君が歩んだ道を僕たちともう一度   作:未蕾

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風は靡き頬を撫で、物語を運んでく

NOside

 

 

「・・・・」

 

 

朝日に照らされ、反射された光によって白く輝く小川の斜面に一人の少年は仰向けに寝転がっている

さぁっと風が吹き、周辺の草を揺らし、彼の頬を撫で、髪を揺らす

 

 

「いい加減起きなさい!」

 

 

少年の頭が置かれている手前に、一人の少年と少女が立ち並ぶ

二人とも金髪に碧眼、寝転がっている少年は黒髪に黒目、察しは付くと思うが金髪碧眼の二人は日本人ではない、何の運命か、兄弟でもないのに二人とも同じ日に近所に越してきたのだ

 

 

「むにゃぁ・・・後一時間・・・」

 

 

少女は寝転がる少年を起こそうとするが、中々しぶとい

 

 

「キリト、君の分の跳ね鹿亭のパイ僕達で食べちゃうよ。」

 

 

「何!?それだけは勘弁!」

 

 

碧眼の少年の言葉によって少年は飛び起きる

 

 

「まったく、キリトのパイ好きもどうにかならないのかしら・・・」

 

 

彼らが日本に来たのは3歳の時、母国語でもある英語に触れるより先に日本に来たおかげで英語より日本語の方が達者である

 

 

「アリス、分けて欲しいなら素直に言ったらどうかね?」

 

 

「バカなこと言わないの、今日は私達の分まで用意してくれてるんだから。誰かさんと違ってね!」

 

 

黒髪の少年は日本人、名前は桐ケ谷和人だが、アリス達が親しみを込める意味も含めて彼をこう呼んでいる

 

 

「大体9時から寝ること自体どうかと思うけどなぁ・・・」

 

 

「折角の夏休み、それにこんな最高の気温設定なのに家に居るのは勿体無いと思わないかね?ユージオ君。」

 

 

「はぁ・・・とにかく急がないと置いてくよ!」

 

 

ユージオは先頭に立って走り出す

 

 

「こら、待ちなさい!」

 

 

「待て、ユージオ!」

 

 

ユージオ side

 

 

2年前、3歳位の頃に僕は両親の都合で日本にやってきて、近くに住んでいたのが和人とアリスだった

アリスは僕と同じで最近日本に来たという

初めて彼らを見たとき僕は既視感を覚えた、アリスはともかく和人には会ったことは無い筈なのに初めての感じが全くしなかったんだ

 

 

「俺は和人、よろしく!」

 

 

「私はアリス、よろしく。」

 

 

「僕はユージオ、よろしくね。」

 

 

それも日本じゃないどこか遠くの全く別の場所で・・・

 

 

・・・

 

 

僕はある日夢を見たんだ

 

 

見たこともない、周りは自然に囲まれた小さな村に僕と一人の男の子が住んでいて、これまた見たこと無い位巨大な樹を斬り倒そうと斧を振るんだ

けどどんなに降り続けても大木の切れ込みは一向に深まらない、何百年掛かろうかと思う程の途方な作業を何時間も続けていたんだ

 

 

太陽も真上に差し掛かった頃、林の方から今度は女の子がバスケット片手に走ってきた

彼女は僕たちの分のお昼ご飯を持ってきてくれたらしい

 

 

二人の顔はボヤけて見えないけど僕はそれを知っている気がするんだ、確信はないけどね

 

 

ビュォォォォ

 

 

「うわぁっ!」

 

 

「きゃっ!」

 

 

強い風が吹き、砂を巻き上げ、舞った砂埃に目を瞑った後、僕の意識は遠ざかっていった

 

 

・・・

 

 

キリトside

 

 

「何の用だ茅場・・・」

 

 

暗黒軍からアリスとアンダーワールドを守り抜き、一時の平穏が訪れ、再興の為に奮闘していた頃、俺の目の前に茅場が現れた

 

 

「時間がないので手短に話そう。」

 

 

「俺はあんたにゃ山ほど聞きたい事があるんだが。」

 

 

「言った筈だよ、時間がないと。君はユージオ君とアリス・ツーベルク君を知っているかね?」

 

 

忘れる筈もない、俺の親友でありアドミニストレータを倒すために互いに高めあってきた最高の好敵手(ライバル)と呼べる存在、ユージオ

そして彼の幼馴染みであり、彼が()()()()()()()、アリス・ツーベルク

 

 

確かに俺は彼等を知っている、それは問題ない、問題なのは何故()()()()()()()()()()()なのだ

 

 

「確かにそうだ、だが何故お前はあいつらを知っているんだ。そして何故ここにいる!」

 

 

語尾の方は少し感情的になってしまい荒げてしまう

 

 

「時間がないと言ったはずだが。話を続けよう、私と彼らの関係はそう深くない。この世界で消滅する寸前の彼らを()()()()()()()()()()へと送ったのだ。」

 

 

今こいつはなんて言った?

 

 

「ふざけんじゃねぇ!」

 

 

怒りに任せて奴の胸ぐらに掴みかかるもそこはプログラム、むなしく空を切るだけである

 

 

「君は勘違いをしている、勿論これは彼らの意思で送らせてもらったのだ、それだけは留意してもらいたい。」

 

 

「送ったって言ったな、何処に送ったんだ?ALOか?それともGGO?」

 

 

「そんなところでは無い、もっと遠くの、君達のけっして手の届かない世界に送らせてもらった。」

 

 

「・・・そうか。」

 

 

これ以上は何も言えなかった、言う気力さえなかった

それは果てしない世界に送られた親友達への想いなのかはたまた茅場という存在の空虚さに対する疑念からくるのか、俺には理解しがたかった

 

 

「分からねえな、どうしてお前がそこまでするんだ?」

 

 

「せめてもの君への償いとでも取っておいてくれたまえ。」

 

 

総てが終わったあの日、崩れ行く鋼鉄の魔城(アインクラッド)を見詰めていたあの時の目を、そうどこか悲壮感と達成感に似た何かを込めたその目で奴は、茅場は遠くを見つめていた

 

 

「おっと、そろそろ時間だ。君とはまた何処かで会える気がするよ。仮想空間が存在する限り、私と君との繋がりは途切れない、そんな気がするよ。」

 

 

そう言い残し、茅場は姿を消した

 

 

ユージオとアリスが生きているという朗報なのか悲報なのかよく分からない謎を残して

 

 

「俺もお前とはまた会えそうな気がするよ、茅場。」

 

 

俺は奴を一生憎めないだろうな・・・

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