つついたところで女性教師は気づく。自身の頭上に光が輝き、その光の中から二人の人間がゆっくりと落ちてくることを。
「っ!? 光の中から人が降って来るだと? …………って、黙ってみてる場合じゃないかっ!」
女性教師はいったん考えることをやめ、降りてくる二人を助けようとする。
この三人の出会いがのちにトウマ・カノウという一人の男をめぐって繰り広げられる女と女のバトルに発展するとは、この時女性教師は欠片も思わなかった。
「ああ、また休みが減っていくのか。一夏よすまない、姉は今日も帰れそうにない。……泣けるっ!」
若干涙目になりながらも今日も忙しくなることが決定した女性教師だった。
合掌!!
いかがだったでしょうか?やっとIS陣の一人であるあの人の登場です。若干キャラが違うかも?
誤字脱字・感想などお待ちしております。
※6月29日
大幅に改稿いたしました。前の文章と比較されたい方は是非ピクシブ様にてご覧になってください。