俺ガイル小説でよくあるちょっと性格が変わった愉快な比企谷八幡 作:銅英雄
では今回もよろしくです。
俺と西野と榎本は夕食を終えた後にこの千葉村周辺を散歩に来ていた。
「千葉村に来るのかなり久し振りだけど、空気が澄んでて気持ちいいね!」
「そうね。とても風が気持ちいい……」
西野と榎本はここの空気が好きみたいだ。まぁ俺も千葉村は好きだな。群馬県なのに千葉の名称を持っているこの場所が。
等とくだらないことを考えていると何やら暗い空気を纏った奉仕部と戸塚に小町、それに何故か葉山グループがいた。面白そうだから絡んでみよう。
「大丈夫……かなぁ?」
「ふむ、何か心配事……」
「はっはー、何が大丈夫なんだい?」
「比企谷!私の言葉を遮るな!!」
「平塚先生は相変わらず元気がいいですね~。何か良いことでもあったんですか?」
「……今は君をスルーしよう」
「そんな寂しいことを言わないでくださいよ~。先生が構ってくれないとつまらないです」
主に俺の玩具が手元にないという理由でだが。
「君に構いっぱなしだと話が全く進まないからな。……それで由比ヶ浜、何か心配事かね?」
よよよ……。スルーされちまったぜ。
「ちょっと孤立しちゃってる子がいたので……」
「可哀想だよね~」
平塚先生の質問に葉山が答えて、三浦が相槌を打つ。はて、それの何が問題なのだろうか。
同じことを思っていたのか西野がその言葉に反応した。
「それって何か問題なの?」
「どういう意味かな西野さん?」
西野の発言に疑問に思ったのか葉山が尋ねる。おいおい、その意味がわからないようじゃ今起こっているであろう問題を解決することなんざ不可能だぜ?
「ただ孤立しているだけならなんの問題もないはずだよ。その子が1人でいることを望んでいる、或いは1人でいるのが好きかもしれないからね」
「あっ、えっと、その子はなんか他の子達からハブっていうか……除け者にされてるみたい」
西野が説明すると、由比ヶ浜が事の経緯をもう少し詳しく話す。
「……つまり悪意によってその子孤立させられているというわけね」
「……それで君達はどうしたい?」
「……俺は、可能な範囲でなんとかしてあげたいと思います」
可能な範囲で……ね。これ程無責任な言葉もないな。そう思っていると、葉山の意見に2方向から反対の意が出てくる。
「可能な範囲で……ね。貴方には無理よ」
「そうね。葉山君にはできないわ」
「「そうだったでしょう?」」
雪ノ下と榎本が葉山の案件を否定する。この3人は小学校が同じだったらしく、過去に何かしらの因縁があるのだろう。
葉山も核心を突かれたのかとても青ざめた表情をしている。
「雪ノ下、君は何かあるかね?」
「……平塚先生、これは奉仕部の合宿も兼ねているとおっしゃっていましたが、彼女の案件も活動内容に含まれますか?」
「この合宿は林間学校はサポートボランティアを部活の一環としている。原理原則から言えばその範疇に入れてもよかろう」
「そうですか……。では彼女が求めるならあらゆる手段を持って解決に努めます」
雪ノ下はやる気充分だねぇ……。果たしてこの問題に対してどうやって『奉仕部の理念』に乗っ取って依頼を遂行するのか楽しみだ。
「雪ノ下の意見に反対の者はいるかね?」
雪ノ下の意見に対しては反対とは言い切れないが、賛成かと聞かれると微妙な感じである。
西野も榎本も俺と同じ感じだが、俺達はこの合宿には不参加だから意見を出す必要はないだろう。精々サポートボランティアの連中だけで考えてくれたまえ。
「ではどうすればいいか君達で考えてみたまえ。私は寝る」
平塚先生無責任だな……。この場合は放任といった方がいいのかね?
~そして~
……というわけで話し合いタイム。ちなみに俺達3人は何も言わないでおこうとのこと。だって俺達参加者じゃないし。
「つーかさ、あの子結構可愛いし他の子とつるめば良くない?試しに話しかけてみんじゃん。それで仲良くなるじゃん。余裕じゃん?」
「それだわー。優美子冴えてるわー!」
「だしょ?」
「そ、それは優美子だからできるんだよ……」
三浦の意見は実際かなりの勇気とコミュ力がいる。三浦や西野みたいな性格だとそれでも良さそうだが、否定的な姿勢が見えるということは件の鶴見留美(つるみるみ)は内気な少女なのかもしれない。
あっ、その子の名前は小町から聞きました。
「足掛かりを作るという意味では優美子の意見は正しいな。でも今の状況下だとハードルが高いのかもしれない」
「そっか……。そういうもんかな?」
葉山は波風を立てないようにやんわりと三浦の意見を否定する。完全否定というわけではないのが葉山の甘いところだ。そう分析していると……。
「はい」
「姫奈、言ってみて」
続けて意見があるのは同じクラスの海老名姫奈(えびなひな)。葉山グループの一員ということくらいしか知らん。あとは西野と交流があることくらいか?なんか他にもあったような……。
「趣味に生きればいいんだよ。趣味に打ち込んでいるとイベントとか行くと交流ができるでしょ?きっとそこから自分の本当の居場所ができると思うんだ」
ふむ、いい意見だな。葉山グループにいるのがもったいないくらいだ。
(いい意見ね……)
(うん、でもなんかそこはかとなく嫌な予感がするんだけど……)
西野と榎本は口こそ挟まないが、2人でこっそりと意見交換をしているようだ。俺はノータッチ。まぁ1つだけ榎本に意見を言ったが……。
「私はBLで友達ができましたっ!!」
(やっぱり……)
(葉山君のグループは三浦さん以外にまともな人はいないのかな……?)
「ホモが嫌いな女子はいません!」
それかなり偏見なやつ。うちでもBL本を読んでるのは高科くらいだぞ。
「今私が推してるのは『鬼畜ギャルソンシリーズ』です!雪ノ下さんと榎本さんも良かったら……」
「えっ?」
「私も?」
おい、自分の趣味を巻き込むな。
「優美子、姫奈と一緒にお茶取ってきて」
「……了解。海老名行くよ」
「ああっ!布教の途中なのに!!」
三浦は海老名を引きずって飲み物を取りに行った。
「……あの人は私に何を勧めようとしたのかしら?」
「ゆきのんは知らなくていいんだよ……」
由比ヶ浜は既に被害者のようだ。
「……梨子は読んでないよね?」
「読むわけないでしょ」
こっちはこっちで被害者らしい。
「……やっぱりみんなで仲良くなれる方法を考えないと解決にはならないか」
みんな仲良く……ね。
「……くだらないな」
「……どういう意味かな?ヒキタニ君」
ヒキタニ君って誰かしら?存じないな。ひきがや君なら俺のことですが。
「聞いているのか?」
「……ん?もしかして俺のことか?」
「他に誰がいるんだい?」
「はっはー、俺はひきがやだからヒキタニ君とやらのことを言ってるものかと思ったぜ。まぁこの場にヒキタニという名前の奴はいないがね。あれ?もしかして俺の名前読めないの?高校2年生になった今でも?初見ならともかく、先生だって俺のことをひきがやと呼んでいるんだぜ?なのに読めないなんてことはないよな?だとしたらわざと?うっわー、葉山君さいてー。人の名前をわざと間違えるなんてー」
「……隼人、今のは隼人が悪い」
「そ、そうだな……。すまない比企谷君」
三浦に促されて葉山は俺に謝罪する。人に言われてからじゃあ反省してるとは思えないな。また同じ過ちを繰り返しそうな気がする。
「……それでくだらないとはどういうことだ?」
「みんな仲良くという発想そのものがくだらない。そんなことが本当にできるのならば戦争なんて起こらないし、今の俺達はいないだろう。そしておまえに何かしらの因縁を持つ奴だっていない。だよな雪ノ下?」
「そうね。そんなことは不可能よ。ひとかけらの可能性だってありはしないわ」
「……雪ノ下さん、確かに隼人の意見は駄目かもしんないけど、さっきからあんたは否定的な意見ばっかりじゃん。そう言うあんたは何かあるわけ?」
「…………」
おいおい、そこで黙りかよ。それじゃあ葉山と余り変わらないぜ?
「なら留美ちゃんがみんなと話し合えば……」
葉山は葉山でそんな戯れ言をほざく。そんな葉山を見て溜め息を吐いた榎本が口を開いた。
「……何も変わってないのね葉山君は。私達を見捨てたあの日から」
「え、榎本さん……」
「みんな仲良く?みんなで話し合えば?それができていれば私も雪ノ下さんも苛められはしないわ。葉山君は私達を苛めていた娘達にその案を伝えた結果苛めが悪化してしまったことを知ってる?まぁ知らないでしょうね。その娘達は葉山君の前だと仲良くしているのを装って、葉山君がいなくなった瞬間に行動に移すもの」
「そ、そんな……」
「だからもうそんな悲劇を2度と起こさないためにも葉山君の意見は却下よ」
榎本は怒りを剥き出しにして葉山を睨む。雪ノ下も榎本の発言に同意すべく葉山を睨む。
「……なら榎本さんは何かあるのか?」
「私の案は3つ。1つ目は私達はこの案件に参加せずに林間学校の教師にこの問題を報告すること。これで問題の解決にはなるわ。1番無難な方法だけど、留美ちゃんの今後は保障できないわね」
「……俺達に留美ちゃんを見捨てろというのか?」
「なら葉山君のみんな仲良くを実行するとして、葉山君はずっと留美ちゃんを見張ることができるの?そんなことをすればその子達は確実に留美ちゃんを責めるでしょうね。『なんでお兄さんに告げ口したの!?』って」
「くっ……!」
理詰めで榎本に勝てる奴はいないだろう。葉山も押し黙る。
まぁこの意見だって『なんで先生に告げ口したの!?』って責められそうな感じだが、俺達は関わっていないのでダメージは鶴見留美本人だけになるだろう。
そしてそこから転校すれば鶴見留美の1人勝ちだが、転校なんてそう簡単にはできないから難しいところだ。
「2つ目は私達が留美ちゃんの居場所になること」
「私達が居場所に……?」
「根本的な解決にはならないけど、私達が留美ちゃんの居場所になることで留美ちゃんの癒しにはなるかも。まぁこれは留美ちゃん次第になるわ」
これは海老名の意見に近いものだな。そして1番健全な意見とも言える。
「そして3つ目だけど……」チラッ
榎本が俺の方を見る。それに対して俺はアイコンタクトで榎本に任せると伝えた。
「……これは比企谷君が最初に思い付いた案で、留美ちゃんの周囲の人間関係を壊すこと」
「えっと……。具体的にはどんな感じなのかな?」
人間関係を壊すことと聞いてピンとこないのか戸塚が榎本に問いかけた。
「話を聞く感じだと留美ちゃんは同じ班の4人から孤立させられてるから、その子達も無理矢理孤立させるのよ。全員が全員を疑心暗鬼にさせることで、解決はしないけど解消はできるわ」
『…………』
俺と西野以外は唖然としてるな。まぁ俺がこっそりと出した意見とはいえ、学年1位の榎本梨子が破滅的な意見を出したのだから当然なのだろう。
「……でもこの案の実行は林間学校のプログラムによっては難しそうかな。だとしたら最初の2つが私の案よ。私達は失礼するね。優香、比企谷君、行こう?」スタスタ
「う、うん……」スタスタ
「了解っと。……俺達は宿泊しているところに戻るが、榎本の意見以外に何かあると思うなら話し合いを続けることだな」
「待ってくれ!君達はこのボランティアに参加しないのか?」
「俺達はここにはアルバイトの慰安旅行に来てるんだ。だから話し合いに参加する義務はない。意見を出してやっただけでも有り難いと思ってほしいね」
まぁ意見出したのは榎本だけだが……。
「じゃあな」スタスタ
俺達は小原さんの別荘へと戻った。早く人を駄目にするソファで寛がなくては!
今回はここまでです。
八幡達は留美の件には基本不参加なので、話が飛び飛びになるかもですね。
年内にあと1話くらいは本編を進めたいです……。番外編は出すと思いますが……。