なかなかUAも増えない…お気に入り登録もなし。でも、完結目指して頑張ります!他に2作も書いてるので、エタらないように努めますので…
では、どうぞごゆっくり!
ちなみに、某SFアニメのネタが堂々と入っています。
(イメージBGM:宇宙戦艦ヤマト2199より「艦隊集結」)
共和国本国のある浮島・リリバットと、その隣の浮島・セイラン。
普段であればこの2つの島とその空は、フリゲート護送社の護衛飛行艇やその護衛対象となる貨客船、商船(もちろん全て飛行艇である)などが飛び交い、市街地の喧騒が響くにぎやかな場所である。
しかし、朝のまばゆい黄金色の光が照らす中、今や街も空も、いつもとは違う状態になっていた。
街には警報が鳴り響き、店という店は閉められ、道路という道路には家財道具を抱えた避難民が、共和国政府の用意した避難所へ向かっている。
島の空は、一切の非武装飛行艇の飛行が禁止され、飛行艇の発着所には閑古鳥が鳴いている。代わりに、空はおびただしい数の武装した飛行艇によって固められ、いつもなら青く見える空が黒く見えるほどだ。
それらの船をよく見ると様々なマークが施されている。
黒地に銀色で、狼らしき絵を染め抜いた「銀狼」。
くすんだ真鍮色の8の字のようなマークの「ヘイムダル」。
「剣と盾」のマークを有する、共和国騎士団。
ぶっちがいになった日本刀と大砲の上に、シュルツェンをつけた飛行艇が描いてある、フリゲート護送社のマーク。
…そして、紺色の空に浮かぶ島々を震わせる、青白い一閃の電のマーク、「震電」。
特に、震電の旗を堂々とかかげた一際巨体を誇る白い飛行艇が、街の上空に浮かんでいるだけに、街の人々は避難しながらも、空を気にしていた。
「でけぇなぁ、あの船。さすが、フリゲート護送社だ」
「おい待て、あの雷の旗!あれはまさか…!」
「震電だ!震電がいる!」
「ねーお母さん、あの船はなぁに?」
「悪い人たちからここを、私たちを守ろうとしているのよ。さ、早く行きましょ」
集まっている戦力を合計すると、以下のようになる。
・フリゲート護送社(空賊団「震電」含む) 約400隻
・空賊団「銀狼」 約100隻
・空賊団「海歌」 約15隻(現在到着待ち)
・共和国騎士団 約20隻
これに更に、小規模の空賊団「ヘイムダル」が加わり、総数はおよそ550隻というところである。
これだけの規模の艦隊は、それこそ共和国騎士団か、帝国軍をもってでもしないと編成できない。
『こちら烈風隊「クロスデルタ」。天山隊、展開状況を報告せよ、どうぞ』
『こちら天山隊「クロスオメガ」、展開完了。あとは騎士団や「銀狼」との連携が上手くいくかどうかだ、どうぞ』
『「クロスデルタ」、了解。警戒を続けよ。どうぞ』
『了解』
リリバット島・市街地上空。そこに白亜の巨体を浮かべ、「震電」旗艦にして最終防衛艦隊旗艦、クロスデルタが僚艦と通信を取りあい、艦隊の展開状況を確認していた。
『こちら烈風隊「クロスデルタ」。流星隊、展開状況は如何に。どうぞ』
『こちら流星隊「クロスラムダ」、ヘイムダルとの合流、編成を完了。総員意気軒昂、いつでもいけます。どうぞ』
『了解しました、どうぞ』
クロスデルタ艦橋内では、通信手が交信を終え、バルフォアに声をかけた。
「司令、天山隊、流星隊ともに配置完了です」
「わかった。後は、『海歌』の連中を待つだけだな」
バルフォアのその言葉を待っていたかのように、レーダー手が叫んだ。
「司令!艦隊後方にレーダー反応あり!数およそ10から20。距離約6000」
「後方だと?了解、警戒態勢を取れ。戦闘配置!」
「戦闘配置につけー!」
戦術長が艦内放送のマイクに叫ぶ。非常ブザーが鳴りわたり、各搭乗員が一斉に持ち場へ走る。
と、この時、通信手が声をあげた。
「後方の艦隊より入電。『我、空賊団海歌。ただいま到着』」
「来たか」
つぶやきながらも、バルフォアは双眼鏡を目に当てる。戦闘配置は解いていない。敵別働隊の謀略の可能性も、捨てきれないからだ。
だが、距離が縮まるに従って見えてきた艦影は、間違いなく「海歌」のものだった。その艦隊が翻している白地の旗に描かれた、何かの漢字のような妙な青いマークも、「海歌」のそれと一致する。
「後方の艦隊は味方なり。戦闘配置解除!」
「は!総員、対艦戦闘用具収め!」
戦術長の再度の艦内放送。ブザーも停止し、艦内の雰囲気は緩んだものに戻っていく。
やがて、海歌の艦隊が震電に合流した。
『ずいぶんと集めたわね』
『当たり前だろうが。お世話になってる共和国の運命を賭けた一戦だ、全力を投じる』
集められた大艦隊を見たシーシェが、通信回線を開いてコメントしてくる。それにバルフォアは当然だと返す。
『海歌の実力もかなりのものだろうが。期待してるぞ』
『ま、任せときなさい』
通信パネルの中、何故かシーシェの顔は赤い。
それには気付いたものの、その理由がわからないバルフォアであった。
通信が終わった後、「海歌」の旗艦の艦橋では、シーシェが部下たちにからかわれていた。
「ようお頭、顔真っ赤だぜ!」
「ヒュー!お暑いこって!」
「しっかしこの、バルフォアってヤツも、相当の朴念仁だな!わかってないらしいぜ、なんでお頭が赤くなってんのか」
「なら私たちでくっつけてやればいいだけでしょ!」
「違ぇねえ、ガハハハ!」
「あ、アンタたちね…!」
言い返そうとすればするほど、ますます赤くなり、余計にからかわれるシーシェであった。
「…で!」
再びクロスデルタ艦内。海歌との通信を終えたバルフォアは、急に目を閉じた。まるで何かに耐えかねてイライラしているかのように、眉が小刻みに動いている。
次の瞬間、くるりと振り向いたバルフォアは、目を見開き、艦橋後方に向かって叫んだ。
「なんでアンタは人の酒にたかってんですかねぇ!!!」
バルフォアの視線の先には、1人の女性。桃色を基調とする、変わった形の衣装を身にまとい、左の腰に剣を付けている。左手の上には、紫色の菱形の魔法石が浮いていた。結構な美人である。
彼女は、その名をリューナスと言い、民間飛行艇の警護を行う女剣士である。民間の船の警護を行うあたり、フリゲート護送社とは同業者だといえる。
彼女もまた、バルフォアによって召集され、ここにいるのだが…戦いを前にして、彼女が何をしているのかというと…
「うふ♪いいお酒いただいちゃいました♪」
「人の話を聞けぇぇぇ!」
フリゲート社の、もっと正確にいうとバルフォアの買った高級酒…あろうことか
実は彼女、お酒が好きでかなりのうわばみなのである。
「少々、酔ってしまいました…」
「大事な戦の前に酔う奴があるか!ってコラ!人の酒を1人で半分も飲んでるんじゃねぇよ!!」
バルフォアが怒鳴るも、リューナスは既に半分意識が飛んでいる。
「ちょっと寝ます…zzz」
「寝付くの早えわ!」
ツッコミに忙しいバルフォア。
座席の上で寝てしまったリューナスに、羽織っていたマントを毛布代わりにかけると、バルフォアは1つため息をついて、空になった大杯と半分中身の減った酒瓶を見た。
「相変わらずだなこいつは…。しかしこれ、俺も1回飲んだことあるけど、相当きつかったぞ…。俺はグラス半杯で参ったのに、なんだってこいつは瓶の半分も飲んでほぼ平気なんだ…?」
知ってる方は知っているだろうが、八塩折の酒は凄まじいアルコール度数を誇る。おとぎ話の中では、酒に強い鬼をも酔わせるほどの強力さである。当然、人間にはたまったものではない…はずである。
それにある程度耐えるとは、リューナスはいったいどんな肝臓をしているのだろう?
疑問に思わずにはいられないバルフォアだった。
そして、太陽も南中しようという頃…その時は来た。
「司令!前方に艦影多数。距離、1万」
「来たか…」
展開を完了した共和国最終防衛艦隊、総旗艦「クロスデルタ」に座乗するバルフォア。その耳に、クロスデルタのレーダー手からの報告が飛び込んできた。
相手の速度などから推測した到着予想時刻と一致しており、今レーダーに新たに映っているのは「カドモス」で間違いないだろう。
「全艦、戦闘配備。針路そのまま、砲雷撃戦用意!」
バルフォアは号令をかける。
艦内の非常ブザーが鳴り始め、クルーたちがあわただしく持ち場へついていく。雰囲気は一気に物々しいものへと変わる。
先ほど眠り込んだリューナスも、既に起き出して戦闘態勢に入っていた。左手に魔法石を浮かせ、右手に抜き身の剣を握っている。
「レーダー手、艦種は識別できそうか?」
「はい、反応の大きさから考えると、超大型飛行艇1、大型飛行艇60、中型飛行艇150、小型飛行艇多数というところです。速度40、急速接近中!」
「了解、ありがとう」
レーダー手に礼を言い、バルフォアは考える。
(小型飛行艇の数はほぼ互角、中型飛行艇の数ではこっちの勝ちか。だが、大型飛行艇の数では劣勢だな。…まあ、何とかするしかないか)
そう考えているうちに、次々と「戦闘配置よし」の報が入ってくる。
全ての飛行艇から「戦闘配置よし」の報告が入った頃には、クロスデルタの艦橋からも、目視でかろうじて敵影が見えるようになっていた。
バルフォアは双眼鏡を目にあて、敵艦隊を観察する。倍率を上げると、一際大きい黒い飛行艇が映った。あの独特の形、カドモス旗艦に違いない。
と、通信手がこちらを振り返り、叫んだ。
「敵、カドモスより入電!『直ちに降伏せよ』です。返信はどうしますか?」
ここまでさんざん破壊行為をやらかしてくれたやつらだ、遠慮する必要がどこにあろうか?いや、あるわけがない。
「通信を全体回線に切り替えろ。あと拡声器も用意しろ、全員に聞こえるようにな」
バルフォアは「全員」の部分をやたらと強調した。通信手は、その意味を一瞬で悟った。敵に返信することの他に、味方全員にも聞かせることで士気を上げ、改めて意識を統一しようとしているのだ。
「それで、通信の答えだが…」
答えは単純、端的、かつ好戦的なものだった。
「バカメと言ってやれ」
「は?ワカメですか?」
素っ気なく言ったのが仇となり、通信手には聞き取れなかったらしい。
この世界には海がないと言うのに、なんだってコイツは間の抜けたことをぬかしてやがるんだ?
バルフォアはキッと通信手を睨み付けた。
「バ、カ、メ、だ!」
「了解!」
通信手はすぐさま、マイクに向かって言う。
『共和国最終防衛艦隊総旗艦にして空賊団『震電』旗艦より返信。「バカメ」 以上!』
その通信は、通信回線と拡声器により、この場にいる全飛行艇に届けられた。
「撃ち方用意!」
通信が終わり、拡声器を切ると同時に、バルフォアは新たな命令を下す。
今の通信は、明確な敵対宣言であり、事実上の戦闘開始宣言だ。敵も味方も、それはわかっているだろう。
…あとは、勝つか負けるかだ。与えられるは栄光か、さもなくば死か。
「やれやれ、アニキのやつ。『バカメ』って…問答無用、ってことだよな」
クロスオメガ艦橋で、ダストエルスキー(ダット)はあきれた顔で呟いた。
「だがまあ、元から返事なんてこれしかないんだ、あとは腕でわからせるだけさ。全艦撃ち方用意!」
そして天山隊は戦闘態勢を取る。
「バカメとはまた…思いきった返事ね。あんたもそう思わない?」
流星隊旗艦「クロスラムダ」艦橋、フィーリア(フィア)は戦術長に話しかけた。
「はい。…なんだかどこかで聞いたセリフのような気がしますが…まあいいか、司令、うちもやりますよね?」
「当然よ。さあ、バーナードの乗員の弔い合戦といくわよ!」
「応!」
流星隊、士気は天を衝く。
「馬鹿め、か。話す気もないらしいな、あいつ。よっしゃあてめぇら!うちのスローガンは覚えてるな!?」
「銀狼」のほうでは、首領のガルドールが気炎を上げていた。
「「「絶対正義!」」」
団員たちが唱和する。
「そうだ。絶対正義と、金があれば十分だ!行くぞ!」
「銀狼」、総員意気軒昂。
「馬鹿め、の一言で決戦開始か…悪くないね」
空賊団「ヘイムダル」首領、エスメラは、勢揃いした空賊団を前に、静かに興奮していた。
彼女は、自身のそれより強力な空賊団を見てみるのが夢だった。
「最果て」こそいないものの、「海歌」に「銀狼」、かつてこの世界で最強だった「カドモス」、そして現在の最強「震電」。彼女には十分すぎた。
「さあ行くよ!丁重にもてなしてやろうじゃないか!」
「ヘイムダル」、いつでも戦闘可能。
「馬鹿め、ね。明確な宣戦布告ってところか。行くよ、野郎ども!」
「へいへい。お頭、まだ顔真っ赤ですぜwww」
「う、うるさい!さっさと行くわよ!」
「お、お姉ちゃん、頑張って…!」
「もちろん!ミーシェは、みんなは、私が守る!」
「海歌」は、相変わらず。
「馬鹿め…これで、戦闘開始ですか」
「ええ。あとは、彼らが最後の頼みです」
共和国元首府のアイリス執務室、側近の声にラルフォードは返事を返した。先ほどのバルフォアの通信は、拡声器も使っていたため、執務室まで丸聞こえだったのだ。
もう防衛艦隊は残っておらず、彼らが敗れれば、共和国は滅亡を免れないだろう。
「頼みましたよ、みなさん…」
窓の外に広がる大艦隊を見つめ、ラルフォードは心の中で静かに祈る。
「馬鹿め、だと…?」
「一蹴されましたね、ボス」
「しかも、馬鹿めって、ボスを侮ってるみたいだ…」
「……いいだろう。全員まとめて叩き落とせ!」
「「はい、ボス!」」
「カドモス」、殺る気スイッチON。
「てぇ!」
「撃て!」
バルフォアとバルバーナの号令は同時だった。
両陣営の艦隊の砲が、一斉に火を吹く。
共和国の存続を賭けた戦いの火蓋は、切って落とされた。
如何でしょうか?
あのシーン、結構気に入ってるんですよ…1度でいいから言ってみたいもんです(笑)
次回、いよいよ開戦ですが……ここから先はグロシーン乱発になろうかと思います。また、今回のように他作品のネタが出てきます。それでもいいよって方は、よろしくお願いいたします!