かなりのスピードで書いてしまったので、盛り上がりに欠ける等感じられましたら、感想でもLobiのほうでも、どんどんご意見下さいませ!
共和国防衛軍の後方に展開しているアマテラス型飛空母艦3隻を主力とする飛行機動部隊、その護衛艦隊の旗艦である大型飛行艇「エスメラルダ」では、ダストエルスキーの命令によって搭載された「ブツ」…ダイレクト・ファイアカノンの発射が行われようとしていた。
「物質転送魔法波動、照射!」
艦長の号令がかかり、エスメラルダの艦首両脇に取り付けられた、奇妙な四角い箱状の装置が輝く。
すると、その装置からエスメラルダの前方に向けて、淡い桃色の波紋が連続して放出された。その波紋が交差するポイントを見定め、艦長は叫ぶ。
「ダイレクト・ファイアカノン、発射ぁ!」
その瞬間、発射トリガーが引かれ…エスメラルダ下部の巨大円筒が、まばゆい光を発した。
この様子を共和国の首都近郊に築かれた避難所から眺めていたとある者は、後にこう語った。それはまるで、希望をもたらす太陽の出現のようであり、また全てを無慈悲に焼き払う地獄の業火のようでもあった、と。
飛行機動部隊は共和国防衛軍の後方…つまり、ほとんど市街地の上空に位置していたため、市街地から空を見上げれば、この艦隊を眺めることができたのだ。
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空賊団「カドモス」は、多大な犠牲を出しつつも、共和国防衛ラインに肉薄しつつあった。
「よし」
総旗艦「デ・マヴァント」の艦橋から、バルバーナは外の様子を眺めつつ、指示を出す。
「敵は弱ってきてるはずだ。しかし、こっちも戦い通しで消耗が大きい。短期決戦で決めるぞ。全艦、砲撃ペースこのままで、前進…」
しかし、その瞬間だった。
突然、共和国防衛軍の艦隊とカドモス艦隊の間に、巨大な青い光の輪が出現したのだ。それは、出現した直後にすぐに縮まっていく。
それが縮まって1つの点になった、と思ったとたん、空中に青い魔法陣が現れた。
「な!?転送魔法か!?」
バルバーナが叫んだ瞬間、
ドヒュルルルルル!!!
その青い魔法陣から、極太の赤い炎の光線が、一直線に高速で伸びてきて、カドモス艦隊を直撃した。
バルバーナの視界の右側が赤く染まり、強烈な熱がバルバーナの頬に伝わる。
炎に飲み込まれた飛行艇は、次の瞬間、炎の中で粉微塵に砕かれていく。チリ1つすら、残ることを許されない。もちろん、乗員がどうなったかなど、想像に余りある。
しかも、ダメージ量があまりにも大きすぎ、かつそれが断続的に与えられるので、サポート部隊がどれだけ回復魔法をかけても、回復が追い付かない。それはつまり、この攻撃は被弾した時点で詰みゲーになる、ということを意味していた。
それに加えて、この炎の極太レーザーはすさまじく長い射程距離を持ち合わせており、レギュラー部隊どころかその後方に展開しているサポート部隊にも猛威を奮っていた。サポート部隊の戦列が、赤く太いレーザーによって食いちぎられる。
やがて、炎の極太レーザーが消えた時…カドモス艦隊は、レギュラー部隊・サポート部隊ともに右翼側が大きく食いちぎられていた。艦隊のど真ん中に、ぽっかりと大きな穴が開いている。
「なんだ、ありゃ…!」
半ば放心状態でバルバーナが呟いた直後、
ドカァン!
着弾の衝撃が飛行艇を揺さぶった。
カドモスが崩れたったのを見て、共和国防衛軍側が追撃を仕掛けてきたのである。共和国防衛軍の左翼となる天山隊…現在は総指揮官不在となっている隊だが、空賊団「銀狼」と共和国騎士団の生き残りを中心に、艦隊を前面に押し出して激しい砲火を浴びせてきている。
「左翼はそのまま、敵の右翼を受け止めよ!中央部隊は右翼に火力支援!サポート部隊は回復を優先しつつ、手空きの船からどうにか無人機でも小型機でも発進させろ。敵軍に突入させて、あの大砲撃をどこからやってるか突き止めさせるんだ!じゃないとかたっぱしからやられてっちまう!」
次々と指示を飛ばすバルバーナ。
敵がどんな兵器を持ち出してきたかは不明だが、はっきり言ってこれは脅威でしかない。何せ敵はこの大砲撃(というにもいささか無理のある強烈な一撃だが)を転送してくるのだ。早いところ発射源を見つけて叩かなければ、こちらはジリ貧になってしまう。
「ちっ、上手くない…!」
バルバーナは、不機嫌さを隠すことなく舌打ちした。
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「着弾確認!レーダーの反応から考えますと、この一撃で敵の…ろ、60隻ほどを爆砕したようです」
一方の共和国防衛軍、艦隊中央に陣取って白亜の巨体を浮かべている新鋭の大型飛行艇「クロスデルタ」。その艦橋で、レーダー手が声を震わせた。今の攻撃がよほどの衝撃だったのか、それともとんでもない大戦果をまだ完全には理解しきっていないのか。
「ほう、さすがだな」
その報告に、空賊団「震電」のリーダー、バルフォアは何ら驚いた様子もなくコメントする。
「フリゲート社の射撃演習場でぶっ放してテストしてみたら、とんでもない数値が出てきたから、計器の故障かと疑ったこともあったが…こりゃ間違いなく本物だな。作っといた甲斐もあったってもんだぜ。帰ったらうちの兵器開発部門の連中に、武勇伝を報告しなきゃだな」
バルフォアが満足げな笑みを浮かべたその時、この大攻撃を見た各隊の幹部クラスを務めているメンバーたちが、次々と魔導通信を入れてきた。
『こちら銀狼、なんだあれは!?あれが、さっきてめえの言ってたブツか?なんて威力してんだ!』
『こちら海歌、ありゃタダモノじゃないよね?だってものすごい威力してるもん』
『共和国騎士団、なんですか今のは…本当に攻撃ですか?』
『こちらヘイムダル、アンタ最高だよ…こんな派手なもの持ってくるなんて…』
いずれも、先ほどバルフォアが投入したブツに驚いた、というコメントをしてくる。
しかし、ただ1人、フィーリアだけは異なる内容の通信を送ってきた。
『アニキ…あたしも、さっきの兵器について全部が全部のデータを聞いてるわけじゃないけどさ。今の、明らかにアレだよね?火炎直撃砲』
「何のことだ、フィア?」
『すっとぼけないでよ。あたしだって見てるんだからね。星巡る◯舟も、□の戦士たちも』
通信機のモニターの中で、こちらをキッと睨み付けるフィーリア(フィア)に、バルフォアは小さく肩をすくめた。
「やれやれ、お前の目は誤魔化せなかったか」
そう。
バルフォアが使用したブツ…「ダイレクト・ファイアカノン」の正体は、「火炎直撃砲」だった。「宇宙戦艦ヤ◯ト」シリーズに出てくる、架空兵器の1つである。
詳細の説明はウィキ◯ディアその他に譲るが、この架空兵器、なんと超大威力と超射程を両立し、しかも予測も回避もほぼ不可能というとんでもない兵器である。
バルフォアは、その火炎直撃砲をこの世界で再現できないかと考え、フリゲート護送社の兵器開発部門に注文をつけたのだ。
兵器開発部門はさんざん苦労しながらも、ついに開発に成功したのである。そして、それをエスメラルダに積み込み、テストとして同社の演習場で発射してみた後、この戦場に持ってきたのである。そして今、記念すべき実戦での初弾を撃ち込んだのだった。
ただ…おそらくオリジナルよりも威力、射程ともに低下しているとバルフォアは見込んでいる。
そもそもオリジナルの威力を正確に特定することが難しい。加えて、再現されたダイレクト・ファイアカノンはかなり複雑な仕掛けなのだ。
まず、エスメラルダ下部につけられた巨大円筒は、その大半が魔法の増幅回路で占められている。発射システムは、円筒の先端のわずか10分の1を占めるにすぎない。この時点で実はかなり面倒な機械なのである。魔法回路のメンテナンスと、万が一故障した場合の修理に、たいへんな手間隙がかかるのだ。
次に、消費する魔力がなかなかの量になるのである。つまり、魔導士たちの負担が大きくなる。
エスメラルダには転送魔法を扱える魔導士を20人、火炎系魔法を扱える魔導士を100人、乗せているのだが、彼ら一人一人の魔力消費も相当なものだ、との報告がエスメラルダから上がっている。こうなると、うかつな連射はできない。撃つタイミングをよく考えなければ。
え?初弾?あれはそもそも実戦テストの側面があったし、敵を驚かすのが目的だったからいいんだよ!
「バレちまったか」
『そりゃ分かるわよ』
見ただけで気付くフィアもなかなかだと思うのだが。
「まあ、とりあえず相手を驚かすことはできただろ。うちの左翼の天山隊が突撃できてるのが、何よりの証拠だ。次撃ち込むとしたら敵の左翼かな」
『だろうね。あいつら、明らかにあたしたちを釘付けにしようとしてるし』
敵の左翼部隊が、相対している共和国防衛軍の右翼部隊…つまり、フィーリア率いる「流星隊」に苛烈な攻勢をかけている。どうみても、先の一撃で開けられた大穴を埋めるのを、邪魔されまいとして撃っている。
「そんじゃ、次に撃つ時は敵の左翼をごっそり削り取るよ。そん時はよろしく頼む」
『任せといて、さらに出血増やしてやるから』
フィーリアの答えに、満足そうな様子を見せるバルフォア。
その時、魔導通信モニターが反応し、見覚えのある顔が映った。
『アニキ、お待たせ。起動すんのにだいぶ手間取ったけど、どうにか持ってきたよ』
ついに、ダストエルスキーが帰ってきたのだ。フリゲート護送社の本社の地下に隠していた「とっておき」を引っ提げて。
「やっと戻ったか!すまん、敵が空中拠点を引っ張り出してきやがった。アレを破壊しなきゃ、敵を撃破できん。お前の持ってきたそれで、敵の空中拠点を吹っ飛ばせるか?」
『任せな。まだテストしてないけど、理論的にはやれるはずだ。なんとか成功させてみるよ』
「よろしく頼むぜ。敵を減らすのはこっちでやる」
通信を終えた後、バルフォアは全飛行艇あてに魔導通信回線を開き、指令を下す。
「こちらバルフォア、全艦に達する。ダストエルスキーが必殺兵器を引っ提げて、やっと戻ってきた。これより、反撃に出る。持ってきた必殺兵器で、どうにかあいつらの空中拠点の破壊を狙うから、皆さんには敵艦隊の排除をお願いしたい。勝つためのステップは既にできた。全員、よろしく頼む」
バルフォアがそう言ったとたん、
『こちら銀狼、とっくにやってるぜ!』
『共和国騎士団、攻撃継続します!』
左翼で戦っている部隊から通信が入る。さらに、
『こちらヘイムダル、私たちも行っていい?』
流星隊で戦っている空賊団「ヘイムダル」の女首領、エスメラからも通信が入る。
『こちら海歌、私たちはどうしよう?』
こちらはシーシェの疑問。
「各自の判断にて攻撃を許可する、ただし相手との距離を詰めすぎるなよ。混ざるのは絶対にダメだな。じゃないとさっきの一撃で敵味方関係なしに吹っ飛ばしちまう」
バルフォアのこの一言で全員が青くなった。
「ま、突っ込みすぎなきゃ大丈夫だ。行くぞ、全艦攻撃続けろ!奴らをここで倒し、共和国を守るんだ!」
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「くそっ!」
空賊団「カドモス」の総旗艦「デ・マヴァント」の艦橋では、バルバーナが悪態をついていた。
「なんだあれは…敵は、あんな攻撃を行えるのか…」
先ほど被害集計が入ったのだ。それによると、さっきの一撃だけで、レギュラー部隊・サポート部隊合わせて68隻がやられたらしい。しかも、こっぱみじんにやられているから、修復は不可能とのことである。
それに加えて、厄介な点があった。
「あいつ、直接砲撃してくるんじゃなくて、どこかで撃ったものを転送してるから、とっとと転送元を見つけ出さないと、あれを何発でも撃たれる可能性がある…。そうなれば、我々は全滅だ…!」
そう、あの兵器は「転送する」という性質がある以上、目視圏外…例えばどこか後方にいる敵艦から撃ったりしている可能性が高い。早く発射源を見つけて叩かなければ、あの強烈な攻撃を何発も受けて、自軍が壊滅に追い込まれてしまう。
これでは、せっかく用意した空中拠点も、何らの利点もない。
「くそっ!なんてもの持ち出してきやがるんだ…!」
バルバーナも、さすがに苛立ち始めていた。
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その頃、共和国の首都上空に展開している共和国防衛軍サポート部隊に、新たな飛行艇が接近しつつあった。
だが、そいつはこの世界の飛行艇とはどうみても異なる、異様な見た目をしている。
そいつの見た目を一言で言うと、「空を飛ぶ巨大な軍艦」。これに尽きる。
そしてこれが、バルフォアの言っていた、ダストエルスキーが取ってきた「切り札」である。
まず、大きさからして桁違いだ。この世界の飛行艇は、大きいものでもおよそ全長100メートル内外。150メートルもの巨体を持つ飛行艇はいない。
しかしこいつは、なんと全長が200メートルを超えるという信じがたい大きさをしており、艦全体が黒っぽい灰色とでも表現するべき金属の質感を感じさせる塗装なのも相まって、とても頑丈そうな印象を与えてくる。
そして、そいつの甲板には、カドモスの総旗艦「デ・マヴァント」の艦首にある10インチ三連装砲すら凌ぐ大きさの、とてつもない巨砲が載せられている。その太い砲身は、誇らしげに空の果てを向いていた。
さらに、こいつの艦首には、巨大な穴が開いている。ただの穴にしては、大きさが桁違いだ。砲だとすれば、それがどれほどの威力を持つのか、見当もつかない。
そいつは、共和国防衛軍のサポート部隊に向けて、そしてその先に待ち構える戦場に、確実に近づいてきつつあった。
さて、最後にちらっと登場した切り札…もうだいたい正体はお分かりかと思いますが、箝口令です。ネタバレ禁止!
頑張って、書き上げてしまいたい…!
次回以降もよろしくお願いいたします!