箱庭に流れる旋律   作:biwanosin

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再開二作品目は、これで行きます。
ニンジャのニンジャ感が出せているかどうか、とても不安です・・・


では、本編へどうぞ!


特別編
歌い手、デートする ニンジャver


「いや~、悪かったっスね。自分の用事に付き合ってもらっちゃって」

「別にいいですよ。僕も急に依頼に参加できなくなって暇してましたから」

 

 そろそろメイドさんと一緒に歩いているという状況にも慣れてきたので、周りのことを気にせずにレヴィちゃんと話をすることが出来ています。

 とはいっても、こんなに可愛い子と一緒に歩いている、というのはいつまでも慣れそうにないんだけど・・・ラッテンさんユイちゃん、黒ウサギさん、春日部さん、久遠さん、レティシアさんと“ノーネーム”にいるのは皆さんきれいな人ばかりなので、意外と困ってたりします。とてもうれしいんですけどね。

 

「むしろ、僕がついていって邪魔になってしまったんじゃないか、ちょっと不安なくらいです」

「それは大丈夫っスよ。確かに戦闘面では一切役に立たなかったっスけど、サポート面では十分に助けてくれたっスから」

「ははは・・・なら、良かったです」

 

 戦闘面では役に立たなかった、というのはちょっと来るものがあったけど、役に立てたならまあいいかな、と納得することにした。

 煌焰の都でペストと戦った時も、最後のには参戦できなかったし、気にしてたらきりがないです。だから気にしない。うん。

 

「どうかしたっスか?落ち込んでるみたいっスけど」

「いえ、ちょっと自分の情けなさに悲しくなっただけなので、大丈夫です・・・」

 

 レヴィちゃんもだけど、僕の周りの人たちはそう言うところに鋭いのもちょっと困るところです。隠しごととか、基本的に出来ませんから。

 

「さて、この後どうしますか?僕はもう何も予定がないんですけど、レヴィちゃんは何かあったりします?」

「自分も何もないっスね。しかし、奏さんが何の用事もないって言うのは珍しいんじゃないっスか?」

「確かにそうですけど、今日は元々演奏の予定だったのが行けなくなったので・・・」

「そう言えば、そうだったっスね」

 

 そう、元々今日は白夜叉さんの紹介で演奏に行く予定だったんだけど・・・向こうの要求に沿う形にするため、ラッテンさんとユイちゃんの二人だけで行ってもらった。

 

「まさか、演奏者もスタッフも、観客まで女性だけに絞るなんて考えているとは・・・」

「普通じゃ思いつかない気がするっスけど、箱庭では有りえる事なのかも知れないっスね。でも、奏さんなら参加していいって言われてたんじゃなかったっスか?」

 

 まあ、ね。最初はいいって言われてましたよ。依頼主のコミュニティのリーダーさんにもあって、そう言う方向で固める予定でした。

 でも、まさか・・・

 

「・・・女装する、なんて思われてたとは思わなかったんですよ・・・」

「確かに、普通は思い付かないっスよね。ちょっと見てみたかった気もするっスけど」

「やめてくださいよ。その場その場に合わせていろんな衣装を着てきましたけど、さすがに女装の経験はないんですから」

「似合うと思うっスよ?女装も」

「そんなのが似合っても、嬉しくないです・・・」

 

 よく言われましたけどね、元の世界でも。企画性を求めてそう言う仕事を持ちかけられたこともありますし。さすがに無理だと思って全部断らせていただきましたけど。

 

「まあなんにしても、そういうわけでさっきのが終わってからはプレイヤーとしても歌い手としても暇になってしまったわけです。そして、突発的だったので何の予定もなく、かと言って何もしないのも日本出身としては落ち着かなくて・・・」

「確かに、何かしていたいという欲求は高い国なのかもしれないっスね。ちなみに、自分ももう今日は暇っス」

 

 それはちょうどよかったです。

 

「じゃあ、このままどこかに行きませんか?あんまりレヴィちゃんと二人で話す機会とかないですし」

「お、いいっスね。自分と奏さんのデートっスか」

「あー・・・まあ、そうなります、ね」

 

 言われてみれば、確かにそうとも取れますよね、これ。全然考えが及ばなかったです。

 

「勿論、僕なんかが相手でよければ、ですけど」

「大歓迎っスよ。立場的には主従なので、自分の方が相手でもいいのかって感じっスけど」

「レヴィちゃんみたいな可愛い子が相手なら、僕も大歓迎です」

「さらっと言うっスねぇ・・・意外とたらしの才能もあるっスか?」

「・・・・・・」

 

 言ってから、気づきました。そして、大分恥ずかしいことを言ったなぁ、と後悔しています。

 たまにこうなるんですよね・・・ステージの上での自分と混ざると言いますか・・・あそこで作っているキャラが表に出てきてしまうと言いますか・・・もう諦めてはいますけど、困ったものです。

 

「かと思ったら、顔を赤くして黙っちゃったっスね。無自覚だったんスか?」

「はい、無自覚でした・・・というよりは、言ってから気付いて、そこを指摘されてもうダメだ・・・って感じでして」

「あらら。それは悪いことをしたっスね」

 

 僕自身が悪いので、何とも言えないところです。

 そんな会話をしてから、二人で並んで歩き始めます。特に目的があるわけでもないので、まずは大通りに出る方向で。

 

「そういえば奏さんは箱庭に来る前は歌手として活動してたんスよね?」

「一応、そうなりますね。自分でいうのもなんですけど、結構人気もありました」

「だったら彼女とか、そうでなくとも告白されたことくらいはあったりするんスか?」

「そう、ですね・・・」

 

 ちょっと思い出したくない部類なんですけど、いつかは乗り越えないといけないことではあるんですよね・・・

 いい機会ですし・・・よし。

 

「彼女はいなかったですけど、確かに告白されたことはありますよ。バレンタインなんかも、山のようにチョコが届きました」

「お、自慢・・・ってわけでもないみたいっスね」

 

 僕の表情を見てくれたんだろう。この暗い顔を見れば、自慢の類ではないことはすぐに理解してもらえるはず。

 

「まあ、そうなんですよね・・・色々と、ありまして」

「えっと・・・具体的には、どんな感じっスか?」

「告白はしてきた人の多くは、ヤンデレって言うんでしたっけ?僕を独占したいならまだいいですけど、家から出ないで一生一緒にとか、食事も排せつも全部やるからただ歌だけ歌っていてほしいとか、まあそう言うのがかなり・・・」

「・・・・・・」

 

 レヴィちゃんが絶句してる。これってかなり珍しいんじゃないかな?

 ちなみにだけど、今あげたのもまだマシな方だったりします。序の口ですよ、序の口。

 

「バレンタインに届いたチョコは、誰からなのか調べて仲のいい知り合いからのものは安心して食べれましたね。その他のものは、ちょっと危なかったので失礼な話ですけど食べずに捨てる、それも事務所のスタッフがそのことが他に漏れないように全力で、という感じでした」

「そこまでしないとダメって、一体どんなのっスか・・・」

「・・・初めてファンから届いたものは、食べやすいようにと思って割ったら髪の毛が出てきました」

「・・・・・・・・・」

 

 事務所で食べる、という手段をとってよかったと心から思います。他の人がいるから齧りつかなかったわけで、一人だったら普通にパクリ、と・・・

 ・・・ちょっと寒気が・・・

 

「それからは、ファンから送られてきたものはかなり注意して扱うことにしました。結果、チョコだけでも色々なものが・・・他の部分の(・・・・・)毛が入っていたり」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 これは同封されていた手紙からの推測でしかないのですけど、あの字と文章の異常さから考えて本気であったと思います。でも、まさかあんなところの毛を入れてくるなんて・・・

 

「一番ひいたのは、血をチョコにとかしこんでいたものですね。いえ、さすがにそれが人の血であったのかは調べなかったんですけど、何かしらの血であったのは確かみたいで・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・えっと、なんかごめんなさいっス」

「大丈夫ですよ。いつか乗り越えないといけないことですし、気にしてないですから・・・」

「・・・自分やユイさん、ラッテンさんはそういうねじまがった方向の行為は向けないっスから、安心してほしいっス」

「そんな様子がないから、僕は今こうしていられるんです。本当にありがとうございます」

 

 それに、あの事態は“音楽シリーズ”のもつ中毒性によるもの。それはギフトを持っている人には通じないらしいから、この箱庭では気にしなくていいと思う。そう言う意味では、僕はこの箱庭に来るべきだったのかもしれない。

 

「それにしても、なんとも壮絶な人生を送ってたっスねぇ・・・」

「そうはいっても、そこまで細かく気にすることではないですよ。むしろ、僕と一緒に召喚された三人の方が大変な人生を送っていたかもです」

 

 たまに、そう言う部分が漏れ出ているきがする。妙にその辺りのことが敏感になっちゃったんだけど。

 で、特に趣味がない僕とレヴィちゃんの組み合わせだったからか、行く場所も思いつかなくて・・・

 

「お、常連さんいらっしゃい!なんですか?今日はデートですか?」

「あはは・・・一応、そう言うことになるんですかね・・・ご無沙汰してます、キャロロさん」

 

 よく行く喫茶店に行って、軽食を取ることに。

 こう言う時、慣れていないとこうなるんですね・・・

 

「それはそれは!奏さんのファンの方たちに知られたら大変なことになりそうですね!ただでさえ、一緒に演奏している人達も女性ばかりですから」

「そこまで僕のファンな人っているんですかね?」

「当然、いるにきまってるじゃないですか!喫茶店の中のステージで申し訳ないんですけど、また依頼させていただきますね!」

「はい、ご依頼お待ちしております」

 

 と、前にもここで小さなステージをやった関係で仲良くなったキャロロさんと話をしてから注文して、それが来るのを待つことに。

 

「なんだかんだ、奏さんって人脈広いっスよねぇ・・・」

「コミュニティで引き受けている仕事の都合上、依頼先の人たちと繋がりが出来ますから。また依頼してもらうためにも、良好な関係を築いておきたいですし」

「納得っス。さすがは、あの中で唯一問題児じゃないだけのことはあるっスね」

「それは、僕がどうこうではなくてあの三人の方に問題があると思います」

「確かにそうっスね。あの三人の問題児っぷりには、見習いたいものがあるっス」

「やめてくださいよ、本当に・・・」

 

 これ以上問題児が増えると、僕と黒ウサギさんの胃がかなりピンチになります・・・うぅ、思い出しただけでもいたくなってきた・・・

 

「ほらほら、奏さん。注文したものが届いたっスよ」

「そうですね。じゃあ、食べましょうか」

 

 そう言って、僕とレヴィちゃんはおしゃべりをしながら食事を始めました。

 

 

 

♪♪♪

 

 

 

「結構、遊びましたね・・・」

「そうっスねぇ・・・すっかり暗くなっちゃったっス」

 

 あの後、もう何をするとか気にしないで色々と遊んでいたらすっかり暗くなってしまいました。そろそろ帰る時間かな・・・

 

「あ、そうだ。最後に一個お願いしてもいいですか?」

「何か自分に出来ることっスか?」

「はい。・・・僕でも使えるような武器を、みつくろってほしいんです」

「武器・・・っスか」

 

 この瞬間、レヴィちゃんの表情が一気に暗くなりました。

 

「ちなみに、目的を聞いてもいいっスか?」

「自衛のために、ですね。相手によっては、僕のギフトじゃ太刀打ちできない可能性もありますので」

「ふむ・・・それなら、まあいいっスかね。行きましょう、奏さん」

 

 ダメかな、とも覚悟してたんだけど・・・僕にも使えるものを選んでくれるみたいだ。

 

「えっと、何で聞いたんですか?」

「目的によっては、持つ方が危険だと思ったからっス。“戦う力が欲しい”とかだったら、断る気だったんスよ」

「・・・正直、その力については諦めてますから。全体での僕の役目が何なのかは、理解してるつもりです」

「ん、正しい判断っス」

 

 僕に出来ること、という範囲でなら本当に広く取れる。“音楽シリーズ”のギフトは、本当に幅広く対応できるから。でも・・・攻撃的なことには、特化できない。

 一番特化して動くことが出来るのは、後方支援。味方の力の底上げとか、相手の力を落とすとか、そういう分野。

 勿論、剣の舞みたいな攻撃側で働く曲もあるんだけど・・・僕の性格のせいか、サポート系に比べると強くはならない訳なのです。

 

「すいませんね、こんな情けない人が主で」

「いえいえ、ちゃんと自分の得手不得手を理解している人は情けなくないっスよ。それに、主を守るのはニンジャの仕事っスから。・・・奏さんの事は、自分が守るっスよ」

 

 手を後ろに組んで、少し振り返りながらそういてくれた姿は・・・

 

「・・・よろしくお願いしますね、僕のニンジャさん。期待してますね」

「期待されたら、頑張るしかないっスね」

 

 とても、とても美しかった。

 




こんな感じになりました。

では、感想、意見、誤字脱字待ってます。
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