夢幻震わす、一閃の電   作:Red October

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お待たせいたしました、現時点でも唯一の「天空のクラフトフリート」二次小説第4話、投稿です!

なかなかUAも増えない…お気に入り登録もなし。でも、完結目指して頑張ります!他に2作も書いてるので、エタらないように努めますので…

では、どうぞごゆっくり!

ちなみに、某SFアニメのネタが堂々と入っています。


第4話 電は、声を上げんとす

(イメージBGM:宇宙戦艦ヤマト2199より「艦隊集結」)

 

 共和国本国のある浮島・リリバットと、その隣の浮島・セイラン。

 普段であればこの2つの島とその空は、フリゲート護送社の護衛飛行艇やその護衛対象となる貨客船、商船(もちろん全て飛行艇である)などが飛び交い、市街地の喧騒が響くにぎやかな場所である。

 しかし、朝のまばゆい黄金色の光が照らす中、今や街も空も、いつもとは違う状態になっていた。

 

 街には警報が鳴り響き、店という店は閉められ、道路という道路には家財道具を抱えた避難民が、共和国政府の用意した避難所へ向かっている。

 島の空は、一切の非武装飛行艇の飛行が禁止され、飛行艇の発着所には閑古鳥が鳴いている。代わりに、空はおびただしい数の武装した飛行艇によって固められ、いつもなら青く見える空が黒く見えるほどだ。

 

 それらの船をよく見ると様々なマークが施されている。

 

 

 黒地に銀色で、狼らしき絵を染め抜いた「銀狼」。

 

 くすんだ真鍮色の8の字のようなマークの「ヘイムダル」。

 

 「剣と盾」のマークを有する、共和国騎士団。

 

 ぶっちがいになった日本刀と大砲の上に、シュルツェンをつけた飛行艇が描いてある、フリゲート護送社のマーク。

 

 …そして、紺色の空に浮かぶ島々を震わせる、青白い一閃の電のマーク、「震電」。

 

 

 特に、震電の旗を堂々とかかげた一際巨体を誇る白い飛行艇が、街の上空に浮かんでいるだけに、街の人々は避難しながらも、空を気にしていた。

 

「でけぇなぁ、あの船。さすが、フリゲート護送社だ」

「おい待て、あの雷の旗!あれはまさか…!」

「震電だ!震電がいる!」

「ねーお母さん、あの船はなぁに?」

「悪い人たちからここを、私たちを守ろうとしているのよ。さ、早く行きましょ」

 

 

 

 集まっている戦力を合計すると、以下のようになる。

 

・フリゲート護送社(空賊団「震電」含む) 約400隻

・空賊団「銀狼」 約100隻

・空賊団「海歌」 約15隻(現在到着待ち)

・共和国騎士団 約20隻

 

 これに更に、小規模の空賊団「ヘイムダル」が加わり、総数はおよそ550隻というところである。

 これだけの規模の艦隊は、それこそ共和国騎士団か、帝国軍をもってでもしないと編成できない。

 

 

『こちら烈風隊「クロスデルタ」。天山隊、展開状況を報告せよ、どうぞ』

『こちら天山隊「クロスオメガ」、展開完了。あとは騎士団や「銀狼」との連携が上手くいくかどうかだ、どうぞ』

『「クロスデルタ」、了解。警戒を続けよ。どうぞ』

『了解』

 

 リリバット島・市街地上空。そこに白亜の巨体を浮かべ、「震電」旗艦にして最終防衛艦隊旗艦、クロスデルタが僚艦と通信を取りあい、艦隊の展開状況を確認していた。

 

『こちら烈風隊「クロスデルタ」。流星隊、展開状況は如何に。どうぞ』

『こちら流星隊「クロスラムダ」、ヘイムダルとの合流、編成を完了。総員意気軒昂、いつでもいけます。どうぞ』

『了解しました、どうぞ』

 

 クロスデルタ艦橋内では、通信手が交信を終え、バルフォアに声をかけた。

 

「司令、天山隊、流星隊ともに配置完了です」

「わかった。後は、『海歌』の連中を待つだけだな」

 

 バルフォアのその言葉を待っていたかのように、レーダー手が叫んだ。

 

「司令!艦隊後方にレーダー反応あり!数およそ10から20。距離約6000」

「後方だと?了解、警戒態勢を取れ。戦闘配置!」

「戦闘配置につけー!」

 

 戦術長が艦内放送のマイクに叫ぶ。非常ブザーが鳴りわたり、各搭乗員が一斉に持ち場へ走る。

 と、この時、通信手が声をあげた。

 

「後方の艦隊より入電。『我、空賊団海歌。ただいま到着』」

「来たか」

 

 つぶやきながらも、バルフォアは双眼鏡を目に当てる。戦闘配置は解いていない。敵別働隊の謀略の可能性も、捨てきれないからだ。

 だが、距離が縮まるに従って見えてきた艦影は、間違いなく「海歌」のものだった。その艦隊が翻している白地の旗に描かれた、何かの漢字のような妙な青いマークも、「海歌」のそれと一致する。

 

「後方の艦隊は味方なり。戦闘配置解除!」

「は!総員、対艦戦闘用具収め!」

 

 戦術長の再度の艦内放送。ブザーも停止し、艦内の雰囲気は緩んだものに戻っていく。

 

 

 やがて、海歌の艦隊が震電に合流した。

 

『ずいぶんと集めたわね』

『当たり前だろうが。お世話になってる共和国の運命を賭けた一戦だ、全力を投じる』

 

 集められた大艦隊を見たシーシェが、通信回線を開いてコメントしてくる。それにバルフォアは当然だと返す。

 

『海歌の実力もかなりのものだろうが。期待してるぞ』

『ま、任せときなさい』

 

 通信パネルの中、何故かシーシェの顔は赤い。

 それには気付いたものの、その理由がわからないバルフォアであった。

 

 

 通信が終わった後、「海歌」の旗艦の艦橋では、シーシェが部下たちにからかわれていた。

 

「ようお頭、顔真っ赤だぜ!」

「ヒュー!お暑いこって!」

「しっかしこの、バルフォアってヤツも、相当の朴念仁だな!わかってないらしいぜ、なんでお頭が赤くなってんのか」

「なら私たちでくっつけてやればいいだけでしょ!」

「違ぇねえ、ガハハハ!」

 

「あ、アンタたちね…!」

 

 言い返そうとすればするほど、ますます赤くなり、余計にからかわれるシーシェであった。

 

 

 

「…で!」

 

 再びクロスデルタ艦内。海歌との通信を終えたバルフォアは、急に目を閉じた。まるで何かに耐えかねてイライラしているかのように、眉が小刻みに動いている。

 次の瞬間、くるりと振り向いたバルフォアは、目を見開き、艦橋後方に向かって叫んだ。

 

 

 

「なんでアンタは人の酒にたかってんですかねぇ!!!」

 

 

 

 バルフォアの視線の先には、1人の女性。桃色を基調とする、変わった形の衣装を身にまとい、左の腰に剣を付けている。左手の上には、紫色の菱形の魔法石が浮いていた。結構な美人である。

 彼女は、その名をリューナスと言い、民間飛行艇の警護を行う女剣士である。民間の船の警護を行うあたり、フリゲート護送社とは同業者だといえる。

 彼女もまた、バルフォアによって召集され、ここにいるのだが…戦いを前にして、彼女が何をしているのかというと…

 

 

 

「うふ♪いいお酒いただいちゃいました♪」

「人の話を聞けぇぇぇ!」

 

 

 

 フリゲート社の、もっと正確にいうとバルフォアの買った高級酒…あろうことか八塩折(やしおり)の酒…を勝手に飲んでいたのだ。

 実は彼女、お酒が好きでかなりのうわばみなのである。

 

「少々、酔ってしまいました…」

「大事な戦の前に酔う奴があるか!ってコラ!人の酒を1人で半分も飲んでるんじゃねぇよ!!」

 

 バルフォアが怒鳴るも、リューナスは既に半分意識が飛んでいる。

 

「ちょっと寝ます…zzz」

「寝付くの早えわ!」

 

 ツッコミに忙しいバルフォア。

 座席の上で寝てしまったリューナスに、羽織っていたマントを毛布代わりにかけると、バルフォアは1つため息をついて、空になった大杯と半分中身の減った酒瓶を見た。

 

「相変わらずだなこいつは…。しかしこれ、俺も1回飲んだことあるけど、相当きつかったぞ…。俺はグラス半杯で参ったのに、なんだってこいつは瓶の半分も飲んでほぼ平気なんだ…?」

 

 知ってる方は知っているだろうが、八塩折の酒は凄まじいアルコール度数を誇る。おとぎ話の中では、酒に強い鬼をも酔わせるほどの強力さである。当然、人間にはたまったものではない…はずである。

 それにある程度耐えるとは、リューナスはいったいどんな肝臓をしているのだろう?

 疑問に思わずにはいられないバルフォアだった。

 

 

 

 

 

 そして、太陽も南中しようという頃…その時は来た。

 

「司令!前方に艦影多数。距離、1万」

「来たか…」

 

 展開を完了した共和国最終防衛艦隊、総旗艦「クロスデルタ」に座乗するバルフォア。その耳に、クロスデルタのレーダー手からの報告が飛び込んできた。

 相手の速度などから推測した到着予想時刻と一致しており、今レーダーに新たに映っているのは「カドモス」で間違いないだろう。

 

「全艦、戦闘配備。針路そのまま、砲雷撃戦用意!」

 

 バルフォアは号令をかける。

 艦内の非常ブザーが鳴り始め、クルーたちがあわただしく持ち場へついていく。雰囲気は一気に物々しいものへと変わる。

 先ほど眠り込んだリューナスも、既に起き出して戦闘態勢に入っていた。左手に魔法石を浮かせ、右手に抜き身の剣を握っている。

 

「レーダー手、艦種は識別できそうか?」

「はい、反応の大きさから考えると、超大型飛行艇1、大型飛行艇60、中型飛行艇150、小型飛行艇多数というところです。速度40、急速接近中!」

「了解、ありがとう」

 

 レーダー手に礼を言い、バルフォアは考える。

 

(小型飛行艇の数はほぼ互角、中型飛行艇の数ではこっちの勝ちか。だが、大型飛行艇の数では劣勢だな。…まあ、何とかするしかないか)

 

 そう考えているうちに、次々と「戦闘配置よし」の報が入ってくる。

 全ての飛行艇から「戦闘配置よし」の報告が入った頃には、クロスデルタの艦橋からも、目視でかろうじて敵影が見えるようになっていた。

 バルフォアは双眼鏡を目にあて、敵艦隊を観察する。倍率を上げると、一際大きい黒い飛行艇が映った。あの独特の形、カドモス旗艦に違いない。

 

 と、通信手がこちらを振り返り、叫んだ。

 

「敵、カドモスより入電!『直ちに降伏せよ』です。返信はどうしますか?」

 

 ここまでさんざん破壊行為をやらかしてくれたやつらだ、遠慮する必要がどこにあろうか?いや、あるわけがない。

 

「通信を全体回線に切り替えろ。あと拡声器も用意しろ、全員に聞こえるようにな」

 

 バルフォアは「全員」の部分をやたらと強調した。通信手は、その意味を一瞬で悟った。敵に返信することの他に、味方全員にも聞かせることで士気を上げ、改めて意識を統一しようとしているのだ。

 

「それで、通信の答えだが…」

 

 答えは単純、端的、かつ好戦的なものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカメと言ってやれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?ワカメですか?」

 

 

 素っ気なく言ったのが仇となり、通信手には聞き取れなかったらしい。

 この世界には海がないと言うのに、なんだってコイツは間の抜けたことをぬかしてやがるんだ?

 バルフォアはキッと通信手を睨み付けた。

 

「バ、カ、メ、だ!」

「了解!」

 

 通信手はすぐさま、マイクに向かって言う。

 

『共和国最終防衛艦隊総旗艦にして空賊団『震電』旗艦より返信。「バカメ」 以上!』

 

 その通信は、通信回線と拡声器により、この場にいる全飛行艇に届けられた。

 

「撃ち方用意!」

 

 通信が終わり、拡声器を切ると同時に、バルフォアは新たな命令を下す。

 今の通信は、明確な敵対宣言であり、事実上の戦闘開始宣言だ。敵も味方も、それはわかっているだろう。

 

 …あとは、勝つか負けるかだ。与えられるは栄光か、さもなくば死か。

 

 

 

「やれやれ、アニキのやつ。『バカメ』って…問答無用、ってことだよな」

 

 クロスオメガ艦橋で、ダストエルスキー(ダット)はあきれた顔で呟いた。

 

「だがまあ、元から返事なんてこれしかないんだ、あとは腕でわからせるだけさ。全艦撃ち方用意!」

 

 そして天山隊は戦闘態勢を取る。

 

 

 

「バカメとはまた…思いきった返事ね。あんたもそう思わない?」

 

 流星隊旗艦「クロスラムダ」艦橋、フィーリア(フィア)は戦術長に話しかけた。

 

「はい。…なんだかどこかで聞いたセリフのような気がしますが…まあいいか、司令、うちもやりますよね?」

「当然よ。さあ、バーナードの乗員の弔い合戦といくわよ!」

「応!」

 

 流星隊、士気は天を衝く。

 

 

 

「馬鹿め、か。話す気もないらしいな、あいつ。よっしゃあてめぇら!うちのスローガンは覚えてるな!?」

 

 「銀狼」のほうでは、首領のガルドールが気炎を上げていた。

 

「「「絶対正義!」」」

 

 団員たちが唱和する。

 

「そうだ。絶対正義と、金があれば十分だ!行くぞ!」

 

 「銀狼」、総員意気軒昂。

 

 

 

「馬鹿め、の一言で決戦開始か…悪くないね」

 

 空賊団「ヘイムダル」首領、エスメラは、勢揃いした空賊団を前に、静かに興奮していた。

 彼女は、自身のそれより強力な空賊団を見てみるのが夢だった。

 「最果て」こそいないものの、「海歌」に「銀狼」、かつてこの世界で最強だった「カドモス」、そして現在の最強「震電」。彼女には十分すぎた。

 

「さあ行くよ!丁重にもてなしてやろうじゃないか!」

 

 「ヘイムダル」、いつでも戦闘可能。

 

 

 

「馬鹿め、ね。明確な宣戦布告ってところか。行くよ、野郎ども!」

「へいへい。お頭、まだ顔真っ赤ですぜwww」

「う、うるさい!さっさと行くわよ!」

「お、お姉ちゃん、頑張って…!」

「もちろん!ミーシェは、みんなは、私が守る!」

 

 「海歌」は、相変わらず。

 

 

 

「馬鹿め…これで、戦闘開始ですか」

「ええ。あとは、彼らが最後の頼みです」

 

 共和国元首府のアイリス執務室、側近の声にラルフォードは返事を返した。先ほどのバルフォアの通信は、拡声器も使っていたため、執務室まで丸聞こえだったのだ。

 もう防衛艦隊は残っておらず、彼らが敗れれば、共和国は滅亡を免れないだろう。

 

「頼みましたよ、みなさん…」

 

 窓の外に広がる大艦隊を見つめ、ラルフォードは心の中で静かに祈る。

 

 

 

「馬鹿め、だと…?」

「一蹴されましたね、ボス」

「しかも、馬鹿めって、ボスを侮ってるみたいだ…」

「……いいだろう。全員まとめて叩き落とせ!」

「「はい、ボス!」」

 

 「カドモス」、殺る気スイッチON。

 

 

 

「てぇ!」

「撃て!」

 

 バルフォアとバルバーナの号令は同時だった。

 

 

 両陣営の艦隊の砲が、一斉に火を吹く。

 共和国の存続を賭けた戦いの火蓋は、切って落とされた。




如何でしょうか?

あのシーン、結構気に入ってるんですよ…1度でいいから言ってみたいもんです(笑)

次回、いよいよ開戦ですが……ここから先はグロシーン乱発になろうかと思います。また、今回のように他作品のネタが出てきます。それでもいいよって方は、よろしくお願いいたします!
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