夢幻震わす、一閃の電   作:Red October

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天クラーの皆様、明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします!

お待たせしました!第14話、いきます!

駆け足ですが、それでも描写は精一杯行ったつもりです。
そしてこれは完結間に合わなかった…!


第14話 電一閃、雲を吹き飛ばして

ズドドドドドドォッ!と。

 

 戦場の空に砲声が多数響く。続いて、

 

ドガァァァァァン!

 

 多数の爆発音。共和国防衛軍側と空賊団「カドモス」側、双方の飛行艇が何隻も爆発し、炎上する。そのうち何隻かは安定翼(アウトリガ)やウイングをやられたらしくフラフラと安定を失い、また何隻かは炎を吐き出しながら高度を下げていった。そうした飛行艇は、次の瞬間に後方にいるサポート部隊から放たれた緑色の光を受け、急速に船体に受けたダメージを回復し、さらには消火活動と応急修理を行って、なんとか持ち直していく。

 しかし、青や紫といった異様な色の炎を吹き上げている飛行艇は、その緑色の光に触れても回復せず、そのまま力を失ったように「空の底」へと消えていってしまう。これらは、飛行艇の心臓ともいえる魔法石を破壊されてしまった船だ。魔法石は、飛行艇の飛行そのものの制御や、砲へのエネルギー供給、艦内の重力制御といったいろいろなことをするための、最も重要なパーツである。というか、これなくしては飛行艇は飛ばない。それを破壊されてしまっては、墜落という運命を甘んじて受けるしかないのである。

 

「おぉらあぁぁっ!銀狼様のお通りだぁ!」

 

 その戦場の空の一角に、空賊団「銀狼」の首領、ガルドールの太い声が響く。「銀狼」は、「カドモス」の艦列を食い破ろうとしていた。

 しかし現在、「銀狼」の飛行艇はもう3隻しか残っていない。他の飛行艇は撃墜されるか撃破されて戦線離脱するかしてしまったのだ。そして残る3隻も満身創痍になりかけている。

 と、そこへ、1隻の小型飛行艇が飛び出していった。前方に展開するカドモスの艦列に、思いきって飛び込んでいく。

 

「ちょっ、おい!無茶すんなよ!」

 

 ガルドールは魔導通信でその飛行艇に呼びかけたが、

 

『あはははははは!』

 

 返ってきたのは、少女の明るい笑い声だった。

 

『さあ、楽しい遊びの始まりだー!』

 

 傍目に見れば、無邪気な少女が遊んでいるようにしか聞こえないが…やってることは血祭りワッショイである。

 

 もちろん、こんなセリフを言えるのは1人しかいない。現在のラモンド世界における最強の「個人」空賊、シュタールである。

 彼女は、戦いを「遊び」と表現し、無邪気にはしゃぐといった少女らしい側面を持つのだが…言動がある意味軽率であり、同時に圧倒的な実力を持つ。「とある浮島のB級グルメを食べたくて出掛けたら、その浮島を支配している大規模な空賊団に邪魔されたので、たった一人でその空賊団を壊滅させた」といえば、どれほどの実力と軽率ぶりかが窺えるだろう。

 他にも、「翼竜の肉が旨いと聞いたので、それが本当かどうか試そうとした」というだけの理由で大型の翼竜にケンカを売り、しかし後日その翼竜が恐れをなして、「自分の肉を命ごと、取られる前に差し出した」というエピソードがあったり…

 

 ある意味とんでもない人間である。

 

 そして現在、シュタールのテンションは文字通り「最ッ高にハイ」になっていた。

 そもそも、この気まぐれな空賊少女がなんでこの場にいるかと言うと、「カドモスに旅の邪魔をされたので、ぶちのめそうと思ったから」である。彼女はもともと、この共和国の運命を決定付ける戦いには参加せず、我関せずと旅を続けるつもりだった。だが、旅先の島の料理が名物だと聞いて食べに行ったのに、カドモスのせいで島が壊滅していて料理を楽しめなかったのである。その腹いせに、カドモスを叩き潰そうというのだ。

 

 いっそ清々しいレベルの動機不純で、しかもやろうとしていることが恐ろしいこと半端ないのだが、お構い無しに挑戦してやり遂げてしまうのが、シュタールという空賊少女である。

 

『あはははは!』

 

 スピーカーから笑い声をいっぱいに響かせながら、シュタールは単騎でカドモスの艦列に突っ込んだ。そして、縦横無尽に飛行艇を乗り回しながら、主砲を乱射する。そのとたん、カドモス側の飛行艇が4隻まとめてこっぱみじんにされ、2隻が火を吹いて墜落した。

 シュタールは攻撃の手を緩めることなく、さらに機敏に飛行艇を操作してカドモスの飛行艇の間を駆け抜ける。シュタールの飛行艇に脇を駆け抜けられたカドモス飛行艇は、次から次へと火を吹いて墜ちていった。回復も間に合わないほどの早いペースである。

 

「他に落とされたい子はいるかなぁー?あはははははは!!」

 

 一騎当千ともいうべきシュタールの大暴れは、まだまだ終わらない。

 

 

 

「やれやれ、シュタールのやつ、張り切ってやがる。後でこれをダシにごっそり金巻き上げるつもりじゃないだろうな、あいつ…。ってか、あいついつの間に来てたんだ?」

 

 共和国防衛軍の総旗艦となっている大型飛行艇「クロスデルタ」の艦橋では、バルフォアがシュタールの暴れ模様を見て呟いていた。

 そこへ、ダストエルスキーから通信が入る。

 

『アニキ、すまねぇ。シュタールのことなんだが…旅の邪魔をされたんで、その原因となったカドモスを叩き潰そうとして戻ってきたらしい。あとでごっそり金を巻き上げるつもりみたいだ。ま、諦めてくれ』

「諦めてくれ?本気で言ってんのかお前?あいつにこれまでいくら巻き上げられたと思ってんだ!」

 

 バルフォアは魔導通信でダストエルスキーに怒鳴る。

 

『言うだけ無駄だろうぜ、あいつは天真爛漫を人の形にしたようなヤツだから』

「…違いない」

 

 バルフォアは、ため息をつくことしかできなかった。

 

 

 

 その間にも、シュタールはどんどん奥深くへ切り込んでいく。そして…カドモスの中でも随一の老練なる名将ドミニクを、鎧袖一触で撃破していったのだ。

 

『ぐっ…ボス、やられたわい。後をよろしく、頼みますぞ…』

 

 炎燃え盛る艦橋で、ドミニクが残せた最期の言葉は、それだけだった。

 直後、ドミニクの乗っていた飛行艇は大爆発し、ドミニクは空に散った。

 

「ドミニク!?くそっ!」

 

 また1人、頼りになる幹部を倒されたことで、バルバーナの顔が怒りに歪む。

 

「おい!誰かあの敵の飛行艇を止められないのか!」

『ボス、無理です!あいつ、デタラメに強くて…!』

 

 バルバーナの怒声をはらんだ質問に、幹部の1人ビビアンが悲鳴を上げる。

 その時、

 

『なら、ここは私たちが!』

 

 ネリーナとエリアナが飛び出していった。

 

「ネリーナ?エリアナ?なぜお前たちが!?」

『ボスが押されすぎなんですよ!周囲を見てください!』

 

 ネリーナにそう言われて、バルバーナは周囲を見渡して唖然とした。

 

 いつの間にか、レギュラー部隊とサポート部隊との距離がほぼゼロになっていたのだ。

 

「な!?いつの間に!?」

『ボス、さっきから敵の攻撃で怯みっぱなしだ!後退してばっかりいるからこうなったんだよ!』

 

 今度はサポート部隊の指揮官クレトが、バルバーナに怒鳴る。

 

「いつの間に…!」

 

 あまりの事態に、バルバーナは衝撃を受けた。

 

 

 

 一方、共和国防衛軍はバルバーナの衝撃などお構い無しである。

 

 共和国防衛軍の左翼では、消耗した「銀狼」に代わって共和国騎士団の生き残りが前面に出て攻撃を開始した。しかしこちらも、これまでの戦いでの消耗が激しく、目立った戦果を上げられていない。

 それと好対照を為すのが、シュタールの無双ぶりである。一騎当千どころか、一騎当万を通り越して一騎当億まで行っているのじゃないかとバルフォアが考えるほどの凄まじい活躍を見せ、カドモスの飛行艇を片っ端から撃墜している。カドモス内部でもかなりの強者と目されるネリーナとエリアナのコンビネーションですら、動きを先読みしたかのような正確な砲撃で、一瞬のうちに打ち破った。もはや、カドモスの右翼側がシュタール1人で蹂躙されている有り様である。

 

 共和国防衛軍の右翼側では、フィーリア率いる艦隊が攻勢に出ようとしていたが、艦隊運用の名人チャルと、攻撃的な守りを得意とするベルナーデの守りに阻まれ、なかなか進軍できていない。

 しかし、カドモス側の奮戦を嘲笑うように、ダイレクト・ファイアカノンが撃ち込まれた。

 あっという間にカドモス側の艦列が食い破られ、大穴が開く。それに伴ってカドモス側の奮う火力が弱体化した。その隙をフィーリアは見逃さず、空賊団「ヘイムダル」とともに突入していく。

 

「あはハハはハハハは!」

 

 夜戦の時に続き、フィーリアのぶっ壊れたような笑い声が空に響いた。

 ところが、フィーリア自身の姿が見当たらない。代わりに、フィーリアのものと見られる強力な赤い弾幕…いや正確には熱線が、大量にばらまかれている。それに触れた飛行艇は、瞬く間に火だるまと化して墜落した。

 フィーリアのスキルの1つ、「そして誰もいなくならんとす」である。

 元ネタはお察しください。

 

「アハハハハハハハハ!!」

 

 気が滅入りそうな狂った笑いが、戦場の大気を震わせる…

 

 

 

「よぅし、このペースだ。全艦撃ちまくれ!このペースで敵艦を撃墜し、数を減らして敵拠点への突破口を開くんだ!」

 

 共和国防衛軍の総旗艦にして、中央を固める「烈風隊」の旗艦、クロスデルタの艦橋ではバルフォアが指示を飛ばした。

 一旦はカドモスに押された共和国防衛軍だが、頭おかしい無双少女(シュタール)とダイレクト・ファイアカノンの投入で前線の押し上げに成功しつつある。

 

 さらに、

 

ドゴオォォォォォン!と。

 

 全く別の方向から飛来した多数の砲弾が、カドモスの艦列を引き裂いた。

 

『遅くなったけど、ただいま到着!』

『まったく、へんな竜のせいで到着が遅れたわ』

 

 魔導通信機のモニターが光り、ジフィラとマルテの顔が映る。

 帝国皇帝エドワードが派遣してきた増援…帝国第1・2軍団が加勢したのだ。

 

「やっとかよ。えらく遅かったじゃねえか、だいたいの獲物はこっちで食っちまったぜ。道草でも食ってたのか?」

 

 バルフォアが聞くと、

 

『しょうがないでしょ!』

 

 ジフィラがツッコんだ。

 

『ったく、マルテがあの空域通ろうとしなきゃ…』

『通ろうって言い出したのはアンタでしょう。一刻も早く行かなきゃいけないからって』

 

 魔導通信でマルテがジフィラに言い返す。

 

『ひどい目にあったわ。大嵐には巻き込まれるし、その中で未知の竜と遭遇するし』

「ん?未知の竜?」

 

 バルフォアが尋ねると、2人はほぼ同時に喋り始めた。

 

『そうそう。アイツには参ったわ。赤黒い雲で空一面覆われた嵐の中を、泳ぐようにスーッと飛んでるし、なんかものすごい威力を持つ水のブレス振り回してくるし』

『それに、自分の周囲に竜巻を発生させて飛行艇を巻き込んで一網打尽にしようとするから、生きた心地がしなかったわ…』

 

 バルフォアは聖徳太子ではない。したがって、10人の話を聞き分けることはできない。

 でも、2人ならどうにか聞き分けられた。そして、バルフォアは2人の語る特徴を持つ竜を知っていた。

 

(こいつら多分「不安空域」の強行突破を試みたな。んで、赤黒い雲で覆われた嵐の空を泳ぐように飛び、水を吐き、竜巻を起こす竜に出くわした、と…それってアマツマガツチじゃねえか?やっぱりあの辺の空域と浮島だけおかしくなってんな)

 

「その話、後で詳しく頼む。今はとりあえず、目の前の敵を片付けるぞ」

『そうね。ボスからも言われた仕事だし』

『共和国滅んだら、次はたぶんこっちだしね』

 

 バルフォアの声に、2人揃って返事を返す。

 そして、戦おうとして、

 

『…なんか、敵少なくない?』

『というより、誰かがたった1隻でバカスカ倒してるみたいね。誰かは想像がついてるけど』

 

 どこか冷めたような2人の反応。

 バルフォアは窓の外を振り返って、絶句した。

 

「おいおい嘘だろ!?シュタールてめえ、全部1人で倒す気かよ!?」

 

 なんと、シュタールはたった1人でカドモスの右翼側を食い破っていたのだ。

 1人で撃墜した飛行艇はこの日だけで3ケタに到達しており、とんでもないスコアを叩き出している。おそらくエドワードがボスだった頃の「最果ての空賊団」でも、ここまでのスコアを出せるかどうか怪しいだろう。たったこれだけでも、シュタールの規格外の実力がわかる。

 

「おいシュタール!せっかく帝国からお客さんが来てくれたんだ、お客さんに出す分も残してやれ!」

 

 あわててバルフォアが魔導通信に怒鳴るも、シュタールは全く聞いている様子がない。随分とお楽しみ中のようだ。

 

『バルフォア、彼女は呼ぶだけ無駄だと思う。マルテ、勝負よ!アイツらの飛行艇を多く墜とせたほうが勝ち!全艦、アタシに続いて!突撃ーっ!』

 

 それに対し、ジフィラがいきなり動いた。部下たちに突撃を命じつつ、一気に飛行艇を加速させる。それと同時に全砲門を開き、砲火を浴びせかける。

 

『あっ、抜け駆けはズルい!全員、ジフィラの部下たちに負けるな!突っ込んで!』

 

 言うなり、マルテもすぐジフィラの後を追う。

 

「おいちょっと、お前ら!」

 

 バルフォアが叫ぶも、2人とも魔導通信回線を切った後だった。2艦隊とも全速で突進し、カドモス艦隊に全力砲撃を浴びせる。

 その様子を見て、バルフォアは肩をすくめた。

 

「やれやれ…そんじゃ、数減らしはアイツらに任せて、こっちはバックアップに徹するか。どうせ拠点は大火力の一撃でないと墜ちないだろうし、さっさと準備しますかね」

 

 バルフォアはさっさと攻勢を諦めると、拠点をブチ抜くための準備に取りかかるのだった。

 

「ダストエルスキー、『切り札』前に持ってきてくれ。それと…サポート部隊、ダイレクト・ファイアカノン1発撃つだけの魔力は残ってるか?」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

『やられた!ボス、すまん!後を頼む!』

 

 魔導通信から聞こえた声を最後に、サポート部隊の隊長、クレトからの通信が途絶えた。

 

「くそ…さっきからやられっぱなしだ!」

 

 バルバーナは歯噛みする。その目からは、いつもの不敵な笑みは消え失せ、憎々しげな目付きで窓の外をにらんでいた。その先の空では、激しい艦隊戦が起きていたが…カドモスが押されっぱなしであった。

 これまでのとは旗印の違う艦隊が2つ、敵軍側に加勢してこちらに挑んできている。その実力は段違いに高く、どこかの大国の正規軍であることが容易に見てとれた。

 そして、それとは別にたった1隻で小型の飛行艇が暴れ回っている。この小型飛行艇のせいで、カドモス艦隊は壊滅的被害を出したのだ。

 この小型飛行艇のせいで、レギュラー部隊の幹部であったコロナとクレトがあの世送りにされている。それに、新たな旗印の2つの艦隊は、それぞれビビアンとレベッカをあの世送りにしてしまっていた。

 

「くそっ!全艦、拠点周辺まで後退!拠点周辺に集中展開して、敵の攻撃を受け流しつつ隙を見計らう!」

 

 必死に指示を飛ばし、チャルがそれに従って艦隊を動かすが、もう遅い。戦闘開始前には500隻を超えていたカドモス艦隊は、いまや130隻程度にまで撃ち減らされてしまっていた。

 

 しかも…この「空中拠点周辺への展開」は、かなりまずい指示だったのだ。

 

 

 

「敵艦隊、拠点周辺に後退!どうやら限界を迎えている模様!」

 

 クロスデルタの艦橋で、レーダー手が叫ぶと同時に、

 

『アニキお待たせ。持ってきたよ、ヤマト』

 

 ダストエルスキーが前線に到着した。ヤマト…そう、切り札たる「宇宙戦艦ヤマト」を引っ提げて。

 

「ようし来たな。今がチャンスだ、拠点に波動砲ぶちかませ!」

 

 バルフォアはただ一言、命じる。

 

『りょーかい。波動砲、発射準備!』

 

 ダストエルスキーの声がして、通信が途切れた。

 その直後、

 

『ダイレクト・ファイアカノン、発射用意よし!いつでも撃てます!』

 

 エスメラルダの艦長が報告を入れる。

 

「よし、少し待て。発射はこちらで指示する」

 

 

 

「波動砲、発射準備。機関圧力上げ、非常弁全閉鎖!」

 

 ヤマトの第一艦橋では、艦長席に座ったダストエルスキーが命令を下す。部下たちが的確に動き、発射準備を整えていく。

 

「強制注入機、作動!」

「作動を確認。安全装置解除!」

「薬室内、圧力上がります!圧力、発射点へ上昇。あと0、2…最終セーフティー解除。圧力、限界へ!」

 

 読者の皆様に、ここでお伝えすることがある。

 

 このヤマトは、基本的にオリジナルの劣化コピー品なので、宇宙戦艦と名前を付けておきながら宇宙空間航行はできないし、主砲の威力も機関出力も、オリジナルに劣る。

 

 しかし、たった1つだけ、オリジナルと同程度を目指して作られたものがある。

 

 そう、それこそが波動砲。

 

 機関に仕込んだ魔法石からエネルギーを抽出して発射するのは当然として、そのエネルギーが機関から波動砲発射口に向かうまでの伝導回路にも、大量の魔法石を敷き詰めてエネルギーを増加させ、そして波動砲の発射口内のライフリングにすら魔法石を仕込んで威力増加を図るという、ある種の多薬室砲のような構造を作ることで、オリジナルと同程度の威力を目指したのだ。

 

 バルフォアの、波動砲に対する思い入れは、あまりにもすさまじかったのである。

 

「エネルギー充填80%!」

「ターゲットスコープ、オープン!電影クロスゲージ、明度20!」

 

 ダストエルスキーは叩きつけるように命じ、艦長席にアップしてきた波動砲のピストル型発射トリガーを握った。

 それと一緒に、彼はせりあがってきたターゲットスコープを覗き、敵の空中拠点に照準を合わせる。

 

「方位修正、取り舵2度!」

「取り舵2度ヨーソロー!」

「エネルギー充填、120%!発射準備よし!」

 

 それを確認し、ダストエルスキーはバルフォアに通信を送る。

 

「アニキ、波動砲発射準備オーケーだ。いつでも撃てるぜ!」

 

 彼がそう言った少し後、空中拠点の手前に展開していたカドモス艦隊を、赤い極太レーザーがなぎはらった。

 

 

 

「波動砲いつでもオーケー?よしきた!」

 

 ダストエルスキーから報告を受けるや、バルフォアは命令を下す。

 

「ジフィラ、マルテ、シュタール!敵から急ぎ離脱しろ、デカいの1発ぶちかますぞ!とっとと逃げないと巻き込んで殺しちまうぜ!」

 

 バルフォアが魔導通信でそう言うと、2艦隊と1隻はすぐさま離脱にかかる。シュタールもだいたいでも満足したらしい。

 

「ダイレクト・ファイアカノン、敵左翼に照準合わせろ!俺の合図で撃ち込め!」

 

 バルフォアがそう命じるや、エスメラルダの艦長は急ぎ照準を調整する。その調整が終わるのと、最後まで粘っていたシュタールが敵艦隊から離脱するのと同時だった。

 

「ダイレクト・ファイアカノン、発射!」

 

 バルフォアの号令一下、エスメラルダの切り札が火を吹く。

 残り80隻程度まで減らされていたカドモス艦隊が、この一撃でごっそり数を削られ、ほとんど空中拠点の手前に展開しているだけの状態になった。

 

「よし今だダスト!波動砲を撃ち込んで止めをさせ!」

 

 

 

 バルフォアから波動砲の発射命令を受け、ダストエルスキーは叫んだ。

 

「ここだ!波動砲発射、10秒前!総員、対ショック、対閃光防御!」

 

 艦橋にいるクルーたちは、ダストエルスキー自身も含めて、奇妙なサングラスらしきものを装着する。

 

「9、8、7、6、5、4、3、2、1、ゼロ!波動砲、発射!」

 

 ダストエルスキーは、トリガーを引いた。

 

 ヤマトの艦首のほうでは、巨大な撃鉄システムが作動し、発射口のすぐ後ろにある薬室に、ガコォン!という大きな音を立てて接続された。

 波動砲の口内に満ちてきていた光が、ますます強く、明るくなる。

 ややあって、撃鉄システムが薬室から離れた。

 

 次の瞬間、ピカッ!とまばゆい白い光が閃く。

 そして、

 

ズガガガアアアァァァァァァン!!!(SEは脳内再生お願いします)

 

 波動砲の発射口から、青白い1本の太い光が、カドモスの空中拠点めがけて発射された。その光は、稲光にも似たプラズマを発しながら、一直線に拠点に突っ込んでいく。

 

 

 

「な!?」

 

 チャル、テオドロとともに残存艦隊を指揮していたバルバーナは、驚きのあまり叫んだ。

 前方に出てきた敵の超巨大艦、そこからまぶしい光が閃いたのだ。

 

 そして、あっ、と思った時には、彼女たちはこの光に巻き込まれていたのだ。

 

 チャルが乗艦していた飛行艇「エクリプス」のプロトタイプ型が、青白い強烈な閃光の中で撃ち砕かれ、シュルツェンやウイングを引きちぎられ、バラバラに吹き飛ばされていく。

 生き残っていた他の飛行艇の中には、溶けるようにして形を失い、そのまま消えていく船もあった。

 

 そして、それは「デ・マヴァント」も例外ではない。当たり前だ、星1つすら吹き飛ばせる威力の砲に、「ラモンド世界最強の防御力」など、何の意味があろう?

 

 鉄壁の固さを誇った前面装甲はあっさり貫通され、艦首の10インチ三連装砲は跡形もなく破壊される。そして、船体全体に青白い稲妻が絡み付き、船体は溶解するように食いちぎられていく。

 

「ば、馬鹿な…!うわあぁぁぁぁぁ!!」

 

 それが、バルバーナの最期の言葉だった。

 直後、カドモス艦隊の総旗艦「デ・マヴァント」は、波動砲の青白い閃光の中に、溶けるようにして轟沈した。

 

 カドモス艦隊の最後の生き残りを消滅させた波動砲は、勢いそのままにカドモスの空中拠点にも襲いかかる。

 ど真ん中を撃ち抜かれた空中拠点は、あっという間に崩壊していった。もちろん、空中拠点でそのまま指揮を取っていたテオドロも、閃光の中に消えていった。

 

 

 

 かくして、共和国の平和は保たれたのである。




完結間に合わなかった…
最終回は宴会だけの予定なので、これは正月三が日のうちに投稿することを目指します。

天クラーの皆様、今年もよろしくお願いいたします!!
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